国連防災世界会議で採択された兵庫行動枠組は「災害に強い国・コミュニティづくり」をテーマとして,今後10年の国際社会における防災活動の基本的な指針を定めている。この兵庫行動枠組では,世界共通の防災目標として,世界の災害被害の大幅な削減に向け,持続可能な開発の取組みに減災の観点を取り入れること等を掲げ,5つのテーマについての優先行動を設定するとともに,横浜戦略と異なり,その実施とフォローアップの方針についても合意している。
また,会議では,兵庫行動枠組の具体化のための行動を世界に広く呼びかける「兵庫宣言」が日本からの提案に基づき採択された。
これら会議成果の主な内容として,次の4点が挙げられる。
[1]災害が持続可能な開発の大きな障害になっているとの共通認識のもと,持続可能な開発のあらゆる政策に防災の視点を組み入れることを主要な目標に掲げている。
[2]災害予防の文化を醸成することの重要性を謳い,災害リスクを軽減する事前の備えにもっと光が当てられるべきとの主張が盛り込まれている。
[3]コミュニティレベルの防災意識の強化が強調され,一人一人が,地域が直面する災害リスクを把握し,災害への備え,災害時の行動を身につける大事さを訴えている。
[4]災害に国境はないことから,類似の災害経験を有する地域同士が知識や技術を共有し,パートナーシップを広げていく必要があり,地域機関の役割強化の重要性を強調している。