第3回「防災ボランティア活動検討会」 日時 平成17年6月10日(金) 場所 フェニックスプラザ 検討会全体会 (12:00〜12:50) 丸谷(内閣府政策統括官付企画官)  ワーキングランチということで、申し訳ございません、私どもも司会の先生も含めて、食べながらでという条件で始めさせていただきたいと思います。各分科会の方のご準備よろしいでしょうか。それでは、立木先生よろしくお願いいたします。 立木(同志社大学教授)  どうぞお召し上がりになりながら、これから各分科会での議論についてご報告をお願いしたいと思います。    まず分科会@です。岡野谷さんからお願い申し上げます。分科会@は、ちなみに「防災ボランティア活動に係る人材育成と男女共同参画」という結構ホットな、新しいテーマなのですけれども、よろしくお願い申し上げます。 岡野谷(特定非営利活動法人日本ファーストエイドソサエティ)  日本ファーストエイドソサエティの岡野谷でございます。何分でお話をすればいいですか。30分ぐらいよろしいですか(笑)。5分というご指示をいただきました。    分科会@は、あまりにも大きなテーマが二つ用意されていました。「防災ボランティア活動に係る人材育成と男女共同参画」で、どちらも重要なのでどうしようか、皆さんが何を話したいかではなく、何を聞きたいかを考えていただきました。先に男女共同参画についての話をまず始めました。一応時間を区切ってみたものの、やはりだんだん佳境に入ってまいりましたので、結局、男女共同参画について、少し深く掘り下げてお話をしていただくことになりました。  男女共同参画という言葉の定義にあまりとらわれないで話をしたいということもございまして、上からの共同参画をさせましょうという表現ではなくて、現実に被災されている現場にも、いろいろな立場の方がいらっしゃる。その立場の方の感性をどういうふうに受け止めて、男女共同参画を考えるかという視点でのお話をいただきました。では、中川さんから、報告をしていただきたいと思います。 中川(時事通信社、特定非活動法人東京いのちのポータルサイト)  聞いていませんが(笑)。はい。出てきた話としては、新潟県中越地震の中で出た話ですけれども、避難所の間仕切りの話がテーマとして出ました。そういうところで、なかなか女性が現場の中で声を上げにくい中で、どうやってそこを越えていったかという秦さんの報告がありまして、それに関連して、有珠山などでも同じように、間仕切りが入らないところがあって、地域の意思決定がどちらかというと男性中心になされている状態を、どうやっていけばいいのか。なかなか地域の意思決定システムを、一気に外部から行ってひっくり返すのは難しいけれども、何らかの形でそこを理解していただかないと、女性が取り残されてしまうことになりかねないという指摘がありました。    一方、同じように女性の問題について、ボランティアの中で、同じように雑魚寝をしていいのかとか、やはりそういうところの一定の配慮が当然なされるべきであろうと、性犯罪の問題ということも起こりえることもあるので、そこも当然考えておかなければいけないのではないかという議論がありました。当然、先ほどの、被災者の中の女性からの視点を見ることによって、支援する側の自分たち自身をそこで律していくことも多分できるだろうという話がされたと思っています。  あとは、災害においては、直後の話は当然そういうことになるのですが、長期における復旧、復興期でも、女性がどちらかというと、よりしんどい立場に置かれてしまうという現実を、どうやっていけば、見ておけばいいのかというようなことを考えなければいけないのではないかという視点がありました。  そういうようなことを考えながら、人材育成の中で、そういう問題意識も議論していけばいいのではないかという話がされたと思います。なかなか、地域のまとめ役の方にどうやって理解していただくのかとか、現実に地域のまとめ役の方にも、会場からちょっとお話を最後にいただいたのですが、とても現場は実際は大変なので、なかなかそのようなことを、ボランティアから間仕切りとかと言われても困るという話が、ノーと言ってしまうかもしれないという話がありまして、行政が初めからデフォルトでそのようなものを制度化していくのなら、しておいたほうがいいのではないかというお話もありました。  それから、同じように人材育成の関係ですが、災害救援の現場は、いろんなことをやらなければいけないが、行政マンもボランティアとして体験していただくことを積極的にやっていただけると、いろいろな形で影響の大きい人材育成ができるのではないかということも会場の方から、また私たちの中からも議論が出ました。そんなところでしょうか。戻します。あとを言ってください。 岡野谷(特定非営利活動法人日本ファーストエイドソサエティ)  フロアの方も、本当にたくさんのご発言をいただきたかったのですけれども、2・3名で時間となり、それでまとめさせていただきました。人材育成に関してはフロアからのご意見はなかったのですが、隠れた感性をしっかり理解していくこと、ふだんの意思決定こそが現場で生きていくのではないか、また社会の仕組みとしての立場の理解をしっかりしていくことが大切であろうという話が出まして、それを踏まえて人材育成をしていかなければいけない、あるいは、反映させていくこと。地域や、今皆さんがやっていらっしゃる活動グループの中に帰って、本日の議論を続けてほしいということでまとめさせていただきました。以上です。あとは、まだ言い足りない方は全体会の方でご発言下さいということで、終わっています。 立木(同志社大学教授)  ありがとうございました。確認ですけれども、主に男女共同参画の視点のところに議論が割と集中、深めたということで、実際に、新潟県中越地震での間仕切りのそういう配慮について、どうやって進めていくかというような、生々しい実例があったということ、男性中心の意思決定の仕組みを、災害時だけではなくて、平時からどう変えていくのかというような視点ですね。同時に、ボランティアが雑魚寝するといった事態についてもちゃんとした配慮が要るのだということですね。長期復興でも、実は女性が弱い立場に置かれやすい、そういう現実にどう対処していくかというようなことで、大体まとまりますでしょうか。 山崎(特定非営利活動法人NPO高知市民会議)  山崎です。分科会Aでは、復興期と平常時ということで、二つに大きく分かれていましたので、それぞれテーマを分けて話し合いました。私は昼ご飯を食べたいので、大分の村野さんに振ってありますので、お願いします。 村野(大分県ボランティア・市民活動センター、大分県社会福祉協議会)  大分県社会福祉協議会の村野です。たまたま、山崎さんと久しぶりに会ってごあいさつをしたら、ちょっと目が合ったために、指名をいただきまして、司会者の指名は絶対断れないと言われましたので、しょうがなくお引き受けいたしました。ご飯を先ほどから食べようと思ったのですが、あまりおいしくなくて、これが終わってからゆっくり食べたいと思っております。    分科会Aは、集約ではなくて、とにかく発散という形で行おうということで始めました。まず、平常時の防災ボランティア活動というのを、それぞれの地域で行っている活動はどのようなことかということで、新居浜と大分と、植山さんのほうの報告を受けて、それぞれの方たちが、またそれに対して意見を出すというようなことで、いろいろな話し合いをまず行いました。その中で、ハートネットふくしまの吉田さんが言われたことで、私の一番頭の中に残っているのは、日ごろからがっちりつながっているというか、そういう必要はないのではないかと、それについては、やはりその場面場面で、舞台で踊る方と裏方の方とは、いろいろな場面で出てくる方がいるので、それに対して何ができるかというか、ノウハウをつなげていければいいのではないかというお話が、私の中で一番残っています。  上手にオブザーバー有識者の先生がたが、それぞれの話をまとめていただきました。平常時のボランティア活動にこの件に関しては、室崎先生からのご意見で、3段階あるのではないかということです。1番は、平常時の事前準備、救援活動をするための体制づくり、そういうものの平常時の活動である。2番めとしては、予防医学的な、耐震補強であったり、家具の固定であったり、その次の災害に対して、備えを行うという平常時の活動。3番めとしては、公衆衛生。日常的な社会の中でどういうことが必要なのかということ。例えば、大分であれば、日常のボランティア活動をされているかたたちに、災害時のことを少しだけプラスして考えてもらうという話を私もさせていただいたのですが、そういうことを行っていけばいいのではないかというようなことで、まとめていただきました。  その後には災害復興期の件について話しました。まさに今復興期であります。新潟の中越の稲垣さんからお話を伺いまして、とりあえず地域づくり、町づくり、人づくりということで、住民と協働しながら行っていく。その中には、やはり復興期には、行政の役割が非常に大きい、いろいろな施策の中でどういうことをしていかないといけないかというようなことでも、今模索中だということです。そして、行政の人探し、被災者の中での人探し、キーパーソンとなりうるような方たちを探しているというご報告もいただきました。  それから、五辻さんから、やはり三宅島の復興に4年間ずっと携われてきた活動についてお話がありました。中堅の人が帰りたくても帰れない状況がある。高齢者の方は、帰れてすごくいい顔をしているというようなお話もありました。顔がすごく元気になった、しかし担い手がいないというような現状の報告もいただきました。  この復興期は、災害の規模によっては、ボランティアがかかわる必要がないのではないかという報告なんかもありましたし、このときもすずっとまとめていただいたのは、やはり四つ、これも室崎先生がまとめていただいたのは、一人一人の声を、忘れ去られているような人たちの声を拾い上げるのも、ボランティアの仕事。二つ目としては、地域が自立したり、地域力を高めてあげる、エンパワーメントを探すといいますか、そういうようなものもボランティアの仕事ではないか。それから、行政とか、いろんな団体との橋渡し、つながりのコーディネート役をする。それから、やはり教訓、そこで起こったことを発信をしていくというのも、ボランティアの仕事ではないか。まとめはしないということだったのですが、とりあえず一応まとめていったお話になります。  また、立木先生や池上先生からは、こういうような会を、内閣府が持っていただいて、日常から全国で活躍、活動している人たちをつないでいく、こういうような場が非常に大切で、すごくいいことではないかというふうにまとめていただきました。室崎先生が最後に言われたことは、役に立たない教育とか研修を日ごろやっているのはだめだが、しかし、教育というのは非常に大切なことで、それをやっていかないといけない、中身を考えていかないといけないのではないかということを言われました。それから、立木先生が言われたことで私が残っているのは、やはり外からのノウハウは、現地に100時間以内に伝えられるような体制づくりが必要ではないか。まだら模様で、外のノウハウが伝えられる地域と、伝えられなかった地域で、やはり現場の模様が違うというのは皆さん方もご存じだと思うのですけれども、そういうまだら模様がないような支援の体制づくりをしていければいいのではないかということで、お話が終わりました。  最後に、司会をしていただいた山崎さんが、いつものドラえもんのポケットからでてくるような言葉で、三つのワークということを言っていただきました。まず、災害時のボランティア活動は、フットワークです。平常時はネットワーク、そして、復興期には、それぞれのいろんなものをつなぎ合わせるパッチワークが必要だと。一番最後に、山崎さんが、一番これにはなりたくないと言われたのが、オーバーワークということで、最後を締めくくって分科会Aは終わりました。以上です。 立木(同志社大学教授)  手短にまとめていただきました。ありがとうございました。「落ち」までちゃんとつけていただきまして。私も座っておりましたが、大体分かっておりますから確認はいたしません。分科会B、「災害救援の広域連携、後方支援活動及び情報ボランティア」、これは三つもネタがあって、栗田さんの方でお願い申し上げます。 栗田(特定非営利活動法人レスキューストックヤード)  はい、ありがとうございます。レスキューストックヤード、栗田と申します。メンバーを見ていただきますと、もうぞっとするような中でやらせていただきましたが、短い時間の中で、かなりいい議論ができたのではないかと思っております。    まずは、情報ボランティアという問題と広域連携、そして後方支援といった課題がありましたので、大きく二つに分けて、まずはIT関係の情報ボランティアに関する実例報告を、干川先生から頂いた資料に基づいて、口火を切っていただきました。干川先生は、長岡市の災害ボランティアセンターの総務班、情報担当のボランティアの一員として、センターにずっと張りついておられました。  そういうところの中から、例えば、今までボランティアセンターが、ボランティアに、被災者のお宅までの地図を渡すときに、ペンなんかでマーキングしてお渡ししていたものを、完全にIT化して、それをカラープリンターでプリントアウトして地図を提供したということで、非常に高い評価を受けたということをご報告受けました。あるいは、ITというとやはりインターネット上で、情報がいろいろ飛び交うわけですが、そういった情報の中に、誤った情報だとか中傷誹謗するようなメールもある場合もあるが、そういうときにきちっと注意を促し、改善をお願いしたというようなこともやられました。あるいは、リンクということも考えてやられた。あるいは、最近、blogの活用ということが、非常に簡易、安易にはなってきたわけですけれども、それゆえ簡単なblogという方法のために生じる課題も多少見られたという報告がありました。  ほとんどの情報は有効活用されたのでしょうが、例えば、1万本の乾電池がいきなり届いたと、よく考えたら、そういう情報が前に流れていたということだとか、情報リテラシーの問題に関連して、チェーンメールがだいぶ出てしまって、大人のおむつがあとから大量に届いた。私のところで情報を止めないでというのが最後についてますから、それがどんどん流れていったというような反省点もあったという報告を受けました。  そういった課題を受けながら、議論を進めていったわけですが、例えば、岐阜では、携帯電話を使ったボランティアの募集というようなことを、市から委託を受けてNPOが現在つくっている最中です。これは、高山で被災された、「どうやってボランティアを募集すればいいのだろう」というクエスチョンに基づいて、こういう改革をしていこうということで、着手していらっしゃる事例が出ました。  あるいは、京都で被災された方は、ITに関するバックヤードがなかったので、ボランティア募集ということに非常に苦慮しましたと。そのために府社協のホームページから内閣府にリンクを張って、内閣府のページからボランティア募集という情報が流れ出るように工夫されました。  NPO愛知ネットの岡坂さんは全国災害ボランティアセンターのデータベース」を作って、60ものボランティアセンターが開設されましたから、日本地図にボランティアセンターが開設してある箇所が出てまいります。そこをクリックすると、その情報がもらえるといった非常に便利なしろものを作った本人なのです。ただそこにもいろいろ課題があって、例えば、ボランティアセンターがblogをその会に作るわけですけれども、生の情報を入力し続けるという技術、あるいは能力、情熱といったものがだんだん失速していきますと、どうしても更新が遅れてきます。情報が生でなくなってきますから、そういったものをサポートするような仕組みもこれからは必要ではないかと。  あるいは、メーリングリストとかITとか、いろんな言葉が出てきますが、そういう言葉が分からない人たちに対してのフォローも、今後また必要ではないか。ですから、情報版の「お作法」集を作っていく必要があるのではないかという議論になりました。  広域連携、後方支援の課題は、静岡の事例と京都の事例を参考に議論を深めてきました。まず、静岡のほうでは、警戒されている東海地震に対して、静岡は、天竜川、大井川、富士川という大きな河川で橋脚などが落ちますと、陸の孤島になるのではないかという不安が大変ある。陸の孤島になったとしても、どうやってボランティアが現場に駆けつけていただけるかということを、図上訓練を通して、秋口にやろうという計画を進めていらっしゃいます。その中には、やはりいろんな要素が必要で、基本的には行政だとか社協との連携ということも含めて、例えば、外部ボランティアが100人程度宿泊できる施設だとかいったことも必要だということを、いろいろなところに要望していきながら、課題を、これからそういった図上訓練を通して整理をしていきたい。ただ、静岡で何が必要かということを言っていく図上訓練ではなくて、むしろ外部の方が多く参加していただいて、静岡はこうあるべきだというふうに、逆に教えてほしいのだというような発言がありました。  一方、京都の方では、福井豪雨の支援、あるいは京都でも豪雨がありましたが、そういったときに非常に悔しい思いをされました。何が悔しかったのかといいますと、京都の持っているネットワーク、あるいは人材、物などを、本当は集結していろんな支援活動をしたかったが、それがなかなかできなかったという反省を踏まえまして、今度こそということで、実は5月29日に京都府災害ボランティアセンターという、常設のボランティアセンターを開設されました。そういう苦労話、裏話、いろいろあるのですけれども、今後は、そういった常設の京都府災害ボランティアセンターが、例えば、地域防災計画上にもう少し明確に明記していくだとか、あるいはもっともっとネットワークを増やしていくだとか、実は京都の災害の検証作業を行いましょうと呼びかけると、100以上の企業団体が集結したので、非常に今ホットだと。鉄は熱いうちに打てということなので、現在、そういった作業を進められているといった報告がありました。  それを受けて、例えば、台風23号のときには、こうした静岡と京都の個々の事例はいろいろあるわけですけれども、福井の豪雨、三重の豪雨、新潟の豪雨、そういったところとか、私たちの名古屋とかが、例えばボランティア資機材を持っているといったことを、10月20、21で発生した豊岡や京都の災害に、どう有効利用できるのかという話し合いは、もう民間ベースではやっているわけです。そういった広域連携の中で、どういった後方支援ができるかということは、もう民間ベースではやはり進んでますよということを、これからはボランティアマネジメントという概念の中で、その能力を向上させたり、あるいは、ボランティアの公的な位置づけもはっきりさせながら、そういった研修をどんどん深めていくべきではないか。あるいは、ボランティアマネジメントということになると、ボランティア保険という扱いがさまざまなので、こういったことも十分に検討していかなければいけないという意見も出ました。  最後に、東海、東南海、南海地震とか宮城県沖地震も発生が危惧されている可能性が非常に高いといわれている地域においては、やはり具体的な連携方針みたいなことが、これからもっとつっこんだ議論ができるのではないか。そのつっこんだ議論の中で、当然、今までの、10年の阪神・淡路大震災以降、ボランティアセンターが開設された歩みを考えると、行政と連携するということは、もうすでに大きなキーワードになっている。あるいは、現場を無視した入り方は、もうやってはだめですよという「お作法」が、文章になっていなくても、そういう理念が私たちにはある。そういうことを含めると、ボランティアセンターの設置、設置を超えて運営、先ほどのマネジメント、そういうことを視野に入れながら、今後も人材交流も図る上で、広域連携が議論できる場があるといいという話になりました。非常に不十分ですので、どなたか補足をしていただくとありがたいですが。よろしかったですか。 洙田(医師・労働衛生コンサルタント)  ボランティアの安全・衛生の話で、今回はそういう話はあまりせずに、ボランティアの保険のお話をしたのですけれども、ボランティア保険を、なんで大々的にやってほしいかといいますと、事前の意見の中にも書きましたけれど、例えば、感染症に対する補償はない。そういったものを見たら、ボランティア保険自体に不備があるのではないかと。根本的に不備があるのではないかと思います。    もう一つは、ボランティア保険を充実させることによって、お金が集積されるわけです。そのお金を使って、例えば、ボランティアがけがしたとか病気したとか、そういういろんなトラブルを防ぐための対策に、保険金の一部を回せないか。そういった財政の論理が導入できるのではないか。その財政そのものを、ボランティアが少しずつ出した保険料で賄ったら、整合性が取れるのではないか。そういったことを考えたわけです。やはりお金というか、そういった視点をどこかに持たないと、この世の中回っていかないのではないかと思いましたので、本日はあえて、安全衛生に関するお話はほとんどせずに、ボランティア保険のお話をさせていただきました。以上です。 立木(同志社大学教授)  はい、ありがとうございました。ということで、以上三つの分科会からのまとめが今、出た段階です。それで、時間的な進行なのですけれども、一応それぞれの分科会からのまとめを受けまして、これから時間が、最後12時50分終わりぐらいですから、15分ぐらい議論の時間を設けたいと思います。このあと、後半に福井県のイベントの中で、我々の意見を集約していくという作業もありますので、できれば、分科会で出てきた議論のまとめを受けて、さらにそれを横断できるようなキーワードなりを出していくような方向でご発言をいただければ、私としてはうれしいのですけれども、ボランティアは言われなくてもする、言われてもしないというのが特徴ですから、ご自由にご意見を、今のまとめを受けて、ご発言をいただければと思います。 吉村(あんしんまちづくり京都都市青年団、ユース21京都)  端的に終わらせていただきます。今回の場合は、あまりにもテーマが多岐にわたり過ぎまして、それぞれに皆さん、論客の方ばかりが集まっておりまして、私なんてかすむぐらいのかたがたが、皆さん集まっておりますので、これを集約というのはなかなか難しい話なのですけれども、まずその中でどなたかがおっしゃった、内閣府なり総務省、消防庁なり、いろいろな方もいらっしゃっていますけれども、つまり霞ヶ関がこういう形の場をお作りになったということが、僕はこの数年の間で飛躍的な最大の成果だったのではないかと思っております。    ともすれば、今までの政治もしくは行政と民間の関係で言いますと、何らかそういう業界団体と同じように、縛るもしくは管理統制するという、これは偏見かもしれませんが、そういうふうなものがあったし、ボランティアもそういう目で見ておりましたし、行政もボランティアをそういう目で見ていたのではないか。これは私の持論なのですけれども、行政がボランティアを知らないと同時に、ボランティアも行政の側を知らなかったというのが、最大の今までのいろんな対立軸にあった根本でないかと思っております。    いわゆる公設民営型とか民設民営型とか、いろんな形のボランティアセンターが試行錯誤を経て、今は各地域地域に、京都もそうなのですけれども、静岡もそうですし、いろんなところで、いろんなボランティアの地域的なスタイルができ上がってきています。それに対して、例えば、一定の「お作法」に示されるような、一定のマナーというか、こういうのは人間として普通しなければいけないことは、ボランティアの世界でも同じだろうというふうなことが、一定程度醸成されつつあると思っております。  今回、この数年の間で、内閣府なり、政府なりがやられた方針というのは、非常にボランティアの自主性・自発性に関して非常に配慮していただいて、例えば、何か上から押しつけるのではなくて、今でいう「お作法」集のようなものにしましょうとか、文面に関しても、非常に気を遣っていただいているということもありますし、行政の最大の仕事は、金はないけれども、場づくりには出しますよというふうな形で、こういう場を設けていただくというようなことが、最大の霞ヶ関の成果だったのではないかなと思っております。  これを今後も、こういうふうな形でいろいろな災害ボランティアを経るごとに、いろいろな知恵も出てくるし、いろんなことが解決されてくるでしょうし、社会の変化とともに、それから、例えば、各セクターの進化とともにいろいろな形で新たな問題が必ず出てくると思います。今、ここで、話し合われていないことが、ひょっとしたら次の災害で起こるかもしれない、そういうことに関して、不断の努力をボランティア側も、行政の側も、いろいろな各社協とか、セクターの側も、出していく場というのが今後も必要なのではないかと思っております。以上です。 立木(同志社大学教授)  はい、ありがとうございました。ほとんど最後の結論みたいなことが最初に出てしまったのですが、はい、どうぞ。 五辻(東京災害ボランティアネットワーク、首都圏コープ事業連合運営統括本部)  東京災害ボランティアネットワークの五辻でございます。先ほどの、分散会のまとめに対するということではないのですが、午前中の関連で、資料4の「ボランティア活動の安全性確保について」という準備的なもののご紹介がありまして、それから、「関連情報 ウエブサイト」というのも、本当に内閣府が苦労いただいて、こういうものができてきたというのは本当にありがたいことことだと思っております。ボランティア活動の安全衛生の問題についても、ここでは、「安全衛生コンサルタント会との打合せ」ということが資料的に載っておりますが、もう一歩、これまでの実際の災害ボランティア支援の活動の中での、実例的な安全衛生の問題について、専門家の知見というものを、実例として載せていただけるような、サイトの中でもそういうページがあればありがたいなと思っております。    これは、もう時間がないので項目だけいいますと、例えば、水害支援のときにどろを除去する作業の際の破傷風の問題に対する対策であるとか、新潟県中越地震の災害支援できのこのガスを吸ってボランティアの方が亡くなられたというのは、私どもにとってはショックな問題で、それから、三宅島でも、私どもは、リスクマネジメントの講習会を受けない人は島に入れませんよというハードルを一つ作っておりまして、東京都の三宅島のガスに対する検討会の専門委員を務められた、慶應大学医学部の先生が、本当に全面的に協力いただいて、恐らく村の人や工事に長く入っている方よりも、私どもボランティアの方がガスに対しては要するに慣れてはだめだということです。工事に入っている人なんかは、慣れてしまってもうガスマスクなんか着けないのです。しょっちゅう着けているわけではないので、ちょっとガスの濃度が高くなると着けて避難するという訓練やマネジメントを受けて入るのですけれども。  そういういろいろな事例と、それに対する専門家の知見みたいなものが、だんだん重なっていくというふうなものになればいいなと思って、もう一歩踏み込んだものを発信していただけないかなと思います。 立木(同志社大学教授)  今のは、せっかくですから、今回の資料を準備された背景とか、今のようなことを受けて、ちょっとレスポンスをしていただければ。 丸谷(内閣府政策統括官付企画官)  はっきり言って自信があるわけではないのですが、皆様がたが、こういうようなものだったら大丈夫だというふうな資料を出していただけるご協力をいただいたら、そういったものを載せられると思います。    私どもがいちばん心配しているのは、押しつけるという意味では必ずしもないのかもしれませんけれど、間違ったことを出してはいけないということと、流派がいろいろ見られるような気がするというところで、流派ごとのお考えみたいなものを拘束するということはよくないと思います。ただ、皆さんが本当にこれだったら共通だという意思が確認できるのだったら、何でもやらせていただけるのだろうと思っておりますので、そこのあたりは、多分五辻さんのおっしゃっているような話ができそうな気がするのですが、まだ自信がありませんので、いろいろ情報を頂ければと思います。 立木(同志社大学教授)  多分、もう一言、言いたそうな顔をなさっていますので、座長の特権で、もう一言、要は事例をもっと皆で出し合って、それを専門的な知見も含めて、ボランティアサイドで積み重ねていくようなことができないだろうかというような話で振ったのですが。 洙田(医師・労働衛生コンサルタント)  はい、解りました。僕はあまりしゃべらないでいられると思ったのですけれども。資料10の、事前の意見書の4ページに書いてあるのですけれど、「ボランティアの安全衛生対策について」の「1.マニュアル類の整備ならびに広報」に、答えみたいなものは書いています。「1.マニュアル類の整備ならびに広報」から数えて4行目、「マニュアル類の整備を行うチームを作り」と、これは僕の願望なのだけど、やはり作りたい。それでチームのメンバーは事例を積極的に提示していただきたいと思います。僕自身、いろいろなことをやはり知っていますけれど、知らないケースもたくさんあります。やはり、そういう事例を提供していただきたいと思います。    あとは、ここにもいろいろ書いていますけれども、何と言いますか、やはりボランティアというのは、草の根的なものだと思います。ですから、草の根的なところが運営するサイトでこういう情報が公開されるのがいいのではないかと思います。大規模災害に対応できるように、二つ以上のサイトが望ましいと考えています。実は、新居浜の社協にはお願いしてあって、内々にオーケーを頂いてます。あと吉村さんのところでしょうか、京都かなと思っているのです。この話はまだしていないので、さすがの吉村さんもびっくりしていますけれども、控えのサイトとして、新居浜と全く同じ情報を載せていただきたいと思います。新居浜がつぶれても京都は生き残ると思うので。 立木(同志社大学教授)  それは会議が終わったあと、後ほど。 洙田(医師・労働衛生コンサルタント)  分かりました。 立木(同志社大学教授)  目を丸くしておられました。ありがとうございました。 洙田(医師・労働衛生コンサルタント)  そういうことで、こういうことをやって内閣府がポータルサイトになってくれればと思っております。 立木(同志社大学教授)  今の安全衛生に関しまして、結構最後に、皆さんにかかわるトピックで、しかも資料が提供されているということなのですが、時間がもう48分になってしまっておりまして、皆さんの顔を見て、どうしてもという方が、どうもいらっしゃらないみたいだと判断させていただきまして、これで一応全体会としてのまとめ、各分科会でどのようなことが話し合われたかの情報の共有をしたということで、最後に主催者側として、内閣府災害予防担当の西川参事官からごあいさつを頂きます。 西川(内閣府政策統括官付参事官)  はい。皆様、全体会、それから三つの分科会に分かれまして、本当に活発なご意見、ご提案、ありがとうございました。この形での検討会、今回3回目なのですけれども、会を重ねるごとに、ちゃんと議論が積み重なってきまして、先ほど、お話もありましたように、私ども霞ヶ関にふだんはおります人間が、皆様とこうやって情報交換できるのは、本当にありがたいと思っております。私が出ました分科会でもお話ししましたけれども、やはり平時にこうやって日本全国各地で活動していらっしゃる方々が、お互い顔を合わせておいてということが、非常に大事なことだと、私は思っております。さらに今後ともこのような会を続けて、人的な蓄積を深めていきたいと思いますので、引き続きご支援のほどよろしくお願いします。本日はどうもありがとうございました。では、引き続きよろしくお願いします。 立木(同志社大学教授)  では、私のお仕事はこれで終わりにし、事務局のほうにマイクを返します。 丸谷(内閣府政策統括官付企画官)  立木先生をはじめ、皆さん本当にご協力ありがとうございました。また、多数の貴重な意見を踏まえまして、内閣府も頑張ってまいりたいと思います。時間が13時から、合同が始まりますので、もう詳しいことは申し上げませんけれども、なるべく多くの方に、合同の会合のほうに入っていただきますのと、30分ぐらいのフリーディスカッションにできるだけ積極的にご発言をお願いしたいと思います。本日はどうもありがとうございました。 1