平成27年版 防災白書|第1部 第2章 第2節 火山災害対策


第2節 火山災害対策

平成26年9月27日、長野・岐阜県境に位置する御嶽山において発生した噴火は、秋の紅葉シーズンの昼頃に山頂の周辺には多くの登山者がいる中で発生し、噴火に伴い飛散した噴石等により火口周辺で多数の死者・負傷者が出るなど大きな被害となった。

この噴火を受け、政府は、災害対策基本法に基づき、関係省庁からなる「平成26年(2014年)御嶽山噴火非常災害対策本部」を設置したほか、長野県庁に「平成26年(2014年)御嶽山噴火非常災害現地対策本部」を設置し、関係地方公共団体等とも連携して情報収集と対応にあたった。

また、同年10月28日の非常災害対策本部では、「火山噴火に関して緊急的に行う被害防止対策」を決定し、内閣府、消防庁、気象庁などの関係府省庁は、関係機関と連携しながら、情報伝達手段や避難施設の整備状況に関する緊急調査、常時観測火山(47火山)全てにおける火山防災協議会の設置、登山者や旅行者に対する適切な情報提供と安全対策、火山観測体制の強化等、緊急的な対策を進め、火山防災協議会については、平成27年3月に47火山全てに設置された。

さらに、平成26年12月には、今回の御嶽山の噴火で明らかとなった教訓を今後の火山防災対策の更なる推進につなげるため、中央防災会議「防災対策実行会議」の下に「火山防災対策推進ワーキンググループ」を設置して、旧来の火山防災対策に検討を加えた。全4回のワーキンググループでは、火山噴火予知連絡会などの関係検討会での議論も踏まえつつ、有識者や関係省庁による議論を経て、平成27年3月に「御嶽山噴火を踏まえた今後の火山防災対策の推進について(報告)」がとりまとめられた。この報告には、火山防災対策を推進するためのしくみ、火山監視・観測体制、火山防災情報の伝達の他、登山者等の安全確保のための退避壕等の整備などを組み合わせた火山噴火からの適切な避難方策、火山防災教育や火山に関する知識の普及、火山研究体制強化と火山専門家の育成についての提言がまとめられた(図表1-2-17)。

これらの提言を踏まえ、内閣府は、火山地域の関係者が一体となった警戒避難体制の充実などを内容とする活動火山対策特別措置法の一部を改正する法律案を平成27年5月29日に閣議決定し、第189回国会に提出した(図表1-2-18)。

平成27年5月29日、鹿児島県口永良部島において噴火が発生した。政府は、関係省庁災害対策会議の開催、赤澤内閣府副大臣を団長とする政府調査団の派遣、屋久島町における政府現地連絡調整室の設置等により、屋久島町や鹿児島県と連携しながら避難者支援等を行っている。

図表1-2-17 御嶽山噴火を踏まえた今後の火山防災対策の推進について(報告)図表1-2-17 御嶽山噴火を踏まえた今後の火山防災対策の推進について(報告)
図表1-2-18 活動火山対策特別措置法の一部を改正する法律案図表1-2-18 活動火山対策特別措置法の一部を改正する法律案

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