第3回「防災ボランティア活動検討会」 日時 平成17年6月10日(金) 場所 フェニックスプラザ 検討会分科会@「防災ボランティアに係わる人材育成と男女共同参画」 丸谷(政策統括官付企画官)  Aの分科会を開会させていただきます。この会の進行をお願いしております、岡野谷さんにご挨拶をお願いいたします。 岡野谷(特定非営利活動法人日本ファーストエイドソサエティ代表)  皆様、おはようございます。私がまた何かここでしゃべると長くなるので、とりあえず始めたいと思います。以上です。 丸谷(政策統括官付企画官)  それでは、これからの進行をお願いいたします。最初にスケジュールについてのご説明などをお願いします。 岡野谷(特定非営利活動法人日本ファーストエイドソサエティ代表)  今、時刻は10時25分を回ったところです。このグループの討議は11時50分の予定です。そのあとお昼がございますので、もし長くなるようでしたらお昼を食べながら、さらに詳しくお話をしていただきたいと思います。11時40分か45分ぐらいには、一応この部屋のまとめをしたいと思います。  今回の趣旨は、議論をまとめていく作業をするのではなくて、とにかく色々なご意見を出していただこうということでございます。前回も1回目でいろいろ議論をして、そのあと2回目でまとめたように、今回の3回目はどんどんご意見を戴いて、そのたくさんの意見を、4回目でまとめる方向へ持って行かせて戴きたいというのが、内閣府の趣旨でもございます。後ほどの全体会においては、本分科会での議論の概要を、少し報告することになっておりますので、ご協力いただきたいと思います。  なお、今回の検討会につきましては、報道関係の皆さんにも公開で行っております。1回目、2回目同様、検討内容につきましてはホームページにすべて掲載させて戴くことになります。現在、議事録を作っていただいていますが、この議事録を後ほど発言者の皆様にご覧いただきまして、問題ないということであれば、ホームページに上げていくことになります。そのため、記録の都合上、ご発言の度に、お名前と所属をおっしゃっていただくようにお願いいたします。フロアからのご発言につきましても、同じようにお願いいたします。  それから、後ほどの報告会で、どなたか報告をまとめてしていただけるかた、いらっしゃいますか。では私からの指名で、中川さん、よろしくお願いします。それでは、進めていきたいと思います。まず資料の説明を先に事務局からお願いします。 丸谷(内閣府政策統括官付企画官)  それでは、分科会1の関連資料の説明ですが、まず1ページをめくっていただいくと、「16年度の防災とボランティアのつどい」「第2回ボランティア活動検討会」から関連意見を抜粋したものがございます。  一般ボランティアに関してですが、「(1)被災者のニーズに耳を傾ける力が求められる」こういった力がボランティア、特にコーディネーターなどのかたがたに必要であろうと思います。    それから、「(2)率先して活動できるボランティアの育成が重要」であるということ。  「(3)地域性を踏まえたボランティア育成の研修が必要」だということで、研修というのは一律に全国一本で行うというのは、なかなか難しいのではないかというお話だと思います。それから、「(4)若い力を活かす」、あるいは「青少年の育成が求められる」というテーマでございます。  それから、(5)のところに「兼業公務員」と書いてありますが、行政マンでボランティアに参加されるかたが大事だというご意見です。  次ページは、ボランティアコーディネーター、ボランティアリーダーについての意見です。「(6)コーディネーターが不足している」という意見、それから、「(7)ボランティアセンターを運営するリーダー的な存在が必要」、これはコーディネーターとリーダーがどういう関係になっているか、明確に分ける必要があるのか、あるいは分かれているのか、そこは分かりませんが、センターの運営のリード役がやはり必要だということであります。  それから、「(8)コーディネーターの重要性、求められる資質」について、いろいろな議論が行われております。例えばカリスマ性は要らないといった発言があったということがございます。  それから、「(8)広域ネットワークを視野に入れて人材育成が必要」だということで、これは別の分科会で広域ネットワーク活動が議論されますが、それと呼応するような形で人材育成が必要だということであります。  次に、資料といたしまして3ページから、「ヤッテボラン」という内閣府のNPOの担当部局が作っている雑誌に、これは福井災害が中心ですけれども、秋に記事が掲載されたものです。検討会メンバーのかたがたにあえてこれをご説明するという趣旨ではなくて、議論していく際に何か足しになる話がないかなということでございまして、例えば傍聴の方々の中で、ボランティアセンターとかボランティアコーディネーターの仕事についてあまりご承知ないような方々がいらっしゃれば、5ページ、6ページのところをご覧頂くと、どういうことをやっているかがわかっていただけるのではないかということで資料として付け加えております。ボランティアセンターの一日というのがありまして、活動場所の手配だとか、現地での活動だとか、紹介してあります。  続きまして、8ページでございますが、これは人と防災未来センターのボランティアコーディネーター研修の中身であります。15年度、16年度ほとんど同じ内容だということで、16年度の資料が間に合わなかったので、15年度の資料をつけております。菅さんがご担当いただいていたということですので、後ほど、この件についてお話しいただけるようにお願いしております。  次に、都道府県社協のボランティア育成の事例ということで、宮城の「みやぎボランティア総合センター」の例を紹介しております。内容を見ますと、センターの運営研修であるとかコーディネーター研修、それから宮城県職員向けの研修ということがありまして、特にこの検討会のメンバーのかたがたが、講師で行っておられるのが多いなという印象を持ちました。  次に、12ページですが、今度は「防災ネットワークうべ」の例を挙げさせていただいております。  それから次に、小村先生から頂いた資料ですが、DIG(Disaster Imagination Game)の内容についてです。これは小村先生たちが開発されていた内容で、多分皆さんがたある程度ご承知なのでご説明は不要かと思いますが、もし説明が必要でございましたら、私もあまり詳しくはございませんが、資料を頂いておりますので、必要があれば言っていただきたいと思います。地図上でいろいろなものを書き込みながらゲームをする、ゲーム感覚で図上訓練をするという具体的なやり方を、資料として頂いたものをつけております。  それから、16ページですけれども、前回のボランティア検討会でもご紹介しましたが、内閣府がアンケートをやったのですが、都道府県側へ、どういう人材育成にかかわる事業を県内で行っておられますかという質問に対する答えの一覧です。例えば県と社協でボランティアコーディネーター養成研修をやっていますよという秋田県の例などがあります。千葉県では、災害救援ボランティアの講座があります、というように、ボランティア講座を設けておられるところが、けっこうあるなということでございます。例えば三重県では、コーディネーターの養成講座もやっておられます。コーディネーター研修は和歌山県でもあるようですし、愛媛県でもコーディネーターの講習があるということです。大分県でも同じようにあるということです。  続きまして、18ページですが、これはちょっと違った観点からの、男女共同参画に関する資料です。背景を申し上げますと、新潟県中越地震の政府の対応のために、現地対策の連絡の本部を設けたわけですが、そこに女性の視点ということで、特に避難者の半分はもちろん女性であることは間違いないのですが、ともすると女性としての配慮に欠けているところがないかということもあり、そのための女性職員を常駐させたという経緯がございます。そこで、その報告を受けて男女共同参画の担当部局のほうが、災害においてもこういう観点が重要だということで結論を出しました。  それで、この5月に男女共同参画会議に専門調査会が二つあって、そこが合同でまとめた中間整理というものがございました。ここに抜粋をしたものが、その中で防災と災害復興に関する部分で、こういった内容が盛り込まれたということです。  実は、今まで担当審議官をしておりました原田が、男女共同参画の担当の審議官に転任になったということもあり、防災災害復興での男女共同参画について、ぜひこの防災ボランティア検討会でも議論してほしいという話がありました。そういった依頼でございますが、今回特に右側の19ページの、具体的な取り組みにございますとおり、例えば一つ目の黒丸のところにありますが、防災基本計画等に男女共同参画の視点をということがあり、さらに防災分野での「固定的性別役割分担意識」という−この分野の専門用語だと理解しておりますが、とにかくこういったことがないようにしてほしいということです。さらには、防災に関する政策方針決定過程でも女性の参画をということがあります。また、女性高齢者の被災が多いという観点と、地方公共団体の各種マニュアルの作成についても男女共同参画の視点を入れるべきだ。地域コミュニティーの防災活動についても同様に、男女共同参画という視点が必要だということであります。  最後のところに、災害復興に当たるボランティア、NPOの連携。復興と書いてありますが、復興場面においても男女共同参画の視点をふまえた支援が必要だということが書いてあります。  今回、議論はこれからはフリーに岡野谷さんにリードしていただくので、事務局としてはどういう形で進めていただいても結構ですが、例えばボランティアセンターの運営の意思決定において、女性に加わっていただくことの重要性だとか、ボランティアの運営の現場において、女性の位置づけというものに何か問題なり、あるいは、もうすでに進んでいるというような実例があれば出していただきまして、男女共同参画部門に対して、何らかのメッセージを伝えたいと考えております。資料説明は以上でございます。 岡野谷(特定非営利活動法人日本ファーストエイドソサエティ)  ありがとうございました。それでは、意見交換を始めたいと思うのですが、とりあえず、自己紹介を兼ねて、一言ずつお願いいたします。  この分科会は、「防災ボランティア活動に係る人材育成と男女共同参画」というテーマになっております。人材育成と男女共同参画という少し観点の違うテーマがありますが、どっちを深く議論したいかということも伺っていきたいと思います。議論できる時間は、まるまる1時間しかないわけで、それを均等に30分ずつ話をするのか、あるいは、どちらかを重点的に話し合うかについてもコメントをいただきたいと思います。    では、順番に、ご自身の所属している団体名と、それが全国規模なのか地域なのか、あるいは海外まで含めて活動なさっているのか、その中で人材育成をなさっているかどうか、そしてその人材育成の受講者は全国から募集なさっているのかどうか、などを教えていただけますか。それと同時に、どっちを聞きたいかというのを一言ずつお願いします。短く1〜2分でお願いします。 岩崎(神奈川県災害救援ボランティア支援サポートチーム)  岩崎広志と申します。今日は、神奈川県災害救援ボランティア支援センターサポートチームの宇田川の代理で出席させていただいております。名簿のほうでは分科会3となっているのですが、こちらのほうに参加させていただいておりますので、よろしくお願いいたします。  私たち神奈川県災害救援ボランティア支援センターでは、人材の育成という点においては、名前からも分かると思いますが、基本的には県内のメンバーでやっております。講座というよりもむしろ、訓練などを通じた視点での人材育成というのが中心になっているかと思います。とはいえ、実は私も埼玉のほうから参加させていただいたりするという意味でも、必ずしも完全にクローズドなメンバーではないのかなと思っております。  今日のディスカッションに関してですが、個人的には自分がユースなので、人材の育成のほうが興味があるのですが、防災における男女共同参画という視点は、初めてここで頂きましたので、個人的にはこちらのほうを聞いてみたいなと思っております。よろしくお願いいたします。 渡辺(特定非営利活動法人YMCAよこすかコミュニティサポート)  渡辺善明と申します。所属は、NPO法人YMCAよこすかコミュニティサポートで、指定管理先の、横須賀市立市民活動サポートセンターという、地域の 市民活動の拠点となる施設のスタッフをしております。  私も今回のこのテーマで、どう若い人たちを育成するか、若手の立場としてこういう会議に10代、20代ぐらいの若い人がもっと参加してもいいのかな。 これから災害が起こったときに担っていくのは自分たちの世代になってくるので、もっと活性化をしていきたいなと考えています。今日、意見を言ってほしい と頼まれているのですが、防災ユースフォーラムという活動を去年からスタートさせていますので、その辺のことをお話ししたいと思います。  YMCAでは、昨年の水害や中越地震のときに、関東ということで新潟のほうに支援をしました。神奈川県内各地にYMCAのブランチがあるのですが、野 外活動リーダーや専門学校生にボランティアを呼びかけたり、職員や通ってくる子供たちに対して、防災や安全についての教育を行っております。 菅(大阪大学コミュニケーションデザイン・センター特任助手)  私は大阪大学コミュニケーションデザイン・センターの特任助手の菅磨志保と申します。後ほど資料のほうで少しご紹介させていただきますが、この3月までは神戸にあります、「人と防災未来センター」というところで、防災に関する調査研究や自治体職員・ボランティアの研修をやっておりました。この4月から、大阪大学に新しくできましたコミュニケーションデザイン・センターという、主に大学院生への教育プログラムを作ったり、一般の市民と大学をつなげていく機関に着任しました。その中で、私は安全・減災にかかわる研究・教育に携わっていく予定です。今日のこの会の中では女性なのですが、どちらかというと人材育成のほうに関心がありますので、そちらのほうを中心に聞いてみたいと思います。 中川(特定非営利活動法人東京いのちのポータルサイト・時事通信)  中川といいます。こちらの名簿では、東京いのちのポータルサイトの理事ということで名前が出ています。時事通信社で記者をしています。阪神大震災より以前から科学記者として地震を取材していて、いちばん大きなボランティアのきっかけは、目の前にいる広瀬さんのところの西宮ボランティアネットワークとつながったり、あと、自分自身がボーイスカウトで活動したりというところから、いろいろなことにかかわっているうちに、いろいろなNPOの理事になったり、またこれ以外にも、神戸の海外災害援助市民センター(CODE)の幹事をしたりしています。  ふだん、人材育成に関しては、東京いのちのポータルサイトでは特に積極的な人材育成プログラムはしていません。CODEに関してはそういうプログラムをやろうという形で、事務局で幾つか講座をやったりはしています。ただ、特に具体的な対象としてだれかに絞ったりというわけではありません。  個人的にはボーイスカウトの子供たちのきらきら光る目を見て、小学生の子供たちがものすごく多様な可能性を持っているのかなと思っていますし、地震学会の普及行事委員会の委員長として、やはり小、中、高生に対して自然災害を学んでもらうということをやって、やはり子供たちの可能性をものすごく感じているところがあるので、人材育成には実は関心がありますけれども、「十家言」ぐらいあるので、今日は男女共同参画のテーマについて少し話が聞きたいなと思っています。 広瀬(特定非営利活動法人日本災害救援ボランティアネットワーク)  日本災害救援ボランティアネットワークの広瀬満和と申します。よろしくお願いします。会の守備範囲は国内外を問わず、活動しています。人材育成のほうに関しましても、1998年から、災害救援ボランティアコーディネーター養成講座という形でさせていただいていまして、全国各地の自治体、社会福祉協議会、市民団体といろいろ連携をして、研修会を行ってきております。  今日はどちらかということで、男女共同参画も非常に関心はあるのですが、この短い時間で、この大きな話題ができるのかという不安が私の中にあるので、すでに積み重ねもある人材育成を、もう少し深めたほうがいいのではないかと私は思っています。 秦(JFFW ジャパン・ファイヤ・ファイティング・ウィミンズ・クラブ)   秦好子と申します。ジャパン・ファイヤ・ファイティング・ウィミンズ・クラブ(JFFW)、女性消防吏員の全国ネットワークの代表を務めております。なぜ代表かと申しますと、私が全国の女性消防吏員の第1期生でかつ最年長、階級がいちばん上だということから代表を務めております。国際的なネットワークがございまして、世界的には2年に1回、今年もアメリカで会議がありまして、代表が行っております。    国際的な活動としては、ニューヨークのテロで多くの消防吏員が被災いたしました。その被災したご家族を励ますための活動等行ってまいりました。男職場の中の数少ない女性ということで、救急、火災で消防サービスを受ける市民に対して、女性の視点を大切にして勤務をしてまいりました。勤務の中で、調査として被災地に行くこともありましたし、また、学ぶという視点と活動するという視点から多くの地震、風水害被災地に、私ども女性消防吏員でチームを組んで出かけております。  毎年1回、横浜市でおおむね120名が、全国から集まりまして交流会をし、情報の共有をしております。ボランティア活動として大切にしておりますのは、個人のボランティアと企業のボランティアをつなぐことによって、被災している方たちが必要としている品を必要な量だけ、必要な人にだけ届けるという活動をしております。国際的な大手の衣料品メーカーなど幾つかの企業と情報を共有するという形で支援活動をしてきております。人を育てる、それから女性の視点というのが双方大切だと感じておりますので、今日は楽しみにしております。どうぞよろしくお願いいたします。 南部(特定非営利活動法人災害ボランティアネットワーク鈴鹿)  災害ボランティアネットワーク鈴鹿から来ました南部です。三重県はボランティアコーディネーター養成協議会というのを、検討委員会から始めまして今年で6年目になります。ゼロ期生、1期生、2期生、3期生、4期生、5期生まで。市民みんなで講座の内容も立ち上げて、印籠も卒業証書も何ももらえなくても、やっているみんなが、「あの人コーディネーターになるよな」と認めるようなやり方です。自分から印籠をひけらかすものではないんやというので、みんなで内容を検討しながらやっています。来年度の講座はどうするんやというのは、ゼロ期生の人が1期生の人たちのために中身も考えて、講師を頼みにいくのも全部自分たちでやる。それが次のコーディネーターの役に立つんやでというので、そんなんをやっています。  作文を書いて、みんなで検討して、そして、それが終わった人はどうするのかというと、その中でゼミを立ち上げようというので、語り部と、福祉と、運営センターと、情報の四つのゼミに分かれて、そこでまたみんながおのおの役に立つことを考えているのです。  私はたまたまそこの運営センターゼミに入っています。そこで何をしたかというと、自分たちでビデオもつくりました。空き家みたいなところを借りて、そこでいっぱい問題があるやろうというのを自分たちで演じて、私がよかったのか、とてもいいビデオができたとみんなが言いますので、見たい人はどうぞ声をかけてください。    もう一つ、災害ボランティアネットワーク鈴鹿というのはNPO法人で、私はそこの理事長をしています。そこでは「こども防災サミット」というのを1年に1回、夏休みに1泊2日で子供たちと一緒にやります。これは三重大、医療科学大学、鈴鹿国際大学などの大学がありますので、そこの学生たちもみんなやってきてくれます。みんなのノウハウを借りながら、液状化の実験をしてみたり、いろいろな国の子が来てくれるので、言語の勉強を教えてくれたりしてやっている。ある人は無線の勉強もしてくれたりして、1泊2日で、そんな中身を考えながら人材育成をしているのです。  でも、そこへ参加してくれる子は、男の子よりも女の子のほうがダントツで多い。私はそこの中で、男の子と女の子が確かに仲よくなっていく、ああ、私らお目付役が要るなと、そんな役目もやっているので、男女共同参画も聞きたいし運営のほうもしゃべりたいし、両方です。 澤野(災害救援ボランティア推進委員会)  本部は東京にあります。活動地域は東京、神奈川、千葉、埼玉、関東首都圏が中心で、主に首都直下型地震に備えることを目的にしています。  今まで4000名近い災害ボランティアリーダーを講座で育ててきました。特色としては、東大、慶応、早稲田、明治、法政、立教、中央、一橋、文化学園等の大学と協力してリーダー養成講座をやっています。日常活動は人材育成ですが、災害が発生した場合には、リーダーが中心となって被災地支援の活動も行います。  今日のテーマに関しては、私は今までしっかり話し合われていない「男女共同参画」を検討会で話しておくほうがいいのではと思います。 岡野谷(特定非営利活動法人日本ファーストエイドソサエティ)  ありがとうございました。私自身は日本ファーストエイドソサエティという、応急手当、救急救護に関するトレーニングをしている団体に所属しております。防災については、全国で若者たち、特に中高生に対してボランティア・リーダー養成という形で、急語法、自分を守る方法、心のケアなどをお伝えしています。  また、ここのところ、救急法、防災に関するスタンプラリーという市民向けの災害時対応訓練ゲームを開発しており、各地域で病院とか消防救急の皆さんと一緒にプログラムを作り上げていくために、ご協力をいただいております。市民の方も面白がって参加しています。親子での参加も多く、楽しくスタンプを押しながらゲーム感覚で災害時対応を学んでくれています。あまり防災ボランティアとかコーディネーターという名前ではなくて、ゲームの中で少しずつ防災意識を高めていっていただいて、現場で活躍していただきたい。そんなふうに考えながら、新たなプログラムを創りながら活動を続けています。  ということで、全員にご紹介いただいたのですが、どちらかというと男女共同参画について聞きたいというほうが多いので、よろしいでしょうか。  それでは、事前意見や資料を出していただいている方からの発表と資料の補足説明をしていただきたいと思います。菅さんのお話は、そのあとでよろしいですか。事前に頂いているものの中に、宇田川さんのが男女共同参画についてふれておられます。では、宇田川さんの書いていただいたものについて、ちょっと補足説明をしていただいて、中に入りましょう。 岩崎(神奈川県災害救援ボランティア支援サポートチーム)  今日は代理ということで、本来出席するはずであった宇田川から、男女共同参画についてコメントを預かっておりますので、発表させていただきたいと思います。  災害というのは、皆さん、イメージしていただければ分かると思いますが、ふだん生活しているものが、すべて壊れて非日常になってしまう。逆に言えば、その非日常の中から、日常生活を立て直していかなければならないということは、ふだんやっていることすべてが関係してくるということだと思うのですね。  ふだんしていた生活という中には、もちろん男女という問題もあれば、年齢差の問題もあれば、さまざまな問題があると思うのですが、今回ここで言っている男女というのは、男性は女性の側、女性は男性の側、もしくは障害があるかたがいらっしゃれば、ふだん僕らが気にしていないところで、障害がある人がどういう点で苦労しているのかという、隠れている、自分からはふだん見えない点をどれだけ理解するかというのが、災害ボランティアというときに重要かなということだと思います。  そういうふうに考えると、男女の問題もしかり、障害の問題もしかりで、ふだんから、自分に見えていない点をどれだけ理解するか、しているかということが、災害時にも当然必要になってくる。事前資料の5ページ目に書いてあることにもなってしまうのですが、ふだんから防災のボランティアのリーダーになるような人、もしくはコーディネーターになる人、そういうところにいない人ももちろんだと思いますが、さまざまな自分の視点ではない視点、例えば子供の視点、女性の視点、お年寄りの視点、障害者の視点、もしくは外国人のかた、最近ではよく言われるようになってきましたが、例えば観光に来ている旅行者など、自分から見えない視点について考える、もしくは積極的にそういう団体など活動に参加をしながら、自分にはない視点を増やしていくということが、災害時にも必要になっていくのかなと。  その点で、宇田川が「男もちゃんと炊事を手伝え、やれ」ということをふだんから言っております。逆の場合ももちろんあると思いますが、自分にない視点を育てていくというのが重要だということを言っておりました。 岡野谷(特定非営利活動法人日本ファーストエイドソサエティ)  ありがとうございました。男女共同参画というテーマに、「え?、いまさら?」とおっしゃる方もいらっしゃるかと思うのですけれども、現場では様々な自体が起こっているようです。とりあえず男女共同参画という言葉はあまり意識せずに、お話をしていきたいと思います。  資料5のいちばん最後のほう、18ページ、19ページの内容は、基本計画として、男女共同参画をどう視点としてとらえるかという考え方ですね。今、岩崎さんからご提案があったのは、被災しているかたたちが男女両方いるんだよという点ですね。その方たちのことをどういうふうにとらえるか、あるいは、リーダーとして自分がはどういう立場で対処ができるのかを考える必要があるということで宜しいでしょうか。おにぎりは必ず女が作っているとかいうことが、自然に起こってしまっているのはどんなものかというご意見もあり、皆さんに少し議論をしていただければいいかなと思います。特に秦さんが女性吏員としてさまざまな活動をされていらっしゃいますので、女性たちからのご意見もどんどん出していただければと思います。では、まず秦さんから少しお願いできますか。 秦(JFFW ジャパン・ファイヤ・ファイティング・ウィミンズ・クラブ)  新潟県中越地震の支援活動の中で、避難所で私どもは板段ボールを1000枚持っていきました。プライバシーを守るということと、保温に使えるということで持っていきました。「体育館の中で使いませんか」と提案したときに、ある女性は「夜寝るときだけでも、ほんの30センチの高さでもいいから仕切りとして欲しい」という意見を出されました。そのときに村の長の「そういう場合じゃないだろう」という一言がありました。眠るときに折り畳んだ段ボールのびょうぶを立てることが、そういう場合と言えるのかどうか。それは少しでもプライバシーを持ちたい、もしくは眠っている人の頭の上を、歩く人の足が通るという現実の中で、せめて顔が隠れる「つもり」の状況が欲しいというのは、私は当然だと感じました。そのときに村の長が、「そういう場合じゃない」というのはどういうことかよくわからないということがまず一点です。  それから、被災した方たちが自宅の建て直しのために「その段ボールを使いませんか、すきま風も防げます、敷物にも使えます、どうですか」と言いましたら、やはり男性は「要らない」という話をされました。そのときにその集落の女性たちが、「私たちは欲しい」ときっぱりと言われました。男たちは、どこに置くんだという話をしたらば、「○○さんのお家のビニールハウスがあるから、とりあえずそこに運んでもらえば、私たちが使う」とおっしゃったんですね。そうしたらば、その集落の長が、「じゃ、1軒当たり何枚だ」「1軒当たり20枚ずつ欲しい」ということになり、私どもは「ビニールハウスまで運びましょう、案内人お願いします」という話をしましたら、案内人を立ててくださいました。  「そういう場合じゃないだろう」と言ったときに、「どういうこと?」と言い返すと、多分けんかになったろうと思います。しかし、一軒一軒の家のことになるときにはもう一歩踏み込んで、「私たちは欲しい」と言えたことがやはり大きな力だなと思います。声には出せない、隠れた女性なり、高齢者なり、障害者なり、おむつを使っている方たちの感性を、どういうふうにくみ取ってやるのかということを、支援する側も大切にしていきたいと特に強く感じました。以上です。 澤野(災害救援ボランティア推進委員会)   私はこの問題で議論したいと思っている内容が、配布された資料にあります。18ページです。阪神淡路大震災時、「女性のこころとからだ」電話相談の件数が出ています。表の一番下に「レイプ/レイプ未遂」が31件とあります。年齢をみると被害者は若い女性です。電話をかけた人の数がこの程度なので。実際これをはるかに上回る被害が存在していると私は思います。それは何も被災地の人というだけではなくて、むしろ現地を知らないで、善意で入ったボランティアの若い女性も被害にあったと思います。実際に新潟県中越地震のボランティア活動を見ても、ボランティアの泊まるところが男女同じ部屋であったり、雑魚寝しているようなところもありました。    次に女性はどこで困るかといえばトイレです。仮設トイレは不衛生なだけではなくて、鍵もちゃんと締まらないものもあります。だからトイレを我慢するようになります。それでも地元の人たちは野外ですることもできますが、外から来たボランティアの女性が、野外ですることはできないので、非常にトイレに苦労します。また現地でのささいなトラブルでも、善意であるだけにボランティアをしにきた女性が心を痛めています。やはりボランティア活動をする側も、女性に対する配慮なり、そういう環境をちゃんと考える必要があると思います。  この問題はちょっと労働安全衛生に近い部分もありますが、センターも含めてちゃんと配慮すべき点が多いです。むやみに女性を泊まらせないとか、単独で行かせないとか、そういう部分でこの問題をしっかり見据える必要があります。 南部(特定非営利活動法人災害ボランティアネットワーク鈴鹿)  澤野さんの話にちょっと引っかかるところがあるんやけど。もう今は男女共同って当たり前、男も女もあらへん、災害のときはみんな一緒やと言うんやけど、ある程度女の人がそれなりの年齢に達したときには、男女の問題いちばん初めに気にかける。  子どもたちといっしょにやるときも、部屋割りをするときに、今までは6年生までは皆一緒で、ずらっと布団を敷いて半分男の子、半分女の子としていたけど、やはり5年生になると、もう女の子として目覚め始めたときに、こんな時代からこういう体の変化とともにそういうことを考えんと、これは乗り切れんなと私は思った。    いろいろな話を聞いても、今まで本の中にもレイプ事件なんて絶対出てこない。「女の人が大変な思いをしたのは女の責任、体のことは全部分かってるのやから」「防災教育しているとき、そんなこと言えへん」となってしまう。私はどうやったらこういう問題を伝えられるんやろう、みんなに何をしてあげられるんやろうと思うんやけど、私がたまたま年取っていて、そういう話ができる年齢やということで、相談に乗ったり目配りしていくことぐらいしか私には分からないのですが。 中川(特定非営利活動法人東京いのちのポータルサイト・時事通信)  秦さんの話に少し戻りますが、先ほど秦さんが持っていかれた段ボールというのは、本当はわざわざ持っていかれることはなくて、災害救助法の基準の中に、避難所が長期化するときの間仕切りはデフォルトで入っているわけですね。  有珠山噴火災害のときも、業者が避難所に注文を聞きに行っていて、伊達市とか壮瞥町の避難所には全部間仕切りは入っていましたが、虻田町の避難所にはなぜかあまり入らなかった。まさに秦さんがおっしゃった新潟県中越地震と同じ状況がありました。避難所で町内会長さんが、「お互いに顔を見、声を掛け合って、絆を絶やさないようにするため、各戸間のしきりは作らなかった」と言ってたそうで、そこの避難所の壁に、私は直接見ていませんが、広瀬さんからのメールにあったのだけど、「今静かに、苦しさに耐える慶びを」と書いてあったそうです。  その理屈はだれの理屈か。地域で強い立場にある男性の理屈でしかない。まさに秦さんがおっしゃったような、女性や高齢者や、例えば乳飲み子を抱えた若いお母さんや、中学生の女の子の視点なんか全然入っていないんですね。そこでは、地域コミュニティにおいて、ふだんからこういう人たちが意思決定に参加しているのかどうかが問われているのかなと思います。こういう視点があれば、澤野さんや南部さんがおっしゃったような、危ないことについても自分たちの中で考えていくでしょう。ふだんからある地域の意思決定の仕組みというものが問われるだろうなと感じました。一方で、ボランティアとしては、支援する相手側がどれだけうまく共同参画の社会になっているのかというのを見きわめて、支援の方法を考えることも大事だと思います。 菅(大阪大学コミュニケーションデザイン・センター特任助手)  今までは、割と被災直後のお話しが多かったようと思います。こちらの資料にも男女の固定的な性別役割の話が出ていますけれども、復旧復興の段階で、どうしてもパート労働者が解雇されやすかったり、避難所から仮設住宅へと住居を変わっていく中で、生活を担っていく女性の負担が大きくなりがちだったことは、阪神・淡路大震災でもよく聞きました。    それは隠れやすく見えにくい部分だと思いますので、災害が長期化したときに、そのあたりの社会の仕組みを、一気には難しいと思いますが、女性は弱い立場におかれやすい、という視点をもって、改善していけるような方向に、行かなければいけないのではないかなと思っています。 岡野谷(特定非営利活動法人日本ファーストエイドソサエティ)  震災直後、その後の長期にわたった復興時期、そしてふだんの意思決定を含めて、男女をどうとらえるか。改めて考えてみる必要があるということですね。また問題は男女だけではないわけです。子どもの話もありますし、弱者という話も出てきました。更には外国人や帰宅難民の話もあります。そこに生活していない人たちの支援まで、たくさんの視点があるわけですね。コニュニティサポートをされている渡辺さん、この辺はどうですか。 渡辺(特定非営利活動法人YMCAよこすかコミュニティサポート)  YMCAコミュニティサポートの渡辺です。各地で、新潟県中越地震の復興の映画「掘るまいか」の上映会をやっていて、横須賀でもこの間、映画の上映の実行委員会というのを立ち上げて、市民に呼びかけて上映会をやったのですね。それを作っていく過程の中でいろいろな視点の人たちが入って、アイデアを出し合ったのです。やっぱり現地の声を聞きたいよねということで、上映会の中で電話を使った実況中継をして、現地は今こういう状況ですよというのを見に来ている人たちに直接伝える。写真を使って、今こういう状況なんだよというのを伝えることをやったのです。  全然男女共同と関係ないのですが、ただ何かやることに関しても、いろいろな視点をその中に組み込んでいくことで、見えない部分を参加者の人にも共有してもらえるようなことということで、そういう視点が必要なのかなと。そこで理解して協力していくということがあって、その辺が大事かなと思います。 丸谷(内閣府政策統括官付企画官)  議論の意見というよりも、行政の立場から、「それでは、どういうふうにすればいいのかな」という質問をさせていただきたいのですが。行政の立場からすると、まず先ほどの秦さんからのお話で、例えば地元で「要る/要らない」の意思決定を聞くときに、だれに聞くのかというのが問題になるかと思うのですね。それで、従来の行政の立場からすると、その地域のまとめ役のかたに意思を確認するということになります。しかし、女性の視点を配慮した場合、あるいは男性リーダー以外の人の視点を入れるために、どういう聞き方をすればいいのか。  あと、おにぎりを作っていただくのが女性ばかりとかそういう話も、だれにそれを言うのか。「皆さん、いっしょにおにぎりづくりに参加しませんか」ということを言うのに、行政は何ができるのかというところを、具体的に提案いただいたらありがたいのですが。 秦(JFFW ジャパン・ファイヤ・ファイティング・ウィミンズ・クラブ)  ニーズ把握のために、避難所の管理をされている、地域のまとめ役を無視することはできませんで、とりあえずはまとめ役の集団のおられるところに行って、幾つかのご提案をする。そこで段ボールを使った活動、湯茶のサービスなどのニーズ把握をしたいという大ざっぱなお話をいたします。そのあとに、体育館の中では新潟中越地震の場合は集落ごとにまとまっておりましたので、そのまとめ役のところに行きました。  また、「こういうものを使いませんか、こうするとこういう安らぎが得られますよ」とか、「お布団の湿気も取れるし、夜、立てかけることによって、足もとを歩くかたの音も軽減できる」というような説明をいたしました。それを受け取ってくださる集落が幾つかできると、雪崩を打ったように全部そうなるのですが、最初の理解を得るときに、どの集落に話を持っていくことが成功率を高めるか観察をすることが第一ではないかと感じました。  もう一つは、やはり行政が非常に強うございまして、行政がこうしようと言うと、比較的、地域社会の中ではそれに従うところがあるかなと感じました。  さらに、男女の役割分担と女性の視点ということを考えますと、「そういうのは要らないんだ」という男性に、必ず同調する女性も必ずいる。男女共同参画の足かせは女性だというのはどこの社会でも言われるのですが、やはりそれはございます。そのときには、その女性とあらかじめお話をする機会を多くしまして、そのかたを自分の理解者にすることによって、長が納得しやすい環境を作る。一つ手間を余分にかけることが、それは村の中の意思決定システムを壊さない形でやることが大切ですので、私はそのいわば切り込み隊長と申しましょうか、観察し、当たりをつけ、根回しするということをやってまいりました。  結果的には、現在までもその長のかたがたとずっとつながっておりますし、向こうでもいろいろな情報を出してくださいますので、先ほどの作法のお話になりますと、相手の地域社会のルールに沿わせていって、こちらを理解していただく努力というのが必要かなと思っております。 岡野谷(特定非営利活動法人日本ファーストエイドソサエティ)  まさにこのあとのコーディネーター育成の論点になってくるかと思います。 広瀬(特定非営利活動法人日本災害救援ボランティアネットワーク)  災害時、緊急時というのは、ふだんコンセンサスを作って、きちんと手続きを踏んで、なかなか進まないことが一気に進んでしまうことってけっこうあるのですね。男女共同参画に関しても、やはりふだんが反映されるわけですから、そこでもう一度手続きを踏んで、きちんと根回しをしてということは、理屈としてはそうですけども、実際的には、やはりそれで進まないだろうと思います。  やはり、災害のときにばっと行ってしまうという、一つの特質をある程度含んで生かして、半ば強引と言うと言葉は悪いのですが、さっきの「そういう場合じゃない」というのを逆手にとって、こういうものなんだということで、今までじっくりとやっていたものをぱっと進めてしまう。恐らく摩擦は起きると思います。起きたところで一度、引き戻しながらやっていくということをある程度は乱暴にでもやってしまわないと、最初から手続きを踏んでいくと、時だけが過ぎていくというふうになってしまうのではないかと実感として思っております。  もう一つは、男女共同参画の視点を持つというところで、これも具体的にそうですが、ごく細かい話になりますが、やはりボランティアのコーディネーターにしてもリーダーにしても、例えば物資がトラックで届くと、「男のかた、手を貸してください」と言うのですね。おにぎりの問題にしても、「女性のかた、集まってください」とふと言葉に出てしまう。そこからかなという気がするのですね。男性のかたも来てくださいと言ったって、ふだん握っていない人が急に来ても戸惑うわけで、非常に難しいのですが、呼びかけるときの一つに性が出てしまうということも、細かいようですが、大事なところなのかなという気がします。 中川(特定非営利活動法人東京いのちのポータルサイト・時事通信)  中川です。今の話で、行政として何ができればいいかということですが、秦さんがおっしゃった「行政から言われたら、実は地域社会は動くところがありますよ」ということで言うと、災害救助法というのは全部、被災自治体が欲しければ予算を面倒見てやるよという仕組みになっているのですが、実際には住民がおにぎりが欲しのであればやるよとはなってない。そういう意味では、避難所の間仕切りなんていうのも、1,2日で終わらない見通しがたてばデフォルトにしてしまうという形の仕掛けがあるのでないかと思っています。これは行政としてできることだと思いますし、私のような素人はよく分かりませんが、まさに精神の面とかメンタルな面から考えても、必ず理屈は出てくるはずですので、そういうものを理屈つけてあげて、間仕切りはデフォルトにするということにしてあげると、皆さんもう悩まないでいいんじゃないかと思います。  それから、ふだんの地域の意思決定の仕組みの中で、どれだけ女性が参画していただけるかというところで、今日来られていませんが、練馬の高橋さんなんかがやっている練馬区の取り組みが、すごく面白いなと思っています。普通は避難所の運営というのは、大体町内会の単位でやられることが多いと思いますが、そこに町内会のかただけではなくて、学校のPTAを同等の立場で入れているのですね。  ですから、町内会の下にPTAがあるとか、学校当局の下にPTAがあるのではなくて、避難所の運営をする協議会みたいな場を町内会のかたと、PTAのかたと、施設管理者である学校と、あと行政と、4者が同じ立場に立っていることによって、どちらかというと若いお母さんがたが中心になるPTAと、町内会のかたが同じレベルで議論に参加できるというところがすごくいいのではないかと思っています。私の住んでいる横浜市の避難所運営協議会はPTAが入っていないので、練馬のやり方を見てうらやましいなと思います。それは一つのひな型として、いろいろ広めていける可能性はあるのではないかと思っています。 秦(JFFW ジャパン・ファイヤ・ファイティング・ウィミンズ・クラブ)  JFFWの秦でございます。私は横浜市の職員で、消防と福祉と両方勤務いたしまして、横浜市の災害救助事務を2年間担当いたしました。横浜市の地域防災の仕事の中で一つだけ、自分自身いい仕事をしたなと思っております。横浜市でも被災時には基本的には小・中学校の体育館が避難所になっていますが、しかしそのあと、支援の必要なかた、高齢者であったり、病弱であったり、乳幼児を抱えたりするかたは男女別に教室を使う。その教室には、健常者であっても家族が入れるという仕組みを作ってございます。翌日にケースワーカーが、高齢者であれ病弱者であれ、そこに置くことがいいのか、福祉施設がいいのか、病院がいいのか、他都市の同等の施設がいいのかの、トリアージをするという仕組みを私は作りました。  これは私自身が被災地に何度も入って、いろいろな場所を見て耳にしたことが役立っています。仕事として災害救助事務を担当し、福祉局の地域防災計画を作るときに、ほとんど私自身のペンで直せたというところが、公務員としてお役に立てたかなと思っております。後ほどのお話として出てくると思いますが、公務員ができるだけボランティアとして、災害現場に出ていく仕組みを作るということは、それで得たものを日常の業務の中で、避難所の運営なり日常の男女参画なりに反映していくことができる。内在化していくということができるという面で、とても大切だと思います。  新潟県中越地震のときにも、ここに来ております渡辺さんとか、チームで神奈川県下から横浜ボランティアバスというのを2週連続、バス3台150名、実行委員会方式で出しました。応募者多数だったのですが、私はやはり公務員を優先してください、教職員を優先してくださいとお話ししました。1人の体験をどのぐらい多く、その後の仕事に生かせるかというのがとても大切だと私は感じております。 澤野(災害救援ボランティア推進委員会)  新潟県中越地震の被災地を見て、この問題で私が言いたいのは、外から入ったボランティアなりメンバーが、数日あるいは数時間現場を見ただけで、地域のコミュニティーの在り方や、土地のルールに干渉するのはやめるべきだという一言につきます。  自分たちの考えで見るとおかしいという場面は幾つもあります。でも、それはある側面だけを見ているのであって、トータルで見ているわけではありません。あるところだけを見てこの地域はなってないとか、男女共同参画じゃないというのは、やはりそれは違うという考えです。  なぜ男性中心になってしまうかというと、村の話し合いは世帯単位でやります。世帯単位でやると世帯の代表は、男になります。世帯代表で地区の話し合いをやれば、男だけの集まりで男が決めたと言われたら、それはそのとおりかもしれないけれども、民主的ルールで言えば、決して男に偏った決定とはいえないのです。  そこに女性の意見が活かされているかいないかは別として、一つのルールとして成り立っているので、新潟県中越地震のあの地域のコミュニティーの在り方と日常でいうところの男女共同参画の話は、私は切り離したほうがいいと思います。実際コミュニティーの人たちは、男性中心に危険な作業もしていましたし、女性に対する配慮もすごくあったと思います。弱者に対しての配慮も実際に現場で精いっぱいやっていました。至らないところは何も配慮がなかったわけではなくて、うちのめされていた現実がそうさせたということです。  もちろんプライバシーは配慮したほうがいいのですが、被災地ではそれ以外にもやるべきことがたくさんあります。だから機械的に決めつけない方がいいと思います。全体討議でのお作法、マナーの話ではありませんが、「郷においては郷に従え」は大切なお作法ではないかと思います。 南部(特定非営利活動法人災害ボランティアネットワーク鈴鹿)  例えばおにぎりの話とかそんなんは、お祭りでみんなうまいことやってはる。女の人が握ったら重たいのを配るのは男の人がする。うちは田舎町だからか分からんけど、何かうまいこと、災害になったときの練習しているような感じで、お祭りとかそんなんでみんな上手にやってはるので、私はわざわざ、おにぎりはみんなで握りましょうなんて書く必要ははないと思います。  それから、まさか「女の人と男の人と仲よくしたらいけません」と、行政から一筆入れるわけにいかへんと思うのですが、でも、「要らんことはしたらいかんねんで」というのは言うべき。「したらあかんことはしたらいかんのや」ということを、女も自覚せないかんし、もちろん男の人たちもそうなんやろうと思うので、そこの秩序というか、それだけは一線引くことが大事だと思います。 岡野谷(特定非営利活動法人日本ファーストエイドソサエティ)  人材育成というのを今の話から続けていくということで、続けてもよろしいですか。だんだん佳境に入ってきているので。では秦さん、お待たせしました。 秦(JFFW ジャパン・ファイヤ・ファイティング・ウィミンズ・クラブ)  人材育成ということで、横浜から中越地方に出したボランティアバスのメンバー150人の中から、3月に市内で報告のパネル展示と実演をやりました。そのとき参加した中学校の女性の先生が、「私はこのボランティアに2度参加して非常によかったと思う」と言われました。「どういうことですか」と聞くと、「今までホームルームで何を話してもがやがやしていたのが、行ってきた写真を見せてこうだった、自分はこういう活動をしたということを話したら、しーんとした」というのですね。今の子供たちは、本物にはきちんと心を傾けるということを話しておられました。  そのボラバスで行った150人の中で、「いつでも声をかけてください、何でもやりますよ」という方が3分の1育っています。そのパネル展示のときにも、現場合わせで出てきた人たちをこういう仕事ということで手を挙げさせて、自分は今日何ができるかということを登録してみました。それがよく動くのですね。今度、第3回目は8月25日に、私が勤務する会社の防災訓練と市民参加の防災訓練で、全く同様のことをしようと思っています。その中で考え、体験し、学んで、チームのリーダーになれるんだということを感じたのが一点。  もう一つは、被災地の中越で、避難場所でも中学生、小学生は本当に退屈をしておりました。本当に日中もごろごろしてゲームをしているという実態がありました。そのときに、中学生の子供たちにバケツに水をくんできてもらって、小学生の子供を全部集めて、運動を兼ねてぞうきんがけしようという話をしたら、みんな乗ってきてくれて、3人ぐらい並んでよーいドンでぞうきんがけ、よーいドンでまた戻ってくる。村の人たちが、子供たちがこういうふうに働く姿を初めて見たという話をしておりました。  企業からいろいろな物資が届きますが、そのときに、私は中学生、高校生、中には小学生も本当に戦力になると信じています。三条市の水害のときにごみの分別をやっていたのは小学生です。ペットボトル班、燃えるごみ班というごみ袋をぶら下げて歩いて、ごみの中から自分の担当するものを拾い集めて、ごみの分別をしておりました。そういう仕組みをすると人は育つというふうに私は大変強く信じて、いい体験をしたと思っております。 岩崎(神奈川県災害救援ボランティア支援サポートチーム)  育てられる側の視点ということで、二つ言わせていただきたいのですが。一つは、男女共同参画でさっき広瀬さんが、例えば力仕事をやるときに男性がとか、家事に近いような仕事をしていただくときに女性に、というような冠詞がついてしまうという発言もあったと思いますが、ふだんからあるステレオタイプみたいなものが、やはり災害現場でも反映されてしまうと思います。    もちろんそれがいい悪いというのではなくて、もちろん役割分担というものは必要だと思いますし、できる人ができることをやるということが、ふだんの生活でも災害現場でも必要だと思うのですが、そういう意味で、ふだんから自分ができること、もしくは、だれがどういうことをできるのかというのを把握しておくことが大事だと感じています。例えば地域コミュニティーにおいて、ふだんからこの人はこういうことができるなとか、地域と信頼関係ができているなというのがわかっていれば、あるいは自然と顔が分かっていれば、肩書きがなくても、意思決定についてのアドバイスをくださいという話が行くと思う。  だれが何ができるのかというときに、自分が今できることから一歩を踏み出せる環境を作っていただくと、僕なんかはとてもやりやすい。今、自分ができることは大したことないけど、できないかもしれないけど、だれかに手伝っていただきながら参加をさせていただく。参加をしたときに地域の人に手伝っていただいて、さっきの小学生、中学生の話ではありませんが、こんなことでも僕はできるんだぞというのを認識させていただくと、次のステップにつながる。そういう意味で、ぜひ大人の皆さんにチャンスをつくっていただきたい。 中川(特定非営利活動法人東京いのちのポータルサイト・時事通信)   人材育成ということで言うと、「ことおこし、ひとおこし、まちおこし」という言葉があります。これは阪神大震災のときに姫路のJCで、西側からのJC支援の中心になった人で、そのあと全国の学校にボランティアでLANの回線を引く、ネットデイという運動の推進役である通称「こたつねこ」さん=和崎さんというかたがおっしゃっていることです。何かイベントのようなコトを起こしてみると、それによって人が起きてくる。人が起きてくると、それによってまちが起きてきて、それをらせん状に重ねていくことで、物事が展開していくんだろうと。最初から人を育てるんだということをやろうとすると、かえって何のための人を育てるのか分からない。逆に、先ほど秦さんがおっしゃったように、何かをやるところで、それを手伝って人が集まってくると人が見えてきて、何か働きが分かって、そこで町全体が起きてくる、そんな循環じゃないかと思います。  先ほど澤野さんがおっしゃったことについて、一言反論をしておきたいです。地域のコミュニティーに外側から何も働きかけるな、そういうことをしてはいけないといわれましたが、それを前提にしてはいけないと考えています。災害時というのは地域だけの力では絶対、対応できない。あの神戸市ですらできなかったわけですから、何らかの外側からの支援が必要ですし、だからこそボランティアが必要なわけです。地域だけの力でできないところに、どうやってうまく入ってあげるか。地域がエンパワーされる、勇気づけられる、元気づけられるように。さっき広瀬さんの話がありましたが、多少前のめりで行かないといけない部分が多分あるのです。  地域が災害を知っていても、「二十数年前にやっているので、避難所のパーティションは要らない」と言って、そこで若いお母さんが泣くはめになる。そういうことを言ったら、それはまたそのあと、地域が復興していくときに同じ気持ちではいきにくいですよね。みんながそこで同じ気持ちになっていくというのが、男女共同参画のこの辺の考え方だと思いますし、先ほどおっしゃっていた、男は世帯主だから、それが現実だから、それを前提にすべてしなきゃいけないというふうに言われすぎて、それを強要してしまうとまずいのではないかと個人的には思っています。  ですから、災害が起きたときだけにやるのでなくて、ふだんから少しずつ、何か事をちょっと起こしていくことによって人が起きてきて、町全体が起きてきて、そういうスパイラルをふだんから地域の中で、そういう男女協働参画的なこともどれだけ作っておくかというのが地域活動だろうと思っていますし、南部さんなんかがやっていることは、まさにそういうことなんだろうなと思っています。 岡野谷(特定非営利活動法人日本ファーストエイドソサエティ)  中川さん、ありがとうございます。引き続き、菅さん、お願いします。 菅(大阪大学コミュニケーションデザイン・センター特任助手)  あまり時間もないのですが、今のお話で、震災復興をずっと経験してきた神戸の中には、災害直後の状況や活動体験を持ち続けながら、市民活動をやっているという風土がありまして、今日はあまり時間がないのできちんとご紹介できないと思いますが、資料の8ページと9ページに、人と防災未来センターで行ってきた人材育成事業として、ボランティアコーディネーターコースというのがございます。研修という場で人材を育成していくというのは、かなり難しいと思っています。でも、そうした限界があることは理解した上で、主催者としては、ボランティアセンターのノウハウや復興のとき必要なことなどの知識を学んでもらうのではなくて、参加した皆さんがふだん行っている活動を紹介しあい、違う地域でいろいろなことをやっている人がいることを知り、ネットワークを広げてもらうことも副次的な目的にしています。  また、神戸に来ていただくので、10年経った被災地を見てもらおうということで、震災復興で頑張ってきた地域を訪問するプログラムも組み込んでいます。神戸には、被災地を歩いて地域活動の現場を訪問・交流してもらう企画を行っている団体もありまして、修学旅行生なんかを受け入れたりするプログラムを持っている団体もあります。そういう団体と提携して受講者に街を見てもらうプログラムも組み込んでいます。復興の8年目ってこんな状況なんだよ、まだ全然町が復興できてないよ、一方で再開発でどーんと高いビルが建っていて全く景観が変わっている状況がある。自分たちが被災して8年間たってというのを、それぞれイメージしてもらえるような場を考えています。  その中で、被災地で活動している人達自身も、外からいろいろな人が来て話を聞かれることによって、変わっていきます。伝えたいことがある、震災の体験で8年間やってきたことを伝えたい。やはりそういうコミュニティーとコミュニティーの対話の中から、また減災の文化というのが生まれていくのではないか。研修という名前でやっていますけれども、そういった場を豊富に作っていくということが、いままでのお話の中で「チャンス」という言葉もありましたけれども、必要なのではないかなと思っています。長くなりました。 岡野谷(特定非営利活動法人日本ファーストエイドソサエティ)  ありがとうございました。まだまだ話し足りないことと思いますが、フロアからもぜひ手を挙げたいというかたが、きっといらっしゃるかと思います。いかがでしょうか。一気に挙がりましたね。2〜3名のかたでよろしいでしょうか。福井県からの意見ということではなくても結構ですので、皆さんの経験からぜひお話をしてください。では、どうぞ。 傍聴者  京都府の綾部市から来ました片岡と申します。検討会に参加しましたので、野次の程度で聞いていただきたいと思います。  先ほどありました、おにぎりの話ですけど、実際にそういうのを体験するのです。例えば村の祭りなんかで、例えば男のほうが家の用事で参加が遅れて、男衆の仕事はもう出てしまっている。じゃ、僕がおにぎりでも作るわと言うと、近所の人は、「男の人にそんなことしてもらったらいかん」「あんたら向こうに行ってきな」という話になるんですね。僕は気にしないよと言ってもそれが通じない。  そんなときに、私、PTAなんかでもいろいろな役員をするのですけれども、おにぎりを作る場面というのはたくさんあるんですね。そのときに集め方ですけど、私らがするのは、「手の空いている人、ちょっと来てください」と。おにぎり作りますよというのは言わないのですよ。言っちゃうと、やはり女性のかたが来てしまいます。それはその地域のこれまでの呪縛みたいなものがあるのですね。男女のジェンダーについてのとらえ方。それをおにぎりというのを先に出してしまうと、そうなりますので、手の空いている人、来てくださいと。  そこで男の人が必ず言います。「そんなこと、女の人にやってもらえばいいじゃないか」と言うのです。それは男の人の論理、女の人の論理がありますね。けど、そのときには、先ほど出ていましたキリングワード、「そういう場合じゃない」という痛烈な言葉がありますよね。それを使えばいいと思うのです。そんなこと言っている場合じゃないんですと。今作らないと間に合わないので、もう時間がないから何とかここでやってもらえないかと。  そのときに、男性でおにぎり作るのが嫌なかたはいますか、おにぎり作っていいという人いますかと言うと、大抵いますわ。そういう人に、おにぎり作る班のリーダーをやってくださいと、男性がリーダーをするのです。そうすると、ほかの男性は黙ります。言えないですよね。かっこ悪くて。そういうふうにして男性を使い、女性がするべき仕事を男性にリーダーになってもらい、男性のほうもすることに、しょうがないかな、おにぎり作るのも楽しいなと思わせる。そういった日常的な状態でいけば、日常的な呪縛から離れられないですから、非日常的な感覚を持って日常を変えていく、そのための一言であるとか、そのための持っていき方というのが必要だと思います。  特に災害というのは非日常性というのが表れますので、ここでこそ、そういう感覚を転換する意義、チャンスなんですよ。ですから、おにぎりを作るのは必ず女性であるなんてことは必要ないですから、手の空いている人、来てください。そのときには、「そんな場合じゃないでしょ」と、上手に逆手に取って動かしていったらどうかなと思います。  そして秦さんのおっしゃった、ボランティアバスにはぜひ行政マンをと。私ども非常に大賛成です。行政のかたというのは、地域に対してものすごい影響力を持っているのです。というのは、地域のかたは男社会の中で生まれ育っています。そして、男社会がいちばん苦手なのは、田舎の場合、特に特に行政の圧力なのです。やはり補助金をもらわなければいけない。それで地域は回っていく。地域が何かしようとするときに、行政の後押しが欲しい。となってきたら、行政の力というのは、女性に対してよりも男に対して効果を発揮します。そういうときに、行政のかたが現場で一体何が起こっているのか、その現場にとって何が必要なのか。そこに女性の視点。  災害というのは乱世みたいなものですから、乱世には英雄が雲霞のごとくわいてきます。わいているのはボランティアというヒーロー、ヒロインだと思うのです。そういったかたの姿を見て、そういったかたの姿を日常的な施策に反映する、行政にいちばんしてほしいことです。分からないから、知らないから、私らはそういうポジションではない、現場を知らない、そういった言い訳めいたことが多いのですね。でも、それは見ていただければいいのです。  それは有給休暇を取りやすい職員が、例えば現地に行ってからでも、「ごめんなさい、今日はちょっと急な用事で新潟に来ているんです。ボランティアバスに乗っちゃいました」でもいけると思うんですよ。そうやって行った行政マンもいるはずなのです。そうやって会社を休んで参加したサラリーマンもいます。大学生なんかもいるはずです。そこに行政マンがいたっておかしくないんですよ。そういう行政マンが頑張っていただきたいなと思います。すみません、長くなりました。 岡野谷(特定非営利活動法人日本ファーストエイドソサエティ)  ありがとうございます。続いて、もうお一方どうぞ。 傍聴者  京都府の福知山市から来ました荒川といいます。立場は、ボランティア連絡協議会の事務局長と議員をさせてもらっています。  まず、全般を通してですが、ジェンダーは私も何とか分かるのですが、横文字の部分が分かりにくいということで、今後の提案の際に横文字についての説明を重視していただければ、いろいろなかたに分かりやすいのかなという一つの提案です。  それと、国の役割、都道府県の役割、自治体の役割、町内会の役割、社会福祉協議会の役割、企業の役割が、当たり前ですが、その役割が明確になっていない。その棲み分けを、何とかもう少し急いでいただきたいという思いをしております。  その中で、内閣府が作られた情報ヒント集−マニュアルは作れないが事例を出している、ということは、極めて有意義だと私は感じています。それをしていただかなければ、私は議員の立場でも市に言うときに、上からの指示がないとすぐ言われるんですよ。だから、もう指示は出ているんだ、あとは自分たちが自治体の中で人を作って、それを組み立てていけということをもっと明確に投げていただきたい。市の中は、社協とか企業とか学校とかボランティアの役割を、さらに投げていただいたらいいということの役割の決定を、大まかにさらに出してほしいということを感じますので、今後でき上がってくるものに対して出してほしいと思います。以上です。 岡野谷(特定非営利活動法人日本ファーストエイドソサエティ)  ありがとうございます。もうお一方、いらっしゃいましたね。 傍聴者   福井市の隣の鯖江市の宇味野と申します。地元の自治会長をやっていまして、加えて福井県の男女平等推進委員、それから鯖江市の男女平等参画審議会の副会長もしています。そういったことで皆さんの意見を伺っていました。    細かい点を幾つか言わせていただきますと、PTAを加えれば、男女の数がある程度均等がとれるみたいなご発言がありました。これは土地柄によります。同じ鯖江市内でも町中は女性が8割、9割のPTAもあれば、私の住んでいるところは、女性は何とかして加わってもらっているという状態です。ですから、自分たちの周囲だけで物事を判断しないで、やはりその土地土地をよく理解していただきたいということです。  それから、被災者の自治会長の「そんな場合じゃない」という発言がありました。この発言がどういうことかというのがありましたが、私はその人の気持ちがよく分かります。私も被災者です。水害で家が流されて、自分の家族のところにいたいのだけど、自分の家族のところにいられない、地域に出ていって、独り暮らしの人はどうなっているか、行政からの連絡はどうなっているか、そういったことも聞かなくちゃいけない。自分の子供が今どうしているんだろう、明日からの食事はどうしたらいいんだろう、うちはこれから食べていけるんだろうか。そんなことで頭の中がパニック状態で、それでもやはり周囲の人は、自治会長としての行動、発言をいろいろな情報収集源として求められている。  とにかくパニクっている状態で、私はそういう場面はなかったですけども、体育館の中で、避難先で仕切りの問題を言われたら、多分私もキレてしまったんじゃないかな。冷静でいられればいいんです。いたいのはやまやまなんですけども、そういった心理状態を理解していただきたい。それは男女がどうのこうのじゃなくて、自治会長という立場だと、一般の被災者だけでない立場がいっぱい出てくる。そういったことも、ボランティアで来られるかたは理解していただきたいなと思います。  それから、行政職員のボランティアがどうのこうのという話がありましたが、これはあくまでよそから来られた、被災地でない行政職員のボランティアですね。被災地としてどういう話があるかというと、例えば鯖江市が被災した場合に、鯖江市の行政職員というのは、ボランティア関係の手配をしたりとか何とかということをやっています。一般のかたが仕事を休んで、収入が止まってまで被災現場にボランティアに来てくれる、そんな状態があります。落ち着いてくるとどうなるかというと、地元の行政職員は土曜、日曜も仕事として災害の復旧に当たっています。それで全部給料があたっているわけですね。周辺地域から来られる一般市民はみんな仕事を休んで、日給月給の人まで休んで現場に来られている。収入が途絶えてまでやってくれている、この落差が、新聞には載りませんけども、あとでものすごい非難のもとです。  だから、そういうときに地元の行政職員がボランティアセンターの中心として機能するということは、僕らからするととんでもないことだなという思いもあります。できれば一般住民のボランティアの組織で動いていただいて、行政が動くということは、ゆくゆくそこの市町村のお金のかかる問題にかかわってきますので、そういったことも分かってください。以上です。 岡野谷(特定非営利活動法人日本ファーストエイドソサエティ)  大変貴重なご意見をありがとうございました。私たちは被災されている皆さんの心理という部分も含めて理解しつつ、ボランティアをしていかなければならないし、コーディネーターとしても中に入っていかなければいけない。また、コーディネーターの育成、それからコーディネーターではなくて普通のボランティアの育成にも、その辺の視点は、どちらにせよ入れていかなければならないということですね。さて本来でしたら、人材育成という部分についてもきちんと論議をしていきたかったのですがそろそろ時間となっております。男女共同参画という視点を持って人材育成に当たっていただきたい、行きたいということで、まとめさせていただいてよろしいでしょうか。  では、他の分科会の方が外で待っているようなので、一旦ここで終了させていただきます。  この後も、お食事をしながら話をするチャンスがございますし、全体会がございますので、フロアの皆さんも、宜しければ全体会でもご発言いただけるようにお願いいたします。本当に皆様、お疲れさまでした。ありがとうございました。 丸谷(政策統括官付企画官)  岡野谷さん、本当にありがとうございました。フロアの皆さんもご協力ありがとうございました。 1