表示段落: 第1部/第4章/3


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3 アジア地域における多国間防災協力の推進

3-1 アジア防災センター設立の経緯

 平成6年,国連の「国際防災の10年世界会議」において,災害脆弱性に多くの共通的側面を有する地域においては関係各国の協力の下,災害情報の収集・提供等を行う地域センターを創設することが提唱された(横浜戦略)。

 特に,我が国は,阪神・淡路大震災以前から,アジア諸国に対して防災分野における様々な国際協力,支援を行っていたが,この大震災で得た多くの教訓についても広く各国に紹介していくことが防災分野における重要な国際貢献の一つと認識された。

 このような状況を背景として,平成7年12月,「アジア防災政策会議」を開催してアジア地域における多国間防災協力の推進方策等を討議した。さらに平成8年10月及び平成9年6月,防災センター機能を有するシステムの創設及びその活動内容について協議するため,局長級の専門家会合(それぞれ「アジア防災専門家会議」,「アジア防災協力推進会合」)を開催し,アジア防災センターを設け,( 表4-3-1 )に掲げた活動を行うことが決定された。

  (表4-3-1) アジア防災センターの活動内容(要約)

 アジア防災センターは,平成10年7月30日,兵庫県神戸市において開所し,活動を開始したが,同センターは,横浜戦略を契機として設立されたものであり,国際防災の10年の期間中における我が国の多国間防災協力に関する大きな成果の一つとして位置づけられる。

(注)

 メンバー国は,現在以下のとおりとなっている。

メンバー国:

 バングラデシュ,カンボジア,中国,インド,インドネシア,日本,カザフスタン,ラオス,マレーシア,モンゴル,ミャンマー,ネパール,パプアニューギニア,フィリピン,大韓民国,ロシア,シンガポール,スリランカ,タジキスタン,タイ,ウズベキスタン,ベトナム,アルメニア

オブザーバー:

 ADPC(アジア災害防止センター)

アドバイザー国:

 オーストラリア,フランス,ニュージーランド,スイス

3-2 アジア防災センターの活動内容と今後の取組

(1) アジア防災センターの活動

 アジア防災センターは,アジア地域の被害軽減に資するため,防災関連情報を共有する情報センターとして活動しており,設立以来ほぼ3年余を経過し,23カ国に及ぶメンバー国とのネットワークを構築して,多国間防災協力を推進している。

 インターネット上のホームページ(http://www.adrc.or.jp/)等を活用して,防災情報ネットワークを構築し,最新災害情報,災害対策事例,各国の防災体制,防災専門家や行政官等の人材情報等を体系的に集積,データベース化するとともに,各国へ発信している。また,世界中で20世紀に発生した自然災害の概況,アジア地域と他地域との比較,アジア地域で発生したすべての自然災害のリスト等を網羅したデータブックを発刊し,情報提供に努めている。

 ネットワーク形成の基本的要素であるヒューマンネットワークの形成として,現地調査,アジア防災センター専門家会議等の開催を通じた防災行政の人的ネットワークの構築,防災に関する国際会議等への参加等を通じた関係機関との協力関係の樹立等,ネットワークの拡大を推進している。同センターは平成11年2月,12月,平成12年12月に,各国防災担当者及び関係機関等の専門家を招聘した専門家会議を開催し,参加者間の信頼関係の醸成と協力関係の強化を図るとともに,各国の防災情報並びにニーズとシーズに関する情報の共有化を推進している。また,同センターは世界災害情報ネットワーク(GDIN)会合をはじめ国際防災協力推進のための国際会議にも積極的に参加している。

(2) 第3回アジア防災センター専門家会議

 平成12年12月,第3回アジア防災センター専門家会議が開催され(参加26カ国,6機関),「アジア地域における防災協力の推進」,「最近の災害に学ぶ国際緊急援助」及び「防災情報共有化の推進」をテーマに意見交換が行われた。その結果,各国の実状に応じた一層の防災協力の推進,災害時の各国の対応と国際緊急援助の一層の連携を図ること,さらにこれらの活動を支援するため,インターネット等を駆使してその基礎となる災害情報・防災情報の共有化を推進していくこと等で意見の一致をみた。

 今後も引き続き,同センターを中心に,参加国・機関が持てる資力と能力を駆使して防災国際協力を推進し,21世紀のアジア地域における自然災害被害の軽減防止を実現していくことが期待される。

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