1. 東海地震に関する知見のこの20数年間の進展


1. 東海地震に関する知見のこの20数年間の進展
 
1. 地震観測網の充実により
1)
震源決定可能下限マグニチュードの向上、震源決定精度の向上
  山崎・大井田(1985)、Ishida(1992)、野口(1996)、原だほか(1998)などにより沈み込むフィリピン海プレートの形状についての理解が進んだ。
    ・沈み込みのdip angleは約15°
・沈み込み最大傾斜は駿河湾からは西、遠州灘からは北。中間に谷状の形状。
2) 発震機構解計算可能な地震数の増大、主軸方向の信頼度の向上
  松村(1996)の解析に利用できるP,T軸データベースの充実
地震活動から見た「固着域」概念の導入
 
2. GPS観測網の整備により
 日単位で生産される座標時系列から、面的な3次元変位ベクトル場の解析が可能に。
 

Yoshioka et al.(1993)、Sagiya(1999)による、地殻変動から見た「バックスリップ」分布の解析

  これらはinter-seismicな現象の解析。
 「固着域」と「バックスリップの大きな領域」との間には、今のところ、ずれが見られるが、観測データに基づいて、プレート間「カップリング」の強い領域の推定が行われるようになった。
 また、様々な地震の震源過程解析(地震波形インバージョン、津波波形インバージョン)からも、断層面上のすべり分布の非一様性が確かめられている。 
 
3. 断層面での物理過程を採り入れた地震発生サイクルに関するシミュレーション解析の進展により
 岩石破壊実験から導かれた摩擦構成則に冠するモデルを用いて、プレート沈み込み帯での巨大地震発生のシミュレーション解析が行われるようになった。
 

加藤・平澤(1996)、破壊核の形成から高速破壊にいたるまでの松浦・芝崎モデル、その他、黒木、伊藤、吉田(2001)の3次元モデル。

 これらを参考にした、短期直前予知のための地殻変動観測点増強プランの策定。
 
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