表示段落: 第1部/第2章/2/2-1


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2-1 防災に関する科学技術の研究の推進

(1)

 防災対策を効果的に講ずるためには,災害の未然防止,被害の拡大防止,災害復旧という一連の過程において,科学技術上の知見を十分活用することが重要である。

 このような観点から,長期的な視点に立って,我が国全体として取り組むべき研究開発の目標を明らかにした「防災に関する研究開発基本計画」が決定された。(昭和56年7月決定,平成5年12月改訂)

(2)

 関係機関においては,「防災に関する研究開発基本計画」に基づき,「防災科学技術関係省庁連絡会」(平成9年10月設置)の開催等を通じ連携協力を行いつつ,研究等を実施している。なお,地震に関する調査研究については,阪神・淡路大震災を契機として制定された「地震防災対策特別措置法」に基づき設置された「地震調査研究推進本部」(平成7年7月設置)の方針の下,関係機関が密接な連携協力を行いつつ推進している。

(3)

 インターネット等情報技術(IT)の飛躍的発展が,人と人との関係,人と組織との関係,人と社会との関係を一変させていくものと考えられている。防災に関しても,IT及びそれを基盤としたGIS等は,地震被害早期評価システム(EES)等地震等の災害予知,被害予測手法の開発において重要な役割を果たすとともに,ITを活用して災害に関する情報を収集,伝達,提供することによる迅速かつ適切な災害予防,応急対策のための技術開発が行われ,一部は実用化されつつある。それらの事例として以下のようなものがある。

[1]

 微少な地殼の変化を把握し,地震発生,火山噴火等の予知精度の向上を図るため,人工衛星からの電波を利用して地球上の位置を正確に測定するGPSを活用した地殼等の観測網の整備が進みつつある。

[2]

 防災関係の各機関において,よりリアルタイムに被災状況を把握し,迅速な対応を図るため,ヘリコプターにより撮影した被災現場の映像を地上局に電送するシステムの整備や,通信ルートの複数化等による,災害に強い,高度な情報ネットワークの構築が進みつつある。

[3]

 多くの地方公共団体において,インターネットを通じ,災害対応マニュアル,防災マップ等の災害予防に関する情報の提供が行われている。

[4]

 一部の地方公共団体においては,蓄積した情報の随時読み出しや,双方向の情報のやりとりが可能なインターネットの特性を生かし,

 大規模災害時において,インターネットを通じて避難施設,救援物資,生活関連の情報を提供するシステムの整備

 生存者の情報をインターネットで収集,提供するシステム整備の実験

 市民から寄せられる生活,安否確認等の情報提供を行うインターネット上の伝言板設置

 等が行われている。

[5]

 有珠山及び三宅島噴火等の被災者支援においては,地方公共団体によるインターネットを通じた情報提供が行われる一方,ボランティア団体においても,メーリングリストやホームページの相互リンクによる,インターネットを活用した情報交換が行われた。また,直接救援活動等を行うのではなく,情報収集及び発信の側面で他のボランティア団体を支援する新しいタイプのボランティアも登場した。

[6]

 GISによって整備された地盤,建物等の基盤情報を蓄積するとともに,被災時には各所からの災害情報を総合的に集約することにより,災害予防時における災害対応方針の検討支援から非常時の情報収集,提供までを一貫してインターネットを介して行うシステムの開発も行われている。

[7]

 場所を問わないインターネット接続を可能とする,携帯電話のインターネット接続サービスを活用した防災情報の提供・収集システムの検討が行われている。

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内閣府政策統括官(防災担当)

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