3−4 宮城県北部を震源とする地震



3−4 宮城県北部を震源とする地震

(1)災害の状況
 平成15年7月26日0時13分頃,宮城県北部深さ約12kmでマグニチュード5.6の地震が発生し,宮城県矢本町及び鳴瀬町で震度6弱,宮城県鹿島台町,南郷町で震度5強を観測したほか,東北地方から中部地方にかけて震度1以上を記録した。
 また,同日7時13分頃,宮城県北部深さ約12kmでマグニチュード6.4の地震が発生し,宮城県南郷町,矢本町及び鳴瀬町で震度6強,宮城県河南町,桃生町,涌谷町,小牛田町,鹿島台町で震度6弱,宮城県石巻市,松山町,田尻町,古川市,米山町で震度5強を観測したほか,東北地方から中部地方にかけて震度1以上を記録した。
 さらに,同日16時56分頃,宮城県北部深さ約12kmでマグニチュード5.5の地震が発生し,宮城県河南町で震度6弱,宮城県南郷町,涌谷町で震度5強を観測したほか,東北地方から中部地方にかけて震度1以上を記録した。
 地震活動は前震〜本震〜余震型で推移し,内陸のプレート内で発生したもので,プレート境界で発生した昭和53年宮城県沖地震や,沈み込む太平洋プレート内で発生した平成15年5月26日の宮城県沖の地震とは異なるものと考えられる。
 この地震により,東北各県に被害が発生し,負傷者677名,住家全壊1,276棟,住家半壊3,809棟,住家一部破損10,976棟の被害が発生したほか,宮城県内において最大3,059人が避難をした。
 ライフライン関係においては,東北電力管内で延べ約134,000戸が停電となったほか,ガスについては宮城県矢本町で延べ約650戸が供給停止,上水道については,宮城県内で延べ13,721戸が断水した。
 土砂災害については,土石流,地すべり,がけ崩れ等が宮城県内で57か所発生した。
 道路については,東北自動車道等で点検のため一時通行止めとなったほか,国道,県道でも落石や法面崩落等により各地で通行止め等となった。
 鉄道関係では,JR東北本線で線路陥没や列車脱線等により運休となったのをはじめ,東北地方のJR及び私鉄各線で点検等のための運休が発生した。
 公共土木施設では,河川46か所,海岸3か所,砂防施設等3か所,道路(橋梁を含む)276か所,港湾2か所,下水道23か所,公園5か所に被害が発生した。
 農林水産業関係では,農地98か所,農業用施設526か所,治山施設4か所,林地25か所,林道等58か所,漁港等9か所に被害が発生した。
 文教施設では,国立学校施設2校,公立学校施設169校,私立学校施設25校,社会教育・体育,文化施設等57施設,文化財等8件に被害が発生し,河南町立北村小学校では校舎1階の柱6か所に亀裂が生じる等半壊の被害となった。
 また,宮城県河南町公立深谷病院,鹿島台町の鹿島台町立国保病院において,被災のため入院患者の移送や外泊等を実施したほか,鹿島台役場は庁舎被災のため,役場近くの農業協同組合の建物において執務を実施した。
(2)国等の対応状況
 地震発生後ただちに,各省庁の防災担当者が官邸危機管理センターに参集し,自衛隊,警察,消防,海上保安庁,国土交通省などのヘリコプターからの映像や消防の固定カメラ映像を含めて,迅速な情報収集を行うとともに,内閣府の地震防災情報システム(DIS)を稼働させて,建物被害や人的被害などを推計し,概括的な被害規模の把握に努めた。また,官邸危機管理センターに参集した関係省庁の局長級職員などによる緊急参集チームにより,収集された情報を集約・確認することにより,政府として被害の実態把握と対応方針の決定を早期に行った。
 7月26日3時30分,11時,20時の3回,内閣府において災害対策関係省庁連絡会議を開催し,被害情報や各省庁の対応状況について情報の共有を図り,対応方針を決定した。また,同日には情報先遣チームとして内閣府職員3名を,翌27日には鴻池防災担当大臣を団長とする政府調査団12府省庁39名を宮城県に派遣した。
 また,宮城県が7月26日,南郷町,矢本町,鳴瀬町,河南町及び鹿島台町に災害救助法を適用した。
 さらに,被災者生活再建支援法に基づく被災者生活再建支援金支給制度を,適用日を7月26日として宮城県全域に適用した。
 この災害について,16年3月9日閣議決定,同月12日公布・施行により,「平成15年7月26日の宮城県北部の地震による災害」として局地激甚災害に指定し,公共土木施設災害復旧事業等に関する特別の財政援助,農地等の災害復旧事業等に係る補助の特別措置等を適用した( 表1−3−4 )。

平成15年局地激甚災害適用措置及び対象区域(その1)
 内閣府は,7月26日0時35分,情報対策室を設置し,関係機関から情報収集を行うとともに,官邸,関係省庁との情報連絡や災害対応の調整を行った。
 警察庁は,7月26日0時15分災害警備本部を設置し,東北管区警察局機動警察通信隊等による通信手段の確保を図る一方、7月26日から27日にかけて東北管区警察局広域緊急援助隊計117人を宮城県に派遣して,被災者の避難誘導,交通規制等の災害警備活動を実施した。また,関係県警察ではヘリコプター等による情報収集活動を実施した。
 防衛庁は,7月26日0時15分,災害対策室を設置し,宮城県知事からの災害派遣要請を受け,7月26日から30日までに人員約1,870名,車両約830両,航空機25機により,航空偵察,道路啓開・倒壊家屋の除去,給水・給食支援,避難所への毛布提供等を実施した。
 消防庁は,7月26日0時13分,災害対策本部を設置し,関係機関との連絡調整に当たるとともに,緊急消防援助隊は消防防災ヘリコプターによる被害情報収集を行った。また,職員2名を現地に派遣した。
 海上保安庁は,7月26日0時20分,地震災害対策本部を設置し,巡視船艇及び航空機による被害状況調査を実施した。また,宮城県からの要請により,毛布200枚を無償貸し付けするとともに,巡視船による給水支援準備活動を実施した。
 総務省は,7月26日0時40分,対策本部を設置した。また,被災者支援のための特別総合行政相談所を設置したほか,宮城県松島町,鹿島台町,涌谷町,南郷町,矢本町,河南町及び鳴瀬町に対し,9月に定例交付すべき普通交付税の一部繰り上げ交付を行った。
 文部科学省は,7月26日0時21分,災害情報連絡室を設置,7月26日10時14分,災害応急対策本部を設置した。また,7月26日地震調査研究推進本部第115回地震調査委員会(臨時会)を開催し,当地震について分析と評価を実施した。7月29日には,被害を受けた学校施設の調査のため,職員等3名を現地に派遣した。さらに宮城県教育委員会に対し,児童生徒の心のケアに配慮するよう指導等を行った。
 厚生労働省は,7月26日1時,災害対策本部を設置した。また,7月26日より宮城県南郷町,矢本町,鳴瀬町,河南町及び鹿島台町に対し,災害救助法に基づく避難所の設置,炊き出し,応急仮設住宅162戸の供与等の救助に対する支援を行った。
 農林水産省は,7月26日2時,災害対策関係局庁連絡会議を設置した。
 経済産業省は,7月26日0時20分,情報収集体制をとった。
 中小企業庁は,7月28日,政府系中小企業金融三機関,信用保証協会,商工会議所,商工会連合会及び東北経済産業局に対して,災害に係る特別相談窓口設置を指示するとともに,政府系中小企業金融三機関に対して災害復旧貸付の要請を行った。また,政府系中小企業金融三機関及び信用保証協会に対して,貸出手続の迅速化,返済猶予等既往債務の条件変更及び担保徴求の弾力化等について,被災中小企業者の実情に応じた対応を行うよう指示をした。
 国土交通省は,7月26日0時13分,非常体制をとるとともに,ヘリコプターによる情報収集活動を行った。7月26日,被災した堤防等の迅速な復旧のため鳴瀬川に「7月26日発生地震東北地方整備局現地対策本部」を設置し,復旧工事を実施した。また7月27日国土技術政策総合研究所等から河川,道路,建築の専門家を現地へ派遣し,現地調査を実施した。7月28日に職員2名を緊急調査のため現地へ派遣した。
 気象庁は,7月26日0時13分,非常体制をとり,地震情報等の発表に万全を期し,防災関係機関や住民に対して適宜適切に情報を提供した。また,同日,職員を現地調査に派遣し被害調査等を実施した。


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