1−3 ハイチ・地震(2010年1月)



1−3 ハイチ・地震(2010年1月)

(1)災害の発生と被害の概要

2010年1月12日現地時間午後4時53分(日本時間1月13日午前6時53分),ハイチの首都ポルトープランスの西南西25kmでマグニチュード7.1(気象庁発表)の地震が発生した。被害範囲は首都ポルトープランスに加え,首都近郊のレオガン(西へ約30km)やジャクメル(南へ約120km)のほか,カルフールなどの主要な地方都市にも広がった。死者は222,517人,負傷者は310,928人に(ともに3月15日現在),倒壊家屋は97,294棟,損壊家屋は188,383棟に達した(2月15日現在)。

首都ポルトープランスでは,電気,水道,電話などの主要インフラと,大統領府をはじめとした政府機関の建物にも重大な被害が発生した。

(2)政府の応急対応

政府機能が麻痺したため,初期対応を含め被災者支援は,国連などの国際機関や各国からの支援機関などが実施した。政府は仮庁舎を空港近くに設置し,政府機能の再建を目指した。

(3)国際社会の主な対応

国連は,救援活動のために国連中央緊急対応基金(CERF)から1,000万米ドルを拠出した。また国連は,国際社会へ向け,当面6ヶ月間の緊急支援要請5億6,200万米ドルを発出した。

(4)我が国の主な対応

a 無償資金協力

緊急支援として,国連児童基金(UNICEF),国連世界食糧計画(WFP),国際赤十字・赤新月社連盟(IFRC),国際移住機関(IOM),国連開発計画(UNDP),世界保健機関(WHO),国連人口基金(UNFPA),国連人道問題調整部(UNOCHA)を通じて約2,500万米ドルの無償資金協力を実施した。

b 国際緊急援助隊の派遣

1月16日に国際緊急援助隊・医療チームを派遣し,総勢26名が現地(レオガン市)で医療活動を行った。また1月23日に国際緊急援助隊自衛隊部隊約100名が医療活動を行った。

c 緊急援助物資の供与

テント,ポリタンクなどを内容とする3,000万円相当の援助物資供与を実施した。

d NGO等の活動

ジャパンプラットフォーム(JPF)は,拠出された政府資金約2億円を活用し,JPF傘下のNGO団体を通じて緊急人道支援活動を実施した。また,被災状況の確認及び関係機関への情報発信,物資供給などを目的として,ジャパンプラットフォーム(JPF),難民を助ける会(AAR),BHNテレコム支援協議会(BHN)等の団体が現地に職員を派遣した。

e 復興支援

ポルトープランス郊外で2月18日に発足した国際機関等による復興支援ニーズ調査(PDNA:The Post Disaster Needs Assessment)に参加するとともに,それらの結果を踏まえた約4,500万米ドル規模の支援を実施する。また,自衛隊施設部隊が国連PKO(MINUSTAH)に参加し,瓦礫除去,道路補修,施設建設などの業務に従事する。

f その他

内閣府は,アジア防災センターと連携し,復興ニーズに係る情報収集等を目的として,3月3日から3月14日までの日程で現地調査を実施した。当該調査では,アジア防災センター所長が被災地のポルトープランスやレオガン市を訪れ,被害状況調査や被災者の聞き取りとともに,関係機関を訪問して情報収集・意見交換を行い,被災状況(人的,物的被害)を把握するとともに,被害の特徴,今後の災害対応への課題,対応策について検討した。現地では,今後の雨期,ハリケーンシーズンに備えたシェルターの供給が最優先課題であると同時に,被災者に対する人道支援,がれき撤去,国土整備の支援など多方面において,国際社会の切れ目のない支援が不可欠である。また,今後の災害に備えた耐震基準制度の見直しなどについても,早急な対応が必要であると考えられる。


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