細野防災大臣・復興大臣記者会見録[令和8年11月2日]
令和8年11月2日(月)10:00~11:10 於:中央合同庁舎8号館5階防災庁会見室
発言要旨
「本日、防災庁設置法施行に伴いまして防災庁が発足をいたしました。準備に当たられました赤澤大臣、そして牧野大臣、さらにはアドバイザー会議の皆様にも大変な御協力をいただきました。関係者の皆さんに感謝申し上げたいと思います。
それと同時に、防災庁設置準備室ということで、多くの国家公務員、官僚の皆さんにも準備に奔走していただきました。そうした皆さんの思いをしっかりと受け止めた上で、国民の皆さんの期待に応える防災庁、私が防災大臣ということになりましたので、その役割をしっかりと果たしていきたいというふうに思っております。
先ほど閣議におきまして、防災副大臣には金子道仁議員が就任をされました。また、防災大臣政務官には大西洋平議員が任命をされました。3人の政務の体制になりますので、しっかりと連携をしてやってまいりたいと思っております。
また、防災庁事務次官には、長橋和久氏が任命をされまして、防災庁の幹部についても体制が整いました。官僚の皆さんも含めて連携をして、しっかりと体制を整えた上で国民の期待に応えてまいりたいというふうに思っております。
防災庁の長は高市総理であります。そこは、これまでの内閣府で仕事をしてきたものとは全く位置づけが変わるわけです。内閣に直結をする、トップを総理とする組織が立ち上がり、私は総理を補佐し、そして、その中でしっかりと実務を担ってまいりたいというふうに思っております。
この防災庁設置に当たりまして、ミッションを定めることといたしました。これは、私自身が防災の担当大臣を希望する中で、少なくとも防災庁の中の職員の意識を方向づけ、明確にし、そして国民の皆さんにも、防災庁というのは何のために存在をするのかというのを明らかにすべきだと考えましたので、しっかりとミッションを定めるということにいたしました。
ボードに出ておりますが、国難級の大規模災害においても国民の生命、身体、財産を守り抜くため、災害対応の司令塔として我が国の防災体制を強化し、世界一の防災大国を目指すといたしました。
ここで私がこだわったのは、国難級の大規模災害というのをまず明確にミッションとして位置づけるべきだということでございました。率直に申し上げて、私が大臣に就任をした当時は、この意識というのは、内閣府防災の中で薄かったと思います。
ただ、私がこの大臣の役を高市総理から任命されたのは、こういう国難級の災害にしっかりと向き合う、その指揮を執るという役割を与えられたと私は考えております。といいますのも、私が希望した東日本大震災の経験、それをしっかりと生かしていきたいという思いを総理は受け止めていただいたと。
加えて、今回、私が防災大臣と復興大臣を兼務することとなりました。それは、東日本大震災の経験を蓄積してきた復興庁のノウハウというものを、復興庁の思い、経験、様々なものをできる限りしっかりと防災庁で引き継いでいくということにあるというふうに思っています。
そこで、この国難級の大規模災害というのを冒頭に据えることにいたしました。言わばミッションですから、防災庁のDNAにこの大規模災害というのを刻み込むということをしたわけであります。
大規模災害で我々が明確に意識をしなければならない第一は、南海トラフ地震だというふうに思います。また、首都直下地震というのも常に我々は備えていかなければなりません。
特に南海トラフというのは、実際に起こった場合には、国家の命運をかけた闘いになるというふうに思います。逆に言うならば、その克服に失敗した場合は、我が国として、国家としての没落は避け難い、それぐらいの危機的な状況だというふうに思います。防災庁は、その国難ともいうべき南海トラフが起こった場合に司令塔に立つわけですから、その自覚を持ってしっかりとその役割を果たしていきたいというふうに思っております。
また、そのミッションを実現するために基本理念を定めております。平時における事前防災の推進の徹底、そして、実際に発生をした場合においては、生命、人権の保護、さらには、発災後の早期の復旧・復興を成し遂げると、言わば事前防災から事態対処、復旧・復興まで一貫した体制をつくるということです。そして、これまで必ずしも十分蓄積をされてこなかった過去の経験や教訓を継承し、未来に備えることを防災庁の基本理念といたします。
また、防災というと、守りというイメージが強いかと思うんですけれども、攻めの防災庁もしっかりと目指してまいります。具体的には、防災産業をしっかりと振興していくことによって経済成長にも貢献していく。さらには、日本の防災の経験というものを世界にしっかりと伝えることで、国際防災協力にもしっかりと打って出る、こういう体制をつくることを理念として掲げております。
また、その実現に向けて、防災庁の職員一人一人に取っていただきたい行動の5原則についても定めることといたしました。今日、辞令交付をこれから私はいたしますが、全ての防災庁の職員には、この5原則というのを、この行動原則というものを直接手渡して、しっかりとそれぞれの胸に刻み込んでもらいたいというふうに思います。
具体的には、人命、人権最優先の行動、これが最も表れるのは、避難所における対応だというふうに思います。この後、防災庁の職員の皆様にも直接話をいたしますが、避難所に自分が入ったときにどう考えるか、若しくは、自分の子供や若しくは両親が避難所に行ったときに、その食事で果たしてしっかりと納得できるかどうか、さらにはそのトイレを使えるかどうか、それぐらいの意識でやらないと避難所の在り方は変わらないというふうに思います。
次に、俯瞰的・横断的に物事を捉える、これは防災庁の役割ですけれども、防災庁ができた以上は、縦割りというのは許されません。また、どこの省庁が担当するか分からない中で課題が抜け落ちるというようなことは許されません。そういう体制をつくる。
さらには、あらゆる関係者をつなぐということでございまして、これは、各省庁もありますし、自治体もありますし、NPOなどもあるし、民間企業もあるし、様々な主体をつなぐ意識を持ち、特に各省庁に対しては勧告権も持ちますので、その勧告権を持つということを踏まえて様々な要請をしていくということでございます。
また、4点目の戦略的な情報発信、ここで情報発信体制も刷新をいたします。しっかりと国民の事前防災、事態対処、復旧・復興も含めて、国民の皆さんから見たときに信頼できるような情報発信に努めてまいりたいというふうに思います。
また、言うまでもありませんが、最後に、絶え間ない専門性の向上、DX化も含めて防災体制というのは日進月歩、変わっていかなければなりません。それにしっかりと適応したそれぞれの皆さんのレベルアップというものを求めていきたいというふうに思います。
この基本理念と行動原則を基に、職員一人一人がしっかりとその能力を発揮できるような体制というのをつくっていきたいというふうに考えております。
また、本日、国民、地方公共団体関係者に対して緊急要請を発出いたします。防災庁は、先ほど申し上げたとおり、南海トラフをはじめとした国難級の災害に正面から向き合います。そして、国民を守り抜くという強い決意を持ってその体制を構築します。
ただ、実際に災害対応ということを考えたときに、政府だけでは、防災庁だけではとても対応できない厳しい状況になるということも、しっかりと皆さんにお伝えをしていかなければならないと考えております。
そのためには、各省には、当然動いていただかなければなりませんし、また、都道府県を含めた、基礎自治体の皆さんも含めた、それぞれの地方自治体の皆さんにもしっかりと対応していただかなければならない。そして、国民の皆様にもしっかりと行動していただきたいというふうに思います。繰り返しになりますが、防災庁は、国民を守るために全力を尽くします。
しかし、万が一、国民の皆さんの中で、防災庁ができるから、もうその防災庁に頼ればいいのではないかとか、いわゆる政府、行政に頼っておけばいいのではないかという、そういう気持ちが生じるとすれば、むしろ我が国の防災力を大きく損ねることになってしまいます。それを避けるために、国民の皆さんにも要請をさせていただきます。
まず、自宅の耐震診断、さらには家具の固定、これは、それぞれの皆さんが行動していただかなければ実現することができません。水、食料、携帯用トイレの備蓄、水はかなり備蓄をされている方が多いようですが、トイレの用意などは、まだまだ十分に行き渡っていません。政府も全力を尽くしますが、家具の固定であるとか水とかトイレの用意とかこういったところは、それぞれの御家庭で用意していただかなければ行き届かせることはできませんので、是非お願いしたいと思います。
また、ハザードマップの確認、避難場所、避難経路の確認、さらには、そういう避難所に行く場合の非常持ち出し品の準備、こうしたものについても改めて徹底をしていただきたいというふうに思っております。
次に、地方公共団体への要請をいたします。基礎自治体も極めて重要ですが、今回、要請対象は都道府県といたしました。基礎自治体には、それぞれ相当の力の格差があります。それをしっかりと把握した上で、いざというときには、それをサポートする体制を都道府県には取っていただかなければなりません。
これまでの反省を踏まえるならば、やや私は、基礎自治体に頼り過ぎていた部分があるのではないかと感じております。もちろん例えば大雨が降って一時的な避難をお願いしなければならないような体制については、基礎自治体にしっかりと対応していただかなければならないと思います。ただ、もちろん水害というものに関しても、規模が大きくなれば市町村として対応し切れません。
また、2年前に起こりました能登半島地震、さらには、今年の夏に起こりました熊本地震、自治体によっては、対応に相当困難を来したところも出ておりました。そうした規模の災害になったときには、より都道府県の役割は大きいと考えます。
また、南海トラフや首都直下ということになると、当然、国の役割が大きくなるわけですが、その際も、都道府県にはしっかりと自治体をサポートしてもらわなければなりません。
その意識をそれぞれの都道府県にしっかりと持っていただきたいということも含めて、今回、防災庁として都道府県に要請を出すことといたしました。
まず、防災人材の育成ということです。既にこれまでも内閣府では、内閣府防災の時代から研修制度を設けております。防災スペシャリスト養成研修というのをやっておりまして、私も内容を確認しましたが、非常に優れた内容です。防災についての国の仕組みや避難所の運営も含めて専門的な能力を皆さんに身につけていただける自治体の職員向けの研修ですが、全国の基礎自治体のうち、この研修を5年間で受けた自治体は49%、半分の自治体はそれを受けていません。都道府県にもう一度、それぞれの市町村の状況を確認していただいて、この研修を受けるように勧奨してもらいたいというふうに思います。
次に、避難生活の改善、一例を挙げますと、想定される避難者の数、それが受け入れられる避難所の数を確保している都道府県は、47のうち30にとどまります。逆に言うならば、17の自治体は、避難所の数が確保できていません。早急にそこは、改善をしていただかなければなりません。
また、災害中間支援組織ですが、これが様々なNPOやボランティアの皆さんに参加をしていただくときの窓口になりますが、この中間支援組織についても、47の都道府県のうち実際に指定して、そして協力関係が確立をしているところというのは、28にとどまります。60%、40%の都道府県は、その連携というのが確立できておりません。
また、極めて深刻なのは、個別避難計画の作成でございます。先ほど国民の皆さんにもハザードマップの確認を含めた行動をお願いいたしましたが、そうした中には、例えばお年寄りでなかなかすぐに移動できないであるとか、さらには、障害を持っておられて支援が必要であるとか、そういう方々というのはおられるわけです。そこは、政府として責任を持ってお助けするということをやっていかなければならないわけです。
その基礎となるのがそれぞれの皆さんの個別避難計画なんですが、この作成割合は、全国で僅か15.1%となっておりまして、ほとんど作成をできておりません。それぞれの自治体でやっていただくしかないわけです。災害のケースマネジメントのことにもなりますので、それについては最優先でやっていただきたいということで、市町村と連携をして、都道府県に点検をした上で動いていただきたいということで要請を出させていただきます。
3点目ですが、各府省庁への要請です。防災庁は総理をトップとします。そして、総理の権限というのを背景に、私、防災大臣が各省庁に対する勧告権を持ちます。私は、それを抜かずの宝刀にするつもりはありません。抜かずに置いておくつもりはありません。必要なときには、この勧告権を行使いたします。
もちろん勧告権というのは、しっかりと事前に様々な要請をした上で、なお必要なときに出すべきものでございますので、今回、各省庁に緊急要請を出すという形をまず取らせていただくことといたしました。
それぞれのBCPの点検、見直し、トイレや、先ほど国民の皆さんに求めたそれこそ水、食べ物も含めた災害時の準備、さらには、実際に仕事を継続するということになると、緊急参集要員というのをしっかり確保するということも必要になる。各省庁がそれができなければ政府として機能しません。もう一度、そこを総点検、要請したいというふうに思います。
また、南海トラフ地震において取り組むべき課題というのは、もう既に明確に明示をされておりますが、その進捗状況についても確認をするように要請をいたします。
また、社会経済活動を維持するためには、それぞれの企業や団体の皆さんにもしっかりと準備をしていただかなければならないわけですが、それもまだまだ十分ではありません。
各省庁には、所管の業界団体や企業について、BCPの策定や、さらには、その実効性の確保がどの程度なされているのかということについて確認をするよう要請をいたします。
都道府県、さらには、各府省庁には、年末までに取組の進捗を報告していただくということにいたします。都道府県には、特にそれぞれの市町村の取組についても併せて報告を求めます。
そして、その要請の報告の結果については、公表したいというふうに考えております。結果に応じて、これはどうしても必要だということで判断をした場合には、再要請も行います。さらには、各府省庁に対しては、勧告の行使も考えていきたいというふうに思っております。
こうした初日に緊急要請を出すということについては、この関係者とも、特に内閣府防災、さらには準備室の皆さんともいろんな話をいたしましたが、やはり新しく出発をして、内閣に直結をする組織として誕生した以上は、最初に明確に方針を打ち出さないと、そこにしっかりと非連続性をもたらすことはできないだろうというふうに考えました。
日本の防災は変わったと言っていただけるために、まず、司令塔として第一歩を踏み出したいというふうに思っておりますので、是非皆さんに御理解をいただけますようによろしくお願い申し上げます。
私からは以上です。」
質疑応答
(問)国難級の大規模災害を明確にミッションに置くというお言葉がありましたけれども、改めて防災庁のその中で力を入れたいところ、そして課題、そして、初代防災大臣となられました御所感をお願いいたします。
(答)まず、防災大臣になった思いとしては、これは、私は希望しましたし、また、政治家としての天命だというふうにも考えておりますので、その思いを決して忘れることなく職責を全うしていきたいというふうに思っています。
阪神・淡路大震災を経験して政治家を志しました。東日本大震災を官邸の真ん中で経験をして、災害対応と復旧・復興に関わってまいりました。その経験の全てをここにしっかりと反映するということで努力をしていきたいというふうに思っております。
防災庁として取り組むべき第一は、やはり国難級の災害にしっかりと備えることだと思います。その思いが私の中では非常に強くございましたので、それをミッションという形で反映をしました。言わば防災庁のDNAに刻み込んだわけです。
これはミッションもそうですし、また、防災庁の皆さんの中の行動指針ということもそうなんですけれども、大体最初は、その意識というのは徹底できるんです。ただ、必ずこれは忘れ去られる。しっかりと文書に定めてそれを徹底することによって、これから入ってくる職員の皆さんにもそれをしっかりとやり抜いていただける、そういう状況にしなければならないと思いますので、そこに非常に私は強いこだわりを持っております。
あわせて、やはり避難所の在り方を変えたいと思います。避難所の在り方を変えるためには、防災庁の職員が避難所を自分事として捉える必要があると思います。これまでも職員の皆さんには、事あるたびに自分ならどうかと、自分の子供や親ならどうかということを問いかけてまいりまして、意識は相当変わってきたというふうに思います。
しかるべきタイミングで、避難所にどの時点で何をお届けできるのか。それは、具体的には、温かい食料であったりとか、清潔なトイレであったりとか、安心して休めるベッドであったり、またお風呂であったりするわけですが、それをしかるべき時期にしっかりと皆さんにお伝えをしたいというふうに思っています。
日本の防災が変わったというふうに国民の皆さんに納得していただくためには、やはり避難所が変わらなければならないというふうに思っています。そこが最大のポイントの一つです。
(問)緊急要請を出されて、さすがスピーディーで細野さんらしいなと思っていたところなんですが、1つだけ結構疑問があります。
それは、防災庁は、この東京の中央合同庁舎8号館に設けられているわけですけれども、首都直下型地震が起こった場合に防災庁は機能するんでしょうか。
(答)耐震は、この建物はしっかりしています。BCPについても既に確認をしていまして、対応できるというふうに考えています。ただし、官邸が機能しなくなったときには、この8号館で実際の指揮を執るということにもなっているんです。そこも含めて首都直下地震が起こったときに本当に対応できるのかということは、防災庁発足を機に改めて確認をしなければならないと思っています。
(問)それは、つまりバックアップの施設、庁を分庁、大阪なり西のほうに置くということを検討するということですか。
(答)今の時点では、官邸がまず司令塔になります。ただ、司令塔になったとしても、実際の自治体とのやり取りなんかは、この8号館を中心にやるということになるわけです。仮にこの官邸、8号館が機能しなくなったときには、立川の拠点がありますので、そこでしっかりと司令塔として機能させるということになろうかと思います。
副首都の議論というのは、これは法律ができましたので、これからしっかりと国会の中で、若しくは政府でも議論されるものというふうに思います。その議論の推移というのは、我々はしっかり見ていかなければならないと考えますが、我々は、今この目の前の災害対応をしなければなりませんので、それは、いかなる状況にあろうとも、現状において最大限の対応をできるようにするというのが役割だというふうに考えています。
(問)何度もすみません。もう一問だけ。国難級に重点を置いたという御説明があって、これも非常に正しい認識だと思いますけれども、最近起こっていることは大規模水害なわけです。これに対しては、どんなふうにお考えなんでしょうか。
(答)ここは、国土強靱化も含めて相当抜本的な体制というのをつくっていかなければならないと思います。国土強靱化ということで、5年間で20兆円という予算を確保して、そういう水害にも備えるという体制になっています。
それは、もちろん防災庁だけではなくて、政府を挙げてやっていかなければならないわけですが、防災庁ができた以上は、事前防災も含めてしっかりと対応するということについて責任を持って対応していく必要があると思います。
私は国土強靱化も兼ねておりますので、そこは、一つ非常に大きな仕事だというふうに認識しています。今の時点で、水害が増えている中で万全の体制かといえば、これは率直に言って、端的に申し上げて、まだまだ十分ではないというふうに思っています。
(問)大臣、冒頭御発言がありました緊急要請について伺います。今回、先ほど御紹介いただいたみたいに、国民、自治体、各省庁に対して緊急要請を出されます。この要請の冒頭に緊急をつけたその背景や狙いについて伺います。
一部SNSとかでもこの緊急というところを取って、何かすぐ災害が起きるんじゃないかということを言われていますけれども、災害の危険性が高まっているわけではないものの、南海トラフ巨大地震などの国難級の災害は、いつ起きてもおかしくないと指摘されています。今回、大臣が防災庁発足のこのタイミングで緊急として国民、自治体、府省庁に要請をした背景と意図を改めて教えてください。
(答)まず、私のほうに地震の予知についての特別な情報が入っているということはありません。また、地震以外の有事についての情報が入っているということもありません。
ただ、一方で、南海トラフ、首都直下に関しては、これは極めて高い可能性というのがもう既に政府として明示をされ、国民にもお知らせをしているというのは事実なわけです。南海トラフについては、30年以内に60%から90%、首都直下については、同じ時期に70%という確率になっています。皆さん、30年ということを考えたときに、皆さんが生きている間に起こる可能性は極めて高いわけです。そして、それはいつ起こってもおかしくない状況です。
ちなみに、国難級の災害といえば、頭に浮かぶのは、私は、初めは阪神・淡路大震災なんですけれども、あれは1995年です。そして、次に国難級の災害は、何といっても東日本大震災です。この間、1995年から2011年まで16年、間が空いています。そして、東日本大震災から今年で15年、来年3月には16年を迎えます。
人間には正常性バイアスというのがあって、大きな災害は起こらないんじゃないかとか、起こったとしてもそこまで深刻な問題にならないのではないかと思いがちなんです。それは明らかにバイアスです。いつ起こるか分からない災害に、それぞれの省庁にも、自治体にも、さらには国民にも備えていただくというのは、防災庁としての最大の役割だと考えております。
特に国民の皆さんには、災害を自分事として捉えていただきたいんです。もちろん防災庁は、そのためにできたんですから全力を尽くします。縦割りを廃して各省庁にも要請を出していきますし、自治体とのトレーニングも欠かさずにやります。ただ、どうしても自助の部分が残りますから、それについては、国民の皆さんに是非御理解をいただきたいということで、今回、緊急要請を出させていただきました。
(問)取材していますと、防災庁ができてどういうことを期待しますかという声を聞きますと、直接的な支援であるとか避難所の環境整備といった、どちらかというとよくしてもらえるというような声も多くて、その辺り、なかなか自分事として受け止めてほしいという課題もありつつ一つギャップを感じているんですけれども、防災庁が発足するに当たって最も優先すべき施策とか、そういった部分についてお伺いしたいです。
(答)防災庁として優先すべきは、政府の対応力を飛躍的に向上させることです。それに尽きます。ですから、国難級の災害に備えるということはまだまだできていませんので、課題が山積をしていますので、それへの準備を加速させます。
さらには、その規模まで至らなくても、それこそ台風による被害、更には地震による被害というのは頻発しているわけですから、それへも十分対応できる体制を整えます。さらには、避難所の改善は、これは緊急課題ですので、当然同時に最優先でやっていかなければならないと思います。
国民の皆さんがそういうことを政府に求めるというのは当然だし、そういう国民の皆さんの思いがあったから防災庁の設置に至ったわけですよね。ですから、そこはよく理解しています。ただ、それと国民の皆さんにも行動していただくというのはトレードオフではなくて両立させなければならないんですよね。本当の意味で防災大国、防災にしっかりと我々が国として取り組むためには、国民の皆さんの理解と、そして行動が求められているということを是非今日は国民の皆さんにお伝えをしたいと、そういう思いで緊急要請を出させていただいたということです。
(問)もう一問だけ。その上で、各省庁に比べると三百数十人ということで規模としてはこれからかなというところも印象としてあるんですけれども、複合災害の備えなどを含めて、これから各省庁と渡り歩く上でどのように大臣として背中を押していきたいのか、お願いいたします。
(答)防災庁は352人でスタートします。ふるさと防災職員など自治体のサポート体制については更に増強していきたいと考えています。ただ、逆に全てを防災庁に取り込んでやっていこうとは考えていません。むしろ、防災庁が総理をトップとして内閣に直結してできた意味というのは、防災庁が司令塔になって各省庁の政策を前に進めていくということにあると思うんですよ。ですから、これは国土交通省だからとか、これは農水省の仕事だからとか、厚労省だからということで、それこそ防災庁がそれに関わらないということはあり得ない。防災庁が司令塔になることによって、各省の様々な取組を前に進め、そして様々な、例えば予算も含めて前に進めていくという体制をつくっていきたいと思います。つまり、防災庁は各府省のしっかりとした予算なり権限を使って防災力全体を上げていく、こういう形にするのが一番私は政策としてスピーディーだし、現実的ではないかと思っています。
(問)緊急要請について私も伺いたいです。
今の御質問とも関わるんですが、各省庁向けの緊急要請で南海トラフの基本計画に掲げる重要な目標のうちの主要なものについて取組を求めるというようになっているんですけれども、こういうハード整備のものなんかも含まれていて、そういうところは自治体に対する財政支援なんかも、今、国としてやってそういうものを推進しているというところがあると思うんですが、こういう自治体の取り組む際のボトルネックが正に予算なのかなと、財源なのかなと考えています。緊急要請に基づく取組の実効性を高めるために、そういった防災ですとか強靱化の対策に対する予算のつけ方、予算の在り方について大臣の見解を教えてください。
(答)財政面での裏打ちというのは極めて重要だと思っています。そして、自治体も含めた後押しというのはしっかりとしていかなければならないと思います。
まず、国土強靱化の部分、特にハードの部分ですけれども、第1次国土強靱化実施中期計画というのがもう既にできておりまして、これは私、党のサイドにいたときに南海トラフの関係で強く要請をした経緯もありますが、20兆円の事業規模というのは確保されているわけですね。それを確実に国土強靱化という形で予算に反映をしていく。これは各省に任せるのではなくて、防災庁としても前に進めていくべきだし、私は国土強靱化も兼務しておりますので、そこも含めてやり切りたいなと思っております。
また、事業省庁と一体となって今やろうと思っているのは災害リスク評価なんですよね。弱部分析というのを今やっておるんですけれども、どこに災害の弱部があるのか。例えばあるエリアで大きな地震が起こった場合に、例えば一定の数の避難者が出ると、若しくはけが人が出るという場合に、搬送するときのボトルネックはどこにあるのか、救急車の数なのか、道路の断絶なのか、病院の機能なのか、それは分析すると出てくるわけですね。出てきた場合には、そこにどう対応していくのか、そこまできめ細かく備えていく必要があると思っています。
弱部分析はまだ始まったところですが、これまでのところ非常に有効だという評価を得ておりますので、徹底した分析をすることによって本当の意味で強靱な国家をつくっていく、強靱なそれぞれの地域をつくっていくということが必要だと思います。
また、防災庁では防災力強化総合交付金というのを創設しておりまして、今年度から具体的にそれぞれの自治体の取組を後押ししております。来年度は概算要求ベースでいうと数倍の予算を要求しておりますので、何としてもその予算を確保したいと思っています。
それぞれの自治体が災害対応で様々なものを用意すると、体制をつくる、そしてそれを特に広域的に、単独の自治体だけではなくて、ほかの自治体もサポートするというような体制をつくっていただきたいと思っていまして、予算としてそこも十分確保して、それぞれの自治体の災害の対応力というのを上げていきたいと思っています。
(問)関連で、正に防災庁の予算もそうですし、それから関連の省庁の予算というのも、今お話あったとおりでいうと、事業をしているところのリスクを分析した上で、そういうところにつけていくという形になると思うんですけれども、一つ関連する省庁の予算に関する勧告権行使のところを伺いたいんですが、牧野前大臣が国会の答弁等で予算編成に対する勧告権行使は考えていないというように見解を示されていました。この見解については、細野大臣の見解を改めて伺いたいと思います。もし予算措置が不十分なことで対策が進まないというような場合に、そういう各省庁の予算編成に対して勧告権を行使しない場合、どういう実効性を確保できるのかというところも含めて併せて伺えればと思います。
(答)具体的にどういうケースに勧告権を行使するかというのはまだ全く白紙です。ですから、恐らく牧野大臣の思いは、予算というのは各省の非常に強い権限ですので、そこにダイレクトに勧告するというのは考えていないという趣旨だったんではないかと思います。
ただ一方で、政策を進めるためには時に勧告権を行使しなければなりませんし、ある政策を進めようと思えば、それには予算は関わることになりますよね。ですから、私の理解は、政策に対する勧告、政策の実現ということも含めて勧告は十分あり得ると思いますね。私自身はそういう理解をしています。
(問)その中では、当然予算というか、あるいは財政支援みたいなところも充実させようというところの勧告というのは十分可能性としてはあり得るということになるんでしょうか。
(答)ですから、政策に伴って予算が必要な場合にはですよ。政策ベースで要求をして、結果として予算が増額をされたりとか、更に新たな項目ができるみたいなことは、それは十分想定できるんじゃないかと思います。
(問)分かりました。もう一問関連で、別件なんですけれども、大臣の兼任について伺いたいと思います。
先ほどおっしゃられた復興大臣と兼任しているということで、防災庁アドバイザー会議の昨年の報告書では、内閣総理大臣として専任の大臣というように書かれていましたが、改めて復興大臣を兼務した形での今回の防災大臣の就任に当たって兼務しているという状況は、防災庁アドバイザー会議が示した理念ですとか目的を果たせると大臣としてはお考えなのかというところと、関連して復興庁との関係なんですけれども、先ほど大臣も少し触れられていましたが、復興庁との、実は国会の審議とかでも、将来的に統合したらどうかというような提案なんかもあった中で、現時点で防災庁の施策の立案・遂行に対して復興庁との関係をどのように捉えて臨んでいくのかというところの大臣の見解をお聞かせください。
(答)防災庁のミッションの最も重要な部分は、国難級の災害にしっかりと向き合うということですね。ここは国家の命運をかけた戦いですので、その司令塔の役割を果たすということです。
今の中央省庁で国難級の災害で経験したものがあるとすれば、唯一、東日本大震災なんですよ。阪神・淡路大震災を国家公務員として経験した人というのはほとんどいないと思いますね。私がぎりぎり学生のボランティアでやったぐらいですから、いたとしても本当にごく少数、若いときですよね。そのことを考えたときに、防災庁で国難級の災害をしっかりと我々がこれに取り組むと、国難級の災害に取り組むということを考えたときに東日本大震災の経験というのは極めて重要なんですよね。その失敗、そして課題、経験、これをしっかりと引き継ぐことは防災庁のミッションを果たす上で極めて重要だと思っています。
防災に関して100%取り組むべきであるというのがアドバイザーの皆さんの恐らく思いだと思いますので、復興大臣と防災大臣を兼務することによって、むしろそれをしっかりと実現できると私は考えています。
(問)まず、緊急要請についてお伺いします。先ほど国民への要請の意義について御説明がありました。その意義は十分理解できるものの、国民からは税負担とか物価高で苦しむ中で備えにかけるお金がないというような声も聞かれます。改めてこの辺り、大臣のお考えをお聞かせいただければと思います。
(答)まず、防災庁は国民の命を守るために全力を尽くします。体制は大幅に強化をしますし、国民の皆さんから防災は変わったなと言っていただける状況をつくります。それはしっかりとやります。
ただ一方で、どうしても国民の皆さんの自助の部分というのは残るということを是非御理解いただきたいと思います。もちろん一定のお金はかかる部分もあると思いますね。ただ、例えばハザードマップの確認というのはお金をかけずともできますよね。避難所の確認もそうです。さらには、そのときに何を持ち出すかというのは、これは政府ができることではありませんので、それぞれの皆さんの心がけでできることなんですよね。
更には家具の固定、これも器具は若干のお金はかかりますが、私はそれが高額だとは思いません。家具の固定をしてない方がすごい多いんですよね。そのことで、例えば寝ているときに地震に襲われて命を落とす方をとにかくなくしたいわけですよね。ですから、そこは行動をしていただきたいと思います。
一方で、例えば食料とかトイレということになると一定の確かにコストがかかる部分があります。そこはよく物価高も含めて大変だということは理解をしますが、家族を守るためですから、そこは皆さんに御理解をいただいて、できる限り優先して取り組んでいただきたいと思います。
なお、現実的になかなか自ら例えば避難することができないという要避難者の方については、先ほど申し上げたこの避難計画も含めてしっかりと自治体や国がバックアップしてサポートする体制はつくらなければならないと思っています。
(問)もう一問お伺いします。先ほどの質問の回答の中で、東日本大震災の対応の失敗を踏まえてやっていくんだ、国難級の災害に対応していくんだというようなお話がありました。東日本大震災は、大臣は真ん中で関わってきたという御発言もありましたが、大臣はどこを失敗だと捉えていて、どのように改善されるお考えなのか、お聞かせください。
(答)そもそも東日本大震災のあれだけの津波の高さは想定してなかったわけですよね。想定してないものは準備ができない。それを根本的に改めようということで、南海トラフなどについては相当精緻なシミュレーションをして、それに備える体制を取っているわけですね。これなんかは深刻な反省に基づいた取組です。
ただ、避難想定はしたけれども、それにどこまで対応できるかという体制はまだまだ道半ばなんですよ。避難所の運営も含めて事前に想定をして訓練してないことはできません。ですから、それをやり切るというのが最大の教訓ではないかと思います。
加えて、東日本大震災の場合、複合災害でした、地震と津波と原発事故。我々が取り組まなければならない南海トラフも複合災害になる可能性はあります。富士山噴火と連動する可能性は歴史上もあります、あることは明確ですし。さらには、例えばサイバーアタックであるとか、またテロなども含めた有事と連動する可能性もあるわけですよね。ですから、東日本大震災のもう一つの教訓は、様々可能性のある複合災害、複合有事にどう備えるか、ここは非常に深刻で大きな課題だと思っています。
(問)災害関連死について伺います。
東日本大震災では3,800人以上、その後の能登半島地震では直接死の倍以上の方が関連死ということで亡くなりました。災害で直接命をなくすことがなかった、災害では助かったのに、その後亡くなってしまったということ、これは明確にゼロにすべきだという声もありますけれども、この関連死を減らしていく取組について大臣の御意見を伺います。
(答)先日、維新から提言をいただきまして、その中で災害関連死ゼロということが書かれていました。そのトップを務めたのが金子道仁議員ということで、今回、副大臣に就任をされます。大災害を乗り越えて生き残った命が災害関連死という形で失われるというのは、本当にこれはなくしていかなければならないんですよね。今も熊本でいろんな懸念がありますので、そこの体制ももう一度強化をしようということでやっています。
ですから、避難所の在り方もそうですね。これまで食事を提供するだけで止まっていたところの、例えば栄養バランスも考えていくというような取組ももちろんある。あとは災害ケースマネジメント、これは被災者の皆さんのそれぞれの状況に寄り添って、例えば福祉との連携であるとか、医療との連携であるとか、それをやるということもしていかなければならない。
ただ、自治体の仕事があまりに多過ぎる場合は、この災害ケースマネジメントまでに手が回ってなかった部分があるんですよね。ですから、自治体にはできるだけそこにしっかりと取り組んでいただきたい、これも私は災害関連死を減らしていく大きな要素になると思います。ですから、避難所の改善も含めて、復旧・復興段階の最大の課題の一つは正にそこだと考えています。
(問)関連でもう一点。避難所についてなんですけれども、自治体向けの要請の中で、物資備蓄せよ、空調を整備せよというような要請がありますけれども、これまでも内閣府から要請として同様のメッセージは自治体向けに発信されてきたと思います。これまでの国の姿勢というのが、どこが足りなくて今、これまでのこの避難所の現状になっているのか、そこをどう今後変えていくのかについて伺います。
(答)端的に言って、自治体の取組に依存し過ぎていた部分があると思います。今回は要請を出すだけではなくて、結果の、しっかりとフィードバックを求めます。そして、それも公開します。それぞれの都道府県が市町村について確認していただいた上で、報告を求めますから。そこに十分ではないところがあるのであれば、それは防災庁としてしっかりと関わります。ふるさと防災職員もいますし、当然、各担当がいますので、例えば避難所の担当もいれば、様々な、それこそ災害対応という意味でも担当部局がありますから、そこが積極的に関わることによって、それぞれの自治体の弱さとか自治体の力の差を放置しないと。国が直接関わることによって体制を整備するというのが、防災庁ができたことによる大きな違いということです。
(問)先ほど大臣から、東日本大震災の経験を生かしていくという御発言がありましたが、復興の方向性を前もってある程度決めておく事前復興という考え方について、まだ全国で準備など道半ばのように見えますが、今後、東日本大震災の教訓を防災や復興の取組などにどう生かしていくお考えか、現時点でのお考えがあればお聞かせください。
(答)そこは私もちょっと悩んだところで、事前復興の計画というのは、できている自治体は非常に少ないんですよね。南海トラフなんかも含めて、ある程度立てられれば立てていたほうがスムーズだというふうにも思いましたので、幾つか見てみたんですけれども、なかなかここは本当に悩ましいところだなと思いました。といいますのは、どこまでのレベルの災害になるのか、どういう被害が出るのか、状況をそれぞれの市町村で予測するというのは本当に難しいんですよね。その災害の状況によって、当然、復旧・復興の姿というものは変わってくるので、事前にかちっとした計画を立てるのは、実際問題として現実的ではないと思うんですよ。ですから、そういう中で、およそのイメージなり課題を洗い出しておくというようなことも含めて、事前の復旧計画がどこまでできるか、少し私自身も考え直したいなというふうに思ってます。現状において、それをすごく重視してフォーカスしていないのは、災害の規模や状況によって、復旧・復興の姿というのは大きく変わってくるということを踏まえてのことです。
(問)細野大臣は、熊本地震の被災地も視察されたと思いますが、防災庁が事前防災に力を入れるに当たって、7月の熊本地震の経験や反省点の中から、具体的にどのような点を今後に生かしていきたいと考えていらっしゃるか、教えてください。
(答)明日、熊本県に伺いたいと思っております。それは今、我が国の中で復旧・復興ということで最も重要な局面にある地域の一つが熊本県だと思いますので、防災大臣として最初に行くべきは熊本県だというふうに考えましたので、伺います。
前回行って、非常に限られた時間ではありましたけれども、熊本県の経験を全国展開すべきだと思うところはたくさんございました。例えば、氷川町の罹災証明をワンストップでやっておられるようなところというのは、しっかりと全国展開できると思うんですよね。それぞれの自治体で、もちろんそれぞれエリアによって違いがありますから、非常に柔軟に対応しなければならなかったりとか、それぞれの地域の独自の問題に取り組まなければならないことというのはたくさんあるんですけれども、罹災証明は比較的定型化しやすいんですよね。ですから、そういった部分については、罹災証明のコーディネーターというのは全国にいますけれども、数が少ない。そういった皆さんが実際に被災された自治体に入って取り組むみたいなことは、もっと推進していっていいのではないかというふうに思います。
あとは、熊本県は、やはり災害という意味では10年前の経験がありますので、県庁と、そして中央省庁との関係でいえば、早い段階で現地対策本部ができましたので、物理的にも。これなどは非常にスムーズにいった事例だというふうに思います。
ただ一方で、相当課題があったのも事実ですので、避難所関係も含めて。ですから、もう既に熊本の経験をどう反省するか、改善するかということについては、中ではかなり議論しておりまして、プラスの部分は全国展開すると。十分でないところはしっかりと改善していく。その両方をやっていかなければならないと考えています。
(問)1点確認なんですけれども、明日の視察というのはどういったことを御予定されているんでしょうか。
(答)今回は、では、項目を申し上げますね。伺う先ですね。大津町の文化財である江藤家住宅や、芦北町の農林水産の共同利用施設であるマルタ選果場に参ります。加えて、南九州自動車道の八代ジャンクションの橋げたです。ここは非常に大きな教訓だと思いますので、そこも見たいと思っております。また、防災庁の担当という意味では、直接の関わりという意味では、氷川町のペット避難所を見てきたいと思っておりまして、今ペットを飼っている方というのは2割ぐらいになるんじゃないかと思うんですよね。そういった方々が安心して避難をしていただくためには、ここは本当に欠かせないところなので、どういう状況なのかというのを見てきた上で、改善につなげていきたいというふうに思っています。加えて、嘉島町の入浴施設です。温浴施設嘉島湯元水春を訪問することとしております。
また、最後に、熊本県知事と直接会ってお話をすることになっておりますので、災害から月日が8、9、10ですから、もう3か月強の時間がたっていますので、今の時点でどのような課題があるのかということについて、直接しっかりとお話を伺いたいというふうに思っています。
(問)大臣が3・11以降、福島を訪れて、回っておられて、東電の現場を歩いておられて、私もそれをずっと見ていましたし、少々感動しまして。やっぱりあの当時の教訓をビルドインするんだと。そういうことが言える政治家って、あの当時の政権の中でも今も多分先生だけだと。高市先生が細野先生を選んだと。総理も納得して、今日のプレゼンも役人が書かれるものではないと思いましたから。それで伺いたいのは、やっぱり避難所の思いです。私も2~3年間で多分30回以上回りましたけれども、福島は何回ぐらい避難、ひどい状況でしたけれども、どんなものを見てきてその言葉が出てきたのか、もう一回伺いたいんですけれども。
(答)避難所は相当、私は見てきましたので。最初は阪神・淡路大震災です。都市部の避難状況というのは本当に大変だというのを見ました。やはりトイレとかお風呂ということになってくると、それがいかに深刻かというのを最初に経験したのは阪神・淡路大震災です。
その後、議員になってからは、中越地震とか中越沖地震は、当時、私は若かったですから、民主党で。ボランティアとして被災地に入るようなこともしました。いろいろ、党としてはなかなか難しいんですけれども、いろんな団体をお手伝いすることで物資を配ったりとか、あとはそれぞれの御自宅へ行ってお掃除をしたりとか、いろいろ物を持ち出すお手伝いをしたりとかもしてきました。
特にやはり避難所において一番、本当に気の毒だな、何とかしたいなと思うのは、率直に言ってお年寄りなんですよね。そういった方々が安心して避難所で生活して再起できるような状況をつくるというのは、本当に大きな課題だと思います。
あとは東日本大震災。実は東日本大震災は、私は当時原発の担当をしていたので、被災地に行くのは少し遅れたんですが、被災地に行くようになっていろんな避難所を見ました。特にやっぱり東北の場合は、非常にコミュニティーが助け合うんですよね。あれは本当に、逆にこれはすごいなとも思いました。ですから、逆にそこから今、私が危機感を持つのは、首都直下地震が起こったときに一体何が起こるだろうかと。マンションの災害とか、顔もつながっていないですから。そこでどう皆さんに乗り越えていただくのかというのは、逆に東北を見て非常に大きな課題だというふうに思いました。
あとは熊本に行って、もう2か月近くたっていましたけれども、まだまだ厳しい環境の避難所も見ましたので、そこも改善していくという必要性も感じました。
ですから、都市型の災害の避難の難しさ、あとは農村部における避難所のレジリエンスみたいなのも見たわけだけれども、一方で、特に能登なんかを見ていると、過疎化しているところの復旧・復興というのは難しいですよね。ですから、いろんな課題があるんですけれども、この点についてはなかなかまとまらないんですけれども、やっぱり一つ大きいのは、いろんな経験を我が国はしてきているんだけれども、それぞれの地域という意味では実は初めてだったりするわけですよね。それをしっかりと避難所の在り方も含めて、また、都市部の災害、農村部の災害も含めて、きちんと蓄積して次に生かしていくということが、残念ながらこれまではできていなかった。ですから、防災庁の役割というのは、しっかりと教訓を引き継いで次に生かしていく。これは本当に大きいというふうに思います。それをしっかりとやりたいというふうに考えています。
(問)(聞き取れず)複合震災の最悪のというのは、例の4号機の(聞き取れず)東日本壊滅と。そういうことがフラッシュバックするような先生だから、こういうDNAということをぶち込みたいという思いだと思うんですけれども、これは事実ですよね。歴史的にそういうことはありましたよね。
それで、伺いたいのは、やっぱり先ほどの自衛隊、それから警察、消防ですね。特に自衛隊を含めまして、こちらの防災庁とか、同じ総理の下にいるわけですけれども、この連携を含めまして防衛省のグレードアップというと、そういう自衛隊とかその辺のところです。今日はお話がなかったですけれども、あるいは緊急事態条項ですとかその辺の抱負も、初代長官というか、お話を伺いたいんですけれども。国家的にどうするかですね。
(答)そこは次の私の課題かなと思っています。まずは国難級の災害単体にしっかりと対応できる体制をつくること。まだそこまでいっていないんですよね。それに加えて、今、宮嶋さんがおっしゃった様々な複合事態にどう備えるか。それがもう一つの大きな課題だと思っています。
東日本大震災のときも、私、津波があって、その後、自衛隊を総動員するような形になって、原発事故が起こって、頭の片隅で万が一このときに日本有事が起こったら対応できるだろうかと考えたんですね。ただ、そこは当時、率直に言って、日本に対する同情があったと思うんですよ。今これだけ弱っている日本をそういう形で攻撃するというのはさすがにできないねという空気が世界の中にあった。
それから15年、間もなく16年が経過している中で、私は世界は大きく変わったと思っていて、恐らく同情論なり、そこはむしろ突いてくる可能性が出てきている。どこの国かとは申しませんよ。それを考えると、サイバー攻撃もそうだし、様々な量的な問題も含めて有事に備えなければ、本当の意味での十分な体制にはなっていないと思います。ただ、そこは防災庁だけではできませんので、まずは防災庁としては、自然災害の複合災害も含めた対応まではやって、その上で並行して、政府全体でしっかりと考えていかなければならない課題だと思っています。小泉防衛大臣などと話はしておりまして、非常に深刻な課題だということは認識しています。
(問)今日出した緊急要請についてなんですけれども、やっぱり自助が最後に残る課題で、特にバイアスがあって自分事として捉えるのが難しいという、正にそのように思います。その意味で、今日の緊急要請が、国民の方にこういうことが大事なんだというのを呼びかける最大のチャンスかなと思うんですけれども、改めて大臣のお言葉で、自助での自分での取組がどういった、何につながるからどういうことをしてほしいのか、そして、特にしてほしいことなどがあればお願いします。
(答)繰り返しになりますけれども、もう一度申し上げたいと思います。
防災庁が誕生することによって、国民の皆さんをしっかりと守るという意味では、大幅に体制は強化されます。自治体もそこはしっかりと努力していただけるというふうに思いますので、そこは国民の皆さんに期待していただいていいんですね。
ただ、そうした仕組みができたとしてもなお、自助の部分が残るということを御理解いただきたいと。特に、南海トラフをはじめとした国難級の災害の場合は、避難所の開設であるとか、物資の提供がスムーズにいくとはなかなか限りません。そういう体制をつくるべく努力しますが、どうしてもそこに目詰まりが生じたりとか、十分やり切れない状況が出てくる可能性があるわけです。その際には最優先でお届けしなければならない方がいるわけですよ。それは高齢者の方とか、障害を持っている方、要支援者の皆さんですね。そういった皆さんに物資を提供したり、休める場所を提供したり、お手洗いの場所を提供したりしなければならないわけです。
ですから、自分でやれる方については、自分で様々な備えができる方については、そういう備えを自らがすることによって、災害に弱い方々を助けることができると。自ら行動することによって、ほかの方々のサポートになるという、ここを分かっていただきたいというふうに思うんですね。
話は少し横道にそれますが、私、ボランティアを根本的に増やすということもやらなければならないと思っていまして、何しろ南海トラフのときに設置しなければならない避難所の数は2万か所を超えますので。甚大な被害をこうむっている自治体に、それだけの避難所をそれぞれ設置することを実際にやり切ってもらうのは、相当難しいと思います。そこはしっかりと自ら行動していただけるボランティアの皆さん、それを支える仕組みも含めてつくらなければならないと思っているんですよね。
私が申し上げたいことは、本当の意味で防災をしっかりとした体制にする。言い換えるならば、本当に世界一の防災大国をつくるためには、国民の皆さんにも行動していただかなければならないということなんです。今日このことをとにかくしっかりと要請しようと。国民の皆さんにも要請しようと思ったのは、国に頼るだけではそれはできないということで、これをとにかく皆さんに分かっていただきたいということで、あえて要請の対象として、国民を一番前に置いたということを是非御理解いただきたいというふうに思います。
ありがとうございました。(以上)
