令和4年版 防災白書|第2部 第2章 4 風水害対策


4 風水害対策

(1)リモートセンシングによる気象稠密観測

国立研究開発法人情報通信研究機構においては、雨、風向・風速、水蒸気等を精密・迅速に計測するためのレーダーやライダー等の電磁波を用いた計測技術に関する研究開発を行った。また、精密な降雨状況を観測可能なフェーズドアレイ気象レーダーについて、他機関との密接な連携により大規模イベント及び自治体との実証実験を行った。

(2)マルチセンシングに基づく水災害予測技術に関する研究

国立研究開発法人防災科学技術研究所においては、地球温暖化による気候変動の影響等に伴う竜巻、短時間強雨、強い台風等の増加による風水害、土砂災害等の気象災害を軽減するため、先端的なマルチセンシング技術と数値シミュレーション技術を活用した短期間のゲリラ豪雨等の予測技術に関する研究開発を実施した。

(3)豪雨時の農村地域の防災・減災に関する研究

国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構においては、農村地域の豪雨災害に対する防災・減災技術に関する研究を行った。

(4)豪雨・地震時の山地災害対策に関する研究

国立研究開発法人森林研究・整備機構においては、豪雨・地震による山地災害の発生源対策のために必要となる崩壊・地すべり・土石流の発生機構や森林の山地災害防止機能に関する研究を行った。

(5)漁港・海岸及び漁村の高波・高潮災害防止に関する研究

国立研究開発法人水産研究・教育機構においては、漁港施設・海岸保全施設の高波・高潮災害対策に関する研究を行った。

(6)突発的な自然現象による土砂災害の防災・減災技術の開発

国立研究開発法人土木研究所においては、突発的な自然現象による土砂災害の防災・減災に資するため、土石流・地すべり等の土砂移動の監視、土石流・流木・地すべり等の土砂移動によるリスク評価及び被害の防止・軽減、移動した不安定土砂の安全な撤去のための対策に関する研究を行った。

(7)風水害対策に関する研究

国立研究開発法人土木研究所においては、河川災害防除技術として、河道侵食防止に関する研究、破堤被害の軽減技術に関する研究及び斜面災害防止に関する研究を実施した。

(8)水災害・リスクマネジメント国際センター(ICHARM)の運営

国立研究開発法人土木研究所水災害・リスクマネジメント国際センター(ICHARM)においては、国内外の関連機関等と連携を図りつつ、世界の水関連災害の防止・軽減に貢献するために、革新的な研究・効果的な能力育成・効率的な情報ネットワーク活動及び各種国際プロジェクトを一体的に推進した。

(9)気候変化等により激甚化する水災害を防止、軽減するための技術開発

国立研究開発法人土木研究所においては、不確実性を考慮した地球温暖化が洪水・渇水に与える影響の予測技術の開発、堤防、構造物周辺堤防及び基礎地盤を総合的に考慮した浸透安全性及び耐震性の照査技術の開発、低コストな浸透対策や効果的な地震対策等の堤防強化技術の開発に関する研究を実施した。

(10)港湾・海岸及び空港土木施設の高潮・高波災害防止に関する研究

国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所においては、高潮・高波災害の軽減や復旧のために、海象観測データの集中処理・解析に基づく海象特性の解明、日本沿岸域を対象とした波浪推算手法の課題整理と高度化、岸壁の越波・排水を考慮したふ頭の浸水シミュレーション手法の開発に関する研究を行った。

(11)地震を受けた拠点建築物の健全性迅速判定技術の開発

国土交通省国土技術政策総合研究所においては、地震後に自治体が速やかに災害対応をできるように、建物管理者が地震発生直後に実施する庁舎等の拠点建築物の健全性判定を支援するための技術開発の検討を行った。

(令和2年度決算額 9百万円)

(12)大規模地震時の港湾施設の即時被害推定手法に関する研究

国土交通省国土技術政策総合研究所においては、現地に立ち入らずとも被災状況を予測可能な、大規模地震時の係留施設の即時被害推定手法の確立を目的とし、サイト増幅特性の予測精度の向上等に関する研究を実施した。

(令和2年度決算額 8百万円)

(13)避難・水防に即応可能な情報伝達のための決壊覚知・氾濫実況予測に関する研究

国土交通省国土技術政策総合研究所においては、逃げ遅れゼロの達成のため、市町村などに向けた情報提供の更なる充実を目的として、決壊を覚知し氾濫発生の実況予測情報を提供するシステムの研究開発を行った。

(令和2年度決算額 15百万円)

(14)下水道管路の防災・減災技術の開発に関する実態調査

国土交通省国土技術政策総合研究所においては、大雨時の下水道管路、ポンプ場の被災リスク低減及び復旧活動の迅速化を目的として、被災施設の要因分析を行い、施設対策メニューを検討した。

(令和2年度決算額 42百万円)

(15)免疫性を考慮した降雨指標に応じた崩壊生産土砂量の予測に関する検討

国土交通省国土技術政策総合研究所においては、土砂・洪水氾濫被害の防止・軽減に資するため、過去の降雨履歴(降雨の免疫性)が斜面崩壊に与える影響を考慮した崩壊生産土砂量の予測精度の向上のための研究を行った。

(令和2年度決算額 4百万円)

(16)斜面・対策施設下部が全面的に水没した場合の崩壊危険度の評価手法の検討

国土交通省国土技術政策総合研究所においては、浸水等水没による急傾斜地崩壊対策施設の損傷リスクを低減するため、水没リスクのある地域における施設の機能評価を織り込んだ危険度評価手法の検討を行った。

(令和2年度決算額 25百万円)

(17)下水処理場の復旧時の運転管理手法に関する調査

国土交通省国土技術政策総合研究所においては、被災した下水処理場の早期復旧手法を検討するため、被災下水処理場の復旧対応事例に関する情報収集及び、復旧段階の下水の処理・消毒の対策手法の検討を行った。

(令和2年度決算額 18百万円)

(18)洗掘の被害を受ける可能性が高い道路橋の抽出と改造マニュアルの開発

国土交通省国土技術政策総合研究所においては、道路橋の洗掘・流失被害を踏まえ、道路橋の構造の特徴に基づく洗掘・流失の被災可能性が高い橋梁の抽出方法の開発及び洗掘・流失対策技術の充実に関する研究を行った。

(令和2年度決算額 50百万円)

(19)建築物の外装材及び屋根の耐風性能向上に資する調査研究

国土交通省国土技術政策総合研究所においては、近年の台風により強風時の脆弱性が顕在化した屋根瓦、木造小屋組、フロントサッシを対象に、被害実態を踏まえた耐風性向上に資する仕様と試験評価法の検討を行った。

(令和2年度決算額 49百万円)


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