表示段落: 第2部/第6章/1/1-2


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1-2 平成11年6月23日から7月3日までの梅雨前線豪雨に対してとった措置

(1) 政府調査団の現地への派遣及び災害対策関係省庁連絡会議の開催

 6月30日10時より,災害対策関係省庁連絡会議を開催し,関谷国土庁長官(当時)を団長とする政府調査団を広島県に派遣することを決定するとともに,[1]行方不明者の捜索救助に全力をあげること,[2]これまでに生じた災害に対し適切に対応を続け,復旧が速やかに進められるよう対応すること,[3]関係機関は今後とも迅速かつ的確な情報の収集・伝達を行い,関係地方公共団体も含め,緊密な連携を図り,警戒体制に万全を期すこと,[4]事態の推移に応じ必要があれば災害対策関係省庁連絡会議を開催する等,関係省庁の連絡を密にしていくこと等を確認した。

 政府調査団は6月30日から7月1日にかけて,関谷国土庁長官(当時)を団長とする12省庁27名の陣容で,広島県内の被災現地を視察した。

 政府調査団帰京後の7月1日22時より,第2回災害対策関係省庁連絡会議を開催し,現地調査について報告を行うとともに,これまでに生じた災害に対し適切に対応していくこと,及び上記の[1]から[4]の事項を確認した。

(2) 警察庁における対応

 警察庁及び関係管区警察局においては,「災害警備連絡室」等を設置して,情報の収集及び関係機関との連絡調整等に当たった。

 広島県その他関係都道府県警察では,「災害警備本部」等を設置して,救出救助活動,住民の避難誘導及び交通規制等に当たるとともに,鳥取県警察広域緊急援助隊及び山口県警察広域緊急援助隊等が,被害の大きかった広島県において救出救助活動等に当たった。

(3) 防衛庁における対応

 福岡,兵庫及び広島県知事からの災害派遣要請を受け,6月29日から7月2日までに,延べ約780名を派遣し,人命救助,行方不明者の捜索,水防活動,堤防決壊箇所の復旧,偵察活動,給水支援等の活動を実施した。

(4) 科学技術庁における対応

 科学技術庁防災科学技術研究所においては,研究者3名が豪雨発生機構の解明に必要な現地データの収集及びマサ土に集中した土砂崩れの原因解明のための現地調査を行った。

(5) 国土庁における対応

a

 6月29日12時30分「情報対策室」を設置し,関係機関から情報収集を行うとともに,官邸,関係省庁に情報連絡を行った。

b

 被災者生活再建支援法の適用

 広島県全域に被災者生活再建支援法を適用し,同法の用件に合致する被災世帯の内,65世帯に合計5,368万5千円の被災者生活再建支援金を支給し,国はその半額を補助した。

(6) 災害救助法の適用

 厚生省においては,広島県広島市,呉市,福岡県福岡市において災害救助法を適用し,避難所の設置,応急仮設住宅の供与,炊き出し等による食品の給与,被服・寝具等生活必需品の給与等を実施した。また,救助に擁した費用1億8,672万6千円に対して9,336万3千円の国庫負担を行った。

  (事業費 186,726千円 国費 93,363千円)

(7) 災害弔慰金

 厚生省においては,災害弔慰金の支給等に関する法律に基づき,本災害により死亡した者の遺族に対し支給した災害弔慰金1億750万円について5,375万円の国庫負担を行った。

  (事業費 107,500千円 国費 53,750千円)

(8) 農林水産省における対応

 次の措置を講じた。

a 災害対策本部等の設置及び担当官の派遣

 6月29日に林野庁長官を本部長とする「林野庁6月末梅雨前線豪雨災害対策本部」を設置した。また,30日には松下政務次官,林野庁長官他担当官を災害現地に調査のため派遣した。

b 激甚災害法の適用

 本災害が「6月16日から7月4日までの間における梅雨前線による豪雨」として激甚災害に指定されたことにより,農地,農業用施設等の早期復旧を図るため,農地,農業用施設及び林道施設災害復旧事業に係る国庫補助率の嵩上げ措置を行った。

(9) 中小企業対策

 中小企業庁では,6月29日に広島県及び福岡県における政府系中小企業金融三機関及び信用保証協会の各支店に相談窓口を設置するとともに,政府系中小企業金融三機関に「災害復旧貸付」の適用を開始した。

(10) 運輸省における対応

 岡山県水島港,広島県広島港,福岡県博多港において6月23日〜7月3日の豪雨による河川からの土砂・流木塵の流出により航路・泊地が埋塞したため,作業船により土砂浚渫及び流木塵の回収処分を行い機能回復を図った。

 佐賀県星賀港,長崎県郷ノ浦港においては,道路法面が被災し,地滑り抑止工事等を行い安定を図った。

(11) 気象庁における対応

 本庁および各地方気象台等において,大雨や洪水に関する情報並びに警報,注意報を適時発表し警戒を呼びかけた。また,二次災害防止に必要な気象情報の提供を関係省庁及び自治体等へ随時行った。

(12) 郵政省における対応

1 郵便葉書等の無償交付

 次のとおり被災世帯に対し,郵便葉書及び郵便書簡を無償交付した。 (表6-1-3)

  (表6-1-3) 郵便葉書等の無償交付

2 被災者が差し出す郵便物の料金免除

 次のとおり被災者が差し出す郵便物の料金免除を行った。 (表6-1-4)

  (表6-1-4) 被災者が差し出す郵便物の料金免除

3 救助用の現金又は物品を内容とする郵便物の料金免除

 次のとおり被災者の救助を行う団体にあてた救助用郵便物の料金免除を行った。 (表6-1-5)

  (表6-1-5) 救助用の現金又は物品を内容とする郵便物の料金免除

4 郵便貯金,郵便為替等の非常取扱い

  (表6-1-6) 郵便貯金,郵便為替等の非常取扱い

5 災害義援金の郵便振替による無料取扱い

  (表6-1-7) 災害義援金の郵便振替による無料取扱い

6 郵便局舎等火災復旧事業

 災害により被害を受けた郵便局舎等について,復旧事業を行った。

  (国費 17,531千円)

(13) 特設公衆電話等(無料)の設置

 西日本電信電話株式会社においては,被災者等の通信手段を確保するため,避難所等39ヶ所に特設公衆電話101台(無料)を設置した。

(14) 放送受信料の免除

 NHKにおいては,次のとおり放送受信料の免除を実施した。 (表6-1-8)

  (表6-1-8) 放送受信料の免除

(15) 建設省における対応

 次の措置を講じた。

a

 本省に「6月末梅雨前線豪雨災害対策本部」を設置(6月30日)し,被害状況の把握等に努めた。また,同日,建設大臣が広島県を,建設政務次官が福岡県の被災現地を視察した。

b

 福岡市の地下鉄・地下街等の浸水状況について四省庁(国土,運輸,建設,自治省消防庁)合同調査を実施した。

c

 被災箇所のうち必要なものについては,応急復旧工事を実施するよう地方公共団体に指導した。

(16) 地方交付税による措置

 自治省においては,大きな被害を受けた広島県下22市町,山口県下9町村,長野県下4市町に対し,地方交付税法第16条第2項の規定に基づき,9月に定例交付すべき普通交付税の一部11,067百万円を繰上げ交付した。

(17) 災害応急対策等

 消防庁では,6月26日に第1次応急体制をとり,関係地方公共団体からの情報収集を行った。29日には第2次応急体制をとり,全国の都道府県に「大雨警戒情報」を発出し警戒強化を要請するとともに,災害対策連絡室を設置した。また,各都道府県に災害弱者施設の災害対策の周知徹底を図るよう緊急通知を行った。

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