大雪による被害について

平成13年3月7日
17時00分現在
内閣府

1.気象概況

今冬は、北日本を中心に冬型の気圧配置になることが多く、しばしば強い寒気が日本付近に流れ込んだ。このため、北日本の冬の気温(12〜2月)は昭和61年以来の低さとなった。特に、1月中旬には、モンゴルやシベリアに厳しい寒さをもたらした強い寒気が日本付近に流れ込み、全国的に厳しい寒さとなった。
2月も上中旬を中心に、1月中旬程ではなかったが、断続的に強い寒気が流れ込んだ。このため、北陸地方や東北地方などの日本海側では雪の量が多くなり、金沢、青森などでは、ほぼ15年ぶりの大雪となった。
3月上旬には、発達した低気圧の通過で、北陸地方から北日本にかけて大雪となった。
なお、1月下旬には、本州南岸沿いを東進した低気圧の影響で、太平洋側の地方でも積雪があった。

 

2.主な都市の最深積雪と出現日(3月5日現在)

  • 札幌市   87センチ  2月25日 (平年値 101センチ)
  • 青森市  154センチ  2月17日 (平年値 114センチ)
  • 秋田市   44センチ  2月16日 (平年値  41センチ)
  • 山形市   63センチ  2月11日 (平年値  50センチ)
  • 新潟市   55センチ  2月15日 (平年値  39センチ)
  • 上越市  141センチ  1月17日 (平年値 139センチ)
  • 富山市   55センチ  1月17日 (平年値  69センチ)
  • 金沢市   88センチ  1月16日 (平年値  53センチ)
  • 福井市   93センチ  1月17日 (平年値  61センチ)

※平年値は1971〜2000年の寒候期の最深積雪の平均値。

3.主な被害状況

 (1)人的被害及び住家被害(消防庁調べ)















 





人的被害 (人)

住家被害 (棟)



行 方
不 明

負傷者
 





一 部
損 壊

床 上
浸 水

床 下
浸 水

北海道

5

 

45

 

 

6

 

 

青 森

9

 

52

 

 

 

 

 

岩 手

1

 

 

 

 

 

 

 

宮 城

 

 

1

 

 

 

 

 

秋 田

2

 

52

1

 

2

 

 

山 形

9

 

198

 

1

14

9

 

福 島

3

 

38

 

 

10

1

32

茨 城

 

 

2

 

 

 

 

 

群 馬

 

 

9

 

 

1

 

 

埼 玉

 

 

12

 

 

 

 

 

千 葉

1

 

12

 

 

1

 

 

東 京

 

 

-

 

 

1

 

 

神奈川

 

 

4

 

 

 

 

 

新 潟

10

 

108

1

 

9

5

7

富 山

 

 

9

 

 

1

 

19

石 川

2

 

13

 

1

11

 

1

福 井

5

 

47

 

 

3

 

 

山 梨

2

 

5

 

 

 

2

 

長 野

5

 

44

1

 

21

1

23

岐 阜

1

 

34

 

 

 

 

 

滋 賀

 

 

 

 

 

3

 

 

京 都

 

 

16

 

 

13

 

2

徳 島

 

 

 

 

 

1

 

 

愛 媛

 

 

1

 

 

5

 

 


 

55
 

 

702
 

3
 

2
 

102
 

18
 

84
 

※上記は、平成12年12月13日〜平成13年2月28日までの間の被害状況。

 (2)道路(国土交通省調べ:3月7日9時現在)

●雪に伴う通行止め  37箇所 (冬期閉鎖区間を除く、県道以上及び有料道路)

  • 【高速自動車道国道】  なし
  • 【国道(直轄)】    2箇所
  • 【国道(補助)】    2箇所
  • 【県 道】     33箇所
  • 【有料道路】      なし

※これまでの雪による通行止め

  • 【高速自動車道国道】 最大時 15路線(北陸道等) 
  • 【国道(直轄)】    最大時  1箇所(一般国道8号)
  • 【国道(補助)】    最大時 18路線、21箇所
  • 【県 道】      最大時 40路線、40箇所
  • 【有料道路】     最大時  9路線、 9箇所 

(3)鉄道(国土交通省調べ:3月7日9時現在)

●平常どおり運転中

  • ※これまで運休した主な区間
  • 上越線 (長岡〜水上)  (1月15日〜19日)
  • 只見線 (小出〜只見)  (1月16日〜20日)
  • 北陸線 (敦賀〜直江津) (1月15日〜16日)
  •         (長浜〜近江塩津)(1月17日)
  • 中央線 (小淵沢〜塩尻) (1月27日)
  •    (木曽福島〜塩尻)(1月27日)
  • 小海線 (小淵沢〜小海) (1月27日〜28日) 
  • 飯田線 (辰野〜天竜峡) (1月27日〜28日)

(4)空港(国土交通省調べ:3月7日9時現在)

●現在は除雪による滑走路の閉鎖はなし

  • ※これまでの滑走路等の閉鎖 最大時 14空港(羽田、名古屋、新千歳等)(1月21日)

(5)海上交通(国土交通省調べ:3月7日9時現在)

●平常どおり運航中。

※これまでの運休等

  • 【佐渡汽船】
  • 新潟〜両津間におけるジェットフォイルは、降雪による視界不良のため運休。
  • (1月18、23日)
  • 【東日本フェリー】
  • 直江津〜室蘭航路(23時55分直江津発便)において積雪のため荷役が遅延し、40分遅れで出港。(1月18日)

(6)港湾(国土交通省調べ:3月7日9時現在)

●港湾施設の被害なし。除雪を行い荷役等についても平常通りの活動を確保。

(7)バス(国土交通省調べ:3月7日9時現在)

●高速バス、路線バス共に平常どおり運行中。

※1月14日〜22日の運休等

  •  【一般路線】 
  •    全面運休 21系統
  •  一部運休 56系統
  •  迂回運行 22系統
  •  【高速バス】(主に北陸地方を経由する系統)
  •    全面運休 23系統
  •  一部運休  1系統
  •  迂回運行  9系統

(8)農作物及び森林等(農林水産省調べ:3月7日現在)

●農作物等の被害状況 (計 6,839百万円)

  • 【東北管内(青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県)】
  • 主な被害
  • ハウス、農作物(花き、いちご等)、ぶどう・西洋なし棚、樹体被害等
  • 被害額合計 4,691百万円
  • 【関東管内(茨城県、栃木県、群馬県、千葉県、神奈川県、山梨県、長野県、静岡県)】
  • 主な被害
  • ハウス、りんご棚、樹体、農作物等(春菊、いちご、トマト、小ねぎ、きゅうり、ニンジン、切り花、花き等)
  • 被害額合計 1,270百万円
  • 【北陸管内(新潟県、富山県、石川県、福井県)】
  • 主な被害
  • ハウス、樹体、農作物等(コマツナ、ダイコン等)
  • 被害額合計 681百万円
  • 【その他の管内(愛知県、岐阜県、滋賀県、京都府、島根県、愛媛県)】
  • 主な被害
  • ハウス、農作物(コマツナ、ホウレンソウ、みず菜等)、家畜
  • 被害額合計 197百万円

※3月7日現在で府県からの報告を取りまとめたもの。

●森林の被害状況(折損、倒伏による被害)(計1,254百万円)

  •  福島県   37百万円
  •  栃木県  823百万円
  •  千葉県   83百万円
  •  富山県    4百万円
  •  石川県   91百万円
  •  福井県    1百万円
  •  長野県  116百万円
  •  岐阜県   99百万円
  •  ※3月7日現在で、県からの報告をとりまとめた速報値。

(9)電話(総務省調べ:3月6日現在)

●現在、被害は発生していない。

※これまで発生した被害状況

  • 雪の影響により携帯電話基地局等への送電断等のため、基地局が停波。この結果、サービスエリア内での発着信ができなくなったが、送電復旧等によりサービスを再開。
  • 【NTTドコモ】
  • 福島県、長野県、富山県、岐阜県の携帯電話基地局7局及び長野県のポケットベル基地局1局の計8局が停波。
  • 【エーユー】
  • 福島県、千葉県、福井県、愛知県、岐阜県、静岡県の携帯電話基地局7局が停波。
  • 【ジェイフォン】
  • 福島県、岐阜県の携帯電話基地局2局が停波。
  • 【ツーカー】
  • 岐阜県、兵庫県の携帯電話基地局3局が停波。

(10)学校施設(文部科学省調べ:3月7日現在)

5府県34の公立及び私立学校施設に被害(公立24施設、私立11施設)

  •     宮城県  2(小学校2)
  • 山形県 12(幼稚園6、高校4、専修学校2)
  •     長野県 17(小学校10、中学校6、専修学校1)
  •     石川県  1(中学校1)
  •     京都府  2(小学校1、中学校1)
  •    ※主な被害は、自転車置き場、フェンスの一部破損等であるがいずれも小規模。

(11)電気(経済産業省調べ:2月22日現在)

●現在は、停電等の被害はなし。

※これまでの被害状況

  • 【東京電力管内】
  •  1月27日17時頃、送電線系統事故及び配電線被害により栃木県及び千葉県において、断続的に供給支障が発生。18時20分頃の最大供給支障124,500戸。
  •   →1月27日22時55分、供給支障解消

(12)ガス(経済産業省調べ:2月22日現在)

●現在は、被害等発生していない。

※これまでの被害状況

  • 【都市ガス】
  • 1月18日20時40分頃、長野県において、ガス発生設備の一部凍結によりガス が発生できず174戸で供給支障が発生。 →1月19日2時30分、供給支障解消
  • 【LPガス】
  • 山形県、福島県、新潟県、秋田県において、落雪、除雪作業における配管等の損傷、積雪による雪の重み等を原因として、調整器等が破損し、ガスの漏えい(物的被害7件)や漏えい爆発等(物的被害7件)が発生。

4.政府の対応

  • 12年12月4日、降積雪期における防災態勢の強化について、人命の保護を第一義として、雪害に対する防災態勢の一層の強化を図るよう、中央防災会議会長(内閣総理大臣)から、関係各省庁及び都道府県等に通知した。
  • 2月22日16時より、伊吹防災担当大臣、山崎政務官出席のもと、今冬の豪雪の被害と対策について、中央防災会議主事会議を開催し、各関係省庁間で情報及び意見の交換を実施した。また、①今後とも関係省庁において積雪の多い地域の状況について情報を共有し、密接な連携を図ること、②地元地方公共団体より要望の強い除雪費について関係省庁の役割に応じて出来る限りの支援を行うなど、状況に応じて必要な対応を迅速かつ的確に行うこと、③雪崩等に対する警戒態勢に万全を期すこと、等を確認した。 

5.各省庁の対応

●内閣府

  • 関係省庁から大雪被害の状況及び対策状況について、情報収集を実施。

●国土交通省

  • 国土交通省本省警戒体制(1月15日15時30分)
  • 1月19日、今村政務官が福井県内を、吉田政務官が新潟県内を、岩井政務官が山形県内を、2月17日、岩井政務官が青森県内を現地調査。
  • 国県道の除雪費の増額及び幹線市町村道の除雪費の臨時特例措置の実施を検討するために必要な調査を実施。
  • 高速自動車国道については、各高速道路交通警察隊と連携し、本社及び各社において雪氷体制をとるとともに、除雪及び凍結防止剤散布の強化や、応援除雪体制等による対策を実施。
  • 直轄国道について、関係各県と連携し、地方整備局において警戒体制をとり、道路雪害対策本部を設置(東北、北陸、近畿各整備局)し、除雪及び凍結防止剤散布の強化や、除雪機械応援の強化等の対策を実施。
  • 1月14日にJR奥羽線の踏切道から自動車が線路内に誤って侵入し、列車と衝突した事故をはじめとして同種の事案が発生したため、1月19日に地方運輸局を通じて全国の鉄道事業者等に注意喚起を実施。
  • 全国の空港事務所に対し、東京航空局及び大阪航空局を通じて空港除雪に万全を期するよう指示。
  • 今後の対応として、道路の消融雪施設等の整備の推進及び大雪、豪雪時の道路除雪体制等の強化と支援等を図る。

●警察庁

  • 雪害について警察は、関係機関と連携してパトロール、広報啓発活動を推進している。
  • 1月上旬、東北地方を中心として発生した大雪の際には、1月4日、山形県警において、県警本部内に生活安全部長を長とする「豪雪対策連絡室」を設置し対応。
  • 1月中旬、北陸地方を中心として発生した大雪の際には、1月17日、中部管区警察局において生活安全課長を長とする「雪害対策連絡室」を、また、1月15日、石川県警において本部長を長とする「雪害対策本部」を、福井県警において警備部長を長とする「災害対策連絡室」をそれぞれ設置し対応。

●気象庁

  • 降雪の状況を把握・予測し、大雪警報・注意報等を発表して、適宜警戒を呼びかけた。

●文部科学省

  • 教育委員会等の関係機関から被害情報を収集するとともに、適切な対応をとるよう指導。

●農林水産省

  • 本省は、被害状況の早期把握に努め、共済金の支払いが円滑に行われるよう関係団体等を指導。
  • 北陸農政局に雪害対策連絡会議を設置。(1月17日)
  • 東北及び北陸農政局から技術的指導通知を発出。(1月15日及び18日)
  • 被害農業者等に対する資金の円滑な融通及び既貸付金の償還猶予等について関係金融機関を指導(2月23日通知)

●総務省

  • 豪雪等により除排雪経費が増嵩している団体については、実態を調査の上、特別交付税措置を講ずる。

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