表示段落: 第1部/第3章/4/4-2


表示段落: 第1部/第3章/4/4-2


4-2 企業防災の現状

 平成13年1月,内閣府は委託調査により,企業防災に対する社員の意識の現状と防災計画,マニュアルの現状を把握するために上場(一部・二部・店頭公開)企業全業種3,482社に対して,アンケートを実施した。しかしながら,回収率は6.3%にとどまり,企業の防災意識の低さを露呈する結果となった。以下は,回収分について結果をとりまとめたものである。

 企業防災計画,マニュアルの存在,内容,保管場所等について質問した( 図3-4-1 , 図3-4-2 , 図3-4-3 )。

  (図3-4-1) 企業防災計画,マニュアルの存在を知っているか

  (図3-4-2) 企業防災計画,マニュアルの内容を理解しているか

  (図3-4-3) 企業防災計画,マニュアルの保管場所がわかるか

 企業防災計画,マニュアルの存在については,一般社員にも浸透しているが(74%),内容については,一般社員(41%),経営者(60%)の理解及び浸透度が低い。また,保管場所についても同様の傾向が見られ,管理者がいない場合は防災計画,マニュアルが機能しない可能性がある。

 企業防災計画,マニュアルに記載されている目次の項目については,従業員,顧客の安全確保はほぼ網羅しているが,事業活動の維持と社会経済の安定については,半数程度が記載されておらず,地域防災活動の貢献に至っては4分の1程度しか記載されていない( 図3-4-4 )。

  (図3-4-4) 企業防災計画,マニュアルに記載されている目次の項目

 企業防災計画,マニュアルの想定している災害規模については,阪神・淡路大震災後,各企業が見直しを行ったにもかかわらず,3分の1程度の企業が震度5程度しか想定していない。長期的なライフラインの寸断など大規模災害を想定していないことが伺える( 図3-4-5 )。

  (図3-4-5) 企業防災計画,マニュアルの想定している災害規模

 特に,8割の企業は本社が使用可能という前提での防災計画,マニュアルになっており,自社の建物が倒壊した場合,別の場所で業務を継続するといった体制が整っていない。

 企業防災計画,マニュアルの想定している災害対応の時間については,発災直後(数分後)及び応急対応(72時間後)の従業員,顧客の安全確保を中心とした内容にとどまり,事業活動の維持と社会経済の安定を図るための復旧(数ヶ月),復興対応(数年)に関する記載が少ない( 図3-4-6 )。

  (図3-4-6) 企業防災計画,マニュアルの想定している時間

 特に,壊滅的に被災した場合の企業の方向性を示す復興計画が,ほとんどの企業で想定されていない。

所在地 〒100-8914 東京都千代田区永田町1-6-1 電話番号 03-5253-2111(大代表)
内閣府政策統括官(防災担当)

Copyright 2017 Disaster Management, Cabinet Office.