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※「国土庁防災局」は、2001年より、「内閣府(防災部門)」になりました。
カリフォルニア州における地震のゆれと地震被害に関する情報収集
 
 カリフォルニア州における地震のゆれと地震被害に関する迅速な情報収集と、伝達システムについていくつか報告をする。南カリフォルニア地域におけるマグニチュード7.1のヘクターマイン地震から得られた結果を報告する。
 

TRINETの「シェイクマップ」
 
USGS、カリフォルニア工科大学並びに鉱山・地質局カリフォルニア支部は、これまで使用してきたTriNet - 南カリフォルニア地域における新型地震計測システム - を、引き続き使用する予定である。多目的ネットワーク、TriNetは、地上の地震動を記録分析し、その情報を迅速に伝達する。これによって我々は地震とその影響についての理解を深め、建築基準と構造設計の改善をはかり、他の機関と協力して緊急時の対策を立てる事ができるのである。

 1999年10月の時点で、USGS-Caltech のリアルタイムのオンライン観測所が120、CDMGのダイヤルアップ観測所が130近くあった。向こう3年以内には合計で約670のTriNetの強震動観測所が存在する事になる(Mori他 1997年参照)。ゆれの直後一分以内に地震動のパラメータがネットワークのUSGS-Caltech部分から出され、数分以内にはCDMGが出す主要なnear-sourceのほとんどが出来る。ゆれの後約30分以内に、より完全なCDMGデータが出来る。最初の地図はTriNetのリアルタイム構成種目のみで作られているが、データ量が増えるに伴い自動的に更新されていく。観測所からのパラメータのデータには地表最大加速度 (peak ground acceleration-- PGA)、地表最大速度(peak ground velocity--PGV)、レスポンス・スペクトル最大値(at 0.3秒、1秒及び3秒)が含まれている。

 TriNetの重要な製品の一つが「シェイクマップ」である。器機による地震動と震度分布の地図が迅速に(3-5分で)作成されるのである。これは、記録された地表振動のパラメータと震度予測値の関係が新しくなるのと合わせ、リアルタイムの地震計データ取得の進歩によって得られる(ワルド他1999a)。南カリフォルニア全域における震度は、測定された地表地震動を用いて、振動数と振幅に基づく地理的な修正を行い空間的補間によって推定される。南カリフォルニアに大きな地震が発生すると、マップ関連のものが自動的に作成される。(詳細はワルド他1999b参照)

 作成される地図は、地震後数分以内にインターネットを通して一般および科学研究用に公開される。我々はカリフォルニア州の緊急サービス事務所(OES)と協力して、緊急対策機関と主要なシェイクマップユーザーとの通信を研究開発している。OESはLotusNotesシステムをベースにした対応情報管理システム(Response Information management System : RIMS)を通してシェイクマップを配信する。加えて、シェイクマップ表の地上動の分布は既存のツール(HAZUS とEPEDAT)を使い、被害推定のための手掛かりとしてOESに送られる。TriNetは主要施設への影響を調査し、地震後の対策に役立てるために、シェイクマップのデータファイル実用配信の試験も行っている。

 TriNetシステムは最近では1999年10月16日の、マグニチュード7.1のヘクターマイン地震でテストされている。この地震は幸いモジャイブ砂漠から離れた所で起きたため、被害、負傷者ともほとんどなかったが、ネットワークを試す良い機会であった。これは人口が点在している地域での地震だったため、近隣地域の地震観測所も少なくまばらだった。事実、停電や通信機能の断絶により、近隣の観測所がすぐに報告を行えない事のある都市での地震、という状況下でのシェイクマップの働きを試す事ができた。

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図1. 1999年カリフォルニア州ヘクターマイン地震のTriNet地図
三角形は観測所の位置を表す。震源は星印で、輪郭線が最大地表速度をcm/秒で示す。赤線が断層、黒線は高速道路を示す。

  TriNetリアルタイムシステムは地震後1分以内にマグニチュード(エネルギーマグニチュード)7.0を決定し、4分以内にシェイクマップを作成、配信した(図1、2参照)。初めは、震源地周辺地域のシェイクマップの地表振動は、震源位置から逆算した地表振動から推定された。後に断層規模についての情報が入る時点(余震や震源亀裂モデル、観測された地滑りの形で)、断層の位置と規模は震源地周辺地域の地表振動を推定するためのベースデータとして利用された。

 

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