平成26年版 防災白書|第1部 第2章 第2節 2-3 産業復興と雇用の確保


2-3 産業復興と雇用の確保

(1)産業復興の状況と取組

被災地域の鉱工業生産は概ね震災前の水準にほぼ回復したが、業況は経済動向の影響を受けている。震災復興特別貸付等による資金繰り支援のほか、グループ補助金や仮設工場・仮設店舗の整備・無償貸与等により支援し、水産加工施設や中小企業等の事業再開を図ってきたところである。なお、農業は、被災農地の63%で営農再開が可能となる見込みであり、(平成26年3月末時点)今後、被災した農地のうち7割で、営農が再開できる見込みとなっている。

津波浸水地域については、所在する59の鉱工業事業所の生産額試算値が、発災直後の前年同月比99%減の状況から、おおむね復旧しているものの、業種によっては、復旧に時間を要するものもある。

早急な事業再開を支援するため、仮設工場・仮設店舗等の整備を行っており、平成26年2月末時点で、被災6県での竣工数は以下のとおり。(図表1-2-8)

図表1-2-8 仮設工場・仮設店舗の整備状況図表1-2-8 仮設工場・仮設店舗の整備状況

また、地域経済の核となる中小企業等グループが復興事業計画に基づき、その計画に必要な施設等の復旧・整備等を行う場合に、国と県が補助を行っており、平成26年3月7日時点で、573グループ、計9,943事業者(北海道内で6グループ、青森県内で10グループ、岩手県内で107グループ、宮城県内で175グループ、福島県内で208グループ、茨城県内で58グループ、栃木県内で1グループ、千葉県内で8グループ)の施設・設備の復旧を支援している。

資金繰り支援については、制度創設から平成26年3月末時点までに、東日本大震災復興特別貸付の融資実績が約27万件(総額約5兆7千億円)、東日本大震災復興緊急保証の保証実績が約10万5千件(総額約2兆2千億円)となるなど、多くの需要を満たしている。

さらに、既往債務が負担となって新規の資金調達が困難となっている被災事業者に対しては、東日本大震災事業者再生支援機構が、平成26年5月16日時点で、事業再建等に関する相談件数が1,795件、支援決定等を行った案件は425件となっている。産業復興相談センター・産業復興機構では、平成26年5月16日時点で、事業再建等に関する相談件数が3,067件、金融機関等による金融支援の合意に至った案件は、買取決定254件を含む556件となっている。

今後は、本格的な商店街の再生、津波・原災被災地域の地場産業の復興、被災地外からの企業立地、新規投資、新しい産業の創出に向けた取組を進めていく。

(2)雇用確保の状況と取組

被災地の雇用情勢は、有効求人倍率が3県ともに1倍程度となっており、雇用者数は震災前の水準程度まで回復している。しかし、沿岸部では、有効求人倍率は高いものの、人口の減少、復旧・復興の遅れにより、雇用者数は震災前の水準まで回復しておらず、また、建設業等においては、雇用のミスマッチが発生している。今後も、本格的な雇用創出を図るため、被災地の強みである農林水産業等への産業政策と一体となった雇用面での支援、ハローワークにおけるきめ細かな就職支援や職業訓練への誘導等を通じたミスマッチの解消に努め、雇用の改善を図っていく(図表1-2-9)。

図表1-2-9 雇用確保に向けた取組図表1-2-9 雇用確保に向けた取組

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