表示段落: 第1部/第2章/4/4-3/(7)


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(7) 津波対策の推進

 津波は,地域特性によって津波の高さや津波到達時間,被害の形態等が異なるため,地域防災計画等に基づき,地域の特性に応じて,海岸堤防や避難路等の施設整備,津波警報伝達の迅速化による避難の的確な実施等の対策が必要である。

a 津波予報の発表・伝達の迅速化

 地震を観測した場合,気象庁は震源や規模等から津波の有無及びその規模を判定して,津波の発生が予想される場合には津波予報を地震観測後3分程度で発表することとしている。津波予測に際しては,津波の数値シミュレーション技術を利用した予測技術に基づき,府県単位程度の66の予報区( 図2-4-3 )に対して,津波の高さ・到達予想時刻を具体的な数値で発表することとしている。

  (図2-4-3) 津波予報区

 発表された津波予報は,予警報一斉伝達装置やオンラインのほか,緊急防災情報ネットワークや静止気象衛星(ひまわり)を活用して,ただちに地方気象台,測候所等へ伝えられるとともに,受信端末を設置している防災関係機関や報道機関にも提供されている。また,それぞれの機関から住民,船舶などに伝達される( 図2-4-4 )。

  (図2-4-4) 気象業務法に基づく津波予報の法定伝達ルート

 海外で発生した大きな津波が日本沿岸まで伝搬し,大きな被害を及ぼすことがある。日本から遠く離れた太平洋沿岸で発生した大地震に伴う津波に対しては,気象庁は米国海洋大気庁の太平洋津波警報センターと密接な連携を取りながら,我が国沿岸に対する津波の影響を予測し,その情報を発表している。

b 総合的な津波対策の推進

 平成11年の津波対策関係省庁連絡会議(国土庁・内閣官房・警察庁・防衛庁・農林水産省・運輸省・海上保安庁・気象庁・郵政省・建設省・消防庁)において,国民の防災意識を向上させ,津波災害を軽減させるための重要課題として,

[1]

 地域に応じた津波防災対策の推進(津波浸水予測図の活用推進)

[2]

 津波予報伝達の迅速化・確実化の推進

[3]

 被害情報の早期評価・把握と防災機関の連携強化

 を確認し,申し合わせを行った。

 このため,平成10年3月に国土庁,農林水産省,水産庁,運輸省,気象庁,建設省及び消防庁が共同して,「地域防災計画における津波対策強化の手引き」を取りまとめ,津波対策強化の基本的考え方,津波に対する防災計画の基本方針及びその策定手順等を示した。

 さらに,平成11年度以降の新しい津波予報を効果的に活用し,事前に地域の津波による危険性を把握するためには,津波により浸水すると予測される区域を事前に地図上に表示することが有効であるため,同手引きの別冊として,国土庁,気象庁及び消防庁が共同して,津波浸水予測図( 図2-4-5 )の作成方法等を示す「津波災害予測マニュアル」を平成10年3月に取りまとめた。

  (図2-4-5) 津波浸水予測図の例

 国土庁(内閣府)では,当マニュアルに基づいた「津波防災マップ」の作成・普及を促進するため,津波浸水予測図の提供を行うとともに,気象庁,消防庁及び都道府県と協力して,防災担当者に対して津波対策に関する講習会を開催した。

 また,国土庁(現内閣府)では,平成11年度から運用された新しい津波予報に対応して,個々の海岸における津波浸水域を予測するためのデータベースの整備を行い,地震被害早期評価システム(EES)により個々の海岸における津波被害を早期に把握するための推計システムを開発し,平成11年度から運用している。

c 海岸堤防等の整備

 沿岸地域の住家等を津波から守るための海岸堤防(防潮堤),防潮水門,湾口防波堤等の施設が海岸保全施設整備事業として整備されており,これらを所管する農林水産省,国土交通省により「海岸保全行政事務中央連絡協議会」が設けられ,事業実施等の調整が図られている。

 また,平成9年度より,津波等による壊滅的な被害を防止するため,これら水門等の一元的な遠隔操作や地震・津波高等の情報の収集監視を行う施設やシステムの整備を行っている。

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