4−2 全島避難後の対策



4−2 全島避難後の対策

 全島避難以降,島内においては,火山活動の状況を的確に把握するための観測機器の設置のほか,電力・ガス等のライフラインの機能維持,仮橋の設置等による都道(島内周回道路)の全周に渡る通行の確保,泥流等による被害拡大防止のための対策等が講じられた。
 なお,これらの作業の実施にあたる工事関係者等の島内の夜間滞在を可能とするクリーンハウス(既存建築物等に二酸化硫黄等の除去装置を備えた施設)の整備を推進し,平成16年12月現在においては,活動火山対策特別措置法に基づき設置されたものや,島内の旅館・民宿をクリーンハウス化したものも含め,25か所において1,145人分のクリーンハウスが整備されている。
 また,都道の通行が確保されたことや,クリーンハウスの整備等により,一定の安全性が確保されたことから,島民の日帰りの一時帰宅が平成13年7月より開始された。
 また,平成15年1月からは,八丈島への定期船の三宅島寄港が再開され,これを活用した日帰りの一時帰宅が行われるとともに,同年4月からは島内に宿泊する滞在型の一時帰宅も行われた。

a 被災者支援策の実施
    全島避難指示が出されて4年半以上にも及ぶ不自由な避難生活を余儀なくされてきたことから,これまで,政府・東京都・三宅村が一体となり,被災者生活再建支援金の支給や都営住宅等の無償提供,緊急地域雇用創出特別交付金等を用いた雇用の確保,中小企業者の既往債務に係る利子補給,旧都立秋川高校への児童生徒の受け入れ等をはじめとして,多方面からさまざまな支援策を講じてきた。これまでに講じられてきた対策については 表1−4−2 のとおりである(平成17年4月1日現在)。

三宅島噴火災害の被害者に対してとった支援処置(平成17年4月1日現在)(その1)

三宅島噴火災害の被害者に対してとった支援処置(平成17年4月1日現在)(その2)

三宅島噴火災害の被害者に対してとった支援処置(平成17年4月1日現在)(その3)

三宅島噴火災害の被害者に対してとった支援処置(平成17年4月1日現在)(その4)

b 活動火山対策特別措置法の適用
    三宅島においては,島民の方々の滞在型の一時帰宅を実現するとともに,本格的帰島後も突発的に火山ガスの放出量が高まる恐れがあることから,国としても島民の方々の安全確保のため,クリーンハウスの整備を支援することとし,平成14年7月5日,三宅島に活動火山対策特別措置法を適用し,全島を同法の避難施設緊急整備地域に指定した。
本地域指定を受け,東京都知事が当該地域の避難施設緊急整備計画を作成し,同年8月23日,同計画に対し内閣総理大臣が同意した。また,同日,消防庁は,同計画に基づく三宅村によるクリーンハウスの整備に消防防災等施設整備費補助金の交付を決定した。
 平成15年3月31日,島北部の伊豆地区に300人規模のクリーンハウスが完成し,4月19日よりこれを活用した島民の方々の滞在型の一時帰宅が行われた。
c 三宅島復興に向けた計画の検討及び火山ガスに関する検討
    三宅村においては,噴火災害からの早期復興を図るため,平成14年1月29日に学識経験者や三宅村議会議員,三宅村経済団体関係者等により構成される「三宅村復興計画策定委員会(委員長:林春男京都大学教授)」を設置した。同委員会においては,島民の方々の意見を反映させるため,島民からの意見募集結果も踏まえて検討を行い,同年12月4日に復興基本計画の最終答申を行った。これを受け三宅村は,同年12月19日に,三宅村復興基本計画を盛り込んだ「第4次三宅村総合計画」を策定した。
   また,火山ガスがどのような状況になれば島民の方々の帰島が可能になるか,安全確保対策の面から科学的に検討するため,平成14年9月30日に学識経験者や行政関係者により構成される「三宅島火山ガスに関する検討会(座長:内山巌雄京都大学大学院教授)」を,国と東京都との共同事務局で設置し,帰島を決める際の判断材料等について検討した。平成15年3月24日に二酸化硫黄ガスの健康影響について長期的影響(慢性影響)及び短期的影響(急性影響)それぞれのガス濃度の目安,健康影響を最小限にするために必要な安全確保対策等を内容とする最終報告がとりまとめられた。
   以降,報告にもとづき,三宅村において,島民に対し火山ガス等に関する知識の普及・啓発を行う「リスク・コミュニケーション」活動が実施された。

 

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