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EPCF
※「国土庁防災局」は、2001年より、「内閣府(防災部門)」になりました。
被害の予備査定、必要情報並びにスタフォード条例
(Stafford Act)
 

 どの地域が被害甚大であるか(予測・観測とも)必ず知らねばならないが、それだけでは重大な不明点が数多く残ったままなので不十分だ。被害甚大地域にはどういった施設があるか、病院・学校・消防署の数はいくつか、なども知らねばならない。

 GISはこの情報を提供する。GIS地図には、全種類の施設に関する全情報または特定施設の特定情報がある。データが多すぎると地図が情報であふれてしまうので(重なり合いが多くて下にあるデータのじゃまになる程度)、データ量を制限して載せる方が賢明な場合が多い。

 例えば、医師団には病院やクリニックのみが載った地図が必要かもしれないし、消防士は消防署、水道本管、危険障害物のみが載ったものが欲しいかもしれない。こうした具体的なニーズに沿って仕立てられた、様々な地図が作成されるのである。緊急対応部隊が、消火や崩壊した建物に閉じこめられた人々の救助のために現地入りする際の安全ルート情報の他に、負傷者の避難ルートや施設に関する情報もある。

 交通状況の情報は、主要インフラ設備や施設情報に類似する。HAZUSが被害予測を出し(例:橋や高速道路の損傷予測)、リモートセンサーが被害観測を発表し(実際の橋や高速道路の損傷)、GISは両方を表示した地図を作成することができる。

 交通情報には、空港、幹線道路、主要な橋、鉄道、港施設、避難ルート、公共交通システムやパイプラインに関する詳細も含まれている。

 交通システムの分析の際は、被災地へアクセスしやすいかどうか、また主要道路や橋の障害物が問題になるかどうか見極める。

 この情報が利用可能になると、FEMA情報計画セクションがそれを検閲、実証して緊急対応部隊に配信する。そこで、被災地への入り方の決定に使われるのである。

 例えばHAZUSか航空調査が主要な橋が被災地で倒壊したり、避難者の殺到で潰れたりしているのを発見しても、空港がまだ使用可能なら、対応部隊は飛行機やヘリで被災地に入ることもある。

 しかし、空輸できる機材や人員は非常に限られている。このため、はるかに大規模な対策部隊を収容できる港や鉄道施設の状況分析がされることになる。

 

通信状況
 
被災地での通信に関しては、あまりに範囲が広いので、どんなに情報があっても不十分である。この論文では、地震後の緊急対策活動に必要な、重要通信情報について手短に触れることにする。 電話通信は、被災者と救援部隊とをつなぐのに、欠かせないものである。この分野の第一課題の一つは「どの通信施設が地震後生き残ったか?」ということである。これが分からないと対策は立てにくい。生き残った通信の強みを生かして被害者に警報を出し、緊急対応部隊を支援できるからである。

 例えば、どのラジオ局が生き残っているか分かれば、緊急医療チームは緊急医療に関する重大情報、水の消毒、急患救助の所在地その他の情報を、電池ラジオが聴ける被災者に流す事ができる。

 携帯電話がつながるかどうかも、多くの緊急対応部隊にとって役立つ。隊員が内部で連絡を取りあったり、被災地で他の部隊と連絡をとったりできるかもしれないからである。

 通信システムが壊滅的打撃を受けると、現地に大量の携帯通信機器が空輸される。逆に通信システムがほぼ無傷なら、空輸は他の重要物資や人員用に使われる。無傷なシステムとそうでないものを見分けることが重要であり、FEMAの情報計画セクションは、緊急対応部隊が利用可能なものを全て利用し、さらに必要なものは何でも要請できるよう、データを供給せねばならない。

 被災者へ緊急情報を伝えるためには、地震情報収集計画はまず、ラジオやテレビ、電話塔や電話線を含む通信サービスの状況に関する情報を検索する。

 機能しているかどうかが、使おうとしてみて初めて分かるという点で、ラジオ局やテレビ、電話システムは独特である。スイッチをつけるとテレビやラジオから放送が流れてきたり、電話がつながったりすれば、システムは少なくとも部分的には機能していることになる。

 しかし、こういった方法で収集される情報は、頼りない場合がある。ラジオ局やテレビ局は2時間機能しても、発電器の燃料がなくなると断絶してしまうかもしれない。携帯電話や電話線でつながっている電話も、脆弱化した通信塔がついに倒壊すれば、突如不通になるかもしれない。

 したがって、通信システムの状況判断には、予測並びに観測情報源がまだまだ有効である。

 通信システムの状況判断において、信頼性のあくアプローチは通信サービスを供給する公益企業に連絡を取り、システムの状況を教えて貰うことである。FEMAはこうした通信に関する情報は、他の連邦機関、国家通信システム(National Communication System-NCS)に依存している。

 NCSが通信システムの状況を情報計画セクションに流すと、その情報は無数の対策機関に送られる。そこで消火、捜索救助、緊急医療その他の対策のための更なる通信の必要性が判断される。簡単な分析では、必要情報のさわりに触れただけに過ぎないが、緊急対策に役立つ情報の分野を判断する手始めにはなるだろう。

 

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