表示段落: 第1部/第1章/4/(1)


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(1) 人間活動により影響を受ける自然環境

[1] 地球の温暖化に伴う災害

 人類の諸活動に伴い大気中に排出される二酸化炭素等の温室効果ガスにより,地球規模での気候変動が生じつつある。いわゆる地球の温暖化現象である。気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第3次評価報告書(2001年4月)によれば,21世紀中に全地球平均表面気温は1.4〜5.8℃上昇するものと見込まれている。その結果として,大気の対流活動が活発化し,豪雨の頻度の増加による洪水,地滑り,泥流の発生,台風等の最大風力,最大降水強度の増加,エルニーニョに関連した干ばつや洪水といった自然災害が増加するとしている。また,同時に海水の熱膨張や氷河,氷原の消失により,9〜88cm程度海面が上昇し,モルジブやマーシャル諸島等の沿岸低地居住者は移転を余儀なくされると予測されている(参考:http://www.ipcc.ch)。

 平成13年2月,国連環境計画(UNEP)は,このような予測に基づき,直ちに対策が講じられない場合には,台風等の頻度の増加,土地の水没,漁業・農業等への影響により,世界で年間約3,000億ドルの被害が出るとの試算を公表した。

 我が国においても,海抜1m以下の地域に居住する人口は大都市圏を中心に475万人に上っており,集中豪雨による洪水や海面上昇の影響を受ける可能性が高い。将来的な変化の動向の的確な把握とその対応について今後十分に検討する必要がある。

[2] ヒートアイランド現象の進行

 大都市においては,緑地の減少による水分蒸発量の減少,建築物の高層化・高密化に伴う廃熱量の集中と増加等により,中心部の気温が周辺部より高くなる「ヒートアイランド」現象が現出している。地球の温暖化により,このような現象がさらに顕著になるものと考えられる。上述のIPCC報告書は,ヒートアイランド現象により人口1,000万人以上の巨大都市では,雷,集中豪雨,雹を伴う巨大都市特有の気象パターンが出現するとしており,現在の都市構造では十分対応できないような局地的集中豪雨の発生の可能性もある。我が国の場合,すでに東京等の大都市で時間雨量100mm前後の集中豪雨が多くなっており,今後,十分な観測・原因分析と対策の検討が必要となろう。

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