第4節 平成30年度原子力総合防災訓練
4-1 実施概要
(1)位置付け及び目的
原子力総合防災訓練は、原子力災害発生時の対応体制を検証することを目的として、原子力災害対策特別措置法に基づき、原子力緊急事態を想定して、国、地方公共団体、原子力事業者等が合同で実施する訓練である。平成30年度原子力総合防災訓練は関西電力大飯発電所及び高浜発電所を対象として、以下を目的として実施した(参照:https://www8.cao.go.jp/genshiryoku_bousai/kunren/h30sg.html)。
- 国、地方公共団体及び原子力事業者における防災体制や関係機関における協力体制の実効性の確認
- 原子力緊急事態における中央と現地の体制やマニュアルに定められた手順の確認
- 「大飯(おおい)地域の緊急時対応」及び「高浜(たかはま)地域の緊急時対応」に基づく避難計画の検証(図表4-1-1)
- 訓練結果を踏まえた教訓事項の抽出、緊急時対応等の改善
- 原子力災害対策に係る要員の技能の習熟及び原子力防災に関する住民理解の促進
(2)対象となる発電所及び実施時期
大飯(おおい)発電所及び高浜(たかはま)発電所を対象として、平成30年8月25日、26日に実施した。
(3)参加機関等
(参加機関数:191機関、住民を含む参加人数:約21,200人)
- 政府機関:内閣官房、内閣府、原子力規制委員会ほか関係省庁
- 地方公共団体:福井県、京都府、滋賀県、おおい町、小浜市、高浜町、舞鶴市、UPZ内10市町ほか関係市町
- 事業者:関西電力株式会社
- 関係機関:国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構、国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 等
(4)事故想定
大飯発電所3号機において、京都府北部を震源とした地震による外部電源喪失後、原子炉冷却材の漏えいが発生し、さらに設備故障等により非常用炉心冷却装置による原子炉への全ての注水が不能となり、全面緊急事態となる。
他方、高浜発電所4号機においては、地震による影響は認められなかったが、送電線事故による外部電源喪失後、蒸気発生器への給水が不能となり、また、設備故障等により非常用炉心冷却装置による原子炉への注水が直ちにできなくなり、全面緊急事態となる。
(5)訓練内容
本訓練は「大飯地域の緊急時対応」及び「高浜地域の緊急時対応」に基づく避難計画の実効性を更に向上させることを狙いとして、自然災害及び原子力災害の複合災害を想定し、これらの事態の進展に応じた住民避難等に係る意思決定や実動の訓練を実施した。