第6章 国際防災協力
1 多国間協力
(1)国際防災協力の推進
内閣府においては,国際防災戦略(UN/ISDR)事務局を通じた多国間協力の推進,アジア防災センターを通じたアジアにおける地域防災協力の推進を図るとともに,近年大規模な災害を経験した開発途上国を対象とする防災体制の強化に向けた調査,国際復興支援セミナーの実施,各種国際会議の場での我が国の知見の発表等により国際防災協力を推進する。
(2)消防の国際協力及び国際貢献の推進
消防庁においては,我が国が蓄積する知見を効果的に活用した内容の国際セミナーをアジア諸国の消防防災分野に携わる人材を対象にアジア諸国で開催し,アジア諸外国の消防防災能力の向上を図る。
(3)国際消防救助隊の海外派遣体制の推進
消防庁においては,国際消防救助隊の一層の強化を図るため,迅速な派遣体制の整備や隊員の教育訓練等の一層の充実を図る。
(4)国際機関への拠出
外務省においては,国連等と協力し「兵庫行動枠組2005−2015」の着実な実施を推進するため,その中核となるUN/ISDRへの拠出を行う。また,大規模災害発生時の人道支援については,国連緊急アピール等に対し,国連等国際機関を通じた必要な支援を行う。
(5)衛星を利用した防災に関する国際協力の推進
文部科学省においては,アジア太平洋地域において災害関連情報を共有することを目的として我が国が主導する「センチネル・アジア」プロジェクトや,参加国が最善の努力で大規模災害被災地の衛星画像を無償提供する国際協力枠組みである国際災害チャータの下,被災国の要請に基づき陸域観測技術衛星「だいち」による緊急観測を行い,観測画像を提供するなど,海外の災害状況把握に貢献する。
(6)気象業務の国際協力
気象庁においては,アジア・西太平洋域各国へ台風や豪雨等の監視に資する静止気象衛星画像の提供を行う。また,アジア・北西太平洋の責任領域内の各国や地域に,台風の解析及び予報に関する情報の提供を行う。さらに,アジア太平洋気候センターにおいては,アジア太平洋域各国に季節予報資料,気候監視情報などを提供するとともに,利用技術や人材育成を支援する活動を行う。
(7)北西太平洋津波情報,インド洋津波監視情報の提供
気象庁においては,北西太平洋域における津波災害の軽減に資するため,米国海洋大気庁太平洋津波警報センターと連携し,津波の到達予想時刻や予想される高さ等を北西太平洋関係各国に対して提供する。また,インド洋における津波災害の軽減に資するため,米国海洋大気庁太平洋津波警報センターと連携し,インド洋において津波早期警戒システムが構築されるまでの暫定的措置として,津波の到達予想時刻等をインド洋沿岸各国に対して提供する。
(8)地球地図整備
国土交通省国土地理院においては,世界の国家地図作成機関が協力して地球全陸域の統一仕様の地理情報を整備する「地球地図プロジェクト」を地球地図国際運営委員会の事務局として推進し,2010年度は地球地図第2版の整備を進めるとともに,開発途上国における円滑なデータ更新に関わる技術開発を行う。また,整備されたデータを防災分野で役立てる。