第5節 国土強靱化の推進のための取組
5-1 国土強靱化年次計画2020
政府は、「国土強靱化年次計画2020」(以下「年次計画2020」という。)を令和2年6月18日に決定した。年次計画2020では、ハード・ソフト、新技術の活用などの従来の施策に加え、新たに、<1>令和元年房総半島台風及び令和元年東日本台風に係る政府検証チーム報告を踏まえた長期停電、通信障害等の課題への対応、<2>気候変動を踏まえた流域全体で行う「流域治水」、<3>ダムの事前放流、<4>災害時における新型コロナウイルス感染症への対応等を盛り込んだ。また、「防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策」(平成30年12月14日閣議決定)のフォローアップを行い、概ね7兆円程度の事業規模に対し、最終年度までに事業費が予定どおり確保される見込みであること、全体160項目のうち95%が令和2年度に完了する見込みであり、おおむね順調に進捗していること、令和元年の台風災害等において、<1>浸水被害の防止、<2>重要インフラの機能維持、<3>監視・観測や情報発信の維持、<4>救助・救援能力の確保、<5>円滑かつ確実な避難の実施、等の点で効果を発揮した事例を確認した(図表5-1-1)。
また、年次計画2020を踏まえ、「ナショナル・レジリエンス(防災・減災)懇談会」(座長:藤井聡 京都大学教授)において、国土強靱化基本計画を推進する上で重要な政策課題として「風土・自然条件に適う国土強靱化」「人とコミュニティのレジリエンス」をテーマに、その解決に向け議論を重ねた。