中央防災会議「東海地震に関する専門調査会」(第8回)議事概要について


記者発表資料
 
中央防災会議「東海地震に関する専門調査会」(第8回)議事概要について
 
中央防災会議事務局(内閣府(防災担当))
   
1. 専門調査会の概要
  日時: 平成13年9月21日(金)13:30〜15:30
  場所: 虎ノ門パストラル 「橘の間」
  出席者: 溝上座長、阿部、安藤、入倉、岡田、河田、坂本、島崎、杉山、中埜、松田、翠川の各委員、
高橋内閣府政策統括官(防災担当)、内池気象庁地震火山部長他
   
2. 議事概要
   前回までの議論に提示された東海地震の想定震源域案や、地震動や津波を解析する際の基本的な諸条件を、もとに、強震動や津波の解析手法の評価のために、経験式や安政東海地震等の震度分布、津波分布との比較を行った。まず最初に事務局より、資料の説明を行い、委員間で以下のような意見交換を行った。なお、詳細な議事録については後日各委員の確認を経た後で公表の予定。
 強震動分布の解析を行う前提として、震源モデルを応力降下量一定にするモデルか、断層変位量を一定にするモデルにするかは、それぞれ合理性があり、既往地震との整合性を見て選択していくべきだろう。
 地震動に対する地盤の非線形性を考慮した応答解析については、線形・等価線形・非線形の各々の特性が連続的に適用されるような特性が望ましいが、この点については今後、検討していくべきであろう。
 従来の手法では、非線形性が強く効き過ぎる傾向にあるので、パラメーターの与え方等について、感度分析するなどを通じて検討していく必要があろう。
 地形・地質学的な観点で言えば、応力降下量一定のモデルも物理的な観点での合理性があるが、変位一定のモデルの方が沈み込むプレートの浅い方のすべり量が大きくなることなど、現象面により近いのではないか。
 安政東海地震による検証の際には、震度分布等による突合せだけでなく、地殻変動の面においても行うべきではないか。
 津波は断層が付置するケースがあるなど、必ずしも強震動分析と津波分析で同一の震源モデルを用いる必要はないのではないか。
 安政東海地震だけでなく、1944年の東南海地震によっても突合せを行ってみてはどうか。
 江戸時代と現代では建物強度は著しく異なっていると考えられるが、安政東海地震の震度分布はどのようにして決められたのかは確認しておく必要があるのではないか。
 20年前の東海地震モデルと比べると断層変位は今回の仮定の1.5倍、また過去の津波の観測値と今回の計算値との乖離も1.5倍であることから、断層変位量を1.5倍すべきではないか。
 防災上の観点でいえば、津波波高が高いところの実測と計算値との整合性を重視すべきである。
 津波を考える際には、津波到達時間や第何波が最も大きいかを把握することも重要なファクターである。
 これらは、避難を考える際に重要なファクターとなる。
 南海地震の観測事実からいうと、駿河湾内では津波の多重反射が起き、時系列的な波高特性が複雑になるので注意が必要である。
 地形・地質学的にみれば、断層変位量はもっと大きくてもよいように思える。
 津波については、以前の津波の再現ばかりにウエイトを置くと、試算値が安全情報となりかねないのではないか。
 本計算の際には、周期が1秒以上の長周期波形についても十分に検討を行うべきだ。
 今後の方針としては、以下のような点を整理し、対象地域全体の評価を行う。
  1. 地震動分析については、安政東海地震の震度分布を参考に手法をつめていく、
  2. 地盤の非線形性状のパラメーターについては適切な感度分析を通じて検討する、
  3. 津波については今回の試算が過小評価ではないかとの指摘があるため、断層変位量等を検討する、
  4. 地殻の上下変動量について観測結果と計算との比較を行う
 
 
 
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