全体会(午前の部)議事録 第4回「防災ボランティア活動検討会」 日時 平成17年10月30日(日) 10:30〜16:00 場所 長岡商工会議所  全体会(午前の部) (以下敬称略)  【開会挨拶】 青木(内閣府企画官)  ただいまより第4回の防災ボランティア活動検討会を始めさせていただきたいと思います。  お忙しい中、皆さん、この新潟長岡にお集まりいただきまして、まことにありがとうございます。  申し遅れましたが、私は内閣府災害予防担当企画官の青木と申します。この8月から丸谷教授の後任として参りました。よろしくお願いいたします。  本日は一人ご欠席ですが、7名の有識者のかたがたにお越しいただいております。全体会合の司会につきましては大阪大学大学院助教授の渥美先生にお願いしております。では、最初に渥美先生のごあいさつをよろしくお願いいたします。 渥美(大阪大学大学院助教授)  おはようございます。皆様お忙しい中、今日はお集まりいただきましてありがとうございます。また、特に今日は後ろのほうにたくさんの人にお越しいただきました。その中で実のある議論をやりたいと思っております。  これまでの議論については中に資料も入っておりますし、いろいろな分科会に分かれて、さまざまなことを議論してきた会です。そして、また、昨日はここで素晴らしい会合を開いていただきました。「ボランティアパワーフォーラムin中越 〜この1年・これからの10年〜」という素晴らしいタイトルのついた中身の濃い議論をやっていただきました。  そういったことを受けて、この検討会でどのような方向を作っていくのか、大いに議論を重ねていかないといけないと考えております。ちょっと司会は慣れていないので、いいかげんなところがあると思いますが、どうぞ活発な議論をよろしくお願いいたします。 青木(内閣府企画官)  本日の参加者ですが、お手元の名簿、資料6をご参照いただければと思います。さらにこのあと、午前中の全体会合のあと、3つの分科会に分かれてご議論いただきたいと思います。その司会進行役も、ボランティア関係者の方々の中から私どものほうで、課題の内容や地域バランスなどを考慮して、ご本人のご了解を得てお願いさせていただきました。  第1分科会につきましては「三重県防災ボランティアコーディネーター養成協議会」の山本様、第2分科会は「NPO法人新潟NPO協会」の金子様、第3分科会は「東京いのちのポータルサイト」の中川様にそれぞれお願いしております。  司会につきましては今後も皆様に回り持ちでお願いすることがあるかと思いますので、その際よろしくお願いいたします。また、司会進行役もほかの参加者のかたがたと同様に、ご自分の意見を適宜ご発言いただいてけっこうということで、司会に徹しないでもけっこうということでよろしくお願いいたします。  では、以後の進行は渥美先生にお願いいたします。 渥美(大阪大学大学院助教授)  それでは、早速ですが、議事に入りたいと思います。まず事務局から本日の進め方の説明、それから、新しく検討会に加わっていただきましたメンバーのご紹介をお願いしたいと思います。それでは、どうぞよろしくお願いします。  【事務局からの連絡事項】 青木(内閣府企画官)  まず本日の進め方についごて説明いたします。お手元の議事次第の一枚ものに日程が書いてあります。スタートが5分遅れましたが、この全体会で12時まで討論を行っていただきます。  昨日の「ボランティアパワーフォーラムin中越」のご報告をいただいたあと、討論といたしまして、前回、第3回検討会の概要報告、「情報・ヒント集」の更新についてのご報告、それから、ボランティアの安全衛生確保についてのご報告といったことについてご討論いただきたいと思います。  10分ほど小休止を取りまして、パワーランチ、食事をお取りいただきながら、分科会の説明を兼ねて三つのグループに分かれて歓談いただきます。  さらに小休止10分を取りましてから午後の分科会ということで、三つのグループで、このペーパーの3のところにある三つのテーマについてご議論いただきます。場所としましては、第1分科会はここにお残りください。第2分科会は3階の第1ホール、第3分科会は第3ホールにご移動いただきます。各分科会については、参加者のかたがどちらにご出席いただくかについて、事前にご希望を伺っておりますが、できれば均等に分かれていただけるとありがたいと思っております。それから、出席できなかったけれども、ご興味ある分科会の検討項目に関するお考えについては、分科会後の全大会や事務局へのメモ送付などでお聞かせ願えればと思います。  分科会については2時半までといたしまして、また10分小休止のあと、2時40分から各分科会の報告と全体での意見交換、討議のための全体会を開きたいと思います。4時までということで、本日の予定としては以上でございます。  続きまして、今回から検討会に新たにお三方が入られました。有識者1名、それから、メンバー2名ということです。まず有識者メンバーについて、京都大学経済研究所の丸谷浩明教授に加わっていただきました。 丸谷(京都大学経済研究所教授)  検討会が継続的に議論を積み重ねていくために居残っておりますので、前回までの議論で積み残した議論や課題があれば私のほうにも持ってきていただきたいと思います。 青木(内閣府企画官)  お二人目ですが、検討会メンバーといたしまして、「NPO阪神高齢者・障害者支援ネットワーク」副代表の黒田裕子さんです。黒田さんは阪神・淡路大震災のときからご自身の本職、看護婦の立場から避難所、仮設住宅での高齢者、障害者の生活支援をされているということで、さまざまな現場でその後も活躍されておられます。 黒田(NPO法人阪神高齢者・障害者支援ネットワーク)  おはようございます。黒田でございます。ただいまご紹介いただきました。私も初めてでございますので、未熟でございますが、今日これからここで皆様がたとご一緒に参加させていただきながら、学ばせていただこうと思っております。私も阪神・淡路大震災で10年たちまして検証をやりましたが、これからの10年の復興をどうするかということをさらに深く考えていきたいと思いますので、ぜひいろいろな学びをさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。 青木(内閣府企画官)  ありがとうございます。そして、最後に「千葉レスキューサポートバイク」の藤田治さんです。震災、風水害などの自然災害の発生時にいち早く被災地に赴いて、バイクの機動性を生かした活動をされておられます。レスキューバイクのいろいろな活動をされているかたがたがいらっしゃいますが、藤田様にメンバーにお入りいただくことになりました。藤田さん、よろしくお願いします。 藤田(千葉レスキューサポートバイク)  千葉レスキューサポートバイクの藤田です。自分はちょっとこういう場に慣れていなくて緊張しているのですが、水を飲みながら頑張りたいと思います(笑)。よろしくお願いします。 青木(内閣府企画官)  ありがとうございました。 渥美(大阪大学大学院助教授)  ありがとうございました。それでは次に、昨日行われました「ボランティアパワーフォーラムin中越」に参加されたかたがたもいらっしゃってくださっていますので、昨日どういうことがあったのか、そのご報告を頂きたいと思います。まずフォーラム全体の報告を中越復興市民会議の稲垣事務局長にお願いしたいと思います。  【前日のフォーラムの報告】 稲垣(中越復興市民会議)  ご紹介いただきました中越復興市民会議の事務局の稲垣でございます。昨日のご報告ですが、本日は当地長岡で防災ボランティア活動検討会を開催していただきまして、まことにありがとうございます。地元側といたしまして歓迎を申し上げます。それから、昨日の「ボランティアパワーフォーラムin中越」では委員のかたがたより大勢の参加をいただきまして、盛況のうちに終了させていただきましたことを御礼申し上げます。  簡単ですが、昨日のフォーラムに関してのご報告です。昨日は現地の視察を行いながら、その後シンポジウムに入ったわけですが、その中のご議論の中で私がいちばん感じたものは、やはり被災地、被災者がいちばん大事なのだなというところを感じました。そちらの被災地、被災者をきちっと見ていくことによって、1年たった中越でも、まだまだニーズというものが見えてくるのだろうと、昨日のご議論の中で感じております。  私ども中越復興市民会議も実は地元で本年5月に立ち上がりまして、半年間を経過しております。その中で、復興に関して何かができないかということで模索をしてきたわけですが、その模索が、実は昨日室崎先生からお話がありましたように「競争」というような言葉をちょうだいしました。私どもは今後どのような活動をしていったらいいかということをまだまだ模索している状況だとは思っていますが、ただ、昨日のシンポジウムの中で何か光が見えたのではないかと思っております。私どももまだまだ先が長い話だと思っています。どのような形で進めていいのかという部分もありますが、このプロセスを重ねていくことによって何かが見えてくるのではないか。その中で、競争とか、あるいは協働、あるいは新しい地域といったものが見えてくるのではないか。そこからまた、減災ということも見えてくるのではないかという感じを昨日は受けました。  そういった意味では、我々は微力ではありますが、まだまだこの模索のプロセスを重ねてまいりたいと思っております。報告になっていないような感じではありますが、簡単にご報告に代えさせていただきます。ありがとうございました。 渥美(大阪大学大学院助教授)  ありがとうございました(拍手)。昨日のフォーラムは午前中に三つのコースに分かれて、たくさんある被災された地域のうちの三つの場所に実際に行って、お話をしたりしていって、そのあと、今ご報告のありました基調講演、シンポジウムという流れだったのですが、それぞれコースに分かれて行っていただいたところについても少しご報告を頂きたいと思います。  これはA、B、Cとコースがありまして、コースAの報告を頂くのは高梨先生に、コースBは小村先生に、コースCは中越復興市民会議の長崎さんにご報告いただきたいと思います。順番にお願いしたいのですが、まずコースAはどのようなものだったのか、高梨先生、よろしくお願いします。 高梨(防災&情報研究所 代表)  Aコースは山古志コースでした。募集人員20人のところ、倍の総勢40人で現地に行きまして、あいにくなことに朝からずっと雨が降っていました。1時に出発し、1か所だけ車を降りて見られる場所があったのですが、そこでいちばん大雨になってしまって、帰ってきたときには晴れていたという状況でした。さんざんなところもあったのですが、逆に被災地の災害のときのひどさが非常によく分かったのではないかと思っています。  私は実は初めて山古志に入らせていただいたのですが、被災した現場があちこちにありました。報道写真やテレビなどで拝見していたときには、かなり広い範囲にわたっているのではないかということで、1日でとても回れないのではないかと思っていました。意外にも、たとえば蓬平で火災が発生して消防車が入れなかった、そこで被災した人は目の前の川に飛び込んで助かったなどの話とか、いろいろなことを聞きながら回ったのですが、そうした場面、場面のそれぞれがそれほど遠く離れた箇所ではなく、本来の生活圏の中で起きた災害だったということが分かりました。特に地盤災害による道路分断による被災、孤立した際の地区の危険といったことが非常に実感として分かりました。  ただ、新幹線の脱線現場に近いところまで行きますと、そこら辺はもうすでに開発が進んでいて、被災されたかたが非常に豪華でりっぱな建物を新しく建てられているところが散見される一方で、そこを過ぎて、住民のかたも一日のうち朝7時から夜7時までしか入れない地域に入ると、本当に工事中の箇所が非常に多くて、車で通行するのも非常に危険な状態の中をぬって行っていただきました。  回復のスピードそのものはそれほど速いものではないと地元のかたは思っていらっしゃるかと思うのですが、あちこちの被災地を見た感じでは、回復のスピードが速い所が非常に多いということを実感しました。その一方で、まだまだ山古志の土砂崩れの現場など、復興できていないところがかなり残ってしまっているということは明らかだと思います。  昨日のシンポジウムをはじめ、いろいろな夢やアイデアを地元のかたがお持ちだということや、外から来たボランティアのかたなどからもいろいろな意見が出されましたが、それらを受けとめる基盤が地元にないと、実行できることとできないことがいろいろ出てくると思うのです。新潟には、被災者と支援者をつなぐしっかりした組織ができているということも今回わかりました。私たちを非常に温かくおもてなし、歓迎してくださった地元の市民会議のかたがたに、ここでお礼を申し上げたいと思います。ありがとうございました(拍手)。 渥美(大阪大学大学院助教授)  ありがとうございました。それでは、Bコースについては小村先生のほうにお願いしたいと思います。 小村(富士常葉大学環境防災学科助教授)  Bコースは、仮設住宅の訪問コースというよりも、実際には仮設で対応されているかたがたに、要するにレスキュープロバイダーのほうで活動されたかたがたとの意見交換が中心になりましたが、山古志の皆さんがたが集団で仮設に住んでおられるところに行きました。  そこでまずデイサービスの施設見学をさせていただいた後、仮設の集会場のほうに場所を動かしました。長岡市社協の本間さんから非常に刺激的なプレゼンテーションをしていただき、それを受けて議論を進めさせていただきました。  そして、議論の中身につきましては、中越復興市民会議の阿部さんから模造紙2枚に非常にカラフルにうまくまとめていただきましたので、私の説明を聞くよりも、そのチャートを見ていただければ一発で分かると思います。幾つかのキーワードだけちょっと申し上げさせていただければと思います。  よい悪いは別にしての、地域主義ということがちょっと気になりました。すなわち、やはり地域主義であると、それが下手にしてしまうと孤立の傾向になってしまう。問題は外の力、外の風をどのように入れるのかというところが個人的には気になった点です。  二つめは、生活支援相談員というかたがたが県社協の嘱託職員として、県の復興基金から5年間携わっていらっしゃるのです。26人と伺っておりました。ところが、そのかたがたの、言ってみればご活躍、ご苦労の話をいろいろと聞かせていただいているわけですが、まさにどのような、これはさじかげんという言葉でご理解いただけるかどうか分かりませんが、被災をされたかたがたとの距離感、また間隔を取っていけばいいのだろうか。そのあたりについては非常に関心を持たせていただきました。  今日この場には黒田さんがいらっしゃっています。黒田さんが昨日は所用でおいでになれなかったということで、俵積田さんという黒田さんの腹心のかたにアドバイザー格として来ていただきました。やはり社会福祉に携わる者、または看護に携わる者として、これから先、切った張ったのどんぱち段階の支援の在り方ではなくて、中期的、長期的、つまり数か月から2年、3年、5年といったところでの救援の在り方について改めて考えさせられたというところでした。ありがとうございます。 渥美(大阪大学大学院助教授)  ありがとうございます(拍手)。私もそちらに出ておりましたけれども、地域主義という言葉については確かにいろいろと議論がありました。何かしたい人、ものすごくしたい人、いろいろいるわけです。それから、何か支援することを仕事にされているかた、それぞれに悩みがあり、また、それを受け入れる現地にも悩みがある。これについてしっかり継続討議をしていこうという、そんな落ちだったと思います。ありがとうございました。  それでは、Cコースのほうは中越復興市民会議の長崎さんのほうからお願いしたいと思います。 長崎(中越復興市民会議 事務局)  長崎と申します。着座で失礼いたします。私の担当しましたCコースは「住民主体の地域づくり・まちづくりにおけるボランティア活動」ということで、コース設定については、Aコースの山古志村がまだ被災直後の状況が続いているような現状と踏まえますと、Bコースが仮設住宅での生活支援というところが主眼になるかと思います。それに対して、Cコースの今回訪れました(今は長岡市に合併されました)旧小国町の法末という地区は7月に避難勧告が解けまして、順次住民のかたが仮設から戻られている状況です。ボランティアに関しては、被災直後から現在に至る、ないしは今後の復興に至るまでの全般的なボランティアについてお話をさせていただきました。  主題としては、集落における地域コミュニティとボランティアとのかかわりということで、お話を進めさせていただきました。その中では、法末地区のかたがたに参集いただいたと同時に、ボランティアセンターを開設しておりました小国社会福祉協議会の小林事務局長、今は小国支所になっていますが、ボランティアセンター長にも入っていただきまして、初動期からのお話を伺わせていただきました。  まず、その中で出てきた課題として1点挙げさせていただきますと、「量から質へ」という言葉がちょっと気になったお話でした。小国についてはボランティアセンターが被災後の5日に立ち上がっています。通常、社協さんのところにボランティアセンターがありますが、自ら立ち上げるというよりは、やはり外のかたがた、この場合ですと赤十字社会福祉奉仕団のかたがたから支援を受ける形で立ち上げました。やはり考えているよりはまず立ち上げるというところから動きがありまして、立ち上げてから物事がかなりスムーズにいったということを言われておりました。  初期のニーズが、行政や社協職員の業務補完というところがメインであった。まずはここの行政職員、ないしは社協職員という地元のかたがたが被災されているということで、オーバーワークになっている部分をいかに補完できるかというところに、ボランティアセンター、あるいはボランティアのかたがたの役割があったと聞いております。具体的には避難所の運営や炊き出しというお話をされていました。  次に2点めとして言われていたのが、通信インフラの代替機能がなかったということです。これは小国の役場が被災された関係で通信機能が断たれたということと、先ほど言われた社協の事務所自体も被災してしまって、電話、あるいは回線が途絶えてしまったということで、外との通信ができなくなりました。これはやはり行政や公的機関に集まるようなシステム自体に何か限界があったのではないかということをお話しされていました。それが例えばNPOや、あるいはボランティアセンターという代替機能のところに、通信や情報が集まるような仕組みがあればよかったのではないかというご指摘を頂きました。  これは端的にいうと、小国でもやはりボランティアを募集したそうなのですが、なかなか集まらなかったと。よくよく聞いていくと、山古志や小千谷など先行して動いていったところにボランティアさんは集中的に入っていって、逆にそこで飽和したボランティアさんが小国のほうに流れてきたということで、その辺の融通が利けば、もっとうまくできたのではないかというお話をされていました。  そのほかには、項目だけお話しさせていただきますと、除雪ボランティアの指摘がありました。これは、一つは屋根上の作業、危険作業ということになりますが、これをどう調整することができるのか。責任問題や保険の問題ということです。それと、在宅で弱者となるかたのケアです。避難所に入られるかたはサポートできたとしても、そうでないご自宅に残られるかたということでお話がありました。  最後に「復興期のボランティアに期待すること」ということでお話しされたのが、被災者支援の各制度、例えば罹災証明、応急判定など、いろいろな制度、あるいは助成金等々のお話があるかと思いますが、これが五月雨というのか、順次出てくるので、なかなか地元の、特に高齢者のかたがたには理解が難しくなっていました。そういうことで、分かりやすく伝えるかたがやはり求められていますし、今後のボランティアに求められる役割としても、最初に申しました「量から質」という、その中間部分をどう補完できるのかということが求められているということで、小国の状況をご報告いたします。失礼いたしました。 渥美(大阪大学大学院助教授)  どうもありがとうございました。 (会場拍手)  では、昨日フォーラム全体を通して参加されておられたかたのお顔も見えるわけですが、何か補足されることがありましたら、この機会に。どなたかございませんでしょうか。  では、私のほうから1点だけ。  やはりそういう「支援する」というお話を仮設住宅で我々はしていて、その悩みとか、いろいろな話をしているわけですが、そのときにやはり住民の声をこそ聞かないといけないのではないか。支援するほうが「完璧な支援はこれだ」とか言って決めても、それが結局住民のかたにとってどういう意味があるのかということをはっきりしないと何の意味もないわけです。住民のかたもお越しいただいていまして、そのときに、声をどう聞いてくれるのかとか、本当の悩みはこういうことなのだというようなことをお聞きしました。やはり検討して討議していくとしても、いわゆる専門家をお迎えして、支援の仕方がどうこうという検討会もありますが、住民のかたがたの声を必ず聞きながらやっていくのだというところを確認したようなことがありました。  そういう補足みたいなことでしたが、いいですか。自分だけ補足しておいていけないなと思っているのですが、よろしいでしょうか。では、金子さん。 金子(NPO法人新潟NPO協会)  新潟NPO協会の金子でございます。昨日は中越復興市民会議の金子と自己紹介していました。昨日と今日の一連の催しで四つの肩書きでかかわっているという、いかに新潟は人手不足かということがそれでお分かりいただけるかと思います。  昨日出てきたいろいろなキーワードの中で一つ私が心に残ったのは、やはり室崎先生のお話の中に出ていたのですが、「創造的な復興」とおっしゃっていたかと思います。それはいろいろなかたが言葉を換えて、それにつながるような概念を説明されていたのではないかと思います。  それと非常につながるのが、その前に私は山古志コースの視察にご一緒したときに、今日はいらしていらっしゃらないとは思いますが、長岡市の復興推進室、青木次長の話をお伺いしました。その中で、ボランティアというのは単なるお助け隊ではなくて、お助け隊以上に復興の主体になれるのだというお話をされていました。ボランティアにかかわってもらいながら、まちづくりを進めていきたいのだと、それが言ってみれば発災当初の救援ボランティアから連続性のあるつながった問題なのだということをおっしゃっていたように思います。そういったところから、マンパワーを上手に内外組み合わせながら創造的な復興につなげていけるかどうか、その辺のところが一つの焦点だったように思います。 渥美(大阪大学大学院助教授)  ありがとうございます。では、今日の会議は2005年になりましてから第4回の検討会ということになります。まずこの時点で、第3回、前回の検討会の報告について、事務局より説明をお願いしたいと思います。それでは、お願いします。  【第3回検討会の報告】 渡部(内閣府参事官補佐)  事務局の参事官補佐の渡部でございます。着座にて説明させていただきます。お手元の資料2「全体会資料」という表題になっておりますが、資料2を参照しながら説明させていただきます。  6月10日に福井市で、福井県さん、また、福井県ボランティアの皆さんとのコラボレーションのイベントとして、第3回のボランティア検討会を開かせていただいたということです。ここでは大きく3つの分科会、「人材育成と男女共同参画」「平時と復興期のボランティア活動」「広域支援、情報ボランティア活動」で活発な意見交換がなされました。  この資料はその分科会ごとに注目される発言、それから、事務局のほうでリード的に仮につけさせていただいたまとめ方になっております。こちらは発言録の形で内閣府のホームページで閲覧できるようになっておりますので、逐次ご参照いただければと思います。  第1分科会は「人材育成、男女共同参画」の分科会の論点です。こちらでは福祉に力点を置かれている福井県さんならではの話題と申しますか、特に今回初めて取り上げられましたジェンダーに関する発言が多くありました。上に書きましたとおり、ボランティアに対してもジェンダーの問題、ジェンダーへの配慮が必要であったとか、ふだんから女性の参画を意識することが大事であるとの発言、それから、ジェンダー以外にも高齢者や外国人の視点を理解することが大事だというようなご発言も多くありました。  また、災害時の状況、ここでは例示として、避難所へ板ダンボールを持っていった事例のご紹介がありました。そのようなお話の事例の中で、やはり集落の代表者によって受け入れ方がさまざまであるということで、避難所地域によって対応が違うということについてご発言がありました。  2ページめでは、復興期のお話として、長期化することで女性は弱い立場に置かれやすくなるというご指摘もありました。また、アプローチの工夫のしかたできめ細かな支援が実現されるという形のご助言も頂いたところです。  このような形で、「人材育成、男女共同参画」のほうでは、特にジェンダーに関してのご指摘が多くありました。後ほど説明させていただきますが、「情報・ヒント集」の中でも、このような分科会を受けて、ジェンダーに関する記述をあちこちの部分に追加させていただいております。  第2分科会は「平時、復興期のボランティア活動」というテーマでさせていただいております。福井県さんが復興という過程、それから、復興の経験、被災の経験を受けて、平時からいろいろな手立てをやられているというご経験をお持ちだということでした。そのようなお話をまたベースに、このページにありますとおり、頭の点々のところをたどるだけでも三重県さん、新居浜さん、神奈川県さん、高知県さん、大分県さんと、多数各地のご経験を基に、災害時の支援、救助活動をしっかりするための準備が必要であるというものを、具体的な内容でご披露いただいております。  また、心掛けとして重要なご指摘と私どもは認識しておりますが、予防医学的、事前に被害をなくす「減災」の取り組みです。昨日、室崎先生からも基調講演がありましたが、「減災」の取り組みについて具体的なご提案も含めてご披露いただいたところです。例えば家具の転倒防止をするボランティアさんのお話で、重要視すべきだというご指摘も頂いております。  また、まず自分と家族の命を安全確保することという観点や、その下にありますとおり、研修などについて、楽しみながら実施していると。その楽しみながらみたいなところが、広がりを持たせる意味でも非常に重要なのではないかという形でご紹介いただいています。  続きまして、本日の分科会の問題設定にも非常につながってきているのですが、日ごろからのネットワークを災害時に生かす。例えばご例示いただいたところとしては、ごみの出し方や住み方のルールというようなところも絡んで、いろいろな形で人々のつながり、環境共生とか、そのような広がりの中で防災もまたとらえていくというようなご指摘がありました。  また、平常時の活動では、いざというときに力を貸していただける、人のライフラインづくりが重要であるというご指摘がありました。また、よく「ドラえもんとのび太」みたいな形で例示されているのですが、上手に頼る技術が重要であるということで、「力不足はネットワークの生みの親」というキーワードが出ています。ここのあたりはなかなか新鮮な表現であるかと思います。このあたりの上手に頼る技術というあたりが、今回の分「広域連携」の分科会のスタート点ではないかと思います。  第2分科会は「復興期のボランティア活動」です。これは昨日の各地の視察でもありましたとおり、「一人一人の小さな声」に耳を傾けることが重要であると。また、いちばん下の行にありますとおり、支援するボランティアどうしで引き継ぎができる体制づくりも必要であるということが非常に印象的です。  また、次の項にありますとおり、地域が自立し、地域の力をエンパワーメントすることが重要であるという点につきまして、多数ご意見を頂いております。このような地域が主人公だというスタンスについて、いろいろとご紹介を頂いた形です。  また、「コーディネーション」の重要性。これは本日の第1分科会のボランティアの機能のお話の中で、具体的なコーディネーションのいろいろな中身についてご議論いただくということで、その分科会の中でも活発なご議論がされると思っております。また、迅速に対応するためのポイントは、仕組みとタイミングというご指摘も頂いています。これはまさに第1分科会にありますとおり、その仕組みについて、ここではノウハウをどのように伝えるかなど、顔の見える関係を持っていると100時間以内に入れるみたいな、いろいろな具体的なご指摘を頂いております。  平時における活動につきましては、本日、秦さんより報告がありますとおり、平時の活動の積み重ねが重要であるというお話、心と知恵のつながりの三つが必要とか、「フットワーク」「ネットワーク」「パッチワーク」みたいなキーワードでご紹介いただいております。  第3分科会の「広域支援、情報ボランティア活動」では、特に情報ボランティアにつきましては、初期の段階から非常に重要であるというご指摘を受けましたので、こちらのほうでさまざまなご指摘をやっております。この中ではネットワークづくりという形で、公設民営という形でコーディネーターを派遣する、知事との協定を結んでいるというような事例をご紹介いただき、ブログ(blog、公開型の電子日記)についての功罪、それから、ITの活用の可能性、一方では情報リテラシーの問題をあげています。  また、広域で関係者をコーディネートする役割が重要という形で、例えば災対本部とボランティアの間を結ぶ「リエゾンオフィサー(連絡将校)」みたいな人が必要ではないか。こちらも本日の分科会で具体的な議論がなされると思います。広域連携のために図上訓練を実施している例とか、また、お互いの顔の見える関係づくりが重要であるというご指摘などがありました。 渥美(大阪大学大学院助教授)  ありがとうございました。ここでそれぞれご意見を求めてもいいのですが、これは前回のことですし、次のほうへ移っていきたいと思います。この全体会資料の今ご説明いただいた部分、一行一行にキーワードなどがいろいろありまして、本当はそれを基にゆっくり議論できたらいいという話がたくさん詰まっております。どうかまたそれぞれの場でご活用いただけますよう、よろしくお願いいたします。  では、次に「情報・ヒント集」の更新報告について、事務局よりご説明いただきたいと思います。  【「情報・ヒント集」の更新について】 渡部(内閣府参事官補佐)  では、引き続きまして、資料1と左上に名しております「情報・ヒント集」です。これは右上に「Version2(案)」となっておりまして、あくまでも本日はまず「たたき台」とて提示させていただき、更新部分にアンダーラインを引いております。これにつきまして、欠席されている委員も含め、いろいろご意見を伺って、「(案)」が取れた形で、今、内閣府のホームページに今後、提示させていただければと考えております。その点につきましては、本日あるいは後日、メモでもペーパーでもメールでも何でもけっこうですので、ご指摘を頂けますようお願いします。  主なポイントですが、災害ボランティアセンターの数が全社協さんの調査で89という数字が出ましたので、数字の更新をさせていただいております。  また、センターの業務について紹介をしているセクションにつきまして、「地域防災計画」に記述があっても、それが周知されていないのです。昨年度の調査でも、ボランティアセンターに対してのアンケートと、県の調査のアンケートについての齟齬が生じているというお話がありましたとおり、やはり計画に書いてあるだけではなかなか実際に動きがたいと。そこで、「事前の周知をすることが混乱を抑制することにつながる」という記述が追加されております。  また、大規模災害というのは、昨日もお話がありましたとおり、被害の全体状況を把握することがなかなか難しいのですが、被害の全体状況を把握することで「被災地への外部支援のタイミングをつかむことができる」という記述を追加させていただいております。  また、センター設置の準備の部分では、アクセスのしやすさやランドマーク、それから、休憩場所が確保できるかといような具体的な要点と申しますか、キーポイントについて、記述を追加させていただいております。また、例示といたしまして、広域の被害の場合はまさにご当地、新潟県中越地震では県のほうに「センター本部」が設置されたというところも追加させていただいております。  7ページ目、いちばん下のところに災害ボランティアの資機材を調達できる可能性もあるということで、具体名を入れて、このような例示を入れさせていただいております。  また、8ページめの部分です。ここも具体的地名と災害名を入れまして、例えばこのようなTIPSと申しますか、「小さな知恵でも、大きな力になる」ような、やはり災害時、停電時のときに対応するような準備をしているというところで、事前に数百枚を印刷して保管しておいたのが有効であるという形でご指摘いただきましたので、このような具体的な表現が追加されております。  9ページめ、ここで、「センタースタッフには市民活動に携わっているかた、関連講座の受講者などが含まれる」というところを追加させていただいております。  12ページめ、ニーズの話を2点追加しています。「被災地のニーズを把握するためには、町会や自治会、自主防災組織を通じて」という形で、そのようなところを追加させていただいて、代表者の声がすべてではなくて、「隠れたニーズを探るための調整は重要である」というような注意喚起をしております。また、その次の項では具体的な組織名と申しますか、相手を入れまして、市民団体、JCさん、社協さん、民生・児童委員さんなどがニーズを把握するための橋渡し役となるというところを追加させていただいております。  14ページめでは、情報発信だけではなくて、情報の更新、整理をしていただくために、このようなスタッフの確保が課題になっているという指摘を受けております。  以下、大まかなところですが、例えば23ページめでは、ボランティア、特に女性が一人で行動することがないようにとか、男女共同参画の視点で配慮すべきというような形で、第3回検討会の意見を「情報・ヒント集」に反映させていただいています。 渥美(大阪大学大学院助教授)  ありがとうございました。これは報告という形で、修正点に注目して報告いただきましたが、委員のかたから何かご意見がございますでしょうか。よろしいでしょうか。  それでは、時間的にはちょっと押しているぐらいではありますので、次の議題に行きまして、またまとめのところでご意見をお聞きしたいと思います。  次の議題はボランティアの安全衛生についてということすが、これは前回検討会におきまして、「情報・ヒント集」安全衛生管理編の報告、それからまた、労働安全衛生コンサルタント会と内閣府の協議結果報告というところをお願いしたと思います。その後の経緯、今回提示された資料について、事務局のほうからご説明を頂きたいと思います。よろしくお願いします。  【ボランティアの安全・衛生の確保について】 渡部(内閣府参事官補佐)  それでは、資料2の10ページめは表1「様々な保険の特徴」という形で、ボランティア保険以外の保険も含めて、保険の特徴を例示させていただいております。こちらはパンフレットを皆さんのお手元に順次回覧させていただいていますので、情報提供としていろいろとご参照いただければと思います。  この表の中ではボランティア活動保険、上のほうから三つが、上から全社協さん、日本赤十字さん、それから、災害救援ボランティア委員会さんがそれぞれ加入されているボランティア保険の実例として例示させていただいております。また、下のほうでは、ボランティア保険という形ではありませんが、通常の保険の中で我々の今後の考え方の参考になるような、例えば行き帰りの保障ができない場合は旅行保険も一緒に入ったほうがいいのではないかとか、疾病をカバーするという保険では、下にありますとおり生命保険などがありますという形での情報提供をさせていただいたというところです。  15ページでは、保険に関してのご提案を頂いた検討会参加者の方々と、全社協さん、赤十字さん、保険に関する有識者の意見交換会を行いまして、この中の主な意見を紹介させていただいております。  やはり、「災害ボランティアは被災地に迷惑をかけない」という観点からも、また、行き帰りに被害に遭う可能性があるという観点からも、行く前に保険に加入することを原則化すべきではないかというご意見も頂きました。  けがなどにつながりそうな「ヒヤリ・ハット事例集」みたいなものを作ってはどうかとか、管理者のかたはやはり管理するという責任がどうしても結果的に生じるところがありますので、あらかじめ対応可能な保険に加入すべきではないかというご指摘があります。  この部分につきましては、澤野さんより事前意見を頂いておりますので、もしよろしければ補足を頂ければありがたく存じます。 澤野(災害救援ボランティア推進委員会 事務局長)  事前意見の要旨は資料のなかにあります。主要な点は、現在の災害ボランティア保険の掛け方の問題点です。現状は、被災地のボランティアセンター、ないしは各地域の社会福祉協議会の事務所まで出向かないと、一般のボランティアがボランティア保険を申し込むことができないということです。また、保険料をセンター等が負担して、ボランティア個人が負担していないことが多いという点です。  これは第一に、往復の事故も考えると、そもそも保険を掛けないで被災地に入るのは準備不足という点があります。第二に、保険料はボランティアが負担すべきものですが、被災地へ行けば無料で保険に加入できるということで、むしろ保険を掛けないで行くほうが得だというモラルハザードを起こしていることです。第三に、ボランティア保険は、3月の年度末まで有効であり、名寄せができないので、重複して掛けられることが多いという点です。第四に、被災地のセンターに保険による費用負担と事務負担が発生するという点です。    本来、ボランティアは被災地に迷惑をかけないということを原則にしている以上は、やはり災害ボランティア保険も被災地に行く前に掛けていくのを原則にして、あくまで被災地で掛ける人は申込みを忘れた人、準備不足な人というイメージでちゃんとやるべきだということです。ただし、被災地のセンターの運営を手伝っている人に関しては、センターで費用を負担して、一般のボランティアとは別により高い保障にする必要もあります。    では、被災地に行く前に保険に入れといっても、では、どこで入るのかということになります。やはりどこでも申し込める仕組みづくりを考えるべきです。金融機関だけでなくコンビニも必要です。土日は金融機関がやっていないからです。またインターネット等からも何らかの形で申し込みができればと思います。 被災地には、その入金した証明書なり、申込書なりを持って行くことで、そこに氏名、住所、連絡先が書かれていれば、同時にそれが本人証明にもなると思います。保険申込書を提出して、被災地でのセンターの事務を少しでも軽減したらどうかということです。    あと、傷害保険の補償範囲の周知徹底というのは、被災地で保険を掛けますと、忙しい中ですから、とにかく保険に入っているという単純な説明しかなされないのです。保険に入っているというと、何でも補償されると思っている人がわりかしボランティアの中にもいます。やはりボランティア保険というのは傷害保険だということをちゃんと知らせて、一部障害を除き、疾病等は補償の範囲ではないということです。同じボランティアでも短期ではない、宿泊や長期滞在を予定しているボランティアは病気になる可能性が高いので、保険証の写しと生命保険に入っているかどうかという点もちゃんとやったほうがいいということです。    私が言いたい点は、現行の現地で掛ける仕組みをやっていると、災害の規模が大きくなって、ボランティアが来れば来るほど、その保険料が被災地の負担になっていくのは大変だということです。もちろんなかなかうまくいかない面もあるのですが、やはり原則は確立して、少なくとも事前に掛けていった人が何となく損をしたなと思わせるような仕組みではなく、やはり掛けていかなかった人が準備不足だったのだなと思わせる仕組みに、それぞれが話し合って調整すればできることです。    これによって保険料の金銭負担がなくなれば、まさにボランティアとしてはその分のお金をまた別の内容に使えるかもしれません。そういうことを考えたらどうかということです。 渡部(内閣府参事官補佐)  ありがとうございました。それでは、引き続きまして、資料11ページです。かねてよりの安全衛生の観点からの専門家のご助言が欲しいというお話を受けまして、私ども内閣府と「労働安全衛生コンサルタント会」さんとお話しした中で、実際にボランティアがどのような行動をしているかよく分からないので、事例を教えてほしいと。例えばどういう質問があるかというものについて教えてほしいということで、前回、皆様にご意見紹介したものを基に作成させていただいたのが、この資料の11〜13ページのシチュエーションの資料です。こちらのほうは後で見ていただけると思います。  具体的にコンサルタント会さんとのやり取りを14ページに示させていただいております。こちらのほう、私どもの安全衛生などを書いている「情報・ヒント集」と、今お示ししたシチュエーション、考えられるような質問集をお持ちして意見交換させていただきましたところ、コンサルタント会さんの支部長会のようなところでこういうものをご披露いただけるとか、今後とももし何かありましたら、連絡があればいろいろな形で情報提供していだけるという形でお言葉を頂いたところです。  報告事項としては以上ですが、「労働安全衛生コンサルタント」については、まさにコンサルタントご自身である洙田先生から事前意見を頂いておりますので、洙田先生にご解説いただければ幸いです。 洙田(医師/労働衛生コンサルタント)  皆さん、おはようございます。事前意見は4ページをごらんください。1年前の新潟県中越地震におきましては、川口町におきまして、粉塵が原因による過敏性肺臓炎によりましてボランティアが1名死亡されました。粉塵対策は非常に重要になっていくのではないかと思います。阪神・淡路大震災でも実はそういうことは分かっていたのですが、あまり対策はなされておりませんでした。水害でもへどろ状のものが乾燥した粉塵が舞い立ちますので、そういった対策が必要です。あと、火山噴火だったら当たり前ですね。そういった意味で粉塵対策が必要だと思います。  僕は災害ボランティアの安全衛生マニュアルを作っているのですが、そこに粉塵対策を大々的に入れようかと思っていたら、数か月前にアスベストの問題が出ました。アスベストはまさに粉塵の典型例です。アスベストの場合は特殊な対応が必要になってきて、今、社会問題になっております。アスベストに関しましては国の対応が非常に素早いのです。国があまり対応してくれなかったら、自分自身でちゃっちゃっとやってしまうのですが、ものすごく素早い動きを、厚生労働省をはじめとしてやっておられますので、その結果を受けまして、マニュアルの改定をやりたいと思います。大体めどは来年3月かと思っています。  次に新潟県中越地震の特徴は、近年ではちょっと珍しかった豪雪地帯における地震です。ということで、雪害というのが毎年あるわけです。雪害の地域が地震に襲われた場合にどうなるか、阪神・淡路大震災とはちょっと違った側面があります。一部損壊でも積雪によって家がつぶれていくといった現状がありますから、それに対するためのボランティアが必要になります。除雪ボランティアとか、そういった話になりますね。除雪ボランティアというのは不慣れな人間がやったら危ないのです。当然安全衛生上の対策が必要になってきます。  これに関しましては、雪氷災害調査検討委員会というのを地元の雪氷ご専門の研究者が作られております。私もその一員なのですが、それによっていいマニュアルができております。それを受けまして、私も第4回の検討会にせっかく出席いたしましたので、自分自身のマニュアルも即改訂したいと思っております。  受付で「みえ発! 災害ボラパック」というパンフレットを頂きました。これを見て非常に感心しました。素晴らしいですね。本当に素晴らしいと思います。よくまとまりました。ちょこちょこ読んでいたら、安全衛生に関することが書いてあります。12ページです。休憩は1時間15分程度とか、いつもの自分より頑張ってしまう3か条とか、暑い時期には脱水症状に注意とか、いろいろなことを書いています。こういったパンフレットにさりげなく書いていただくというのがいちばんいい形ではないかと思います。  ところで、ボラバスというのは非常にいい話なのですが、それとはまた別に新居浜がフェリー代をボランティアに限ってただにしてもらうということを、「ヘドロかき出しツアー」というのをやったのですが、それに関してこういったパンフレットをぜひ作っていただきたいと思います。新居浜はあまり苦労せずに立ち上がりました。いきさつを私はほとんど知っていますから分かるのですが、電話一本で済みました。三重さんはめちゃくちゃに苦しんで作っています。でも、新居浜さんもこれから苦しんでください。新居浜の責任は重大です。公共交通網をうまく活用してやるという、その中にボランティアの安全衛生の仕組みも入れてください。けっこうきつい話だと思いますが、新居浜の責任は重大だと思います。  それで、最後に事前意見書に戻ります。こういった一連のお話を具体的にどうやったらいいのかということで考えたのが、労働安全衛生コンサルタント、都道府県産業保健推進センターという二つの組織です。  まず労働安全衛生コンサルタントというのは何かといいますと、これは国家資格です。コンサルタントとあるから適当に名乗っているのだろうと思ったら違うわけで、国家資格です。試験はけっこう難しくて、旧労働省が行う試験でいちばん難しい試験です。ここがやろうと言い出したら、労働安全衛生の分野である程度認めてもらえたということになるわけですね。労働安全衛生コンサルタントはそこまでの権威を持っています。だから、そこと接触していただいて非常にありがたいと思います。あと、労働安全衛生コンサルタント会のホームページに掲示板があります。その掲示板に質問を投げかけていただければ、1日か2日ぐらいで返事が返ってまいりますので、それを活用していただければいいと思います。  もう一つは、都道府県産業保健推進センターです。ここは労働者用のもので、それが本業なのですが、それに差し支えない限り、一般人、ボランティアを含む利用は今のところは制限しておりません。ですから、ここからも必要な助言が得られるものと期待しております。以上です。ご清聴ありがとうございました。 渡部(内閣府参事官補佐)  では、司会の渥美先生にマイクをお返しいたします。 渥美(大阪大学大学院助教授)  ありがとうございました。残り時間がそれほど多くはないのですが、ここまで「情報・ヒント集」の更新報告を頂きましたし、今、ボランティアの安全衛生管理についてお話をいただきました。あるいは、それ以外でもけっこうです。何か委員の先生がたからご意見がございませんでしょうか。よろしいですか。丸谷さん。こちらにマイクをお願いします。 丸谷(京都大学経済研究所教授)  「情報・ヒント集」の修正について、皆さんぜひよく見ていただきたいと思います。私自身が見た限りでも、非常にいいポイントが入っているところもあれば、何か教科書になってしまっているところがあります。「情報・ヒント集」は教科書であってはならないというのは当然のことで、それぞれの考え方でやらなければいけないところがあるわけです。  いちばん最後のあたりに、議事録をそのまま書いているというところがあると思いますが、議事録をそのまま書くのはこの会合の趣旨に反するのです。議事録に残った部分について、皆さんがたがオーケーということがあれば残るのですが、それは一人の意見なのに、それを誘導してしまうような議事録引用みたいな話で終わってしまいますと、これが逆に一部的な活動が全体を引っ張るようなことになりかねないので、ぜひ見ていただくということを、私からもお願いしたいと思います。  それから、ジェンダーというか、男女参画の件について、ちょっと突っ込みが足りないのではないかと感じを受けるところがあります。ここは特に女性の目でもう少し書かなければいけないのではないかとか、もっと書いたほうがいいのではないかということでないと、今のままだと何か平板で、あまり切実感がないというところではないかと。ぜひよく見ていただいて、がんがん意見を出していただいたらと思っております。  それから、もう一点、保険の件については、澤野さんのご意見は非常にもっともな部分もある一方で、すでに県のほうで負担を県側がやると宣言して、地域防災計画に書いてある例が後で出てくると思います。そういった前提条件が違うところもあるので、すべてそれで行けるということではないはずです。ただ、ご意見やご指摘の中で共有できる話が必ずあるはずです。特に保険についてもっと注意喚起をしなければいけないことについては、もう少し注意喚起のノウハウみたいなものを蓄積するところが当然あってしかるべきだと思います。具体的には、何か続けて検討をしていただくようなことが必要ではないかと思います。  また、今回、損保協会から「何かやってくれる」ということをあまりゲットしていないみたいですが、少なくとももっと易しく保険に入れるやり方をボランティア側のほうから言っていかないと。これは保険会社も商売でコストがかかるから嫌だという話になるのではないかと思いますが、そういったコストのかかること自体がまさに交渉事であって、別にそれは彼らの全体的な採算に響く問題ではないと思います。だったら、もう少しそのような方向でできるのではないかということに合意ができれば、さらに内閣府も含めて検討できるのではないかと思います。  ぜひこのままで終わらないで、報告事項ということではなくて、次にどうするのかをご議論いただければありがたいと思いました。以上です。 渥美(大阪大学大学院助教授)  ありがとうございました。大切な点をたくさんご指摘いただきましたが、この「情報・ヒント集」はまさに教科書ではなくてというのは、このとおりやってもだめな部分はたくさんありまして、これは本当にヒント集なのです。  しかし、その割には書きようがとか、深めようがというところをご指摘いただいています。ただ、この限られた時間で皆さんがたの意見をここに、今、何ページの何というわけにはいきませんので、11月11日を締め切りとしまして、それぞれの委員の先生がたからどのページの修正や追加、あるいは削除のお願いなどがあると思います。  また、ジェンダーといえば女性というのもちょっと単純すぎはしますけれども、ジェンダー問題について、あるいはそれに関連して、ここで出ている問題についてより深くという指摘もありました。ぜひ新しい委員のかたもいらっしゃいますし、たくさんご意見を頂ければと思います。  今、丸谷教授から出た意見はそういうことですが、ほかに何かございませんでしょうか。中川さん、よろしくお願いします。 中川(NPO法人東京いのちのポータルサイト理事)  すみません。多分後で時間がないと思いまして、分科会の話と関係がなくて、今の話の延長なので、ここで聞いておきたいと思います。保険の話が出たついでなのですが、今ご紹介があった三重のボランティアパックの中にも、ここにはボランティア保険を被災地外で掛けていこうという話が書いてあると理解します。丸谷さんがおっしゃったように、行き先によっては先に向こうで掛けますとか、決まっているような行き先があったりします。そういうところで、例えば三重のボランティアパックをやるときにどうするのですか。どう考えているのか、ちょっとその辺は、山本君、どうですか。相手の行く先が、来たときに市で全部やりますということが向こうに予定されていると。でも、こちらは掛けていこうというようなときはどのようにされているのでしょうか。ダブル掛けの可能性もあると思います。 山本(三重県災害ボランティアコーディネーター養成協議会)  相手(現地ボランティアセンター)に提出する書類は出発地のバス受付のところでやって、それを相手にそのまま提出するという形にせざるをえないと思っています。  そのときにはお金を集めずに名簿だけ先に書いておいていただく。一応話によると、名簿を書いたときから保険が発効するというのが前例だそうなので、バスに乗る前に書いていただく。間違いなく書きましたということで証明をするという形にしたいと思います。 渥美(大阪大学大学院助教授)  よろしいですか。黒田さんから手が挙がっています。すみません。それで多分ご意見がこのサイクルでは終わりになってしまいます。黒田委員、よろしくお願いします。 黒田(NPO法人阪神高齢者・障害者支援ネットワーク)  今、丸谷さんのほうから、修正があれば修正・追加をしてくださいとおっしゃったので、はっきりいって、ここの中にはたくさんあります。もっと具体的に。私はずっと現場でやっているものですから、言葉をさらっと流されてしまっているので、非常に危険だなというものがあります。  それから、もう一つだけお聞きしたいのですが、資料1の12ページの情報収集と発信の傍線の下から2行めのところなのですが、ここで民生委員と児童委員が被災地ニーズを把握しているためにと書いてあります。確かに把握はされているのですが、守秘義務があるためそんなに簡単に橋渡しなんてしてくれません。ここでお聞きしたいのですが、国のほうにはこのことが言われているのではないかということをまずお聞きしたいということが一つあります。  今、私もここの新潟のほうに1か月から1か月半ぐらいずつずっと入ってきていますが、むしろ一般市民のかたたちのほうが「今日こんなことが起こってね」とお電話くださって、情報をいっばい下さるのです。市民の人たちは信頼関係が取れれば情報をくれるのですが、ここに書いてありますが、難しいと思います。もう一度ご検討ください。 渥美(大阪大学大学院助教授)  貴重なご意見ありがとうございます。それでは、ちょっとお聞きしていいですか。 青木(内閣府企画官)  今のご指摘どうもありがとうございます。今のありようのことを申し上げますと、今までの時点で組織的に、例えば私どものほうからこういうところを担当されている省庁にお願いとか、連携とか、これに関して必ずしもしていなかったかと思います。これを書いたのは、多分私どもの事前の誤解もありまして、連携というか、橋渡しになってくれている事例もあると。それが一部を全体とちょっと勘違いしていた節がございます。申し訳ございません。 矢野(NPO法人とちぎボランティアネットワーク 事務局長)  この資料1の災害ボランティアセンターのヒント集ですが、災害ボランティアセンターの弱点も書いたほうがいいのではないかと思います。例えば、災害ボランティアセンターは、短期間で、ボランティアの仕事がある程度見えているところではすごくよかったりするのですが、長期の復興のために来た人が、現地で長く活動しようと思っても、ボランティアセンターを通してだと、なかなか信頼関係が作れないなどということもあったりするわけです。長期の復興活動には向いていない。つまり「ボランティアセンター」も被災地でのボランティア活動の一個です。センターを書いてもいいのですが、「ここでは○○の仕事・活動はできにくい」というようなことを、どこかで書いておかないと、ボランティアセンターだけ作ればなんでもできる、みたいな感じになってしまうかなと思います。 渥美(大阪大学大学院助教授)  ありがとうございます。貴重なご意見ありがとうございます。今のようなご意見もそうですね。これ自体をどうするのかということも含めて、まことに申し訳ございませんが、11月11日までにそれぞれの委員の先生がたから内閣府のほうに出していただくということで、これは更新していくものだろうと思いますので、どのような観点からでもけっこうです。どうぞよろしくお願いいたします。  今、ご指摘がありましたのは、議事では出ていたけれども、民生委員に代表されるように、現実にはそうではないのではないかというご指摘もありますし、これ自体をどう取り扱うのかというご意見もあってもよろしいかと思います。中身全体に関して、ぜひ11月11日を締め切りとしてご意見をよろしくお願いいたします。  時間のほうがもうそろそろ午前の部がなくなってきているのですが、ここで有識者としてご参加いただいています先生の中で、室崎先生に午前中のまとめをお願いしたいと思います。よろしくお願いします。 室崎(独立行政法人 消防研究所 理事長)  全然予期していないことなので、あれなのですけれども、では、一点だけ。多分この防災ボランティア活動の「情報・ヒント集」は、ある意味ではこの検討会の将来的な非常に重要な成果になるだろうと思っているわけです。この中身は、僕は本当に現場で活動されているボランティアのかたがたからどんどん意見を出していただいて、それをよりいいものにしていくという作業が欠かせないと思うのです。検討会で何回か議論して、ぱっとこのヒント集ができるようなものではないと思いますし、かつ、まだ進行形ですので、次の災害でまた新しいことが加わっていくかもしれないのです。  そういう意味でいうと、僕は現場のかたの体験や教訓、意見をどんどん出していただくという姿勢が必要ではないかと思っております。これはすでにホームページに載っておりますので、そういうことを含めて、この中身については、まずは11月11日ですが、それにこだわらずにどんどん意見を出して、あるいは中で意見の分かれる、そういう中で出していただくということが一つです。  二つめは、その中で意見が異なる部分が多分出てくると思いますので、異なった部分についてはしっかり議論するような場をどこかで設けていただきたい。今の民生委員のかただって、民生委員は守秘義務がありますので、基本的に民生委員にすれば、そんなことはしゃべれないということになるのです。一方でいうと、民生委員は話を出せということになってくる。これはどう考えたらいいのかということなども非常に大きな問題になってきます。  そういう意味でいうと、少し意見が異なる、あるいはニュアンスが違うことについては、しっかりどこが違うのかということを明らかにしていく作業がすごく大切だと思います。そういうことを含めて、この中身はボランティアの現場の活動の経験が作り上げていくのだということで、ぜひ意見を出していただきたいと思います。以上です。 渥美(大阪大学大学院助教授)  ありがとうございます。というわけですので、これは一応11月11日ということですが、さまざまな意見をいつでもお出しいただければと思います。大体これは「ヒント集」と内閣府が出すという、そのスタイル自体、考えたいところではありますよね。全体に関しても意見をよろしくお願いいたします。  では、まだ次の進行に関してのご案内等もありますので、いったんここでマイクを事務局にお返ししたいと思います。 青木(内閣府企画官)  では、これから三つの分科会に分かれていただきます。「パワーランチ」というかっこいい言葉を使っていますが、ご飯を食べながら取っかかりから始めていただきたいと思います。  分科会の三つは資料の頭のところに書いてあるとおりのテーマで、これは事前にご希望もちょうだいしているところではありますが、今の時点で改めてご希望を伺いたいと思います。なるべく均等になるとうれしいなというのが私どもの切なる願いです。  場所につきましては、第1分科会のかたは引き続きこの部屋でお願いします。第2分科会と第3分科会のかたは一個上の3階の、第2分科会は第1ホール、第3分科会は第3ホールです。それで恐縮ですが、テーブルのかたはご自分の名札や水など持ってお願いいたします。一応12時10分から開始ということなのですが、幸い5分ほど時間を節約することができましたので、12時5分ぐらいから始められればうれしいかと思います。よろしくお願いいたします。 以上。