3.震源の設定

 この被害想定マニュアルは、日本国内の地震による被害想定を実施するために作成されたものです。
 地震は、プレート間やその境界部付近や地核内の活断層などで発生することが知られています。地震の発生メカニズムや発生場所については、地震調査研究推進本部によるページあるいは「わかりやすい地震学」(鹿島出版会)などをご参照下さい。
 プレート間やその境界部付近で発生する地震を想定する場合は、震源深さをプレート境界部の深さとして設定できます。例えば、南関東地域直下の地震を想定する場合は、震源の深さはフィリピン海プレート面の等深線から求められるため、図3−1−1からおおよその震源の深さ[km]を求めることができます。日本列島のプレート環境については、前述の地震調査研究推進本部によるページあるいは「わかりやすい地震学」(鹿島出版会)などが参考になります。


図3−1−1 南関東地域のフィリピン海プレート面深さの等深線


 設定する震源は、次の3つを対象としています。



(1)点震源

 簡便に地震動計算を実施したい場合や地震が発生する位置を特定できない場合は、市役所の位置等の任意の点に震源を設定します。
 日本国内で過去に発生した地震の震源分布については、地震調査研究推進本部によるページを参照して下さい。
 震源の深さは5kmより深い値を設定して下さい。



(2)線震源

 阪神・淡路大震災では、淡路島北東端付近から神戸市を縦断する30km前後の縦に長く連なる活断層で地震が発生したといわれています。このようなタイプの地震を想定する場合は、活断層の連なりを再現した線震源の設定が必要となります。
 線震源を設定する場合には、活断層関連資料(「都市圏活断層図」(国土交通省国土地理院)や「新編・日本の活断層」(東京大学出版会))などを用いて、地区分けをした地図上に、活断層の位置を記します。なお、未知の活断層がある可能性もあるため、活断層を市役所の位置等に設定してもかまいません。その際、震源の深さは5kmより深い値を設定して下さい。
 震源の深さ及びマグニチュードは、専門家の調査結果等を参考にして決めることが望ましいです。なお、1995年1月17日に発生した兵庫県南部地震の震源深さは約16km、マグニチュードは7.2と観測されています。


(3)面震源

 地震は、プレート境界や地核内の地盤が一挙にずれることによって発生するといわれています。そのため、震源の形状は面的な広がりをもつものとなります。震源を設定する場合には、本来このような面的な広がりを持つ震源を設定することが望ましいとされています。
 面震源は、次のいずれかの方法で設定します。

(a)任意の点を中心とする同心円状の断層の設定

 (1)で設定した点震源を中心に、地表面と水平な同心円状の面を設定します。円の半径は、定めたマグニチュードに応じて、表3−1−1を利用して定めます。

表3−1−1 同心円状断層の半径の計算



(b)任意の線を上端辺とする長方形状の震源の設定

 (2)で設定した線震源を断層の上端の1辺として、地表面と垂直な長方形の断層面を設定します。断層面の長辺Lと短辺Wの長さは、上で定めたマグニチュードに応じて、表3−1−2を利用して定めます。

表3−1−2 長方形状断層の長辺と短辺の長さの計算



(c)断層パラメターの設定

面震源関連資料(「日本の地震断層 パラメター・ハンドブック」(鹿島出版会))などを用いて、表3−1−3に記述する値を確認して、位置を決定します。

表3−1−3 設定する断層パラメター



図3−1−2 断層パラメターの定義