第5章 災害復旧等
1 災害応急対策
1-1 令和3年(2021年)7月1日からの大雨に対してとった措置
(1)警察庁における対応
警察庁においては、非常災害警備本部を設置するなどし、情報収集、総合調整等に当たったほか、関係警察においては、情報収集、避難誘導、救出救助、行方不明者の捜索、交通対策、被災地における各種犯罪への対策等の活動に当たった。機動警察通信隊においては、警察活動に必要な通信の確保に当たり、現場映像を警察庁等にリアルタイムで伝送した。
(2)消防庁における対応
消防庁においては、消防庁災害対策本部を設置した。大規模な土石流災害が発生した静岡県熱海市に対して、消防庁長官の求め又は指示に基づき、7月3日から26日までの24日間にわたり、815隊、3,099人(延べ活動数2,097隊、7,961人)の緊急消防援助隊を派遣した。また、被災自治体の支援や情報収集のため、7月3日以降、静岡県、熱海市役所及び熱海市消防本部に対し、27日間にわたり計42人の消防庁職員を派遣した。
(3)文部科学省における対応
文部科学省においては、災害応急対策本部を設置し、関係都道府県教育委員会に対し、児童生徒等の安全確保と二次災害防止等を要請した。また、各都道府県等に対し、被災地の学校において教育活動を実施する際の留意点についての事務連絡の発出等を通じ、被害状況等の把握や必要な支援に努めた。さらに、国立研究開発法人防災科学技術研究所においては、「基盤的防災情報流通ネットワーク(SIP4D)」からの情報を一元的に集約し、「防災クロスビュー(bosaiXview)」を介して災害対応機関等へ情報発信を行った。
(4)厚生労働省における対応
厚生労働省においては、厚生労働省災害対策本部を設置して被害状況の把握に努めるとともに、災害派遣医療チーム(DMAT)、災害派遣精神医療チーム(DPAT)、災害派遣福祉チーム(DWAT)、災害支援ナースを派遣し、災害支援活動を行った。また、医療保険、介護保険、障害福祉及び児童福祉サービス等については、必要書類を提示しなくてもサービスを利用できるよう対応し、利用者負担の減免や人員基準の緩和等の特別な対応をするよう、各都道府県及び被災地市町村に対して事務連絡を発出した。
さらに、厚生労働省被災者生活・生業再建支援チームを設置し、仮設住宅に入居する被災者等の孤立を防止するための見守りや相談支援、被災した生活衛生関係営業者等に対する日本政策金融公庫による資金繰り支援、また被害のあった水道施設及び社会福祉施設について、災害復旧事業等による早期復旧に向けた支援策をとりまとめた。
(5)農林水産省における対応
農林水産省においては、農林水産省緊急自然災害対策本部を設置して被害状況の把握に努めるとともに、被災された農林漁業者の方々が営農意欲を失わず一日も早く経営再建できるように、被害を受けた農林水産業施設等の復旧事業や林野、水産関係に係る総合的な支援対策を行った。また、被災した地方公共団体等へ延べ136人日のMAFF-SATを派遣し、迅速な被害の把握や被災地の早期復旧を支援した。
(6)経済産業省における対応
経済産業省においては、静岡県や島根県等に「災害救助法」が適用されたことを踏まえ、政府系金融機関等に特別相談窓口を設置するとともに、災害復旧貸付の適用及びセーフティネット保証4号の適用等、被災中小企業・小規模事業者対策を行った。
(7)国土交通省における対応
国土交通省においては、特定災害対策本部を設置し、被災施設の応急復旧等にあたるとともに、緊急災害対策派遣隊(TEC-FORCE)を被災地域に派遣し、被害の拡大や二次災害の防止、災害対策用ヘリコプターやドローン等も活用した被災状況調査、救助活動に必要となる土砂撤去への技術的支援、排水ポンプ車による緊急排水、災害応急対策への助言など、被災した自治体の支援に努めた。
(8)環境省における対応
環境省においては、本省及び地方環境事務所(関東、近畿、中国・四国、九州)の職員、D.Waste-Netの専門家、人材バンク登録支援員を派遣し、災害廃棄物の仮置場の管理・運営や収集運搬等について支援を行った。