第2回記者発表


記者発表資料
 
中央防災会議「今後の地震対策のあり方に関する専門調査会」(第2回)議事概要について
 
中央防災会議事務局(内閣府(防災担当))
   
1. 専門調査会の概要
  日時: 平成13年10月24日(水)15:30〜17:30
  場所: 経団連会館10階「ルビールーム」
  出席者: 片山座長、亀田、河田、櫻井、白土、松岡、森下の各委員
松下副大臣、高橋政策統括官(防災担当) 他
   
2. 議事概要
   事務局から前回の審議内容等について説明があった。
 その後、前回に引き続き、検討すべき事項、改善すべき事項等を中心に議論を行い、各委員からは以下のような意見等が出された。なお、詳細な議事録については後日各委員の確認を経て、公表の予定。
 各県が個別に個々の事情で自衛隊等に派遣要請することになっているため、県域を越える広域的な災害が発生した場合、人員を適正に配置することができず、災害全体として効果的な支援となっていない。
 百貨店等の集客施設や学校施設をはじめとして、施設の耐震化が遅れている。また、住宅の耐震化については、なかなか進まない住宅全体の耐震化ではなく、早急に一室だけでも耐震化して安全な空間を確保することを考えるべき。
 地震防災対策への国の支援については、地震が発生してからの復旧・復興対策を重視して資金を投じるべきか、地震が発生する前の予防対策を重視して資金を投じるべきかなど、一連の地震防災対策の流れの中のどの時点で重点的に資金を投じるのが効果的なのかを検討すべき。
 住宅の損壊などの被害を受けた直接の被災者に対する支援は行政により対応がなされるが、直接の被害は免れたものの、電気・ガスの供給が途絶えたり、食糧等が不足するその他多くの者に対する支援策が必要であり、民間を主体に考えるべき。行政は、民間が主体となって行う支援策が円滑に推進されるよう、環境整備を進めるべき。
 企業防災の整備が遅れているように見受けられる。建物被害だけでなく、生産ラインが停止した場合の経済的被害を想定した対策や多数の帰宅困難者への対処等についても十分な検討が必要。また、平日に地震災害が発生した場合、企業の施設や敷地は貴重な避難場所になるとともに、従業員による地域の救助活動が可能となるため、事前の地域住民との連携が必要。
 国と地方公共団体が個々に被害予測等の情報システムを整備しており、互換性がないなど非効率。システム全体のあり方や効果的な技術開発の検討が必要。
 防災機関が整備を進めている防災情報システムについては,バックアップの確保やセキュリティの再点検が必要。
 インターネット等を活用した情報提供については、地方公共団体等による正確な情報提供と、NPO等の迅速ではあるが正確さに心配が残る情報提供をうまく使い分けるべき。そのためのNPOの育成も必要。
 公衆電話については、収支の問題から減少しているが、災害時の有効性が再認識されてきており、活用策を検討すべき。
 学校については、今後2〜3年以内に、高速インターネットが整備される。これを災害時に電話回線に切り替える(災害用電話として利用する)ような工夫も検討すべき。
 土地利用に関する規制・誘導については、防災上の安全性を踏まえつつも、経済活動を阻害しないような持続可能な社会システムが形成されるような施策を検討すべき。
 土地利用規制については、法制度等を作っても実効性が上がらないものでは無駄であり、災害危険情報を不動産取引の際の重要事項説明に追加する等、情報提供を通じた誘導策の方が現実的な場合がある。
 ハザードマップ等による災害危険情報の公開を推進すべき。その上で、土地、建物の価格決定システムを災害危険情報等を考慮したものへと変えていく必要がある。これによって、防災上の危険性がある土地については、地価が安価であるため、建物の耐震化等に資金を投入することにより、防災面での安全性の確保が可能となる。
 防災教育については、教師の理解を高めたり、効果的な教材の整備が必要。また、学校教育のカリキュラムに取り入れ、年少時から教育を施すべき。
 洪水対策のように施設管理者がいるわけではない地震災害の場合、どこまでが行政の責任であり、どこからが自己責任なのか、防災の基本理念の構築が必要。その上で、国と地方公共団体の役割分担を明確にし、さらに、両者の効果的な連携方策を検討すべき。
 土砂災害の場合、危険箇所を調べて、地域防災計画に危険な区域であることを定めて、地域住民に周知するように地方公共団体に通知したが、住民への周知が不十分であるため、予見されているのに対策をしなかったと裁判で訴えられ、敗訴している。こうした状況を踏まえ、あまりにも危険な場所に住んでいる住民に対してまで行政責任を負うことはできないとの考え方により、土砂災害法によりそのような区域に規制をかけることになった。地震防災の場合は、どのような場合に同様の行政責任が問われるのか研究が必要。
 これまで行政があらゆる分野について対策を講じようとしてきたが、今後は、災害への対処については、自己責任を原則として考えるべき。その上で、行政による公助が対応できる範囲を明確にし、自己責任に委ねる範囲との間の一定のルール作りが必要。また、国民の危機管理意識が低下しており、その向上を図ることが必要。
 
 
 
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