第3回「防災ボランティア活動検討会」 日時 平成17年6月10日(金) 場所 フェニックスプラザ 検討会分科会B「災害救援の広域連携、後方支援活動及び情報ボランティア」 亀山(内閣府防災担当) それでは定刻になりましたので、これから分科会Bを始めたいと思います。私はこの分科会を担当いたします内閣府の災害予防担当の亀山と申します。どうぞよろしくお願いいたします。 分科会Bでは、「災害救援の広域連携、後方支援活動及び情報ボランティア」というテーマになっていますが、昨年12月の内閣府が主催をした「防災とボランティアのつどい」において、ボランティアの後方支援の役割を検討し、ボランティアの皆様から、ボランティアバスや地元ボランティアを支える情報ボランティア、物資支援について様々な活動報告や課題について提案をいただいたところです。今回はさらにその議論を皆様に一段と深めて、広域連携まで視野に入れた幅広い議論をしていただければと考えております。  この分科会の司会をレスキューストックヤードの栗田様にお願いしております。栗田様より一言ご挨拶をお願いいたします。 栗田(レスキューストックヤード)  皆さんよろしくお願いします。どうも役回りが変わっていくらしいので、皆様も司会役をいつかはしていただくという意味で、私がお受けさせていただくことにしました。何分こういう場は不慣れですので、進行がうまくいかないかもしれませんが、なるべく皆さんがたの意見をたくさんいただける時間を取っていきたいと思います。よろしくお願いしたいと思います。 亀山(内閣府防災担当)  ありがとうございました。では、これ以後の進行を栗田様にお願いしたいと思います。 栗田(レスキューストックヤード)  それでは、これから11時50分までの90分間で議論を行っていきます。途中一度ぐらいは休憩をと思っていますので、よろしくお願いしたいと思います。11時40分、5分ぐらい、10分前には議論のまとめの方向にいきたいと思います。その後、全体会において、この分科会の議論の概要を報告することになっています。  次に、この報告会は報道関係者のかたがたも含めて公開で行っております。議事録を取らせていただいて、後日議事録を発言者の皆さんに確認のうえ、ホームページ等に掲載するとのことですのでご承知おき願います。  そのため発言の折には、お名前と所属をおっしゃっていただきますようにお願いいたします。座席表についてですが、記録を確実にするためにも、これから回覧する座席表にお名前をフルネームでお書きいただきたいと思います。自分が書きましたら隣のかたにお回しいただきたいと思います。お願いします。それでは、事務局から資料説明をしていただきたいと思います。 亀山(内閣府防災担当)  分科会Bの関連資料について簡単にご説明をさせていただきます。全体会で配布しました「資料7」をごらんください。これが分科会Bについての資料が入っているものです。まず1ページ目、2ページ目がこれまで内閣府が行ってきました「防災とボランティアのつどい」「防災ボランティア活動検討会」の中で出ました関連の意見の抜粋です。ボランティアの後方支援を検討する必要性、ボランティアバスや全国的なネットワーク、物資支援、情報ボランティアについての意見や課題などをまとめたものです。  続きまして、3ページ目ですが、これは栗田さんに資料提供をしていただいたものです。「あいち中越支援ネットワーク」の活動概要を掲載しています。後ほど議論の中でもご説明をしていただきながら紹介していただければと思います。  5ページ目ですが、情報ボランティアの実例ということで、干川先生から資料提供していただいたものです。これも詳しくは議論をしていく中で、引用するなどしてご説明をしていただければと思います。  11ページ目は、「全国災害ボランティアセンターデータベース」の例です。岡坂さんから資料提供いただいたものですので、これも議論の中でご説明をしていただければと思います。  それから、別冊になっています、皆様のお手元にあります「災害ボランティアバスパック」は、これは三重の山本さんから提供していただいたものです。これも使いながら議論をしていただきたいと思っています。資料の説明は以上です。 栗田(レスキューストックヤード)  ありがとうございました。それでは、意見交換に入りたいと思います。自己紹介を兼ねてお1人ずつ、まずずっと回しますかね。干川先生、最後でよろしいですか。  では吉村さんから。 吉村(あんしんまちづくり京都都市青年団(KCYAC) 団長/ユース21京都 副理事長)  おはようございます。京都から来ました吉村です。5月29日、京都で官民共同、常設の「災害ボランティアセンター」が発足しました。まだまだ検討しなければならないことが現場のボランティアにはたくさんありますので、こういう検討の場を通じて皆様と議論を深めて勉強していきたいと思います。よろしくお願いいたします。 岡坂(特定非営利活動法人 NPO愛知ネット)  おはようございます。NPO愛知ネットの岡坂と申します。検討会にはインターネット・IT・ホームページなどのキーワードが出てくるので呼ばれるのかなと認識しています。普段は違うこともやっていますので、それも含めながら今日も議論させていただきたいと思います。よろしくお願いします。 洙田(医師/労働衛生コンサルタント)  おはようございます。大阪の堺から来ました洙田と申します。今日、私は風邪を引いていまして、あまりしゃべれないと思いますが、その分、意見を書いていますのでごらんください。  もっぱらボランティアの安全面とか衛生面に関することをやっています。ということで本日も積極的に、体調を考えたらあまり積極的にできないかもしれませんが、発言していきたいと思います。よろしくお願いします。 小野田(特定非営利活動法人 静岡県ボランティア協会 常務理事)  おはようございます。静岡県ボランティア協会の小野田です。この検討会を通して昨日の夜も少し意見交換をさせていただいたのですが、東海地震が非常に大きなテーマになっています。県外からのボランティアの人たちが、静岡県に東海地震、心配されているような災害に見舞われたときにどういう形で受け入れができるのかということを含めた図上訓練もやってみたい。  それを繰り返し重ねていく中で、こんな形が被災地からの情報の発信のしかた、また、受け入れるための仕組みづくりとしてあったらよかったのかなというようなものが、図上訓練の積み重ねの結果として生み出していくことができればいいかなと思っています。いずれにしても、いろいろな情報を集めながらいろいろな取り組みのしかた、仕組みを重ねていきたいと思っています。よろしくお願いいたします。 弘中(特定非営利活動法人 防災ネットワークうべ)  山口県の宇部市から来ました弘中と申します。「NPO法人防災ネットワークうべ」に所属しています。仕事は、地元の市役所で防災担当をしています。先日数えてみましたら今年で10年目になっていました。長いばかりですが、何かのお役に立てればと思っています。よろしくお願いします。 川上(特定非営利活動法人Vネットぎふ/サポートコムネット)  岐阜県から来ました川上です。地元の話ですが、高山市も先日合併しまして面積が2100平方キロ、大阪府とか香川県より広い都市になってしまいましたが、人口は9万7000と、猿や牛のほうが多いような町になってしまいました。広域連携ということを考えて、隣県も含めて、自治体や社協と組んで地域同士の連携、相互支援を具体的に進めていきたいと考えています。よろしくお願いします。 干川(大妻女子大学)  大妻女子大学の干川です。私は阪神・淡路大震災以来、コンピューター通信を使った、最近はインターネットを活用した広域的な連携のための情報共有・交換などを情報ボランティアとして行っており、それを調査研究としてまとめています。その中で、広域連携のためにはやはり情報共有・交換が、それはボランティアの間でもそうですし、実際現場のボランティアセンターの運営をやっていくときにもそうですが、人、物、金、情報、といった諸資源を獲得するうえですごく重要なものであって、案外それは気づかれないことでしたので、この「防災ボランティア活動検討会」でも今回初めてこれを取り扱ってくれるということで、やっと出番がきたかなというところです。以上です。 栗田(レスキューストックヤード)  ありがとうございます。私も名古屋で活動していますレスキューストックヤードの栗田と申します。愛知で活動を始めて10年近くになるわけですが、そういう面からやはり広域連携だとか後方支援という概念は非常に大事だと感じています。例えば愛知県は、もう阪神大震災の翌年から「防災のための愛知県ボランティア連絡会」を、私どもも加わらせていただいていますが、主に県社協、日赤愛知県支部、ボーイスカウト、ガールスカウト、いろいろな半官半民のような団体も含めまして、11の組織で発足しました。愛知県と年に4回協議や平常時には愛知県が主催するいろいろな防災イベントに参画しています。緊急時には愛知県がボランティア支援本部の場所を提供するので、そこに公設民営という形でコーディネーターを派遣する、知事との協定を結んで活動しています。それが結ぶだけではなくて、2000年の東海豪雨水害のときに初めて試されたという経験があります。  そういう中で、やはり自分たちの活動の小さな範囲の中でやっていくのではなく、広い多くの方々と連携していくことが非常に大事であるということを肌身で感じています。特に最近は平成8年当時の連絡会の構成メンバーから、愛知県は2002年に強化地域に指定されるという大きな転換期がありまして、県民の防災意識が非常に高まっています。そういった中で、今の枠組みの見直しを、今年はきちっと議論をしていこうということが、大きな課題となっています。  ですから、広域連携といってもいったん決めたらそれで終わりではなくて、その時々の状況に応じて、アメーバのように大きくなったり、小さくなったり、非常に柔軟な形で対応していかないと、がっちりとしてやっていこうというわけにはなかなかいかないということを実感として感じています。  今日は山本さんが来ていませんから、「災害ボラパック」という言葉と活動を三重の方々が考えたのですが、ボランティアバスを出して支援することも、もちろんこういった書式できちんと作られ、その活動の成果をあげています。三重のメンバーは私たちと非常に仲のいい関係にもありまして、例えば2000年の東海豪雨水害のときには、三重県の団体が三重県の中で集まって、その東海豪雨水害を支援するためにはどうしたらいいのかということを、三重のメンバーが話し合って、愛知のメンバーと連携しながらその情報提供を三重県内でされたことが非常に力となりました。ですから、三重からたくさんボランティアの支援やボランティア本部のほうに「鈴鹿ボランティアネットワーク」の南部さんに事務局スタッフとしてかかわっていただきました。  このボランティアパックも、後ろの主要構成団体というところを見ていただきますと、NADみえという、例えば先ほど申し上げた南部さんがいる「鈴鹿ボランティアネットワーク」や、あるいは山本さんがやっておられる「三重県防災ボランティアコーディネーター協議会」など、いろいろなネットワーク組織を持っていらっしゃって、そこにそれぞれの地域で活動している団体が所属をして、そこに県・日赤・社協などの構成で、こういう本を作られたというような、三重県ボランティア情報センターの構成メンバーであり、かなり先進的な考え方で三重の場合はやっていらっしゃるということが、この1冊の本からまた見ることができるのではないでしょうか。  その成果とか効果というのはやはりきちっと測っていかなければいけませんが、今までそういうものができていなかったかもしれません。何か好き嫌いだけで話を済ませてしまうというようなこともボランティアということで、あったようですので、その辺をきちんと整理していくうえでは、この1時間の使い方といいますと、やはりそれを30分ぐらいきちんと議論して、そのあとそういう概念も含めたもっと大きなITといったものの活用も含めて1時間ぐらいを使っていきたいと思います。よろしくお願いいたします。  それでは、意見交換に移りたいと思います。話題提供として干川先生からいいですか。まずはIT関連のことをやって、そのあとそれも含めた広域連携の議論に進めていきたいと思いますが、よろしいですか。  傍聴者のかたにも広くご意見をいただける時間があると思いますので、ご発言のある場合は挙手していただきまして、所属とお名前と言っていただいてご発言いただきたいと思います。よろしくお願いします。 干川(大妻女子大学)  資料7の5ページから私からの資料提供です。これは内閣府にまとめていただいたものです。もともとこの資料は、私が日本学術振興会の科研費を4年間助成してもらって作成した「災害時におけるインターネットを利用した情報支援活動についての調査研究」という報告書の一部をまとめたものです。もう一つ、災害時の情報共有・交換システムを文科省の研究プロジェクト、「大都市大震災軽減化特別プロジェクト」として進めていまして、その研究成果でもあるわけです。  去年10月に新潟県中越地震が起こりました。そのときに私は長岡市災害ボランティアセンターに張りついていまして、情報担当ボランティアとして関わりました。その事例の中から見えてくるものということをまとめたものがこの5ページからの資料ということになります。  新潟県中越地震の場合は、長岡市だけではなくて、小千谷であれ川口町であれ、あるいは十日町市であれ、それぞれのボランティアセンターがホームページを立ち上げて、毎日いろいろと現場の活動状況を情報発信していたわけですが、長岡市も災害ボランティアがそれをやっていました。  このときにblog(ブログ)といわれるものがホームページとして活用されたわけなのですが、その話が5ページの最初のホームページ、これは長岡市の災害ボラセンはもともと社協が立ち上げたセンターですから、社協のホームページにリンクされている形での公式のホームページと、もう一つは地元のNPO法人「長岡生活情報交流ネット」が提供してくださった、blog(ブログ)を利用したページがありました。実際にはこっちのblog(ブログ)のほうを使って、大体毎日情報を更新しながら情報発信していました。これは当然いろんな人が見ていたわけです。  また、IT環境で言えばISDN回線が長岡市社協の福祉センターのところに入っていましたので、それを使って、LANを組んで情報担当のボランティアが、いろいろと情報のやり取り、あるいはホームページの更新などをしていました  あと、インターネットとはまた別の話ではあるのですが、地図も工夫をしました。どこのボランティアセンターでも言えることですが、ボランティアセンターに来るボランティアは地元の方でない場合が多いので、現場に行くのに行き方が分からない。だから、大体標準的な形だと、長岡市であれば長岡市内のゼンリンが出している住宅地図をコピーして、マーカーでそのルートを引いて、配るということをやりました。知り合いの研究者ルートから、地元の地図情報処理システム会社から住宅地図の検索表示システム、とカラーレーザープリンターの提供を受けました。それでコピーしてラインマーカーを引かなくても、自由に拡大して、それをプリントアウトし配りました。これはかなり現場の役に立ちました。また、長岡のボラセンはいろいろなところから、主に社協の人たちが全国から応援に入っていましたが、それを見て、「うちもこれが欲しいな」といわれていました。  ですから、IT活用ということで言えば、住宅地図のレベルであってもかなりそれだけ役に立つ。本当は本格的にやるのであれば、GIS(地理情報システム)というものがありますが、そんなものも使えばもっと広域的に効率よくやれると思います。地図をIT化して活用する。それが実際長岡の場合は成果を上げていたということがあるわけです。  もう一つは、研究プロジェクトチームも長岡市の災害ボラセンに支援に入っていて、その中でいろいろと実態調査をやりました。まず、長岡市の災害ボランティアセンターでは情報担当のボランティアとして、情報提供活動を行いました。そのセンターに必要な情報をインターネット上から探し出すことと、それとホームページ上に現地の情報を上げたということです。  今回重要な活動としてクローズアップされてきたのが、「ネットパトロール」というものです。これは長岡市内だけではなくて、新潟県内の被災地での被災者の救援、あるいは支援活動の妨げとなりそうなインターネット上の情報がいっぱいあるわけです。そういったものを探し出して、この発信者にメールで訂正をお願いする。これは目立たない活動ではあります。やはりネットで流れる情報と現地の情報に食い違いがある。これはきちんとしておかなければいけない、やらなくてはいけないということで、情報担当のボランティアが何人かいましたから、大体みんな持ち回りでやりました。  例えば消防庁が発表している災害ボランティアセンターの受け入れ状況、新潟県災害救援ボランティア本部の情報がずれていないかチェックしました。むしろメーリングリスト上に流れてくる情報のほうが気をつけるべきものでありまして、いったん流れてしまうとこれを訂正するというのはなかなか難しいところがありますが、それでも一応情発信者に改善をお願いしました。  また、リンク集を作りました。これは災害が起こるといろいろなところで雨後の筍のようにリンク集を作りますが、私の研究開発プロジェクトのチームとしてもそれを立ち上げたということです。  8ページ目に移りますが、今回の新潟の中越地震でのIT利用ということでいうと、まずblog(ブログ)が活用された。これは簡単に立ち上げて、面倒な操作も要らずにすぐ更新ができる。いろいろなところからトラックバックという形で相互リンクを張ることができる。そういうことですごく双方向の形での情報共有・交換に優れているわけで、これは長岡市に限らず、小千谷市ですとかそれぞれ使われていたと思いますが、そういった形ですごく効率的な情報共有の役に立ちました。  問題はごく一部なのですが、やはり中には単なる感想的なものとか、思い込み的なものとか、誹謗中傷的なもの、そういったものに長岡市の災害ボラセンのblog(ブログ)がリンクされていて、どんどんたどっていくと、情報の信憑性の乏しいようなものにまでつながっていってしまうというところがありました。  問題は、情報リテラシーの問題というところになりますが、あるとき、たしか11月下旬だったと思いますが、長岡市災害ボランティアセンターに大小の乾電池が取り混ぜて1万本、事前の連絡なしに送られてきたということがありました。実際blog(ブログ)とかその辺の情報を通じて来たのかなと私が実際検索してみると、やはりそれに当たるようなものが出てきました。これは十日町市の避難所でボランティアをしていると思われる人物が、11月の上旬に「とにかく乾電池が幾らでも必要になる、送ってほしい」という記事が載っていたので、多分これをだれかが見て、それでせっせと乾電池を集めて、そして、もう十日町市は要らないのかなということで長岡市に送ったのかどうか知りませんが、そういったことで、多分blog(ブログ)上の情報が情報源でなかったかと思います。  そういったことで、とにかくインターネット上にはいろいろな現地の情報が流れる。それも正確なもの、あるいは発信者がそれぞれの災害ボラセンだということであればいいのですが、そうでない一般のボランティアで、自分が目で見た範囲でそういう情報を流されてしまうと、こういった乾電池がどんと送られてくるということがあります。  また、これは有名な事件とすれば、これは小千谷市では、これも同じようなblog(ブログ)上に、最初は政治家が視察にきたとか、あるいはマスコミが車を市役所の正面の入り口につけて、それで勝手なことをやっているということから始まって、避難所で例えば大人用の紙おむつが欲しいとか、そういったものがblog(ブログ)に書き込まれて、それがまたblog(ブログ)同士で相互にリンクされたりとか、そのblog(ブログ)の載った記事が「コピー&ペースト」でいろいろなところでメーリングリストに流れたりとかということがありました。小千谷市でも多分大人用の紙おむつとか張るカイロなどが必要だということも書かれていましたので、送られてしまったのではないのかなと思います。  また、このメールも、NHKが24時間の番組を組んでいましたが、その中で読み上げられました。せっかくインターネット上では情報の流出が収まったのに、またNHKにそのメールを読まれたため、再び火がついてしまいました。  そんなことで、blog(ブログ)というのは新潟県中越地震では活用されて、99%はすごく役に立ったと思いますが、残りの1%の部分で、いろいろな言動というかやり方で現場に混乱がもたらされたケースもあるということです。  福井県で起こった1997年のナホトカ号の重油流出事故の時、初めて三国町からホームページで情報発信がされて、その中で支援物資の募集、活動支援金の募集、ボランティアの案内が載って、大量の物資、お金がいっぱい集まりましたし、ボランティアも迷わず来ることができたわけです。どの交通手段を使えば行けるかとか、現地の地図もホームページに出ていました。そういうものもすごく活用されて、福井県が発祥の地でありまして、そのときから実はインターネットは大きな力を発揮しているわけです。広域連携や一般の人たちからいろいろお金とか物とか、あとボランティアの人材ですね、それを提供してもらうところで役に立った。ボランティアバスはあとで出てきますが、当然ボランティアバスの募集なども出ていましたし、現地レポートも出ていました。そういったことで言えば、後方支援というボランティアバスのレベルであっても、かなり97年度の重油災害のときに実はインターネットは活用されていたということがあります。  案外知られていないというか、常にこの情報関係のボランティアは裏方でありまして、あまり表に出ないものではありますが、携わっている活動の紹介は以上です。 栗田(レスキューストックヤード)  ありがとうございました。説明で20分たってしまいましたから、あと10分ぐらいしか議論の時間がありませんが、情報ボランティアという観点からITを活用する広域連携、あるいは後方支援というところにつながっていく話題提供ですが、ご質問やご意見はありますか。 川上(特定非営利活動法人Vネットぎふ/サポートコムネット)  事例でもよろしいですか。 栗田(レスキューストックヤード)  いいです。どうぞ。 川上(特定非営利活動法人Vネットぎふ/サポートコムネット)  川上です。昨年の台風23号のときにやはり情報不足というのがすごく課題として挙げられましたし、聴覚障害とかそういったかたへも情報が行かないということ、ボランティアにどうやって連絡をするのだということもあったのです。「http://www.support.cc/i」というウエブサイトを立ち上げました。できるだけ簡単なアドレスでということで、このドメインを取ってやっています。これは高山で被災者の方とボランティアに向けての携帯のホームページを使って出そうとしたものです。協力してくださるかた、その被災状況をメールの写真で撮って、市役所へ被災状況を出してもらうものとしました。また、ボランティアの活動状況をメールで写真を撮って送っていただき、県の防災システムにも流すということを進めています。  こういうようなIT、特に携帯を使って、災害ボランティアの情報として流すことによって、来るまでの途中の車の中で、やはりどこへ行く、何が必要、どういう作業が課題としてあるのだということも来ながら途中で確認をする。うちで確認をするとプラスしてやっていただけるということで、今それを取り組んでいます。  これのシステムですと、消防署、市役所、うちらのほうからと3か所から出したものは、ここに登録されているかた全員に一斉配信されるというシステムをプラスして、今、こういうものを立ち上げています。 栗田(レスキューストックヤード)  これはまだ今やっている最中でしょうか。 川上(特定非営利活動法人Vネットぎふ/サポートコムネット)  多分6月の議会で通ったら立ち上げになる。今はもうこのページはあるのですが、つないでいただくともう出ます。 栗田(レスキューストックヤード)  高山水害のときに活用されたのでしょうか。 川上(特定非営利活動法人Vネットぎふ/サポートコムネット)  なかった。なくて、聴覚障害者に情報が届きませんでした。その反省点と、高山から働きによそへ出ている人にも伝わらなかったので、そういう人たちとボランティアにも活用できると便利と思い、立ち上げることになったのです。 栗田(レスキューストックヤード) これは主体はどこがやっているのですか。 川上(特定非営利活動法人Vネットぎふ/サポートコムネット)  高山市が「サポートコミュニティ飛騨」という団体に委託してという形です。 栗田(レスキューストックヤード)  高山市からの委託でNPOが作っていると。 干川(大妻女子大学)  大妻女子大の干川です。今のお話は、とにかく現地でボランティアというか、すぐに発災後動かなくてはいけない、そういった形での活動の中ではそういったIT活用はすごく重要であるわけなのですが、やはりIT活用も発災後の時間の流れというか、フェーズで考える必要があると思います。  実際はボランティアセンターが立ち上がるところから、情報ボランティアの本格的な活動になりまして、情報ボランティアは発災からその間インターネット上を全部探し回って、様々な情報を全部網羅してリンク集を作っています。必要な情報がネット上から手に入るということであるわけです。被災地の後方にいる人間はそういう活動しかできません。当然被災地の中での活動、その周辺の中での緊急性を要する活動の中でのIT活用というものも当然重要であって、様々なシステムが幾つかのところで立ち上がっていると思います。すごく重要だと思いますが、さらに被災地の後方で支援する活動もまた重要であるという、その辺の連携ができればと思います。 川上(特定非営利活動法人Vネットぎふ/サポートコムネット)  そうですね 吉村(あんしんまちづくり京都都市青年団(KCYAC) 団長/ユース21京都 副理事長)  京都の吉村です。岡坂さんがしゃべりたそうにしているのですが、去年の台風23号の京都水害では、ITに関するバックアップ、バックヤードを持っていませんでした。その中で乗り切らなければいけなかったため、11日に水がつきまして、現地は、ここにいらっしゃる福井の松森さん以下、福井の皆様のお力で現地のボランティアセンターを何とか協働で立ち上げることができました。京都府への広域支援をする京都府の災害ボランティアセンターが実際機能しだしたのは23日であり、2日間のタイムラグがあります。  そのあと25日には、週明けからボランティアバスを出さなければいけない。そのボランティアバスを出すときにボランティアの募集をかけていくためにどうしようか考えました。京都府の社会福祉協議会に災害ボランティアセンターが設置されていますが、京都府の社会福祉協議会のホームページは、こういっちゃ何ですが一般の方は普段あまりアクセスしていません。  そこで、対策会議で一計を案じましたのは、とりあえずページを府社協で立ち上げ、内閣府にリンクしていただき、周知するということを内閣府の方に相談して掲載していただきました。岡坂さんからしたら、何をやっているのだと怒られそうなお粗末な状況でした。  現地のボランティアセンターは、後方支援に当たった私もそうなのですが、昼間はばたばたしていて、特に水害が起こったら現地との連絡で電話媒体がいちばん手っ取り早いですよね。そうするとITを見る余裕がないのです。私は実際1週間大体見ていたのが夜中の2時から6時までの4時間の間、たまっている1日数百通のメールをさばく。これを毎日ずっと続けていたという状況です。昼間はそんな状況はないので、現地との、例えば広域調査をやったりするときに表に出せない話がありますね。やはりそういうことを、例えばメールで一度頭を整理して、表に出せない情報を出す必要がありました。直接のメールでもいいのですが、何らかの形でメーリングリストなりを作っておくという必要があるでしょうし、逆に例えばPRをしていくという方法もあるでしょう。  それから、先ほど干川先生がおっしゃった例のblog(ブログ)が、非常に今回効果も与えたのだけれども、悪さもしたということですが、別にこれはblog(ブログ)が悪いわけでもなくて、使う人の資質に問題があると思います。メディアリテラシーの問題は、やはり普段から我々の中でもっと議論を深めていくべきです。  実際に例の小千谷市の事件も、京都でも、あの事件がある程度収まってからも、せっせこせっせことメールで配信している人がいました。その方は非常に精神的に感情の起伏が激しい人でして、だいぶハイになっていらっしゃいましたので、「だめだよ」「こんなことをしたらこうこうこうなるのだよ」ということは言ったのですが、「私は公に統制されることを好まないのだ」「情報というのはみんな隠したがるから、私はそういうことはなくて、ボランティアなのだから自分の意識でもってどんどん発信するんだ」というようなことを言われて、とにかく幾ら言ったって聞きませんでした。最終的に、その人がメールをしたところを追いかけていって、これこれこう言う理由だから転送かけたらだめだよ・・・と言うことをやり、チェーンメール化を防ぐようなことをしました。  結局は、小千谷から出た情報も「私のところで止めないで」という形で進化しました。やはりそのところを来た段階でぐらぐらっと動く心を、ユーザーのかたがたに自らが自分のところで止めるという勇気を持つということが大事なのかなと思いました。 栗田(レスキューストックヤード)  ありがとうございました。ご指名ですから、岡坂さん。 岡坂(特定非営利活動法人 NPO愛知ネット)  まず資料7に紹介している資料から説明します。絵が多いので見ていただければそれで大体分かるのですが、「全国災害ボランティアセンターデータベース」。説明書きの最後に「現在パスワード制限をしている」と書いてありますが、事実上閉鎖をしています。  要は当初、台風23号前後、新潟県中越地震も含めて、全国にボランティアセンターあるいはボランティアの活動現場が、同時に多発しました。それを皆さんどこにいったらいいのかという、地理的なところを最優先にして皆さん判断をしていただきたいと考え、このデータベースを立ち上げることにしました。例えば四国の人が四国の現場をスキップして新潟県中越地方に行くとか、それでもいいのですが、まずはお近くのところからどうぞという一つ提案のつもりで、地図ということを意識してつくりました。  この件はポイントとして多分三つあると思います。一つは、地図というインターフェイス。あと二つはどちらかというと、課題になりますが、二つ目は、先ほどから干川先生にご指摘していただいているとおり、blog(ブログ)を使ったことで、作った僕としては何をねらっていたかというと、全国にそういった多発している主にボランティアセンター発のblog(ブログ)について、一緒に連携を取る、技術的にデータとして連携を取ることによって、その受け皿を作ろうと思ったのですが、これは実はうまくいきませんでした。  三つめは、これは自分も含めてですが、特に新潟県中越地震が起こって1週間後ぐらいから、各ホームページの情報更新を個人でおやりになっているかたが特にそうなのですが、情報更新が失速をしています。それはやはり更新を随時アップデートをしていかなければいけないのだけれども、やはり人間は1人なので、なかなか手が追いつかない。ここまで広範囲にいろいろなことが同時に起こると、やはり情報を収集するというところで、特に個人単位ではそれは不可能に近いというところで、こちらもアップデートがうまくいかないものですから、途中で閉鎖をさせていただいたという状況に実はなっています。  繰り返し言うと、blog(ブログ)を使うという経緯について、先ほどから申し上げている課題と、あとは更新が遅れるだとか、更新するホームページのタイムラグをどう調整するかが課題だと感じています。これはホームページに限ったことではないのですが、あるところとあるところの言っていることが違うときにどう判断したらいいのかというところに工夫が必要と思われます。  ここまでは資料の説明でしたが、全体的な今までの話のコメントをさせていただくと、根本的に例えばボランティアセンターはホームページを何のために、出しているのかというと、ボランティアに正しい認識を持って来てほしいからだと思うのです。僕らみたいないろいろ知っている人は、例えば実際災害が起これば友達から電話がかかってきて、「岡坂さん、来て」とかと言われて行くわけですよ。そういうもっと違う手段で要請がくるんだと思います。じゃあ災害のときにホームページを見てあえて行く人はどういう人かというと、多分今まで経験のないかたが多い。逆に言うとホームページは今まで経験のなかった人を災害ボランティアとして新たに生み出す一種増幅装置なわけです。  その増幅装置に「欠陥があるぞ」「ちょっと足りないところがある」というようなうまく情報が伝わらないことが起こったりします。例えば単純な話、行ってみたらそこにボラセンはなかった、要するに位置を間違えていることや、持ってくるべき装備を持ってこなかったこと、あるいは行って現場で活動したら、現場でちょっと迷惑をかけてしまった、あるいは安全・衛生のほうで気をつけなければいけないところの予備知識が入ってないまま現場に来てしまったということが起こるわけです。  多分ボランティアセンターのホームページをつくるにあたって、blog(ブログ)などいろいろなツールで工夫するのはいいのですが、それを使って、正しいボランティアが正しい場所に正しい装備を持って正しく来てもらうという、そのナビゲーションをするための一つの装置だとして考えると、今いちばんいいのは、やはり更新の頻度をなるべくアップデートを早くする。それから、なるべく簡単に現場でアップできるという状況を踏まえると、やはりいちばんベストなのはblog(ブログ)なのかなとなってくるのですが、いかんせんblog(ブログ)には先ほど言ったような話になっていくわけです。  blog(ブログ)が厄介なのは、blog(ブログ)同士で情報が右往左往することではなくて、実はblogの情報が掲示板に移り、掲示板の情報がメーリングリストに移り、メーリングリストの情報がメールに移り、下手すると『電車男』みたいに本になったりするという状況が発生するわけで、これが非常に怖いことではあります。『電車男』のように本にはなりませんでしたが、実際NHKで放送されてしまったというのが先ほどの例です。  やはり侮れないところがあって、それはやはり視点としてはまたもう一つ別の視点が必要で、何かというと、先ほどまではホームページを見ている人の話だったのですが、最近はそうやってblog(ブログ)のおかげで何が世の中として一般的に変わってきたかというと、今までホームページが作れなかった人が簡単にホームページを作れるようになったというのが大きいのです。そうすると災害のときに、今まで経験のなかった人が、「僕が災害支援の一環でホームページを作ってあげよう」とトライするわけですね。これが恐らく先ほど吉村さんが言っていたメディアリテラシーの問題だとか、干川さんが言っていたblog(ブログ)に関連するたった1%の問題の最たるもので、今まで経験のあるNPOなど、要するに検討会のメンバーがblog(ブログ)でホームページを作っても一向にそういう間違いはしないと思います。しかし、初めての人がblog(ブログ)というものを介して簡単にホームページを作れるから、ホームページをやると、不慣れなものですからそういう間違いを起こすことや、知らないことが多いため、問題が起こってしまうのでしょう。  それについては何か一つ多分工夫をしなければいけないし、情報ボランティア版のお作法ガイドのようなものが必要だと思います。しかも初めての人ですから、いわゆる防災ボランティアのお約束みたいなところではなくて、例えばIT技術の一環で何かそういうソフトを組み込んでしまうことや、あるいはよくITが好きな人たちが見るページの一環で、災害時の対応など考えると良いのではないでしょうか。  一般のボランティアさんの周知には、たとえば「Yahoo!」や、こういうことはレスキューナウドットネットの市川さんがこの場にいると良かったのですが、何か連携して周知のキャンペーンをしていくというのも必要と思います。  もう一つは、長岡事件だとか小千谷事件だとかというblog(ブログ)とセットになっている一連の事件の話なのですが、これは実はblog(ブログ)そのものの問題よりは、僕は物の情報を出したからという単純にそれだけだと思っています。それはメーリングリストで物の情報を流す。これが例えばお金の情報だったり、どこかに募金してくださいという情報だったり、どこかに人が来てくださいという情報だったら、人が行くのはなかなかできませんから、それほど大したことないでしょう。お金の情報でも口座が閉鎖していれば振り込めないわけですし、お金は幾らもらってもいいわけですから迷惑はかからないということを踏まえると、物の情報を取り扱うことについて、特にインターネット上でのことは、やはり議論し、何らかの対策を打ったほうがいいのではないでしょうか。以上です。 栗田(レスキューストックヤード)  ありがとうございました。ほとんど時間がなくなってきましたので、このITに関してはこの辺にしたいと思います。発表は私が全部するのですか。 亀山(内閣府防災担当)  栗田さんがしていただいても結構ですし、どなたかご指名していただいても。 栗田(レスキューストックヤード)  それはちょっとあとで決めましょうか。発表するのも全体会の中で必要なので。福井との全体会ではなくて、この検討会の中の報告会をこのあと11時50分からですね。  全体会は12時からということなので、その全体の発表なのですが、そういう準備のためにちょっと今の議論を整理しますと、まず干川先生から、新潟県中越地震での実例として、実際干川先生がボランティアに入って、長岡のボランティアセンターで活動されたご報告があって、その中で例えば大大特の関係で、今まではボランティアが地図を手書きで渡していたものをIT化したという実績をお作りになったり。これはだれでも訓練すればできるのですか。 干川(大妻女子大学)  これを使っていたのは高校生ですから(だれでも簡単にできます)。 栗田(レスキューストックヤード)  簡単。そういうことだとか、あるいはいろいろなリンクのことだとか、あるいはチェーンメールの被害、情報リテラシーの問題は、非常にblog(ブログ)を使ってやりやすいといった反面、わずかの1%だろうということですが、例えばそういったものがチェーンメール化したり、1万本の乾電池が届いてしまったりといった弊害も実際にあったというご報告がありました。  そのあと川上さんから、ホームページで今、リアルタイムで情報を届けるような携帯メールをつくっているという報告がありました。吉村さんからITに関するバックヤードがなかったので、内閣府のホームページにリンクしてボランティアを募集したという事例です。 それから、岡坂さんから「全国災害ボランティアセンターデータベース」を作ったはいいが、先ほどの情報リテラシーの問題もあるのですが、blog(ブログ)でやりやすくなった反面、ミスも多いので今後も議論が必要だと、情報版お作法が必要だというご提言がありました。  それから、blog(ブログ)で作っていくということがあるのですが、たやすい反面、もう一つはそれを日々更新していくという作業がどうしても失速してしまって、現場でそういうことをやっていただくかたのパワーアップだとか支援も必要だというご提言がありました。  ITに関しては大体そのぐらいですね。こういう議論を踏まえつつ、次の広域連携とか後方支援という課題に入っていきたいと思います。それでは、広域連携、後方支援のテーマに絞って話をしていきたいと思います。  情報提供としては3ページの「あいち中越支援ネットワーク」というものがありますが、簡単に、これは事例報告ですから、あまりこれが基本的な議論の核になっていくとは私は思っていませんが、先ほど申し上げたように、愛知では「ボランティア連絡会」というものがすでにできていまして、そういう県と連絡をいつも取り合っている団体を巻き込みながら、岡坂さんのいらっしゃる「NPO愛知ネット」と「レスキューストックヤード」が呼びかけ人となって、幅広いネットワークで「あいち中越支援ネットワーク」というものを立ち上げました。それが大体団体数でいくと31団体が結成した。後援として、後押しするところとして愛知県、名古屋市、ご賛同いただいた社協などが加わって、こういった支援を11月当初から3月末まで実施しました。  具体的には、当初避難所に入っていろいろなお手伝いをするという活動を通しながら入っていくわけですが、なかなかボランティアバスを「どかん」と届けるという地域でもどうもなさそうなので、配慮もしながら活動をしました。仮設住宅の引っ越しなどのときにはボランティアバスを出しながら徐々に活動を広げていった。バスは合計10台ぐらい出しました。  愛知から現地ヘということで、3月末ぐらいまで支援をしました。ちなみにまだこれは続いていまして、「あいち中越支援ネットワーク」としては一区切りしたのですが、田麦山小学校の全児童を愛・地球博にご招待する計画を進めています。これは今度の夏休みにやるのですが、息の長い支援を目指そうということでやっているという事例です。  こういう事例が一応あるのですが、これにかかわらず、先ほどの小野田さんの東海地震対策として、どんな連携が必要なのかというご提言もありましたし、先ほど吉村さんが京都で取り組んでいらっしゃるいちばんホットな話題なので、その二つの事例を少し紹介していただいて、そこから口火を切っていただきたいと思うのですが、よろしいですか。 小野田(特定非営利活動法人 静岡県ボランティア協会 常務理事)  静岡の小野田です。現在、静岡では「東海地震ドットネット」を立ち上げており、「情報ボランティア」の養成、コーディネーターが「情報ボランティア」から出てきた公開していける情報の確認をして、「東海地震ドットネット」で誰でもアクセスして取れるというような仕組みを立ち上げています。これが一つです。  この情報については信頼性が担保されており、災害時の情報というのはマスコミを通してでなければなかなかつかめませんが、直接「情報ボランティア」が入力してくることによって、それがリアルタイムにどんどん誰でもが取れるというようなシステムを動いています。  同時に、責任を持てない情報の中身については、情報を出した人に問い合わせをして確認すればという形で載せる部分に分けて、「東海地震ドットネット」上で公開をしています。参考になればと思います。  今、栗田さんから話がありましたのは、静岡県が東海地震でいろいろな取り組みをしてきているけれども、実際に静岡県全域が大きな被害を被ったときに、大きな川が西から天竜川、大井川、そして東の富士川とあって、ほとんど陸の孤島になるだろう。そうしたときに県外の災害ボランティアたちにどういう形で入ってもらえるのか、この「防災ボランティア活動検討会」に出席したのを機会に、五辻さん、栗田さん、村井さんたちともいろいろと情報交換をする中で、今年秋口にかけて関係者が静岡に集まっていただいて、災害時のボランティア活動センターを立ち上げるために、県内の人たちに入っていただくための図上訓練を実施する話を進めています。  私どもの協会は、静岡県が今年の4月から県の組織替えの中で、静岡県の4地区に地域防災局というものを設置しました。ここの地域防災局には大体20〜25人の県の職員がいるのですが、防災官を頭にとにかく災害のことしか考えないというセクションなのです。この防災局にも図上訓練に参加をしていただき、関連する管内の市町村の社協にも参加をしてもらう形での、図上訓練をやりたいと思っています。  例えば、JICAが各都道府県の国際交流協会に調整員を1人ずつ派遣していますね。そういう仕組みのようなものを、地域防災局に災害ボランティア調整員を民間人として張りつける。その職員は県や市町村の行政の窓口や県内の災害ボランティアのNPO、県外の災害ボランティアの人たちと常に情報交換をして、その地域防災局における災害ボランティアの立ち上げに関することも含めた、とにかく全体的な調整を果たせるような機能を担えています。  それから、災害ボランティアコーディネーターの組織は、ボランティアが事務局をやっているために、まとめていくのに限界があります。そこに調整員が置かれることによって、連携する仕組みもうまくなっていくと思われます。具体的に災害ボランティア調整員を配置する提案をまず具体的にし始めました。  そのほか、外部からの応援ボランティアの拠点確保のための費用を確保し、負担をしていく。具体的にはその4地域の防災局に長期間、外部のボランティアの人たちが常駐できるようなエアテントや寝袋など、当面100人程度が受け入れられる仕組みづくりの提案をしています。  また、災害時に備えた活動資機材のストックヤードを作るということも提案しています。同時に、県外の人たちに入ってもらうためには、県外のボランティアが被災地に入って、被災状況をできるだけ見て、調査をしてもらえるような仕組み、そのためにヘリコプターを使ってでも県外のボランティアの人たちが被災地の現場を調査に入れるという内容です。  そのような4つの提案をある組織に対してさせていただいています。これは併せて県にもそういう提案を文書でし始めています。  実際に東海地震に見舞われたときに、被災地として情報を、被災状況の詳細をできるだけ早く大胆に発信できるような仕組みを何とか立ち上げたい。そのために図上訓練を重ねていきながら、被災地として静岡県のボランティアセンターが何を用意できるのかではなくて、入るために県外の災害ボランティア、静岡県が準備すべきものや体制づくりについていろいろと図上訓練を重ねる中で、明らかにしていこうと考えています。それだけでなく、地元が支援の受け入れ方、答え方、対応方法などを考える取り組みをこれからしていきたいと思っています。またぜひそういう準備ができたところで皆さんにもご案内をする機会ができると思いますから、そのときには一緒に考えていただきたい、取り組んでいただきたいなと思っています。以上です。 栗田(レスキューストックヤード)  ありがとうございました。それでは、引き続き京都から。 吉村(あんしんまちづくり京都都市青年団(KCYAC) 団長/ユース21京都 副理事長)  京都は去年の10月の水害、それをまたさかのぼれば福井豪雨のときのメンバーが悔しかった思いをばねにして、5月29日に発足させた「京都府災害ボランティアセンター」の経過について、「失敗は成功のもと」のいい例かもしれないし、まだ成功もしていないのですが、これを述べさせていただきたいと思います。  福井で豪雨がありまして、福井の前に新潟で豪雨があったときに僕は松森さんのお手伝いでちょろっとだけ行って、そこからまた帰ってきてという形だったのですが、それからあと福井が大変だということになりました。福井の災害ボランティアネットの皆様と我々の仲間とは、訓練を通じて数年前から非常に親しくさせていただいていましたし、これは何が何でもサポートしなければいけないという思いに駆られました。  いちばん大事なのは何かというと、こちら側である程度サポートさせていただく段階で、個々ばらばらに現地の災害ボランティアセンターに、物だとか人だと金だとか情報というものを要請したり、逆にかけていったりするとなると、現地のボランティアセンターを大混乱させることになる。では京都でできることは京都で取りまとめて一括でどかっとコーディネート付きで送ろうということを考えたのです。ところが、残念ながら7月段階では、まず京都市はこの話をけりました。京都市の中で京都市と我々ボランティアとの共同体制をとろうと思ったのですが、京都市の場合は局どうしで消極的ななすり合いをしていまして、結局最終的に、そういうときだけ共同して二つの局が文書で私に、できませんという回答を送ってきました。そんなときだけ連携するなよ、ばかやろうと思ったのですが。  京都府のほうは、何とかやろうと思ったのですが、今回間に合いませんわということでした。京都府の場合は検討を我々と非公式のチームでやっていたのですが、今回はちょっとまだ無理だということになってしまいました。  結局調整に時間がかかったので、募集なども後手後手にまわりまして、最終的に民間ベースでとりあえず立ち上げて、民間セクターの社会福祉協議会であるとか、NPOセンターであるとかということで、共同で何とかバス1台出すのが関の山だったのです。一乗谷の一乗地区の朝倉氏遺跡にボランティアバス1台出すのが。何というなさけないことだと僕は悔しくてしょうがなかったのですね。  怒りにまかせて府の首脳にメールを打ったのです。そうしたら、その首脳とはいろいろとメールのやり取りをしていたのですが、彼が相当な意気込みで、何とかしようではないかということで、京都府の関連部局の幹部を招集しまして、とりあえず一緒にテーブルに着いてやろうではないかと、検討を始めたのが8月からです。そして、10月の水害を迎えました。検討している間に10月の水害を迎えました。  京都府の当時の地域防災計画では、府に災害が起こったときは、京都府の社会福祉協議会が災害ボランティアセンターを設置し、府が必要な助言を行う。これは阪神大震災のあとから8年間マニュアルが変わっていなかったのです。最初はやはりそういう規範どおりに、地域防災計画どおりに立ち上げたのですが、すぐ府社協さんがギブアップしました。  考えれば当たり前の話なのですが、大規模災害が起こったときに単体で運営して実行するのはどだい不可能な話でありまして、余剰人員はないわけですから。しかも府社協さんは、そのときに大事なケアマネの国家試験の運営もしなければいけないということで、もうパニック状態に陥っていました。だけれども、やらなければいけないという呪縛に駆られていまして、それを何とか説得して、一緒にやりましょう、事実行為で乗り切りましょうということで、先ほど申し上げた、23日から実動体制を組むようになりました。  実際にふたを開けてみますと、福井の皆様がたに多大なご協力をいただきまして、三重からも、先ほどのボランティアパックの山本さんは200人のボランティアを送り出すという、最終的にはそれは大量にこちらから動員しまして早期に収拾しましたので、結果的には三重のかたがたの出番の前にある程度の組織的な収拾は終わったのです。  これ余談なのですが、山本さんに「ごめん、200人来てもらう段取りやったけども、収拾で終わってしまいましたわ」と言ったら、「いや、いいよ、いいよ。それはもう終わったことだから、本当に早く済んでよかったね」と言っていただきました。松森さんにしろ、山本さんにしろ、そういうことを電話1本で言える関係にあるというのは非常にありがたいと思いました。  これが終わって、実はこの21日から23日の間に府社協で協働のボランティアセンターを事実上つくるということで府社協と約束をしました。この水害が終わったら、まずこの検証することになりました。まだ検証作業は始まったばかりではあります。それと同時に、共同でボランティア体制のボランティアのセンターを作るということを、府と我々と真剣になって実際に作るということで作ることを前提にして動きをしましょうということを約束しました。それで、実際ふたを開けてみますと、この23号水害の京都のオペレーションに、100以上の企業、団体、ボランティアが組織的にかかわっていただいています。  ご存じだと思いますが、京都の舞鶴、宮津というのは京都府の北側で日本海側です。京都市と80キロ以上離れています。これだけでボランティアバスを1万3000人の中の8000人ボランティアバスで送っていますから、出すだけでも非常な労力がいるのですが、これを何とか100以上の企業、団体の皆様がたのお力を受けまして収拾することができました。ボランティア活動資金も、松森さんから頂いた「知恵」をもとに、ボランティアの活動資金を京都府の社協で口座を開設していただくということをしました。  これが終わって、さあ作ろうということになって、熱いうちに鉄は打たなければいけませんので、「協働でボランティアセンターをつくりましょう」ということを決めました。そして、起案を作りまして、何回も何回も作り直したのですが、つい5月29日に常設の災害ボランティアセンター「京都府災害ボランティアセンター」を発足することになりました。事務局は府社協に持っていただいています。ただ、センターの代表は京都府社会福祉協議会の常務理事が代表です。副代表は私ともう1名、これは全くのボランタリーな指導者が就かせていただいています。それ以外に主なところでいいますと、京都府庁、これも地域福祉室、保健福祉の主管課、総務部の防災を担当している防災室というところが三つ入っています。それから、京都府の生協連、府社協、市町村商工連合会、それから、京都NPOセンター、YMCA、日本赤十字社京都支部、赤十字のボランティア団体、合計21団体、機関で構成しています。  先ほど小野田さんがおっしゃったような図上演習を通じて、日ごろあまり接触がない、もしくは人事異動で新任で来られた行政や社協、それから、ボランタリーの指導者が一つのテーブルを囲んで悩んでいただいて、あとで名刺交換をしていただいて、それからあとゆくゆくは友達になっていただくということをするのが、一番いいのではないかと思っています。  地域防災計画も、今年これを加味したうえで、京都府の災害ボランティアセンターとして共同で何ができるかということを地域防災計画の中に刷り込むという作業を、実際、今、私どもが提案して始めさせていただいています。  お手本にさせていただきましたのは、福井と三重、それから、栗田さんのところのノウハウもだいぶパクらせていただいています。私は「ボランティアの何とかソニック」と言われていまして、頂いたことを全部まねして、それを京都風にはんなりと味付けさせていただいています。そういうことで、今まさに始まったばかりなのですが、ぜひまた皆様がたとともに、お知恵を拝借してやっていきたいと思っています。 栗田(レスキューストックヤード)  ありがとうございました。あと10分ぐらい議論の時間が残っていますので、ご自由にご発言いただきたいと思います。どうぞ。名前を発言していただかないと録音できない。 松森(福井県災害ボランティア本部 センター長/ふくい災害ボランティアネット 理事長)  1回ぐらいしゃべらないといけない。福井県から来ました松森といいます。広域連携の件なのですが、昨年本当に台風23号のときですかね、岐阜県も高山がやられたときなのですが、愛知の海山(みやま)、愛媛も大体ボランティアセンターが閉じようかというときに23号が起きて、そのときに私と三重の山本君、ストックヤードの浦野さん、新潟の三条の池石君と電話で物資の量、輸送先、閉鎖の目処やりとりをしました。福井は「今、ストックでこれぐらいあるから、二つのボラセンならカバーできる」「新潟も三つぐらいカバーできる」「ではその物資を出そう」ということでいろいろお互いが持っている資源、財産といったものを共有しました。そして、ローテーションで動かし始めたのです。  いちばん最後に「兵庫の豊岡、出石がやはり物資が足らない。」ということがわかり、新潟の三条から川瀬さんたちがトラックで出して、新潟から兵庫に向けてトラック2台出しました。兵庫に向けて走っていって、福井を通過しようとした段階で新潟が揺れてしまったのです。結局トラックだけはそのまま1台は向かわせて、1台は何が入り用であるか分からないから三条へ帰る。そのやり取りもずっと、京都の舞鶴の支援に入っている中で対応しました。  たまたま物というのは表に出て見えやすいものなのだけれども、例えば岡坂さんが持っているノウハウ、人間が持っている財産、人材、あと例えば福井県でいうと、福井県以外で起きた災害に対しても使えるお金を持っているのです。億単位でありますから、ボラバスを出すのでも非常に即断ができるというスピードを持てるというところがあります。  このような情報や資源、人材を共有財産としてみんなで提示ができるといちばんいいと思います。それが台風23号のときに自然発生で、では高山にはストックヤードが調整するなど自然に流れができて、広域の連携のしかたといったものが生まれました。台風23号はまさに広域災害だったわけですから、あれを一つ本当にいいテーマにして、いろいろな財産の共有化といったものを図っていけるようなシステムづくりができるといいなと思っています。 川上(特定非営利活動法人Vネットぎふ/サポートコムネット)  川上です。現在取り組み始めたということなのですが、昨年の災害で、現地へ行って行政のかたとか社協のかたの対応が、スムーズにボランティアセンターが設置することがなかなか難しいということがありました。そこで県と広域連携についての取り組みを始めました。  飛騨地域も広域で災害が起きました。高山市だけではなくて、その周りの地域も災害が起きました。しかしボランティアセンターを立てようと考えた行政と、そのようなものはすぐに必要ないと考えた行政とありました。行政にも、社協にもとにかく災害ボランティアセンターというものを経験していただいたほうが、いざ災害のときに受け入れられるのではないかと思います。現在、飛騨地域の自治体と社協にメンバーに、首長にも顧問という形で入っていただいて、飛騨地域以外の周り、隣県とか岐阜県内とかいろいろな自治体、社協もメンバーに入っていただいて、そのメンバーで共通の認識の中で、災害時のマニュアル、ボランティアを受け入れるためのマニュアルをつくろうとしています。つくることで、いざ災害が起こったらそのボランティアセンターの支援とか後方支援とか一緒にやろうと考えています。ボランティア活動にあまり興味のなかった自治体、社協でも、参加してもらうことによって、今度自分のところが災害が起こったときに役に立つと思います。そのノウハウは各自治体やほかの地域にもフィードバックできると思います。  また、松森さんや皆さんがやられている広域連携も含めて相互支援という形で支援できる。また、よそへも支援の輪を広げていくことができるということを考えて、今それに取り組んでいるのですが、今のところ四十数団体が入っていただいて、まだ本格的スタートになっていないのですが、これからやろうということになっています。ただ、ほとんどがまだ被災していない自治体とか社協ですから、これからそういった感覚をぜひ一緒に考えていただければと期待しています。以上です。 洙田(医師/労働衛生コンサルタント)  大阪から参りました洙田と申します。これまでの議論を伺っていまして、先ほど松森さんがいろいろ言われましたが、やはりこの広域連携の仕組みづくり、これは松森さんがいろいろなところで発言されているボランティアの経営、マネジメントという言葉が非常に大事だと思います。ボランティアのマネジメントを教わる機会というのはないと思われます。ぶっつけ本番でやってみて、それをうまいこと乗り切った人間はマネジメント能力がつくのだけれども、その同じ場所で再び災害が起こるかといったらその可能性は低いですね。むしろ大事なのは、災害を経験していない地域でいかにこういうマネジメント能力をもってもらうことだと思います。  そのための教育システムを整備することもあるのですが、それ以前にボランティアの法的な位置づけをどこかで定めなければならないのではないでしょうか。ボランティアというのは自発性があるから法律になじまないというのがあるのだろうけれども、そんなことを言い出していたらやはり仕組みづくりができないと思います。  それと財政的なことにもなるのですが、ボランティア保険というものをもっと子細に検討する必要があるでしょう。ボランティア保険というのはボランティア活動で何か被害が起こってしまったあとの金銭的な保障ですから、そのボランティア保険を運営している会社は、そういうリスクが起こらないようにするためにお金を出すのです。そして、ボランティア保険そのものを自動車の自賠責みたいな形にしておけば広くお金が集まると思うので、そのお金をプールして、そのうちの一部は必ずいろいろな起こりうるであろうリスクの予防に使う。リスクの予防に使うということは、ボランティア保険そのものの目的にかなうことだからいいことだと思います。  大きな意味でのマネジメント、何か事が起こったとき福井県のお金をいつも当てにしていたら、もたないのではないかと思うし、お金というのはいろいろなところに作らなければいけないのではないかと思うのです。それもボランティア自身がちょっとずつ出した保険金でそういうものができたらなと思います。以上です。 干川(大妻女子大学)  大妻女子大の干川です。いろいろな成功事例、例えば京都の常設の災害ボランティアセンター、これはすごく画期的なことだと思います。先ほどの吉村さんの話を聞いて、私もいろいろ現場を歩いていると、むしろ失敗事例のほうばかり知っているのですが、例えば福岡西方沖地震のときに私も現場に行きましたが、市の災対の人に聞いても、実はボランティアがどう動いているか知らないという状況です。ですから、やはりこれはそういった常設の京都のようなボランティアセンターができれば、そこに行政の人に入ってもらえばいつでも情報交換とか共有とかできますからいいのですが、実際の災害が起こるとそれがちゃんとできているところはあまりないものだから、いかにボランティアと行政の連携をやっていくのかと。  例えばこれは災対本部にボランティアの担当者を入れるというわけにはいきませんから、一応福岡のケースであれば市のボランティアセンターのところに、社協のところに災害ボランティアセンターが立ち上がっていましたから、そこは毎晩会議をやっていますので、そこに市の担当者が入るだけでも、情報共有・交換ができるわけです。それができていなくて、お互いどういうふうにお互いの情報を知ったかというと、Webの情報を見てということで、IT活用という面でそれはいいのですが、それも非効率な話であるわけだから、同じテーブルに座って、それで一緒に随時情報交換をする。  ここは検討会ですから、成功事例、モデルケースの紹介みたいなことを交えて、やはり地域防災計画の都道府県レベルで、行政とボランティアの連携といった形で情報を共有する。そのための会議を実際に実施すという文言を入れればいいのかなと思うのです。いちばん理想的なのは、京都のような常設の災害ボランティアセンターができればいいと思うのですが、なかなかそれは難しい。 吉村(あんしんまちづくり京都都市青年団(KCYAC) 団長/ユース21京都 副理事長)  たしか福井の場合は災対本部の中に松森さんも・・・。 松森(福井県災害ボランティア本部 センター長/ふくい災害ボランティアネット 理事長)  入っています。 吉村(あんしんまちづくり京都都市青年団(KCYAC) 団長/ユース21京都 副理事長)  ここがいちばん画期的だと思うのです。災対本部のメンバーの中に災害ボランティアの指導者が入っているというのはすごい。京都はちょっとそこまではできないので。ただ、知事もだいぶ頑張ってくれていますので災対本部から人を派遣しましょうと、干川先生のおっしゃるような発想に今はなっています。  防災室が入っているということは何かというと、災害時に災対本部からの連絡官という形、実際、自衛隊とかでしたらLO(リエゾンオフィサー)という形でいろいろなところに出します。聖路加国際病院にサリンの時、LOとして医官が派遣されましたが、同じような形でいわゆるリンクしていると、人的にもちゃんとリンクしているということが大事なことです。  何かといいますと、行政がボランティアを知らないように、ボランティアも行政のことを知らないことが多いのです。ですから、行政の限界、逆にできること、強みは何か、ボランティアのできること、逆に弱点は何かということを、お互いが知ることによって相互補完ができるということが今回の強みではないか。これは先進の県のことを見るにつれ思ったことです。それでやっていこうと考えました。  それと、例えば交通規制ですね。現地に災害対策本部とボランティアをつなぐ連絡官がはいりますが、連絡官のセンスが悪かった場合、交通規制図がボランティアセンターに届かないようなことも起こります。ですから、今回こういうことをやっていくことによって、お互いに汗をかくことによって、行政の中にも連携のセンスを持っていただく人間を増やしていただくことが大事だと思います。  それから、例えばマネジメントについては、松森さんがよく言っていますが、これは「経営」だと思います。立木先生の言葉でもよくあるのですが、教育とかトレーニングをしてボランティアの人たちにそういうふうになってもらうというのでは、なじまないとも思います。むしろ日ごろから地元でいろいろな活動していらっしゃる各団体とか機関、その中にそういうリーダー的なセンスを持った人にこちらにも目を向けていただく。探して、発掘してきて、そのかたをとりあえずこちら側の中に引きずり込んでおくという発想が必要なのではないかと思っています。 栗田(レスキューストックヤード)  ありがとうございます。大体時間もあと5分ぐらいになってきましたので、そろそろまとめなければいけませんが、弘中さん一言ご発言いただきたいと思いますが。 弘中 (特定非営利活動法人 防災ネットワークうべ)  情報ということで話をします。一応うちの宇部市でも平成11年の台風災害を期に、平成12年から市民を対象にした防災メーリングリストを作って、行政からの情報を発信する、個別にプッシュ型で出すという取り組みをやっています。これは今年メールマガジン形式に変えたのですが、要は最近携帯サイト、携帯メールというのは、携帯やメールをし始めた方にはどうしても分からないという場合があり、なかなかこちらが思うような議論の発展、議論する場には、なりませんでした。そのため、一方通行でオフィシャルな情報を流すということをやっています。先週、台風4号が発生した時点で、すでに台風4号の発生と、現状での接近の可能性は低いというような情報を出しています。そういった取り組みをやっています。  それから、Webとかblog(ブログ)で入手するプル型の情報と、プッシュ型で直接発信する情報とがありますので、きちんと分けて整理しておく必要があると思います。新潟県中越地震の時、震源の深さが約10キロぐらいで、かなりマグニチュードも大きくて、川口町の計測震度で初めて記録された震度7という情報が1週間後に出たということがありました。また、震源地の周りに計測震度の情報が取れない、出していないという未入電情報がたくさん出ていました。ですから、その情報というのはすごく大事で、特に東海地震とか広域的な巨大地震があった場合には、当然線も切れるということがありうるわけで、震度7では当然あるわけです。特にほとんどの計測震度計というのはルートが基本的には1本しかありませんので、切れることがありうると思っておかないといけない。そうすると巨大地震が起きたときに震度7という情報が出ないということは当然あるわけです。そういった情報のないという情報、発信できていない情報を大切にしないといけない。特に防災担当レベルとか、もちろん皆さんも関係あるところですので、気をつけていただきたいと思っています。 栗田(レスキューストックヤード)  ありがとうございました。傍聴のかた、どなたかご意見ありますか。特にありませんか。よろしいですか。はい、ありがとうございます。  では、ほとんど時間がありませんからまとめというか、簡単にですが、静岡の事例と京都の事例をお聞きしまして、その中で静岡のほうでは天竜川、大井川、富士川で陸の孤島になるということに対する危機感から、どうやって外部のボランティアさんに入ってもらいましょうかと。ただ、それは外部向けに何か発信するということではなくて、そういう人たちをどう受け入れたらいいかということの、静岡のまさに訓練の場であると。つまり静岡にいる人材、社協や県も含めた、そういう人たちを巻き込んで、図上訓練を行うことによって、静岡はこうあるべきだということを、外部の人間から指摘していただきたいということを言われたと思います。そういった機会が今度秋口に開催されるという報告がありました。  一方、京都のほうでは、吉村さんのご尽力で、私もいろいろ断片的な情報は得て、本当にご苦労さまでした。京都府の災害ボランティアセンターという常設のこういう機関ができるという、画期的なことをやられているのですが、その道のりは、非常にやはり現場で悔しい思いをしたところからの失敗から学ぶということであったということです。今後はその悔しい思いをした根拠となった、京都の何ができるのだという人材だとか物だとか、そういうことを結集して、自分たちの地域がやった場合にはそれを発揮できるし、ほかの地域でもそれを出していくために、今、必要な条件を整えているというご報告があったように思います。  ただ、静岡と京都だけの報告ではなくて、やはり台風23号の現場では、物をどうやって送ったらいいかということを考えたり、今はオフィシャルな形ではないのですが、顔の見える関係の中でこっち側はこっち側でいろいろと工夫しているのだと、後方支援をいかに効率よくしようかということは、もうすでに民間の間で始まっている。それを洙田先生はボランティアマネジメントという言葉で表現しておられますが、こういった研究だとか能力向上だとか、そのために必要なボランティアの法的な位置づけもちゃんとしなくてはいけないだろうというご提案があったように思います。  そのあと、これは私の意見を加えさせていただくのですが、東海、東南海、南海という地震が近い将来来ると分かっているわけです。あるいは宮城県沖地震が99%と、分かっている地震があるので、そこに応援に行くとか、あるいはどうすれば私たちが今までのノウハウをそういう現地に届けることができるのかということをもう少し具体的に話し合う段階に来たのではないか。この10年の災害ボランティアの歩みの中で、何か地元を無視して勝手に入っていくというのはもうやめましょうというお作法は、我々の中ではあるわけですね。そういうものを重視しつつ、せっかくの顔の見える関係ですから、その現場に近い市町村、あるいは県をどうやって支援したらいいのか、あるいはどうやって支援を受け入れるかということを考えていく必要があるのではないかと思います。  そういう中では、今まではボランティアセンターを設置するということに非常に終始をしていた議論があったのですが、ここから以降はやはりどう運営するのかとか、そういった内容のことも少し織り交ぜて検証していかないといけないのではないかということを感じますし、そのために具体的な連携の方策はどのぐらいあるのか。もっと具体的に言えば、松森さんは東海地震のときはどうやって動くのだということを皆さんが大体分かっていれば、「そこに来るな」とバリアを張ることもできますから(笑)。  そういう具体的な今イメージできることが少し分かっているならば、そういうことも含めた議論がやっとできる段階に、災害ボランティアがなってきたのではないかと私は思っていますし、そういうことがかなり必要だと思います。でもあくまでも地元が主体ということは変わりありませんが、そういったことを応援しつつ、地元が主体ということを考えると、例えば吉村さんを一回名古屋に呼んで研修会をやりたい。この間、松森さんに来ていただきましたが、そういう経費を例えば国のほうからちょっと見ていただくとか、補助金を出すとか、国でなくてもいいのですけれども。NPOがそういうことをやるというときに何か補助制度があると、私たちも非常に呼びやすいですし、連携の意味も深まると思います。それは提言として出させていただきます。  大体そのようなまとめですが、もう面倒くさいので私が発表させていただいてよろしいですね。ではどうもありがとうございました。では亀山さん。 亀山(内閣府防災担当)  どうもありがとうございました。皆様の貴重なご意見をいただきまして、どうも大変ありがとうございました。このあと12時から、先ほど全体会を行いました場所にて、昼食を食べながら全体会の議論をやっていきたいと思いますので、ご移動をお願いいたします。ありがとうございました。 1