表示段落: 第1部/第2章/4/4-4/(2)


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(2) 大規模地震対策特別措置法の実施状況

a 法律の目的

 昭和53年6月に成立した(同年12月施行)大規模地震対策特別措置法(以下「大震法」という。)では,地震防災対策強化地域(大規模な地震によって著しい被害を受けるおそれがあり,地震防災対策を強化する必要がある地域。以下「強化地域」という。)の指定を行ったうえで,同地域に係る地震観測体制の強化を図るとともに,大規模な地震の予知情報が出された場合の地震防災体制を整備しておき,地震による被害の軽減を図ることを目的としている( 図2-4-7 )。

  (図2-4-7) 大規模地震対策特別措置法による主な措置

b 地震防災対策強化地域における防災対策

(a)

 地震防災対策強化地域の指定

 東海地震発生の事前予知が可能であることを前提として,大震法第3条の規定に基づき,現在,神奈川県,山梨県,長野県,岐阜県,静岡県及び愛知県の6県167市町村の区域が地震防災対策強化地域として指定されている( 図2-4-8 )。

  (図2-4-8) 地震防災対策強化地域(6県167市町村)

 東海地震が発生した場合,強化地域では震度6弱以上の地震動を受け,伊豆半島南部から駿河湾内部に大津波が発生するおそれがあると考えられている。

(b)

 警戒宣言等の伝達

 強化地域の観測データに異常が発見され,気象庁長官が大規模な地震が発生するおそれがあると認めるときは,気象業務法の規定により地震予知情報を内閣総理大臣に報告し,内閣総理大臣は,地震防災応急対策を実施する緊急の必要があると認めるときは,閣議にかけて,警戒宣言を発することになっている( 図2-4-9 )。

  (図2-4-9) 東海地震の警戒宣言まで

(c)

 地震防災計画の作成

 強化地域の指定が行われると,地震予知がなされた場合に備えて,事前に地震災害及び二次災害の発生を防止し,災害の拡大を防ぐための具体的な行動計画(地震防災計画)として,国においては地震防災基本計画を,地方公共団体や指定公共機関においては地震防災強化計画を,民間事業所においては地震防災応急計画をそれぞれ作成している。

(d)

 地震防災基本計画の修正

 平成7年1月に発生した阪神・淡路大震災の教訓等を踏まえ,平成11年7月に地震防災基本計画を修正した。これにより,警戒宣言時の迅速かつ的確な初動対応や東海地震に係る情報を活用した準備的対応などを実施し,また,災害弱者に配慮するなど避難対策等を充実することとされた。

 また,今回の修正を踏まえ,地方公共団体においては,地域ごとの実情に応じた車両避難の適否の検討や屋内避難のための対応等の具体化を進めている。

c 地震対策緊急整備事業の推進

 昭和55年5月に制定された「地震防災対策強化地域における地震対策緊急整備事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律」(地震財特法)では,関係地方公共団体等が実施する地震対策緊急整備事業(地震防災強化計画に基づく地震防災上緊急に整備すべき施設等の整備事業)の一部について国の財政上の特別措置が講じられることとなっている。

 同法では,強化地域の指定があったときは,関係都道府県知事は関係市町村長の意見を聴いたうえで,避難地,避難路,消防用施設等の17施設等の整備に関する地震対策緊急整備事業計画を作成し,内閣総理大臣の同意を受けることとなっている。このうち消防用施設の整備,木造の社会福祉施設の改築,公立の小・中学校の危険校舎の改築・非木造校舎の補強については国庫補助率等の嵩上げが行われている。

 地震対策緊急整備事業計画については,平成12年3月に地震財特法の有効期限が平成17年3月31日まで5年間延長されたことに伴い,平成13年3月に計画の変更がなされた(計画総事業費約1兆3,361億円)。

d 地震防災訓練の実施

 防災週間の主たる行事として,9月1日の「防災の日」を中心に,東海地震を想定し,大震法及び同法に基づく地震防災基本計画に規定する一連の手続,措置等を重点とした総合防災訓練が実施されている。

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内閣府政策統括官(防災担当)

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