ベルギーのルーバン・カトリック大学疫学研究所(CRED)(http://www.cred.be/)の自然災害に関する統計では,全世界で毎年約2億人が被災し,約6万人の生命が奪われ,約390億ドルの被害額が発生している(1979年〜2003年の年平均値)。
経済被害の規模でみると,近年では,1998年の中国の洪水,1999年のトルコの地震,フランスの風害,2002年のヨーロッパの洪水,2004年の新潟県中越地震,北米のハリケーン等で多くの被害額が発生している。
また,災害の発生件数は年々増加傾向にあり,被災者数もそれに伴って増加しているが,死者数は減少傾向にある( 図4−1−1 )。
表4−1−3 は20世紀以降の主な自然災害の状況を示している。地震や風水害による大規模災害はアジア地域で頻発している。
アジア地域では,各国政府の災害予防及び軽減のための多大な努力にもかかわらず,毎年,数か国で死者・行方不明者が数千人を超える被害が発生している。
近年(2000〜2003年)の世界全体に占めるアジア地域の災害の発生状況をみると,災害発生件数で世界の約4割弱,被災者数で約9割,被害額で約5割と,大きな割合を占めている。死者数については,7割超に達している。
欧米地域では,死者数,被災者数が少ないにもかかわらず,被害額が大きい。
一方,アフリカ地域は死者数,被災者数と比較して被害額が非常に少なく,各地域の経済規模を反映する結果となっている( 図4−1−2 )。