地震被害想定とは、地震が発生したときの地震の揺れの大きさ、建物倒壊数、死者数などを推計するものです。例えば、関東大震災が再来した場合の死者数の推定のことです。
震災に対する防災計画を作成する場合、地震が起きたときにどの程度の被害がもたらされるかを推定することにより、その地域にふさわしい効果的な防災対策を立てることができます。例えば、建物倒壊の危険が高い地域に対して重点的に再開発を行うことや、避難者数の予想に応じて避難所の数や食料備蓄を検討するというものです。
多くの研究者によってさまざまな計算手法が開発されてきましたが、過去の地震の被害結果を元にして、横軸を地震の揺れの大きさ(震度、地表最大速度、地表最大加速度)、縦軸を被害の大きさ(建物大破数、死者数等)としたグラフから最小二乗法等で簡単な計算式を作成し、その計算式を用いて被害想定の計算を行う方法が一般的です。しかしながら、過去の震災の数が少ないため、データが極めて限られており、今後生じる震災被害を厳密に予測するというよりも、震災対策等を充実するための概ねの手法と考えられます。
被害想定により求められた結果は、過去の地震の被害から統計的に推測されたものです。そのため、建物や構造物に耐震化が進んだ地域においては、この結果より小さい値になる可能性があります。
被害想定を行う場合には、人口、建物数などのデータを準備しなければなりません。これらのデータは、正確なものを準備することが望ましいですが、データを取得する手間がかかる場合には、被害想定自体の精度が必ずしも高くないことを考え、おおよその値を準備して、とりあえず計算をしてみることでも、被害の傾向等を十分に把握することができます。
被害想定を行う場合には、地震の揺れの大きさを推定する必要があります。地震の揺れの大きさを示す値としては、震度、地表最大速度(kine)、地表最大加速度(gal)などがあります。このうち、地震の被害の程度を計算する場合には、地表最大速度を用いる場合が多いため、この被害想定マニュアルでは、地表最大速度を用いて計算を行っています。