表示段落: 第2部/第3章/9
9 その他の災害対策
(1) 地球温暖化に関する研究
科学技術庁防災科学技術研究所,環境庁国立環境研究所,農林水産省農業環境技術研究所,通商産業省工業技術院資源環境技術総合研究所・電子技術総合研究所,気象庁観測部・気象研究所及び郵政省通信総合研究所においては,海洋開発及び地球科学技術調査研究促進費により,「地球温暖化の原因物質の全球的挙動とその影響等に関する観測研究」,「雲が地球温暖化に及ぼす影響解明に関する観測研究」及び「地球温暖化の原因物質,雲の相互作用及びそれらが地球温暖化に及ぼす影響解明に関する研究」を行った。
(国費 366,680千円)
(2) 成層圏の変動に関する研究
環境庁国立環境研究所,気象庁気象研究所においては,科学技術振興調整費総合研究により実施している「成層圏の変動とその気候に及ぼす影響に関する国際共同研究」の一環として,成層圏の変動の実態把握とその変動機構及び気候への影響に関する研究を行った。
(国費 14,048千円)
(3) 熱帯林変動に関する研究
科学技術庁防災科学技術研究所,農林水産省国際農林水産業研究センター・農業環境技術研究所・森林総合研究所,通商産業省工業技術院資源環境技術総合研究所,気象庁気象研究所及び建設省土木研究所においては,海洋開発及び地球科学技術調査研究促進費により,「熱帯林の変動とその影響等に関する観測研究」を行った。
(国費 96,278千円)
(4) 海底ケーブルを用いた地震等多目的地球環境モニターネットワークの開発に関する研究
科学技術庁研究開発局・海洋科学技術センター,通商産業省工業技術院地質調査所・電子技術総合研究所,海上保安庁水路部,気象庁気象研究所及び郵政省通信総合研究所においては,科学技術振興調整費総合研究により,観測システムネットワークの開発に関する研究,海底ケーブル海中接続及び接続操作技術に関する研究,海底ケーブルシステム運用・管理技術及びデータ管理手法の高度化に関する研究を行った。
(国費 235,000千円)
(5) 地球科学技術に関連した防災科学技術
科学技術庁防災科学技術研究所においては,次の研究を行った。
a 全球水文過程における災害予測に関する研究
全球水文過程変化と災害ポテンシャルを予測するための数値シミュレーションモデルの開発等の研究を行った。また,数値モデルの高度化に必要な熱帯域,雪氷域,半乾燥域における観測研究及び地表面乱流風洞等を用いた実験研究を行った。さらに降水量変動,海面変動の災害への影響評価に関する研究を行った。
(国費 1,474,949千円)
b 衛星搭載レーダ等による災害・地球環境変動の観測研究
地球規模の環境変動を広域的に把握するシステムの構築に資するため,マイクロ波によるリモートセンシング技術の研究を行った。
(国費 28,589千円)
(6) 斜面災害の発生機構に関する研究
科学技術庁防災科学技術研究所においては,大規模崩壊の発生場及び崩壊土砂流動に関する研究を行うとともに,ハザードマップの高度化に関する研究を行った。
(国費 46,961千円)
(7) 沿岸防災に関する研究
科学技術庁防災科学技術研究所においては,波浪特性・風の特性に関する観測研究,津波の発生伝播の研究,沿岸異常波浪の特性と予測手法に関する研究を行った。
(8) 津波災害軽減のためのレーザ式津波検知システムの基礎研究
科学技術庁防災科学技術研究所においては,科学技術振興調整費重点基礎研究により,レーザー津波計の改良とケーブル式津波検知システムの最適配置に関する研究を実施した。
(国費 9,654千円)
(9) 漁船の転覆事故防止に関する研究
農林水産省においては,漁船の省エネルギーのための船型改良に伴う転覆事故防止のための研究を行った。
(国費 15,077千円)
(10) 気候変動に関する研究
水産庁北海道区水産研究所,東北区水産研究所,中央水産研究所,遠洋水産研究所,気象庁気候・海洋気象部,気象庁気象研究所においては,科学技術振興調整費により「北太平洋亜寒帯循環と気候変動に関する国際共同研究」を行った。
(11) 鉱山保安技術対策に関する研究
通商産業省においては,次の研究を行った。
a 鉱山保安技術対策
金属鉱業事業団において,高効率廃水処理技術,坑廃水最適中和処理システム技術の鉱害防止技術に関する調査研究を行った。
(国費 50,088千円)
b 鉱山保安技術に関する研究
工業技術院資源環境技術総合研究所においては,傾斜坑道における坑内火災時の熱気流の挙動と各種消火法の現場適応性に関する研究を行った。
(国費 10,197千円)
(12) 砂浜海岸の諸機能の評価とコースト・マネジメント手法に関する研究
運輸省港湾技術研究所においては,砂浜の防災,海水浄化機能,親水性の機能を総合的にマネジメントするための技術およびその最適化手法についての研究を行った。
(国費 10,841千円)
(13) CATV等を利用した住宅等の情報化実証実験
郵政省においては,通信・放送機構に出資し,防災対応マルチメディアモデル住宅を整備し,防災情報等様々な情報が入手可能なシステムの研究開発を実施した。
(国費 71,000千円)
(14) 衛星利用の高度化・普及促進のための調査研究
郵政省においては,大規模な災害等の発生時に,迅速な対策を可能とするための衛星通信ネットワークの活用について検討した。
(国費 9,433千円)
(15) 労働災害防止に関する研究
労働省産業安全研究所においては,次の基礎的,応用的研究を行った。
(国費 683,923千円)
a 順応型アクチュエータによる協調制御に関する研究
人間と協調的作業を行うロボットに,接触時に安全が保障できる人体への衝撃を軽減する装置を開発し,その特性について検討した。
b マルチサイト疲労損傷部材の寿命予測手法の開発
繰り返し荷重を受けるボルト接合部などにおいて,ボルトの締め付け力のバラツキ,締め付け力が応力分布に及ぼす影響を求めた。
c つりチェーンの疲労破壊特性と損傷検出技術に関する研究
つりチェーンの破損による労働災害の防止を目的として,つりチェーンの応力解析を実施し,疲労強度についての知見を得た。
d 人体と物体の識別装置の開発
製品の搬入・搬出用の開口部において,人体が進入したときに直ちに機械を停止するためのセンサについて検討を加え,光線式安全装置を開発した。
e 建設用タワークレーンの振動性状に関する研究
建設中の建物に結合されて使用されるタワークレーンの耐震性能に関して,建物の振動特性が及ぼす影響について検討した。
f 掘削溝に設置したエア封入袋体に関する土止め効果の遠心模型実験による検証
掘削中の溝に対してエア封入袋体により地盤崩壊を防止する性能について土止め効果が大であることを確認した。
g すべりの時間経過パターンを考慮したすべり評価法に関する基礎的な研究
歩行中の転倒・転落災害のもととなるすべりの発生について,すべり発生後にバランスを失って倒れる状態を再現する実験を実施した。
h ガス爆発駆動式火炎抑止装置の開発
化学設備におけるガス爆発を抑制するため,消火剤高速噴霧式の火災抑止装置の開発を行った。
i 石松子粉じん雲中の火炎伝ぱ機構
粉じん爆発災害の防止を目的として,可燃性粒子群中における火炎伝ぱ機構について,粒子間の火炎伝ぱのモデル化を行った。
j 結合・減結合回路の任意電気ノイズ波形印加への適用
電磁ノイズによる電子機器の誤差動防止を目的とした研究の一環として,電磁環境に即した任意の電磁ノイズを印加可能な装置の開発を行った。
k 視覚情報を用いた作業空間内の危険領域の抽出
人間や機械などの移動する物体が危険領域内に侵入していないか実時間で把握するための装置として,双曲面鏡とCCDカメラを用いたシステムを開発した。
l 建設作業員への質問紙調査による墜落災害の背景分析
墜落災害防止に関連したアンケート調査により,安全帯の不使用に関しては,日常的不使用,疲れ・あせり,作業能率の主要な人的要因が抽出された。
m 掘削機との接触災害の防止対策
掘削機と人間の接触災害の防止を目的として,後方確認を補助するためTVカメラの画像から接近する像を対象に人間を判別する方法について検討した。
(16) 仮設構造物の耐風安定性に関する基礎研究
労働省産業安全研究所では,科学技術振興調査重点基礎研究により仮設構造物の倒壊防止・崩壊防止技術を確立するため,耐風安定性に関する基礎研究を行っている。
(国費 6,034千円)
(17) 化学物質安全特性予測基盤の確立に関する研究
労働省産業安全研究所では,科学技術振興調整費知的基盤整備により化学物質安全特性予測基盤の確立に関する研究において,爆発燃焼反応挙動の解明を実施した。
(国費 9,073千円)
(18) 先端技術を活用した国土管理技術の開発
建設省土木研究所,建築研究所及び国土地理院においては,GISなどの先端技術を活用した広域的かつ定常的な監視・管理を実現する技術の高度化のための研究開発を行った。
(国費 141,705千円)
(19) 災害等に対応した人工衛星利用技術に関する研究
建設省土木研究所,建築研究所及び国土地理院においては,人工衛星技術を活用した災害情報等の収集,リモートセンシングの実用化に関する研究を行った。
(国費 203,973千円)
(20) まちづくりにおける防災評価・対策技術の開発
建設省建築研究所及び土木研究所においては,耐火性能を有する建築物等の整備,地区防災性能向上のための効果的対策技術の研究開発を行った。
(国費 167,012千円)
(21) 高度情報処理技術等を活用した都市・建築防災関連技術の開発
建設省建築研究所においては,GISデータベース等の高度情報処理技術等を活用した被災情報把握・提供・活用システムの開発を行った。
(国費 3,956千円)