1−12 平成16年(2004年)新潟県中越地震に対してとった措置



1−12 平成16年(2004年)新潟県中越地震に対してとった措置

 政府においては,地震発生後直ちに,関係省庁の局長級職員などによる緊急参集チームが官邸危機管理センターに参集した。また,災害対策基本法に基づく非常災害対策本部(平成16年(2004年)新潟県中越地震非常災害対策本部)を設置し,災害応急対策に関する基本方針を決定した。さらに,新潟県に「現地支援対策室」を設置した。
(1)内閣府における対応
 内閣府においては,災害対策関係省庁連絡会議を1回開催した。また,新潟県全域に被災者生活再建支援法を適用した。
(2)警察庁における対応
 警察庁においては,「災害警備本部」を設置後,「非常災害警備本部」に格上げして,関東管区警察局においては,「災害警備本部」を設置して,情報の収集,関係機関との連絡調整及び警察広域緊急援助隊や警察用航空機の派遣調整等に当たった。また,機動警察通信隊は災害発生直後から警察通信の確保に当たり,ヘリコプターテレビシステムや衛星通信システム等を使用して,警察庁,官邸等へ危機管理上重要な現場映像の伝送等を実施した。特に,交通・通信の途絶した山古志村地区において,警察無線・衛星携帯電話等で通信手段を早期に確保した。さらに,新潟県公安委員会からの援助要求を受けて,33都府県警察の警察広域緊急援助隊延べ1万3,897名を始め,災害救助犬要員延べ39名・26頭,警察用航空機139機等を同県内に派遣して,住民の避難誘導,救出救助活動,行方不明者の捜索,交通規制等の災害警備活動を実施した。新潟県警察においては,「災害警備本部」を設置して,情報収集,被災者の避難誘導,救出救助,交通規制等の災害警備活動に当たった。
(3)防衛庁における対応
 防衛庁においては,10月23日に新潟県知事からの要請を受け,10月23日から12月21日までの間に,孤立者の救助活動,行方不明者の捜索活動,物資輸送,給水・給食・入浴・医療支援,天幕の設営,流木・土砂等の除去,倒壊家屋の撤去等を実施した。
(4)総務省における対応
a 電波利用料関連
 総務省においては,電波利用債権の納入告知書の発行停止の措置(当分の間)並びに督促状及び催促状の送付を停止する措置(原則,適用の日から60日を経過する日までの間)を行った。
b 無線機の貸出
 総務省においては,全国の総合通信局で備蓄している無線機を,被災地に貸与できる体制を整備し,新潟県地震災害対策本部を通じて被災地に貸出を行った。
c 無線局免許の交付
 総務省においては,被災地の応援を行う地方公共団体等が使用する無線局,ボランティアが使用する無線の中継局及び同報系市町村防災行政無線局の免許申請等に対して,臨機の措置として簡易な手続により即日免許等を付与した。
d 連絡会の開催
 総務省及び主要電気通信事業者においては,「災害時の電気通信サービス確保に関する連絡会」を開催し,災害時における今後の電気通信サービス確保に係る対応について検討した(12月21日に検討結果を取りまとめ,公表)。
e 総務省においては,多大な被害を受けた新潟県及び新潟県内23団体に対して,地方交付税法第16条第2項の規定に基づき,11月に定例交付すべき普通交付税の一部11,885百万円を繰上げ交付した。
(5)放送受信料の免除
 NHKにおいては,次のとおり放送受信料を免除した。

表6-1-10 放送受信料の免除

(6)電気通信事業者の対応
 NTT東日本においては,避難勧告等を受けた住民の電話基本料等を減免するとともに被災で仮住居への電話移転を余儀なくされた加入者について工事代金を免除した。
 NTTドコモにおいては,被災地の自治体等へ携帯電話385台及び衛星携帯電話102台の貸出しを実施した。  KDDIにおいては,被災地の自治体等へ携帯電話60台の貸出しを実施した。
(7)消防庁における対応
 消防庁においては,10月23日17時56分,災害対策本部を設置し,関係地方公共団体からの情報収集を行うとともに,同日18時25分,緊急消防援助隊の新潟県への出動要請を行った。(随時,追加の出動要請を行った。)
 緊急消防援助隊は,救助・救急活動のために延べ480隊(航空部隊を含む),隊員2,121名の応援を実施した。
 また,消防庁から延べ36名の職員を現地に派遣した。
(8)財務省における対応
 財務省においては,次のとおり税務行政上の措置を講じた。
a 申告,納付等の期限の延長
 災害により,特に著しい被害があった地域(新潟県の一部)の納税者については,国税庁告示をもって,別途告示で定める期日まで,国税の申告,納付等の期限を延長した。その後,長岡市の一部(旧山古志村)以外の地域については,国税の申告,納付等の期限を平成17年2月28日に指定した。
b 納税の猶予
 災害により,その財産に相当の損害を受けた納税者及び国税を一時に納税することができないと認められる納税者について,その申請に基づき,1年以内の期間に限り,その国税の全部又は一部の納税を猶予した。
c 国税の軽減免除等
 災害により,住宅,家財,事業用資産等に損害を受けた納税者について,その申請等に基づき,国税の軽減免除等を行った。
d 財務省においては,次のとおり税関行政上の措置を講じた。
 申請,納付等の期限の延長
 災害により相当な損害を受けた地域を指定し,当該地域に居住していた被災者について,その申請に基づき,財務大臣が別途定める日の翌日まで関税に関する申請,納付等の期限を延長することとした。また,被災者の申請に基づき,当該被災者を支援するための貨物等に係る臨時開庁手数料等を免除できることとした。
(9)文部科学省における対応
 文部科学省においては,災害情報連絡室を設置,同日災害応急対策本部に格上げし,教育委員会等の関係機関から被害情報を収集するとともに,臨時休校等適切な対応をとるよう指示した。10月24日には非常災害対策本部に格上げし,全国の国立大学病院に対して医療支援を要請した。10月30日には,下村大臣政務官(当時)が学校施設の被害状況及び学校再開に向けた課題等について把握するため視察を行った。また,建築の専門家等の派遣による学校施設等の安全点検や児童生徒の心のケアの実施等学校再開に向けた取組,児童生徒への支援を行った。
 また,地震調査研究推進本部の地震調査委員会が臨時会を開催し,地震について分析と評価を実施した。
(10)厚生労働省における対応
a 災害救助費の国庫負担
 厚生労働省においては,災害救助法に基づき,新潟県小千谷市他53市町村において実施した救助に要した費用の一部について負担した。
 (事業費 22,733,776千円/国費 19,475,133千円)

b 災害弔慰金の国庫負担
 厚生労働省においては,災害弔慰金の支給等に関する法律に基づき,本災害により死亡した者の遺族に対し支給した災害弔慰金に要した費用の一部について負担した。
 (事業費 142,500千円/国費 71,250千円)

c 災害援護金の原資の貸付
 厚生労働省においては,災害弔慰金の支給等に関する法律に基づき,本災害により一定の被害を受けた世帯の世帯主に貸し付けた災害援護資金の原資の一部の貸付を行った。
 (事業費 208,860千円/国費 139,240千円)

d 労働保険料の申告,納付期限の延長
 厚生労働省においては,新潟県中越地震により被害を受けた地域に所在する事業主等に対して,労働保険料の申告,納付期限の延長を行った。
e 被災労働者等に対するメンタル等に関する相談窓口の設置
 厚生労働省においては,独立行政法人労働者健康福祉機構の新潟産業保健推進センターに相談窓口を設置し,被災者等のメンタルヘルスを含む健康問題について,フリーダイヤルによる電話相談に応じるとともに,窓口相談を実施した。
f 職業訓練に係る特例措置
 独立行政法人雇用・能力開発機構においては,公共職業訓練事業等で被災に係る離職者のニーズ等に応じた職業訓練の実施及び在職者・学卒者向けの訓練実施に係る経費・授業料の免除等の措置を行った。
g 災害復旧工事における労働災害防止対策の徹底
 厚生労働省においては,ライフラインの復旧工事や損害を受けた建築物の解体,改修工事において,労働災害の防止対策への徹底を,新潟労働局長及び建設業労働災害防止協会会長,(社)日本建設業団体連合会会長及び(社)全国建設業協会会長に対し要請した。
h 介護保険に対する措置 
 厚生労働省においては,新潟県小千谷市,川口町が実施した介護保険料の減免に対し,特別調整交付金を交付した。
  (事業費 21,457千円/国費 17,166千円)

i 中小企業退職金共済掛金の納付期限の延長
 独立行政法人勤労者退職金共済機構においては,被災により中小企業退職金共済制度の掛金の納付が困難となった共済契約者(事業主)について,当該共済契約者の申請により掛金の納付期限を最大1年間延長した。
j 被災者のこころのケア対策
 厚生労働省においては,「災害時の地域精神保健医療に関するガイドライン」を活用するように指導するとともに,被災者のこころのケアに対応するため,国立精神・神経センター精神保健研究所の専門家を現地に派遣した。
k 国民健康保険に対する措置 
 厚生労働省においては,新潟県中之島町や山古志村において実施した国民健康保険料(税)の減額及び免除等に対し,特別調整交付金11,961千円を交付した。
 (事業費 14,953千円/国費 11,961千円)

l 労災保険請求の弾力的運用
 厚生労働省においては,労災保険給付の請求に際し,事業主や診療担当者の証明が受けられない場合には,当該証明がなくとも請求書を受理する等弾力的運用を行うよう,都道府県労働局に指示した。
m 救急薬品の配布
 厚生労働省においては,新潟県小千谷市,十日町市,長岡市,柏崎市及び栃尾市の各災害対策本部に対して救急薬品を配布した。
 (国費 37,905千円)

(11)農林水産省における対応
a 農林水産省においては,被害を受けた農林漁業者等に対する既往資金の償還猶予等及び資金の円滑な融通について関係機関に依頼した。
b 林野庁においては,災害応急活動を支援するとともに,ただちに現地調査のための職員を派遣した。また,各都道府県・関係機関に協力を要請して山地災害危険地区等の緊急点検を実施した。
(12)独立行政法人産業技術総合研究所における対応
 独立行政法人産業技術総合研究所においては,地震発生直後に緊急地震調査本部を立ち上げ,震源断層や被害状況等に関する情報収集及び緊急調査を行い,地震断層の現地調査,地質・地形と地震被害の調査,余震活動に関する観測等を行った。
(13)中小企業対策
 中小企業庁においては,被災中小企業者への支援として,次の措置を講じた。
a 特別相談窓口の設置
 新潟県における政府系中小企業金融3機関(中小企業金融公庫,国民生活金融公庫,商工組合中央金庫),信用保証協会の各支店,主要商工会議所及び商工会連合会などに特別相談窓口を設置した。
b 資金供給の円滑化
 政府系中小企業金融3機関による災害復旧貸付の適用,信用保証協会の保証の別枠化及び,関係機関に対し返済猶予等の既往債務の条件変更などの被災中小企業者の実情に応じた対応を行うよう指導することにより,被災中小企業者の資金供給の円滑化を図った。
(14)国土交通省における対応
 国土交通省においては,非常体制災害対策本部を設置し被害状況の把握に努めるとともに,災害復旧担当職員等を緊急調査のため現地へ派遣した。また,災害対策用ヘリコプターにより被害状況の調査を行うとともに,現地に照明車,造水車,排水ポンプ車,衛星通信車,遠隔操縦装置等を派遣した。長岡市妙見地先の土砂崩落箇所における技術指導,災害復旧,住宅・宅地関係業務の支援を行った。また,芋川の河道閉塞対策については,新潟県からの要請を受け一部地区について緊急的に直轄砂防事業にて実施し,また,国道291号については,新潟県からの要請を受け,国の直轄権限代行により直轄事業として災害復旧事業を実施した。
 国土地理院においては,災害対策本部を設置し,航空機による撮影を実施するとともに,災害対策用地図,地形図,正射写真図,災害状況図及び基準点成果等を関係防災機関に提供した。また,電子基準点観測データ及び基準点・水準点の変動量による地殻変動の解明,航空レーザー測量による斜面崩壊や雪崩の発生地形条件分類図作成等の研究を行った。さらに,電子基準点電源部の防災対応型への改造,復旧工事等の基準となる基準点復旧測量等を実施した。
(15)気象庁における対応
 気象庁本庁及び各気象台においては,地震情報を迅速に発表・伝達し,災害応急活動を支援するとともに,ただちに現地調査のための職員を派遣した。
 気象庁においては,この地震による甚大な被害にかんがみ「平成16年(2004年)新潟県中越地震」と命名した。
(16)海上保安庁における対応
 海上保安庁においては,本庁及び第九管区海上保安本部に対策本部を設置し,巡視船艇,航空機により沿岸部,主要港湾及び重要施設等の被害状況調査,震源地付近の状況等を関係機関へ映像配信に当たった。
 また,新潟県からの要請に基づき,ヘリコプターにより小千谷市,山古志村の孤立した住民312名を救助するとともに,消防,医師,地方自治体職員,一時帰宅者等154名及び救援物資等を被災地まで空輸した。
(17)環境省における対応
 環境省においては,地方公共団体が災害のために実施した廃棄物の収集,運搬及び処分に係る事業に対して補助を行った。 
(事業費 19,480,004千円/国費 9,740,002千円)


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