表示段落: 第1部/第4章/1/1-2
1-2 最近起こった主な災害
2000年以降に発生した主な自然災害は( 表4-1-2 )のとおりであり,そのうち被害の大きなものは次のとおりである。
(表4-1-2) 2000年以降に起こった主な自然災害(2001年2月現在)
(1) 中央アジア・南アジアの干ばつ
中央及び南アジアを,7月から,厳しい干ばつが襲った。アフガニスタン,インド,イラン,パキスタン,タジキスタンが強い影響を受け,モンゴルやシリア等にまで影響が及んだ。
特に被害の大きかったタジキスタンでは,620万人の人口のうち300万人が食糧不足に陥ったほか,2000年の穀物生産は対前年46%減少し,国民の3か月分の食糧消費量にしか満たない23万6000トンにとどまった。
(2) インドの洪水
6月中旬から8月にかけ,南アジア諸国を季節風による豪雨が引き起こす大規模な洪水と地すべりが襲った。ベキ川(アッサム地方)では1978年以来の洪水レベルを記録したほか,各地で危険水位となった。また,8月末にはインド南部のアンダラ・プラデシュ地方で47年ぶりの大雨を記録した。これにより,最も被害の大きかった西ベンガル地方だけで,520名が死亡,207名が行方不明,被災者は1,780万人に及び,家屋140万戸に被害が出たほか,家畜や穀物にも甚大な影響を与えた。被害額の合計は約6億8,000万ドルとなっている。
(3) 東南アジアの洪水
平成12年は,東南アジアに例年より早くモンスーンのシーズンが到来したため,多くの国で豪雨による洪水被害が発生した。ベトナムでは,9月にはメコン川が洪水危険水位へと急上昇し,ベトナム政府は地方自治体と協力し,住民避難や緊急時対応等の被害軽減措置をとったが,その後も水位は上がりつづけ,70年ぶりの長期かつ厳しい水害を引き起こした。洪水は10月末まで続き,その後,水位が下がるまでには2ヶ月を要した。政府は地方自治体に対して約530万ドルの緊急援助を出して対策に当たったが,この洪水により,453人が死亡,500万人以上が被災し,被害額は2億7,140万ドルに及んだ。カンボジアでも,70年ぶりの洪水となった。政府は地方自治体との協力の下,被災地への食料支援などを行ったが,死者347名,被災者は全国民の30%を超える約345万人以上となった。
(4) エルサルバドルの地震
中米エルサルバドルの首都サンサルバドルの南西約100kmの沖合いで,平成13年1月13日,マグニチュード7.6の地震が発生した。この地震による死者は844人,132万人以上が被災した。フランシスコ・フローレス大統領は国家非常時代を宣言,住民救出のための国際協力を呼びかけ,これに応じてアメリカ,スペイン等多数の国から合計約1700万ドル(専門家の派遣などの金銭換算できないものを除く。)相当の援助が行われた。さらに,2月13日にもマグニチュード6.1の地震が発生し,死者315人,負傷者2,937人等の被害が出たほか,一部地域では家屋倒壊や崖崩れが発生しており,救助活動が難航した。
(5) インドの地震
2001年1月26日現地時間午前9時頃,マグニチュード6.9の地震がインドの西部,パキスタン国境沿いにあるクジャラート州を襲った(米国地質学研究所によればマグニチュード7.9)。人口15万人のブジ市,バチュウ市で最も被害が大きく,ほとんど全ての建物,インフラが破壊された。死者は2万0,005人,負傷者約16万6,000人,総被災者数は約1,590万人で,全壊家屋約37万戸,一部損壊家屋約92万戸などの被害が生じた(2001年3月20日付インド政府発表に基づく)。
インド政府は,ヴァジパイ首相が主宰する「国家災害対策委員会」を開催するなど,国をあげての対応を行い,インド軍を中心に救援活動・各種資材,食糧,燃料,医薬品等の輸送を行った。
これに対し,インド政府によれば,51か国及び様々な国際機関が人的又は物的支援を実施した。