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平成28年版 防災白書|附属資料15 平成27年以降に発生した主な災害における各府省庁の対応


附属資料15 平成27年以降に発生した主な災害における各府省庁の対応

15-1 口永良部島噴火[噴火警戒レベル5]

<1> 災害の状況

口永良部島では、平成27年5月29日9時59分頃、爆発的噴火が発生した。黒灰色の噴煙が火口縁上9,000m以上に上がり、火砕流が新岳の北西側では海岸にまで達し、さらに新岳南西側では海岸付近まで、南東側では中腹付近まで流下した。また、噴火発生直後は、火山性地震が増加した。

この噴火に伴い、気象庁は、同日10時07分に噴火警報(居住地域)を発表し、噴火警戒レベルを3(入山規制)から5(避難)に引き上げた。

噴火発生後の10時20分、屋久島町において全島民を対象に避難指示を発令し、噴火時の在島者137名(島民118名、旅行者等19名)全員が、町営船「フェリー太陽」、県消防防災ヘリ、海上保安庁巡視船等により、当日中に島外避難を実施した。

この噴火の影響により、軽傷等2名の人的被害や停電被害等が発生したほか、広葉樹林等の立木300ha及び治山施設・林道等が火砕流による被害に見舞われた。

なお、口永良部島新岳における前回の噴火は、平成26年8月3日のことで、この時、気象庁は、噴火警報(火口周辺)を発表し、噴火警戒レベルを1(平常※「噴火警戒レベル1のキーワードは平成27年5月18日から「活火山であることに留意」に変更)から3(入山規制)に引き上げた。その後は、水蒸気を多く含む白色の噴煙が上がったものの、噴火は観測されていない状態であったが、翌年の平成27年3月24日以降夜間に火映を観測するようになり、さらに5月23日、午前7時頃から島内を震源とする地震が多い状態となり、8時00分には震度3を観測する地震が発生するなど、火山活動の高まりがみられていた。5月29日の爆発的噴火はこの地震の6日後に発生した。

<2> 各府省庁等の対応

5月29日10時15分、内閣総理大臣は関係省庁に対し、<1>早急な被害状況の把握、<2>自治体との緊密な連携による避難等の安全確保措置の徹底、<3>適時的確な情報の提供、3点について指示した。

また、10時37分には、関係省庁局長級で構成される緊急参集チーム協議を開始し、<1>地方自治体、関係機関等との連携を密にし、口永良部島の火山活動や被害状況を的確に把握するとともに、住民の安全を第一として、政府一体となった救援救助活動、避難支援等に全力を尽くすこと、<2>被害の状況に応じ、緊急消防援助隊、警察広域援助隊、自衛隊の災害派遣部隊、海上保安庁の救援救助部隊、災害派遣医療チーム(DMAT)等による被災地への広域応援を行い、災害応急対策に万全を期すこと、<3>火山活動について、引き続き、国や関係機関が一体となって厳重な観測・監視・分析を行い、住民や地方自治体、関係機関に対する的確な情報提供を行うこと、を確認した。

11時00分、内閣府特命担当大臣(防災)、内閣府大臣政務官(防災担当)出席のもと、関係省庁災害対策会議を開催し、鹿児島県副知事とテレビ会議を行うとともに、今後の火山活動の見通し、被害状況及び各省庁の対応状況について情報共有を行った。(以降、御同会議を計5回開催し、鹿児島県知事、屋久島町長及び火山専門家(火山噴火予知連絡会会長等)とのテレビ会議による情報共有等を随時実施)。

更に、口永良部島噴火に伴う被害状況及び現地の対応状況等を把握するため、内閣府副大臣(防災担当)を団長とする政府調査団を鹿児島県庁へ派遣し、自衛隊ヘリによる上空調査を実施するとともに、被災自治体の首長等と意見交換を実施した。また、内閣府情報先遣チームを鹿児島県屋久島町役場へ派遣した。

16時30分、国と被災地方公共団体が一体となって、現地での災害応急対策に係る調整を実施するため、鹿児島県屋久島町役場に政府現地連絡調整室(室長:内閣府政策統括官(防災担当)付参事官)を設置した。

6月13日には、口永良部島新岳の噴火に係る被災状況を把握するため、内閣総理大臣が現地を視察し、屋久島町において鹿児島県知事、屋久島町長等と意見交換を行うとともに、島民が避難生活を送っている避難所の視察を実施した。

この他、鹿児島県知事からの自衛隊災害派遣要請に基づき、延べ約430名の自衛隊員が航空機による避難支援・情報収集活動を実施した。

また、この噴火災害により、鹿児島県熊毛郡屋久島町に対して、災害救助法が適用(5月29日適用)された。

15-2 箱根山噴火[噴火警戒レベル3]

<1> 災害の状況

箱根山の大涌谷周辺では、平成27年4月26日以降、火山活動がやや活発な状況で推移していたが、5月5日に震度1の火山性地震を3回観測したことなどから、気象庁は、噴火警報(火口周辺)を発表し、5月6日6時00分に噴火警戒レベルを1(平常※ 噴火警戒レベル1のキーワードは平成27年5月18日から「活火山であることに留意」に変更)から2(火口周辺規制)へ引き上げた。

その後、神奈川県温泉地学研究所及び気象庁が実施した現地調査において、6月29日から30日にかけてごく小規模な噴火が発生したものとみられたことから、気象庁は、6月30日12時30分に噴火警報(火口周辺)を発表し、噴火警戒レベルを2(火口周辺規制)から3(入山規制)へ引き上げた。

これを受け、地元の神奈川県及び箱根町では、12時30分に大涌谷周辺の概ね1kmの範囲への立入規制及び避難指示を発令し、県道734号及び735号(姥子~早雲山駅間)の通行止め規制を実施したほか、7月3日には、箱根町において、大涌谷周辺の概ね1kmの範囲を災害対策基本法第63条に基づく警戒区域として設定した。

避難指示の発令後、避難指示範囲内に所在していた住民等は避難を開始し、同日21時05分には、地元警察・消防において当該範囲内に残留者がなく避難が完了していることを確認した。

なお、この噴火の影響による人的被害、物的被害の報告はない。

<2> 各府省庁等の対応

政府は、噴火発生後直ちに、内閣府特命担当大臣(防災)、内閣府大臣政務官(防災担当)出席のもと、関係省庁災害警戒会議を開催し、火山活動の見通し、各省庁の対応状況について情報共有を実施し、今後の対応を確認した。

同日、内閣府情報先遣チームを神奈川県箱根町役場へ派遣し、関係機関との連絡調整等の業務を実施した。

6月30日、火山防災協議会コアグループ会議に内閣府職員が参画し、今後の対応について国・県・町等が一体となって協議を実施した。

7月1日、内閣府特命担当大臣(防災)、内閣府副大臣(防災担当)、内閣府大臣政務官(防災担当)出席のもと、関係省庁災害警戒会議(第2回)を開催し、箱根町とのテレビ会議による意見交換を実施するとともに、地元の取組状況、課題、対応方針について情報共有及び確認を行った。

15-3 平成27年台風第11号

<1> 災害の状況

平成27年7月4日3時00分にマーシャル諸島近海で発生した台風第11号は、16日23時頃、高知県室戸市付近に上陸した。台風は引き続き北上を続け、17日06時頃、岡山県倉敷市付近に再び上陸した。その後、台風は進路を北東に変え、同日21時に日本海で熱帯低気圧に変わった。この台風や台風に向かって流れ込む湿った空気の影響で、西日本と東日本を中心に雨量が多くなった。特に、近畿地方では、24時間の積算雨量がこれまでの観測記録を更新し、平年の7月1ヶ月間に降る雨量を上回る大雨となった。また、西日本で猛烈な風が吹いた他、海上は、西日本と東日本の太平洋側を中心に大しけとなった。

台風第11号の上陸に伴い、延べ7県、17,537世帯43,384人に対して避難指示が、延べ16府県、476,197世帯1,087,284人に対して避難勧告が発令された。

台風第11号の影響により、死者2名、負傷者59名の人的被害、全壊2棟、半壊5棟、床上浸水79棟、床下浸水319棟の住家被害が発生した。その他、がけ崩れ等の土砂災害が計69件発生したほか、四国電力管内の延べ約86,882戸をはじめ、延べ約175,682戸で停電が発生した。

<2> 各府省庁等の対応

政府では、台風上陸前の7月15日に、内閣府特命担当大臣(防災)、内閣府副大臣(防災担当)、内閣府大臣政務官(防災担当)出席のもと、関係省庁災害警戒会議を開催し、今後の気象の見通し及び各省庁の対応状況について情報共有を行うとともに、万全の態勢で対応していくことを確認した。

同日、台風第11号への対応について、以下のとおり、内閣府特命担当大臣(防災)から国民へ呼びかけを行い、HP及びSNSにて公表した。

  1. 台風第11号は、明日夜から17日にかけて、西日本に接近・上陸するおそれがあり、西日本から東日本では明日から、非常に激しい雨、猛烈な風、海は大しけとなる見込みです。台風の動きが遅く、雨量がかなり多くなるおそれがあります。死者・行方不明者98名の被害を出した平成23年紀伊半島大水害の台風と進路も似ていることから注意が必要です。昨年の広島の土砂災害も踏まえ、人命に直結する土砂災害などに対して、特に厳重な警戒が必要です。
  2. 国民の皆様には、自らの身を守るため、市町村からの勧告等がなくても、気象情報などに注意して、少しでも危険を感じたら、躊躇なく積極的に避難するよう心掛けてください。避難場所まで行くことが危険だと感じたら、近隣のより安全な場所に、外へ出ることがすでに危険だと感じたら、屋内の2階、3階等の谷側(山の反対側)に避難してください。水路・海岸等には絶対に近づかないでください。
  3. 重ねて、国民の皆様には、空振りを恐れず、積極的に自らの身を守る行動をとっていただくようお願いします。

その後の台風上陸等の経過状況を踏まえ、17日10時00分、内閣府特命担当大臣(防災)、

内閣府副大臣(防災担当)、内閣府大臣政務官(防災担当)出席のもと、関係省庁災害警戒会議(第2回)を開催し、今後の気象の見通し、被害状況及び各省庁の対応状況について情報共有を

行うとともに、引き続き万全の態勢で対応していくことを確認した。

15-4 桜島の火山活動[噴火警戒レベル4]

<1> 災害の状況

桜島では、平成27年8月15日7時頃から島内を震源とする火山性地震が多発し、桜島島内に設置している傾斜計及び伸縮計では、山体膨張を示す急激な地殻変動が観測された。

このため、気象庁は、10時15分、噴火警報(居住地域)を発表し、噴火警戒レベルを3(入山規制)から4(避難準備)に引き上げ、昭和火口および南岳山頂火口から3km以内の有村町および古里町に対し、弾道を描いて飛散する大きな噴石および火砕流への厳重な警戒を呼びかけた。

これを受け、鹿児島県鹿児島市は、11時50分に避難準備情報を、16時50分に避難勧告を発令した。その後、18時10分には、地元消防において避難対象地区(有村町有村地区、古里町古里東地区(火口から3km圏内)、黒神町塩屋ヶ元地区)内の戸別訪問を実施し、住民(51世帯77名)の避難完了を確認した。

避難者は島内4ヶ所に設置された避難所や親戚宅等へ避難した(8月25日13時25分をもって全ての避難所が閉鎖)。

8月22日には、避難勧告の一部が避難準備情報に切り替えられ、気象庁が9月1日16時00分に噴火警報(火口周辺)を発表し、噴火警戒レベルを4(避難準備)から3(入山規制)に引き下げたことを受け、同日16時10分をもって全ての避難準備情報が解除された。

なお、この火山活動の影響による人的被害、物的被害の報告はない。

<2> 各府省庁等の対応

政府では、噴火警戒レベル4(避難準備)への引き上げ後直ちに、内閣府大臣政務官(防災担当)出席のもと、関係省庁災害警戒会議を開催し、鹿児島県知事とテレビ会議を行うとともに、今後の火山活動の見通し及び各省庁の対応状況等について確認した。

同日、情報連絡要員(リエゾン)として、内閣府(防災担当)職員を鹿児島市役所へ派遣し、関係機関との連絡調整等の業務を実施した。

9月16日11時00分、内閣府特命担当大臣(防災)、内閣府大臣政務官(防災担当)出席のもと、関係省庁災害警戒会議(第2回)を開催し、鹿児島県知事及び火山専門家(火山噴火予知連絡会委員)とテレビ会議を行うとともに、今後の火山活動の見通し及び当面の課題等について確認した(鹿児島市役所とのテレビ会議は随時実施)。

8月20日、内閣府大臣政務官が鹿児島県及び鹿児島市を訪問し、布袋鹿児島県副知事、森鹿児島市長町長との意見交換を実施した。

15-5 平成27年台風第15号

<1> 災害の状況

台風第15号は、平成27年8月23日夜から24日明け方にかけて、非常に強い勢力で先島諸島に接近・通過した後、沖縄本島や奄美大島の西海上を北東に進み、25日未明には薩摩半島の西の海上に達した。その後、25日6時過ぎに熊本県荒尾市付近に上陸し、強い勢力を保ったまま九州北部を北上し、25日昼前に、日本海に達した。

沖縄県の石垣島で23日21時16分に71.0メートルの最大瞬間風速を観測する等、南西諸島や九州を中心に猛烈な風が吹き、海上は猛烈なしけとなった。また、西日本から東日本にかけての広い範囲で、風が強く、うねりを伴い波が高くなった。

台風や南から流れ込む暖かく湿った空気の影響で、南西諸島や西日本、東海地方で大雨となり、九州や山口県、三重県で局地的に1時間に80ミリを超える猛烈な雨が降った。

台風第15号の上陸に伴い、延べ3県、105,516世帯245,459人に対して避難指示が、延べ7県、242,548世帯527,920人に対して避難勧告が発令された。

この台風第11号の影響により、死者1名、負傷者134名の人的被害、全壊10棟、半壊90棟、一部破損2,075棟、床上浸水28棟、床下浸水192棟の住家被害が発生した。また、ライフライン関係では、九州電力管内の延べ約1,136,600戸をはじめ、延べ約1,508,700戸で停電が発生したほか、九州地方を中心に最大13,955戸で断水被害に見舞われた。

<2> 各府省庁等の対応

政府では、台風上陸前の8月24日に、関係省庁災害警戒会議を開催し、今後の気象の見通し及び各省庁の対応状況について情報共有を行うとともに、万全の態勢で対応していくことを確認した。

8月26日、沖縄県知事からの自衛隊災害派遣要請に基づき、航空機による沖縄電力の人員及び機材の輸送活動を実施した。

15-6 平成27年9月関東・東北豪雨(台風第18号を含む)

<1> 災害の状況

平成27年9月7日21時に沖ノ鳥島の東の海上で発生した台風第18号は、日本の南海上を北上し、9日09時半頃に愛知県西尾市付近に上陸した後、日本海に進み、同日15時に温帯低気圧に変わった。

台風第18号や前線の影響で、西日本から北日本にかけての広い範囲で大雨となり、特に9月9日から11日にかけては、台風第18号から変わった低気圧に流れ込む南よりの風、後には台風第17号の周辺からの南東風が主体となり、湿った空気が流れ込み続けた影響で、多数の線状降水帯が次々と発生し、関東地方と東北地方では記録的な大雨となった。

9月7日から9月11日までに観測された総降水量は、栃木県日光市今市で647.5ミリ、宮城県丸森町筆甫で536.0ミリを観測するなど、関東地方で600ミリ、東北地方で500ミリを超え、9月の月降水量平年値の2倍を超える大雨となったところがあった。

特に、9月10日から11日にかけて、栃木県日光市今市や茨城県古河市古河、宮城県仙台市泉区泉ケ岳など関東地方や東北地方では、統計期間が10年以上の観測地点のうち16地点で、最大24時間降水量が観測史上1位の値を更新するなど、栃木県や茨城県、宮城県では記録的な大雨となった。

気象庁は、栃木県(9月10日00時20分)、茨城県(同日07時45分)、宮城県(9月11日03時20分)の3県に対して、特別警報(大雨)を発表した。

更に、9月9日から11日に関東地方及び東北地方で発生した豪雨について、気象庁は「平成27年9月関東・東北豪雨」と命名した。

以下では、平成27年9月関東・東北豪雨に伴う被害が甚大であった茨城県、栃木県、宮城県を中心とした被害状況等について記述する。

平成27年9月関東・東北豪雨により、3県で延べ約50,516世帯115,681人に対して避難指示が、延べ576,950世帯1,315,600人に対して避難勧告が発令された。

また、各地に設置された避難所への避難者数(ピーク時)は、以下のとおりであった。

茨城県:35市町村 299箇所 10,390人 (9月11日19時20分現在)
          ※うち常総市:26箇所 4,501人 (9月11日02時00分現在)

宮城県:20市町 288箇所 3,846人 (9月12日08時00分現在)

栃木県:12市町  76箇所 2,677人 (9月10日15時00分現在)

この平成27年9月関東・東北豪雨により、9月10日に茨城県常総市の鬼怒川の堤防が決壊するなど、3県を中心に計86河川において決壊や氾濫による被害が発生した。

また、死者8名、負傷者79名の人的被害のほか、全壊80棟、半7,022棟、一部破損343棟、床上浸水1,925棟、床下浸水10,353棟の住家被害が発生した。

この他、ライフライン関係では、東京電力管内及び東北電力管内において約13,523戸(ピーク時)で停電が発生したほか、茨城県を中心に最大約26,675戸で断水被害に見舞われた。

<2> 各府省庁等の対応

平成27年9月10日0時20分に栃木県に対して特別警報(大雨)が発表されたことを受け、0時30分、内閣府特命担当大臣(防災)から関係省庁に対して、以下のとおり要請事項が発出された。

  • 本日0時20分に、栃木県に大雨の特別警報が発表されたところ、関係省庁におかれては、土砂災害、河川の氾濫等に対し、最大級の警戒をお願いしたい。
  • また、空振りを恐れずに躊躇なく避難勧告等を出せるよう、状況に応じ、地方自治体に対して避難のための助言を積極的に行っていただくようお願いしたい。
  • 実働省庁におかれては、迅速かつ的確に被災自治体から応援の要請等に対応できるよう、事前の準備体制を整えていただくようお願いしたい。
  • 引き続き、国民の生命、財産を守るため、地方自治体と連携を密にしつつ、緊張感をもって対応に万全を期して頂きたい。

4時15分、関係省庁局長級会議を開催し、気象状況及び対応状況の確認を実施した。

7時10分、内閣総理大臣から関係省庁に対して、以下のとおり総理指示が発出された。

  1. 被害状況を迅速に把握するとともに、政府一体となって、人命の安全確保を第一とする災害応急対策に全力で取り組むこと
  2. 国民に対し、避難や大雨・河川の状況等に関する情報提供を適時的確に行うこと
  3. 地方自治体とも緊密に連携し、今後、浸水が想定される地区の住民の避難が確実に行われるよう、避難支援等の対策に万全を期すこと

総理指示を踏まえ、緊急参集チーム協議において災害応急対策に全力で取り組むことを確認するとともに、内閣府情報先遣チームを茨城県及び栃木県へ派遣した(11日には宮城県へ派遣)。

9時30分、内閣府特命担当大臣(防災)、内閣府副大臣(防災担当)出席のもと、関係省庁災害対策会議(局長級)を開催し、栃木県庁及び茨城県庁とのテレビ会議を実施するとともに、引き続き被害状況の収取に全力を挙げ、被災者の救援・救助、水防活動等の災害応急対策に全力を尽くすことを確認した(以後、関係省庁災害対策会議を計4回開催)。

15時47分、内閣総理大臣出席のもと、栃木県・茨城県等の大雨に関する関係閣僚会議を開催し、以下のとおり、総理指示が発出された。

  1. 事態は重大な局面を迎えている。自衛隊、警察、消防など、政府の持てる力を全て動員し、被災者の救命・救助に全力を尽くすこと
  2. さらに、取り残され、助けを求めている方がいないか、早急に状況を把握すること
  3. さらなる事態の発生も懸念されることから、地方自治体と緊密に連携し、住民の避難が確実に行われるよう対策に万全を期すこと

9月11日、被害状況及び現地の対応状況等を把握するため、内閣府副大臣(防災担当)を団長とする政府調査団を栃木県及び茨城県に派遣し、被災自治体の首長等と意見交換を行うとともに、被災現場の調査を実施した。

11時28分、内閣総理大臣出席のもと、栃木県・茨城県・宮城県等の大雨に関する関係閣僚会議を開催し、以下のとおり、総理指示が発出された。

  1. 国民の命を守るため、引き続き、政府一丸となって、被災者の救命・救助に全力を尽くすこと
  2. 今後、さらなる事態の発生も懸念されることから、地方自治体と緊密に連携し、住民の避難が確実に行われるよう対策に万全を期すこと
  3. さらに、被災自治体と連携し、必要な物資の確保や医療行為の提供等被災者の支援策に関係機関が一体となって取り組むこと

9月12日、被災状況を把握するため、内閣総理大臣が、河川の氾濫等により被害が生じた茨城県、栃木県を訪問し、茨城県知事、栃木県知事等と意見交換を行うとともに、破堤箇所の視察及び避難所の訪問を実施した。

9月15日、被災状況を把握するため、内閣府特命担当大臣(防災)が、河川の氾濫等により被害が生じた茨城県常総市を訪問し、常総市長等と意見交換を行うとともに、避難所等の視察を実施した(内閣府特命担当大臣による現地視察は10月16日にも実施)。

現地では、各県知事からの要請を受け、以下のとおり自衛隊の災害派遣を実施した。


[茨城県における大雨に伴う孤立者救助等に係る災害派遣]

ア 概要

  • 要請日時 平成27年9月10日(木)09:05
  • 要請元 茨城県知事
  • 要請先 陸上自衛隊施設学校長(勝田)
  • 要請の概要 孤立者の救助、ボートによる避難支援、土嚢による水防活動、給水支援、入浴支援及び防疫活動
  • 発生場所 茨城県常総市及び結城市
  • 撤収日時 平成27年9月19日(土)22:00

イ 派遣規模(合計)

附属資料15 平成27年以降に発生した主な災害における各府省庁の対応


[宮城県における孤立者の救助に係る災害派遣]

ア 概要

  • 要請日時 平成27年9月11日(金)02:30
  • 要請元 宮城県知事
  • 要請先 陸上自衛隊第6師団長(神町)
  • 要請の概要 孤立者の救助
  • 発生場所 宮城県大和町、宮城県渋井川
  • 撤収日時 平成27年9月11日(金)19時30分

イ 派遣規模

  • 人員 約190名
  • 車両 約40両
  • ボート 37隻
  • 航空機 7機
  • その他 LO人員25名、LO車両14両

[栃木県における孤立者の救助に係る災害派遣]

ア 概要

  • 要請日時 平成27年9月11日(金)09:00
  • 要請元 栃木県知事
  • 要請先 陸上自衛隊第12特科隊長(宇都宮)
  • 要請の概要 孤立者の救助
  • 発生場所 栃木県日光市
  • 撤収日時 平成27年9月11日(金)18時20分

イ 派遣規模

  • 人員 約70名
  • 車両 15両
  • 航空機 5機
  • バイク 6台
  • その他 LO人員2名、LO車両1両

また、警察組織は延べ約3,000名、消防組織は延べ約2,300名を現地へ派遣するとともに、災害対策用機械等を延べ1,670台・日を派遣し、救助活動等を実施した。国土交通省のTEC-FORCEは延べ約2,590名・日を現地へ派遣し、緊急排水活動、被災状況調査、排水活動のための道路啓開、排水路等の土砂撤去、応急復旧への支援、空中写真等の撮影等を実施した。

国土地理院では、無人航空機(UAV)による動画撮影及び推定浸水範囲図の作成等を行い、随時関係機関に提供を行うとともに、国土地理院ホームページで公開した。

この平成27年9月関東・東北豪雨により、3県26市町に対して災害救助法が適用されるとともに、4県8市町に対して被災者生活再建支援法が適用された。


[災害救助法の適用]

茨城県:8市2町(古河市、結城市、下妻市、常総市、筑西市、結城郡八千代町、猿島郡境町、守谷市、坂東市、つくばみらい市)(適用日:9月9日)

栃木県:6市2町(栃木市、佐野市、鹿沼市、日光市、小山市、下野市、下都賀郡野木町、下都賀郡壬生町)(適用日:9月9日)

宮城県:4市4町(仙台市、栗原市、東松島市、大崎市、宮城郡松島町、黒川郡大和町、加美郡加美町、遠田郡涌谷町)(適用日:9月10日)


[被災者生活再建支援法の適用]

茨城県:常総市、猿島郡境町(適用日:9月9日)

栃木県:栃木市、日光市、小山市、鹿沼市(適用日:9月9日)

宮城県:大崎市(適用日:9月11日)

福島県:田村市(適用日:9月9日)


この他、「平成27年9月7日から9月11日までの間の暴風雨及び豪雨による災害」について、全国を対象とする激甚災害に指定し、当該災害に適用すべき措置(農地等の災害復旧事業等に係る補助の特別措置、農林水産業共同利用施設災害復旧事業費の補助の特例、小災害債に係る元利償還金の基準財政需要額への算入等)を指定した。また、福島県南会津郡南会津町及び大沼郡昭和村の区域を対象として、当該災害に適用すべき措置(公共土木施設災害復旧事業等に関する特別の財政援助、小災害債に係る元利償還金の基準財政需要額への算入等)を指定した(10月7日公布・施行)。

その後、「平成27年9月7日から9月11日までの間の暴風雨及び豪雨による災害についての激甚災害並びにこれに対し適用すべき措置の指定に関する政令」の一部を改正し、茨城県常総市の区域を対象として、中小企業信用保険法による災害関係保証の特例措置を追加した(10月30日公布・施行)。

15-7 平成27年台風第21号

<1> 災害の状況

平成27年9月22日21時に沖ノ鳥島の南南東の海上で発生した台風第21号は、26日から27日にかけて沖縄の南の海上を北西に進んだ後、28日に猛烈な勢力で先島諸島に接近した。その後、台風は台湾に上陸し、引き続き西へ進んだ。

この台風の影響で、沖縄県与那国町与那国島では、28日15時41分に最大瞬間風速81.1メートルを観測し、統計開始以来の1位の値を更新したほか、八重山地方を中心に猛烈な風が吹き、先島諸島ではうねりを伴い猛烈なしけ、沖縄本島地方でも大しけとなった。

この台風第21号の影響により、沖縄県与那国町において、全壊10棟、半壊27棟、一部破損285棟の住家被害が発生した。この他、学校、風力発電施設等において猛烈な風による屋根等の一部破損等の被害が発生したほか、沖縄県与那国町をはじめ沖縄電力管内の延べ約7,500戸で停電が発生した。

<2> 各府省庁等の対応

内閣府(防災担当)では、台風接近前の9月25日に、関係省庁に対し、台風第21号への警戒に係る注意喚起を行うとともに、以降、内閣府(防災担当)ツイッター等により、国民への注意喚起を実施した。

9月29日及び10月3日、沖縄県知事からの自衛隊災害派遣要請に基づき、航空機による沖縄電力等の人員及び機材等の輸送活動を実施した。

9月30日13時50分、内閣府副大臣(防災担当)出席のもと、関係省庁災害対策会議を開催し、沖縄県庁とのテレビ会議を実施するとともに、引き続き、政府一体となって、災害応急対策や被災者の支援に全力を尽くすことを確認した。

同日、台風第21号による災害に伴う被害状況及び現地の対応状況等を把握するため、内閣府大臣政務官(防災担当)を団長とする政府調査団を沖縄県に派遣し、被災自治体の首長と意見交換を行うとともに、被災現場の調査を実施した。

その後、10月2日には、内閣府副大臣(防災担当)、内閣府大臣政務官(防災担当)出席のもと、関係省庁災害対策会議を開催し、内閣府大臣政務官(防災担当)より政府調査団(沖縄県)調査結果報告を行うとともに、今後の課題等について情報共有等を実施した。

この台風第21号による災害に伴い、沖縄県八重山郡与那国町に対して、災害救助法が適用(9月28日適用)された。


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内閣府政策統括官(防災担当)

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