1−4 平成12年秋雨前線と台風第14号に伴う大雨に対してとった措置



1−4 平成12年秋雨前線と台風第14号に伴う大雨に対してとった措置


(1) 災害対策関係省庁連絡会議の開催

 9月12日13時,災害対策関係省庁連絡会議を開催し,[1]行方不明者の捜索救助に全力をあげること,[2]これまでに生じた被害に対し適切に対応を続け,復旧が速やかに進められるよう対応すること,[3]関係機関は今後とも迅速かつ的確な情報の収集・伝達を行い,関係地方公共団体を含め,緊密な連携を図り,警戒体制に万全を期すること,[4]事態の推移に応じ必要があれば,災害対策関係省庁連絡会議を開催する等,関係省庁の連携を密にしていくこと,等を確認した。

(2) 内閣府における対応

a 9月12日9時20分国土庁(当時)に「情報対策室」を設置し,関係機関から情報収集を行うとともに,被害及び対応状況をとりまとめ,官邸,関係省庁に伝達した。また,13日には扇国土庁長官(当時)が,10月2日には蓮実国土総括政務次官(当時)を現地に派遣した。
b 被災者生活再建支援法の適用
 愛知県名古屋市ほか8市12町及び岐阜県上矢作町に被災者生活再建支援法を適用し,同法の要件に合致する被災世帯の内,6世帯に合計391万円の被災者生活再建支援金を支給し,その半額を補助した。(事業費 3,910千円  国費 1,955千円)

(3) 警察庁における対応

 警察庁及び関係管区警察局においては,「災害警備本部」等を設置して,情報の収集及び関係機関との連絡調整等に当たった。また,機動警察通信隊は,固定衛星通信設備を活用するなどして,応急通信回線の確保を図るとともに,被災した警察署の通信機能復旧作業を行った。
 関係都府県警察では,「災害警備本部」等を設置して,救出救助活動,行方不明者の捜索活動,住民の避難誘導及び交通規制等に当たった。

(4) 防衛庁における対応

 防衛庁は関係地方公共団体への連絡要員の派遣,航空偵察等を行ったほか,9月11日に愛知県知事から,12日に岐阜県知事及び長野県知事から災害派遣の要請を受け,11日から26日までの間,物資の輸送,給水・給食,塵埃輸送,防疫活動,道路啓開等の支援を実施した。

(5) 総務省における対応

 自治省(当時)においては,大きな被害を受けた愛知県内16団体,長野県内8団体及び岐阜県内2団体に対し,地方交付税法第16条第2項の規定に基づき,11月に定例交付すべき普通交付税の一部6,466百万円を繰上げ交付した。

(6) 放送受信料の免除

 NHKにおいては,次のとおり放送受信料の免除を実施した。

(表6−1−17参照)放送受信料の免除

(表6−1−17)放送受信料の免除
(7) 特設公衆電話の設置等

 西日本電信電話株式会社においては,被災者等の通信手段を確保するために避難所等28箇所に特設公衆電話69台を設置し,町役場1箇所に携帯電話3台,1箇所に衛星携帯電話1台を無償で貸与した。また,被災者の安否確認のために災害用伝言ダイヤルを運用した。
 株式会社NTTドコモ東海においては,町役場3箇所に携帯電話20台を,ジェイフォン東海株式会社においては,町役場1箇所に携帯電話3台を無償で貸与した。

(8) 郵政事業庁における対応

a 郵便葉書等の無償交付
 次のとおり被災世帯に対し,郵便葉書及び郵便書簡を無償交付した。

(表6−1−18参照)郵便葉書等の無償交付

(表6−1−18)郵便葉書等の無償交付
b 被災者が差し出す郵便物の料金免除
 次のとおり被災者が差し出す郵便物の料金免除を行った。

(表6−1−19参照)被災者が差し出す郵便物の料金免除

(表6−1−19)被災者が差し出す郵便物の料金免除
c 救助用の現金を内容とする郵便物の料金免除
 次のとおり被災者の救助を行う団体にあてた救助用郵便物の料金免除を行った。

(表6−1−20参照)救助用の現金を内容とする郵便物の料金免除

(表6−1−20)救助用の現金を内容とする郵便物の料金免除
d 災害義援金の郵便振替による無料取扱い

(表6−1−21参照)災害義援金の郵便振替による無料取扱い

(表6−1−21)災害義援金の郵便振替による無料取扱い
e 郵便貯金,郵便為替等の非常取扱い

(表6−1−22参照)郵便貯金、郵便為替等の非常取扱い

(表6−1−22)郵便貯金、郵便為替等の非常取扱い
f 簡易保険の非常取扱い
 被災地の郵便局において,簡易保険の保険金及び貸付金の非常即時払,保険料払込猶予期間の延伸等の非常取扱いを実施した。

(表6−1−23参照)簡易保険の非常取扱い

(表6−1−23)簡易保険の非常取扱い
g 郵便局舎等災害復旧事業
 災害により被害を受けた郵便局舎等について,復旧事業を行った。
(国費 63,133千円)

(9) 消防庁等における対応

 消防庁では,9月12日に第一次応急体制をとり,情報収集を行うとともに,関係都道府県に適切な対応をとるよう指示した。また,各消防機関は,危険箇所等の警戒巡視,要救助者の救助,避難の誘導,土のう積みなどの水防活動等を実施した。

(10) 財務省における対応

a 申告,納付等の期限の延長
(a) 災害により,多大な被害を受けた名古屋市及び西春日井郡の指定する地域の納税者について,国税庁告示をもって,平成12年11月15日まで,国税の申告,納付等の期限を延長した。
(b)(a)以外の地域にあっては,災害により,国税の申告,納付等をその期限までに行うことができないと認められる納税者について,その申請に基づき,災害によるやむを得ない理由のやんだ日から2ヶ月以内の日を期日として指定し,国税の申告,納付等の期限を延長した。
b 納税の猶予
 災害により,その財産に相当の損害を受けた納税者及び国税を一時に納税することができないと認められる納税者について,その申請に基づき,1年以内の期間に限り,その国税の全部又は一部の納税を猶予した。
c 国税の軽減免除等
 災害により,住宅,家財,事業用資産等に損害を受けた納税者について,その申請等に基づき,国税の軽減免除等を行った。

(11) 文部科学省における対応

 文部省(当時)では,教育委員会等の関係機関から被害情報を収集するとともに,臨時休校等適切な対応をとるよう指示した。

(12) 厚生労働省における対応

a 災害救助費の国庫負担
 愛知県においては,名古屋市,一宮市,半田市,春日井市,刈谷市,東海市,大府市,岩倉市,豊明市,西春日井郡西枇杷島町,西春日井郡豊山町,西春日井郡師勝町,西春日井郡西春町,西春日井郡清洲町,西春日井郡新川町,海部郡甚目寺町,海部郡大治町,知多郡阿久比町,知多郡東浦町,知多郡美浜町,北設楽郡稲武町に,また岐阜県においては,恵那郡上矢作町に災害救助法を適用し,避難所の設置,応急仮設住宅の供与,炊き出しなどによる食品の給与,被服・寝具等生活必需品の給与等を実施した。この愛知県及び岐阜県の救助に要した費用4億3,680万5千円について2億1,840万3千円の国庫負担を行った。
(事業費 436,805千円  国費 218,403千円)
b 災害弔慰金の国庫負担
 災害弔慰金の支給等に関する法律に基づき,本災害により死亡した者の遺族に対し支給した災害弔慰金2,000万円について1,000万円の国庫負担を行った。
(事業費 20,000千円 国費 10,000千円)
c 災害援護資金の原資の貸付
 災害弔慰金の支給等に関する法律に基づき,本災害により一定の被害を受けた世帯の世帯主に対し貸し付けた災害援護資金7億2,553万円について4億8,368万7千円の国庫の貸付を行った。(事業費 725,530千円  国費 483,687千円)

(13) 農林水産省における対応

 農林水産省では,被害を受けた農林漁業者等に対して既往貸付制度資金の償還猶予等及び災害関係資金の円滑な融通について関係機関を指導した。また,農林共済金の早期支払いについて,農業共済団体等を指導した。

(14) 国土交通省における対応

a 9月12日,「平成12年9月10日からの秋雨前線豪雨建設省対策本部」(当時)を設置し,13日には,建設大臣(当時)が愛知県において現地調査を行った。
 また,国土地理院は,浸水区域及び浸水深調査のため担当官を現地に派遣した。
b 破堤した新川について13日に仮堤防で締切を実施し,また,各地方建設局(当時)保有の排水ポンプ車20台を新川町,西枇杷町等の浸水区域に出動させ,排水活動を実施した。
c 鉄道事業者及び海運等関係事業者団体への注意喚起,安全運転の確保及び輸送影響の軽減について指示した。
d 海上保安庁が行う救難活動のための臨時ヘリポート拠点として使用可能とするため,伊勢湾浮体式防災基地(ミニフロート)を出動させた。
e 緊急的な土砂災害対策として,砂防えん堤等の整備を災害関連緊急砂防等事業により実施した。

(15) 海上保安庁における対応

 海上保安庁においては,第四管区海上保安本部に対策室を設置,人員延べ約470名,航空機延べ6機,巡視船艇延べ26隻を派遣し,臨海部における巡視船艇・航空機による漂流物の調査,行方不明者の捜索等を実施した。また,愛知県等からの協力要請を受けて,職員の派遣及びゴムボートの提供を行い,愛知県春日井郡西枇杷島町において,老人,乳幼児等の孤立者104名を救助するとともに,応急食料・医療機材の運搬を実施した。

(16) 災害廃棄物処理事業の実施

 環境省においては,地方公共団体が災害のために実施した廃棄物の収集,運搬及び処分に係る事業に対して補助を行った。


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