2-8 災害時における船舶を活用した医療提供体制の整備の検討
病院船(災害時等において船内で医療活動を行うことを主要な機能とする船舶をいう。以下同じ。)に関しては、従来から政府において、調査研究や既存船舶を活用した実証訓練が実施されてきた。
令和3年6月には、議員立法により「災害時等における船舶を活用した医療提供体制の整備の推進に関する法律」(令和3年法律第79号)が成立し、公布の日から3年以内に施行される予定である。同法は、災害時等に備え、船舶を活用した医療提供体制の整備の推進を目的とするものであり、基本方針として、<1>陸上医療との役割分担・連携協力、<2>災害時等における医療の提供の用に主として供するための船舶の保有(国以外の者により保有することを含む。)、<3>人員の確保、<4>人材の育成、<5>物資の確保、<6>平時の活用、<7>民間活用を挙げ、また、内閣に船舶活用医療推進本部を設置することとしている。政府はこの基本方針に基づき、必要な法制上又は財政上の措置等を講じるとともに、整備推進計画を策定することとされている。
政府は、同年10月に関係府省連絡会議を開催し、令和4年7月には内閣官房に船舶活用医療推進本部設立準備室を設置するなど、同法の施行に向け政府一体となって検討を進めている。令和5年2月には、関係府省と医療関係団体が連携し、自衛隊艦艇等を活用した災害医療活動の初動から活動完了までの訓練を実施した。また、災害時に医療活動が可能な民間船舶等の現状調査及び民間船舶を活用した実証訓練を実施し、災害医療における民間との連携強化について調査を行った。
引き続き、これまでの政府の取組を活かしつつ、医療関係団体等の意見にも十分に耳を傾けながら、災害時における船舶を活用した医療提供体制の整備の推進に向けて取り組んでいく。