3−8 低温及び日照不足による災害



3−8 低温及び日照不足による災害

(1)気象状況
 5月中旬から低気圧,前線及び東よりの気流の影響で,前線が日本の南岸に停滞するようになり,東・西日本太平洋側や南西諸島では前線や低気圧の影響で曇りや雨の日が多く,北日本日本海側以外は日照不足の天候となった。
 6月上旬になると,高気圧に覆われて晴れるところが多かったが,旬末には低温となった。6月中旬以降,北陸地方と東北地方が梅雨入りした後,梅雨前線が日本の南岸に停滞し,西日本を中心に曇りや雨の日が多かったため,再び日照不足の天候となった。
 7月に入ると,オホーツク海高気圧が強まり,本州上に梅雨前線が停滞し,前線上を低気圧が頻繁に通過したため,西日本を中心とした日照不足に加え,北日本・東日本の太平洋側では低温・日照不足の天候となった。
 8月になって太平洋高気圧が強まる一方で,オホーツク海高気圧が弱まったため,東・西日本は晴れる日が多くなったが,北日本については低気圧や前線の影響で引き続き低温・日照不足の天候となった。
 9月に入ると上旬は,東日本以西では高気圧に覆われ,晴れて暑い日が続いたものの,北日本では前線や低気圧の影響で曇りや雨の日が多かった。下旬は短い周期で天気が変化し,強い寒気が日本付近へ南下したため気温の低い時期があり,10月上旬も引き続き気温の低い時期があった。
(2)水稲を中心とした農作物の被害状況
 北海道については,7月中・下旬の著しい低温の影響により,不稔もみが多発したこと,9月中旬以降の低温により登熟が著しく阻害されたこと等から,作況指数は73となった。
 東北では,太平洋側及び秋田県,山形県の一部地域で7月中・下旬及び8月中旬の著しい低温の影響により不稔もみが多発したこと,9月中旬以降の低温の影響やいもち病の多発により登熟が阻害されたこと等から,作況指数は80となった。
 関東以西では,低温・日照不足やいもち病の多発により,登熟が抑制されたこと等から,北陸で95,関東・東山で94,東海で94,近畿で96,中国で93,四国で96,九州で96となった。
 これらにより,全国の作況指数は90となり,水稲を中心とした野菜・果樹の農作物被害見込金額は約3,900億円となった。
(3)冷害対策の主な取り組み
 今回の冷害に対して,農林水産省では7月29日に「農林水産省低温・日照不足対策本部」を,9月26日には「農林水産省災害対策本部」を設置して,
 [1] 共済金の早期かつ円滑な支払い
 [2] 天災融資法の発動など,被災農家の資金需要への対応
 [3] 来年度種子の確保
 [4] 米の安定供給のための集荷・流通対策
等の対策を実施した。
 また,政府はこの冷害について「平成15年5月中旬から9月上旬までの間の低温及び日照不足による災害」として激甚災害の指定を行い,天災による被害農林漁業者等に対する資金の融通に関する暫定措置の特例を講じた。


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内閣府政策統括官(防災担当)

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