1−3 中央防災会議の活動



1−3 中央防災会議の活動

 中央防災会議は,「内閣の重要政策に関する会議」の一つとして,総理を始めとする全閣僚,指定公共機関の代表者及び学識経験者により構成されており,防災基本計画の作成や,防災に関する重要事項の審議等を行っている (図2−1−1)

中央防災会議
 中央防災会議は省庁再編後平成15年3月末までに計6回開催されたところである。その主要事項は以下のとおり。
◎ 第1回 平成13年1月26日
○ 中央省庁再編後の政府の防災体制について
○ 2000年の主な災害について
○ 被災者の住宅再建支援検討委員会の報告について
○ 総理の指示事項(政府の防災情報体制等の点検,地震対策状況の再検討,東海地震対策の充実強化)
○ 東海地震に関する専門調査会の設置を議決
◎ 第2回 平成13年6月28日
○ 三宅島噴火災害及び有珠山噴火災害等に関する報告
○ 総理指示事項についての報告(政府の防災情報体制等の点検,地震対策状況の再点検,東海地震対策の充実強化)
○ 災害に係る住家の被害認定基準改定及び防災基本計画の修正に関する基本的方針の説明
○ [1]今後の地震対策のあり方,[2]東南海,南海地震等の防災対策の充実,[3]防災基本計画の修正を検討するため,それぞれにつき専門調査会の設置を議決。
◎ 第3回 平成13年12月18日
○ 東海地震に関する防災対策について(地震防災対策強化地域の見直しの諮問)
○ 有珠山周辺地域の活動火山対策特別措置法に基づく避難施設緊急整備地域の指定について
○ 東海地震対策専門調査会の設置を議決
◎ 第4回 平成14年4月23日
○ 地震防災対策強化地域の指定について
○ 防災基本計画(風水害対策編,原子力災害対策編)の修正について
○ 今後の地震対策の基本的方向について
◎ 第5回 平成14年7月4日
○ 三宅島の活動火山対策特別措置法に基づく避難施設緊急整備地域の指定について
○ 「防災体制の強化に関する提言」及び「今後の地震対策のあり方に関する報告」について
○ 防災に関する人材の育成・活用専門調査会及び防災情報の共有化に関する専門調査会の設置を議決
◎ 第6回 平成15年3月18日
○ 防災情報システム整備の基本方針について
○ 平成15年度総合防災訓練大綱について
○ 東海地震に係る被害想定結果について
 なお,中央防災会議は,専門的事項を調査させるため,その議決により専門調査会を設置することができる。省庁再編後平成15年4月末までに7つの専門調査会が設置(うち3つは調査終了)されており,その概要は 表2−1−2(その1) (その2) のとおりである。

専門調査会の概要(その1)
専門調査会の概要(その2)
『防災体制の強化に関する提言』(概要)(防災基本計画専門調査会報告)
[1] 迅速な災害応急体制の確保
 新官邸危機管理センター(平成14年4月運用開始)を活用する初動体制の強化,実務者レベルまで含めた各省庁の連携強化,実践的な訓練の実施や,救助・救急等の分野毎に機能的なマニュアルの取りまとめ等,災害発生前の災害応急体制の強化について提言。
[2] 地方公共団体の防災・危機管理対応力の強化
 地域の防災・危機管理体制を客観的に評価する指針の作成及び地方公共団体の防災・危機管理対応力の評価の推進,首長を補佐し,防災・危機管理部門を統括するポストの創設の推進等,地方公共団体の防災・危機管理対応力の強化について提言。
[3] 防災情報体制の整備と災害に関する研究の推進
 最新の科学技術や多様な通信メディアを利用した情報体制の強化,災害に関する研究の推進,防災情報の効果的な提供,防災マップ等の作成・周知等,行政情報内部での情報共有化や行政と国民との間の双方向情報ネットワークの構築等について提言。
→平成14年10月「防災情報の共有化に関する専門調査会」が発足
[4] 住民及び企業の防災・危機管理意識の向上
 自助努力の必要性,自主防災組織やコミュニティの強化,住民,ボランティア,企業等との連携も含めた共助の観点から,幅広い分野に関する項目が盛り込まれ,平常時から行政と企業の防災施策に関する意見交換の場の設置の必要性等について提言。
→平成14年12月「企業と防災に関する検討会議」が発足
[5] 防災・危機管理に関する人材の育成
 行政及び民間双方において,防災・危機管理に関する専門家を育成するとともに,育成した人材を十分に活用していく必要性があるという認識の下,総合的な人材育成プログラムの創設等について提言。
→平成14年9月「防災に関する人材の育成・活用専門調査会」が発足
[6] 被災者支援の充実
 自助努力の重要性を踏まえつつ,救助段階から復興段階に至る被災者支援のグランドデザインを明らかにして,総合的な観点から被災者のニーズに対応した多様な支援策を提示すること等について提言。
(居住対策については, 第2章2−5(2)c参照
[7] 中央防災会議による防災行政の一層の推進
 中央防災会議において,防災施策における総合調整を行い,重点的に推進するべき防災施策及びその具体的な推進方策を明示することを提言。

『今後の地震対策のあり方についての提言』(概要)(今後の地震対策のあり方に関する専門調査会報告)
a.実践的な危機管理体制の確立
i 徹底して実践的な地震防災体制の確立
 具体的手順を明らかにしたマニュアルの作成,専門職員の育成や機動的な専門組織の整備,医療活動や緊急輸送など各機関間の連携
ii 広域的防災体制の確立
 市町村を越える広域防災活動計画の作成,防災体制や資機材・装備・情報等の共通化
b.防災協働社会の実現
i 住民,企業,NPO等と行政の連携による地域の防災対策の推進
 住民,企業,NPO等及び行政等の参加・連携により,地域コミュニティに根ざした防災計画の立案,行政計画への反映
ii ボランティア活動との連携
 ボランティアの参加の仕組みを構築し,コーディネーターを養成
 専門家によるサポート体制及びボランティア参加の仕組みを構築
iii 企業防災の推進
 被災地への物資・サービスの提供等の多様な機能を発揮できる企業との連携の仕組みを構築
 防災の観点からの企業評価の確立等による,従業員・顧客の安全確保,経済損失の最小化
iv 防災情報共有社会の実現
各防災関係機関の間やそれらと住民等との間で防災情報を共有するシステムを構築
v 震災に強い都市の整備
 民間事業者や土地所有者がプロジェクトのメリットを感じるような開発手法の活用など震災に強い都市基盤の整備を推進
c.効率的・効果的な防災対策の推進
i 限られた予算の中でのメリハリのある対策の推進
 地震防災施設に関する整備指標やあるべき水準,地震防災体制を客観的に評価する指針を作成し,これらを着実に実行していくための仕組みを展開
ii 住宅や防災上重要な公共建築物等の耐震化の推進
 ハザードマップの作成等と耐震診断・耐震改修等ソフト・ハード両面からの総合的施策を展開する耐震化推進のプログラム等を実施
iii 防災への経済原理の導入
 防災に着目した製品の性能標準の設定や防災配慮型製品の表示等防災性に優れた製品等が市場において評価される仕組みを構築
d.先端技術を活用した防災対策の推進
i ITを駆使した情報システムの開発
 ITを駆使し発災直後から復旧・復興を見通した防災情報システムを開発
ii 各種バリアを解消する技術・システムの開発
 災害時に援護を必要とする人々についての情報伝達,避難誘導の技術や立ち入り困難な場所での活動ができるロボット等を開発
iii 便利脆弱社会の弊害を克服する技術・システムの開発
 災害時の停電や通信遮断等による混乱を克服できる平常時のシステムを開発
 また,重点的に取り組む事項のうち,以下のものについて,具体化に向けた戦略的プログラムを策定,実施することとしている。
[1] 実践的マニュアルの整備等による実践的地震防災体制整備
[2] 各防災機関の防災情報共有化のグランドデザイン
[3] 地域の住民や企業等の参画による防災対策と行政への反映
[4] 住宅や防災上重要な公共建築物の耐震化
[5] 防災システムの標準化や道路ネットワーク等の構築等広域防災体制の確立
[6] 防災への経済原理の導入
[7] 先端技術を活用した防災対策推進のための産・学・官連携


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