4−3 鉄道災害対策



4−3 鉄道災害対策

(1)鉄道災害の現況

我が国の鉄道災害は,安全対策を着実に実施してきた結果,列車の高速化・高密度化が進む中でも長期的には減少する傾向にあるが,一度事故が発生すると多数の死傷者を生じるおそれがある。近年の主な鉄道事故としては,平成17年のJR西日本福知山線列車脱線事故(死者107人,負傷者563人)やJR東日本羽越線列車脱線事故(死者5人,負傷者33人)がある。

(2)鉄道災害対策

a 鉄軌道の安全の確保

国土交通省においては,福知山線列車脱線事故等を契機として,近年発生した事故等も踏まえ,急曲線等に対してATS等の速度制限装置の設置の義務化等を行い,これらの整備を促進している。また,17年12月の羽越線列車脱線事故を受け,全国の鉄軌道事業者に対して,風速計の緊急総点検の実施及びその結果を踏まえた強風対策の実施を指示し,風速計を新たに増設するなど,鉄道における強風観測体制の一層の強化を図っている。

b 鉄軌道交通の安全のための情報の充実

気象庁は,鉄軌道交通の安全に係わる気象現象,予報,警報等の情報を適時・適切に発表している。

国土交通省は,20年4月に全国の鉄軌道事業者に対し,気象庁の暴風警報,竜巻注意情報等の気象情報を有効活用するよう指導を行った。

c 鉄軌道の安全な運行の確保

国土交通省において,迅速かつ的確な運行指令体制づくり,乗務員等に対する科学的な適性検査の定期的な実施について,鉄軌道事業者を指導している。

また,大阪市で発生した救助活動消防隊員の列車接触事故を受けて,消防庁は国土交通省と連携し各地域における消防機関と鉄道事業者との緊密な連携・協力体制の確保を図っている。

d 鉄軌道車両の安全性の確保

国土交通省において,車両の技術上の基準への適合性を確認するとともに,事故事例に応じた対策を鉄軌道事業者に指導している。

e 踏切道における交通の安全の確保

事故防止に関する知識を広く一般に普及するとともに,踏切道の立体交差化,踏切保安設備の整備等を計画的に推進している。

f 近年の鉄道事故を踏まえた再発防止対策

航空・鉄道事故調査委員会は,平成17年12月の羽越線列車脱線事故について,転覆限界風速を超えるような局所的な突風を受けたのが原因とし,強風・突風対策の検討が必要である旨の事故調査報告書を20年4月に公表した。


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