表示段落: 第1部/第2章/10/10-1


表示段落: 第1部/第2章/10/10-1


10-1 雲仙普賢岳噴火災害の復興対策

 政府は,平成3年6月3日に大火砕流が発生し多数の死傷者が生じたことから,同月4日に国土庁長官を本部長とする「平成3年(1991年)雲仙岳噴火非常災害対策本部」を設置し,10回に及ぶ対策本部会議等における決定事項に基づき,21分野100項目に及ぶ被災者等救済対策を実施してきている。

 その後,雲仙岳の噴火活動が停止状態にあり,平穏な状態が続いていること等から,平成8年6月3日に長崎県及び関係5市町村の災害対策本部,同月4日に政府の非常災害対策本部は廃止された。しかし,引き続いて実施中の復興事業があること,また土石流の二次的災害が今後も発生する可能性があること等を踏まえ,関係省庁は,同日に雲仙岳災害復興関係省庁連絡会を設置し,密接な連携の下に地域の安全を確保しつつ復興対策を推進している。

 また,平成12年11月17日には,平成2年の雲仙・普賢岳の噴火から丸10年を迎えるに当たり,「雲仙・普賢岳噴火10年復興記念式典」が執り行われた。

 なお,現在も行われている復興事業等の状況は以下のとおりである。

(1) 砂防・治山対策

 河川流域ごとにまとめた砂防計画基本構想及び治山計画基本構想に基づき,国及び長崎県は,地域の防災,振興,活性化に不可欠な砂防・治山ダム等の整備事業を実施してきている。平成12年度においては,水無川流域における導流提30基(5.2km)の完成等の砂防設備の整備を行うとともに,治山ダム9基等治山施設の整備を推進する。なお,警戒区域のため立ち入りができない地域において実施されてきたヘリコプターによる航空緑化工によって,緑の再生がかなり認められるようになってきている。

 また,中尾川流域においては,平成12年度に千本木2号砂防えん提等の砂防えん提群及び治山ダム1基の建設を,湯江川流域においては,平成12年度に治山ダム1基の建設を進めている。

(2) その他の復興状況

 被災農家は667戸であったが,営農再開を希望していた374戸のうち既に373戸が営農再開済であり,残る1戸も平成12年度に営農を再開し,全ての営農再開希望者が営農の再開を果たした。

(3) 災害対策基金による支援

 長崎県は,平成3年9月26日に,「財団法人雲仙岳災害対策基金」を県の出捐及び貸付により設立した。その後,基金は県からの貸付が平成13年度までに延長され,貸付額も1,000億円に増額されるなどして,平成11年度末までに1,066億円(県の出捐30億円,県の貸付1,000億円,義援金36億円)の規模となった。資金のうち県の貸付分については,地方財政措置が講じられている。

 基金では住民等の自立復興支援,農林水産業の災害対策,商工業の振興及び観光の復興等各般の事業を行っている。

(4) 新たな復興計画の策定及びその推進

 長崎県の島原地域再生行動計画策定委員会は,噴火活動の沈静化と雲仙岳災害対策基金の増額,延長が実現したことを機に,平成8年5月より,官民一体となって島原半島全体を視野に入れた地域の再生対策について検討を行い,平成9年3月31日に島原地域再生行動計画(計画期間:平成9年度から13年度の5か年間,愛称:がまだす計画)を策定した。同計画は,国,県,市・町,民間が連携して取り組んでいく総合的な行動計画で,雲仙岳災害記念館(仮称)の建設等,27の重点プロジェクトを柱とした335の事業を展開しており,平成12年には島原復興アリーナが完成するなど,計画が進展している。

所在地 〒100-8914 東京都千代田区永田町1-6-1 電話番号 03-5253-2111(大代表)
内閣府政策統括官(防災担当)

Copyright 2017 Disaster Management, Cabinet Office.