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平成28年版 防災白書|第1部 第3章 第3節 3-2 原子力災害対策指針の見直しへの対応やオフサイトの防災業務関係者の安全確保等について


3-2 原子力災害対策指針の見直しへの対応やオフサイトの防災業務関係者の安全確保等について

原子力規制委員会は平成27年3月に、従前の「緊急被ばく医療に関する検討チーム」を改組して、「原子力災害時の医療体制の在り方に関する検討チーム」を設置し、それまでに得られている調査研究の成果等を基に、原子力災害時における医療体制の在り方に関する検討を行った。これらの結果を踏まえ、平成27年8月に原子力災害対策指針が改定され、原子力災害拠点病院等の整備及び原子力災害医療派遣チームの体制整備を行うこととなった。

内閣府はこの原子力災害対策指針の改定を踏まえ、平成28年度予算において、原子力災害拠点病院等の整備に係る資機材の整備、関係者に対する基礎研修及び実践研修並びに原子力災害医療派遣チーム体制の実効性の確保(研修体制の確立や車両の整備)に要する経費を支援することとした。また、平成27年6月に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2015」においては、「避難計画の策定、訓練の実施、道路整備等による避難経路の確保など原子力災害・モニタリング対策の充実・強化を引き続き推進する。」としている。

原子力災害医療派遣チーム車両(イメージ)原子力災害医療派遣チーム車両(イメージ)
被ばく医療実習(イメージ)被ばく医療実習(イメージ)

原子力災害対策特別措置法(平成11年法律第156号)第12条第1項に基づき、内閣総理大臣は、原子力事業所ごとに、緊急事態応急対策等拠点施設(オフサイトセンター)を指定することとなっている。

オフサイトセンターの満たすべき要件は、原子力災害対策特別措置法に基づく緊急事態応急対策等拠点施設等に関する内閣府令(平成24年9月14日文部科学省・経済産業省令第3号)で定められているが、東京電力福島第一原子力発電所事故の教訓等を踏まえ、平成24年9月に、その立地場所について、基本的に、5~30km圏内(緊急防護措置を準備する地域(UPZ)域内)とする等の改正を行ったところ。

この改正を踏まえて、平成27年7月、北海道電力泊発電所、北陸電力志賀原子力発電所及び四国電力伊方発電所のオフサイトセンターがそれぞれ移転することに伴い、同法第12条の規定に基づき、原子力規制委員会、関係地方自治体等への意見を聴き、これらの施設を新たにオフサイトセンターに指定した。

図表1-3-6 実用発電炉に係る緊急事態応急対策等拠点施設(オフサイトセンター)及び代替施設一覧図表1-3-6 実用発電炉に係る緊急事態応急対策等拠点施設(オフサイトセンター)及び代替施設一覧
愛媛県オフサイトセンター外観愛媛県オフサイトセンター外観

現在、内閣府において、原子力発電所が設置されている13地域ごとに地域原子力防災協議会を設置し、関係地方公共団体や関係省庁等が参加して、原子力災害時の地域の緊急時対応について、国と関係自治体が一体となって具体化・充実化を進めている。しかしながら、原子力災害時に緊急事態応急対策等に当たる防災業務関係者の安全確保に関し、特にオフサイト(原子力施設の周辺地域をいう。)で対応に当たる民間事業者や公務員(警察、消防、自衛隊等の実動組織を除く。)については、その安全確保に関し、必ずしも制度的な措置がなされていない状況にある。

そのため、オフサイトの防災業務関係者の安全確保を推進するため、専門的・技術的な観点から検討を行うことを目的として検討会を設置し、平成27年7月以降、計6回に渡って検討会を開催し平成28年1月に報告書を取りまとめた。本報告書では、オフサイトの防災業務関係者の安全確保に関し、各主体の役割分担などについて、大きな方向性を示した上で、今後、内閣府として、詳細化・具体化を進めていくこととしている。

同検討会の検討結果の概要は以下の通り。

<1> 防災業務関係者の業務とその活動範囲

  • 国や自治体の防災業務関係者の要員とその業務については、各機関が防災計画等において明確化。
  • 民間事業者の業務内容等については、実施要請を行う国・自治体の機関との間で事前に取り決め。
  • 本検討会では、住民の一時移転等が一通り終了するまでの「初動対応期」を中心に整理。

<2> 緊急時の適切な防護措置の在り方

  • マスク等の防護装備について、事故進展に合わせて3段階(放出前、放出中、沈着後)で整理。
  • 状況に応じた防護措置の必要性に関する専門的・技術的判断については、国が責任を持って実施。
  • 判断を現場に即時に伝達するための情報連絡の仕組みやシステムの検討が必要。

<3> 平時からの研修、教育訓練

  • 具体的な装備や必要な知識等について、防災業務関係者が研修等を通じて理解しておくことが必要。
  • 車両の運転など、業務内容等に即した防護の方策の内容を説明。

<4> 緊急時の被ばく線量管理の在り方

  • 被ばく線量について、国及び自治体の職員に関しては当該機関がそれぞれ管理。
  • 民間事業者については、実施要請を行う機関が、業務実施前に被ばく線量の予測を行い、あらかじめ定めた被ばく線量の管理の目安以内に収まることを確認。
  • 長期的な被ばく線量記録の保管については、現に存在する民間の取組の活用を含め検討。

<5> 平時及び緊急事態応急対策実施後の健康管理の在り方

  • 業務実施後、心身の不調など、具体的な問題が存在する場合には適切に対応することが必要。

また、平成28年3月11日に開催された原子力関係閣僚会議において、原子力政策に関し、地域の防災を担う自治体の声に応えるために、全国知事会からの要望に対する対応として「原子力災害対策の充実に向けた考え方」をとりまとめた。この考え方の中で、特に重要と考えられる項目として、国と自治体の役割の明確化、大気中放射性物質の拡散計算の活用、安定ヨウ素剤の配布、実動組織の協力、民間事業者・国・自治体職員の協力、原子力事業者の責務と具体的な対応が掲げられている。


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