表示段落: 第1部/第1章/3/3-1/(1)


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(1) 災害の状況

 有珠山では,平成12年3月27日午前から火山性地震が次第に増加し,28日からは山麓で有感地震や低周波地震が増加していった。気象庁は,29日11時10分,「今後数日以内に噴火が発生する可能性が高くなっている」旨の緊急火山情報を発表した。このような中,政府は,同日11時30分に官邸において関係省庁局長等会議を開催,現地では事前に作成・公表されたハザードマップをもとにして,同日13時30分に避難勧告を発令し,同日18時30分には避難指示に切り替え,30日までには住民避難をほぼ完了した。31日には,小有珠の亀裂,洞爺湖温泉の断層群及び洞爺湖から虻田町に抜ける国道230号沿いに新たな亀裂が確認され,同日13時07分頃,有珠山は西山山麓で噴火した。4月1日には,有珠山北西側の金比羅山西側山麓から新たな噴火活動が始まり,5日,西山西麓で段差約10mの陥没地形を形成していることが確認された。

 噴火活動は5月以降次第に低下し,噴火活動は終息に向かっているが,周辺へ噴石を飛散させる爆発など,火口から500m程度の範囲に影響が及ぶ噴火が発生する可能性は当分続くと考えられている。

 この噴火災害では,最大で15,815人が避難指示・勧告の対象となったものの,噴火前に迅速な避難が行われたこと等により,人的な被害はなかった。その後火山の活動状況を見ながら順次避難指示・勧告は解除され,7月28日には,202世帯378名を除き避難指示・勧告は解除された。他方,電気,水道,電話,下水道,道路,鉄道,文教施設等は,火山噴火による地殼変動や泥流等により,大きな被害を受けた。電気・水道・電話については,延べ3,065戸が停電,延べ5,085戸が断水となったほか,商用電源の停電によりNTTビルが運用停止するなどの被害が発生した。下水道については,下水道トンネルが破壊され,洞爺湖温泉地区の下水処理ができなくなるなどの被害を受けた。道路については,道央自動車道,国道230号,国道453号等が地殼変動や噴石・泥流等による被害を受けたほか,多数の主要幹線道路が通行止めとなった。特に一般国道230号は本線上に噴火口が発生するなど,大きな被害を受けた。鉄道も火山活動の影響により,室蘭本線が線路屈曲等の被害を受けたほか,運転休止や臨時ダイヤ運行を余儀なくされた。また,小学校,中学校,高等学校等の文教施設も亀裂や泥流流入等の被害を受けた。

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内閣府政策統括官(防災担当)

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