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(1) 鉄道災害の現況
我が国の鉄道災害は,安全対策を着実に実施してきた結果,列車の高速化・高密度化が進む中でも,長期的には減少する傾向にあるが,列車の高速化等に伴い一度事故が発生すると多数の死傷者を生じるおそれがある。
平成12年3月に発生した帝都高速度交通営団日比谷線の列車脱線・衝突事故では,死者5人,負傷者63人となる等,甚大な被害が発生した。運輸省は,事故当日,事故調査検討会を直ちに立ち上げ,専門家を現地に派遣して調査を行うとともに,同営団に対して,再発防止対策の確立等に万全を期すよう厳重に警告した。また,全鉄道事業者に対して,軌道及び車両の点検等を確実に行うよう指示するとともに,当面の緊急措置として急曲線部における脱線防止ガード等の設置について通達した。事故調査検討会は,10月に最終報告を取りまとめ,脱線防止ガードの追加設置など5項目の対策を提言するとともに,新たな評価指標として「推定脱線係数比」を提案した。