防災ボランティア活動検討会(第1回) 平成17年3月7日(月)13:30〜16:30 都市センターホテル5階オリオン 分科会A (14:10〜15:40) (以下、敬称略) 渡部(政策統括官付参事官)  それでは、分科会A、活動資金についてのお話を中心にしまして、ボランティアセンターの立ち上げ、またこのような成果の周知等につきまして、幅広くご議論いただく分科会について始めさせていただきます。  この分科会と申しますか、本日の会合自体は、成果が、先ほど紹介させていただきましたとおり、ホームページで公開されます。ボランティアセンターの現場というものが、特に実際に幾らお金がかかっているかとか、実際にどんなものを買っているかということについては、我々は伝票を一つ一つ見ているわけでもなければ、実は有事のときは国の活動をやる立場なものですから、正直、全く分からないような状況になっています。その点で、国の行政、それから国の各機関のかたがたに情報をお伝えいただくというのが第1点です。  第2点として、既存の仕組み、国だけではなくて、さまざまな都道府県が持っている、さまざまな団体が持っている、その仕組みの中で非常に役立っているものがあれば、それをPRしていくことによって、初めて災害が起きたというかたに、こういうふうにお金が使えるというところを知っていただくという働きもあると思います。今ある仕組みでも、ここをもうちょっと変えればもっと使いやすくなるみたいなご提言もあろうかと思います。  その点で、まずは客観的な過去のお話、それから今年度起きた災害のお話をしていただきまして、次にこういうふうな仕組みについて、こういう仕組みがありえるのではないか。さらには、それを含めたお金以外の立ち上げのお話、そういうものをボランティア、行政、それ以外のかたがた、国民一般のかたがた、寄付をされる一般のかたがたまで含めて、どのように周知していくか。そういうところまで時間が許せばご議論いただいて、それを私どもがいったんまとめましてホームページに載せます。  28日が第2回で、その間にいろいろなご意見をやりとりする場があり、さらには掲載によってパブリックコメントではありませんけれども、一般のかたがたや、それからいろいろな形で国会で取り上げられる機会もあろうかと思いますが、そういうやりとりを再びまとめまして、28日にまた資料にしてお出しするという形です。  本日のみで何らかの一つの結論を得るという形ではありませんけれども、本日、まずはスタート点としては、客観的な、特に数字の入った議論というのはなかなか私どもは聞く機会が少ないです。それから、実際に必要な物資が、スコップとか炊き出しというようなものについては、こういう六法に書かれていますが、紙に書かれていないところで、どうしても不可避なものが今出てきました。情報の話とか、そういう話まで含めて私どもにお聞かせいただいて、次の災害、次といっても年が明けてしまいましたので、本当の今年度の災害においては、円滑にボランティアセンターが立ち上がることを目的とした形で、ここでいろいろな議論をしていただければと思います。  それでは、司会の干川先生にマイクをお渡ししたいと思います。申し遅れました。私は、内閣府のボランティア担当の参事官補佐をしております渡部元と申します。どうぞよろしくお願いいたします。 干川(大妻女子大学助教授)  この分科会の司会を仰せつかりました大妻女子大学の干川です。この分科会は、ボランティアセンターの立ち上げ、特に活動資金を中心にということで、いろいろ事例報告をいただいて、またご議論をいただく場だということです。  私はこの前、「三宅島災害・東京ボランティア支援センター」の三宅島の島民帰島支援ボランティア活動に参加させていただきましたが、活動資金が5千万とか、ボランティアの延べ人数5千人が参加する大きなプロジェクトが今、動いているところです。また、12月4日の「防災とボランティアのつどい」で、新潟県中越地震等をテーマとする部会の司会をさせていただきました。  新潟県中越地震では、私は「長岡市災害ボランティアセンター」にお伺いしまして、主にインターネットとパソコンを使った情報支援活動のお手伝いをさせていただきましたが、そこでもやはり大きなお金が動いているということです。今日の出てきた資料の中でも、大体100万単位のお金が、ボランティアセンターが立ち上がるのに必要であるということです。そういったことも含めて、ここにご出席の皆様は、ボランティアセンターの運営に携わったかたが大勢いらっしゃると思いますから、それぞれの事例等を踏まえたうえで、いろいろとご提言をいただければと思っております。 渡部(政策統括官付参事官)  あくまで話題提供という形ですが、資料7に、今日の分厚い資料の中からこの分科会のために抜き書きしたものがあります。短時間ですが、初めに資料7について少し触れさせていただきます。  資料7をおめくりいただきまして、1ページ目が、毎年度やっておりますが、12月4日のボランティアのつどいの中での資金のお話です。ここでは9月のボランティアの懇談会でもありましたが、福井県のように既存の基金があるところでは非常に有効な活動ができたというご報告があります。  また、スタッフの中に、いわば「公のお金」の引っ張り方のノウハウをよく知っている、ここではあまり書いていませんが、要するにどういう手続きで、どういう様式だと、お金が出やすい、もしくはだれだれさん、どこどこの部局がお金を持っているみたいな形で、やはり行政のかたが入っていると、お金の面でも有利な面があるのではないか。  それから、最後の点ですが、義捐金とボランティア活動基金は、恐らく一般のかたには区別がなかなかつきにくいところですが、これをきちんと区分けして、PRする必要があるのではないかというお話はいただきました。  また、資金面、財政面でのバックアップが必要であるということで、これはときどき私どももご指摘いただくのですが、国が弁当代からすべて面倒をみて、せっかく活動していただいているのだから、そういうのを全部国で面倒を見るべきだという、いわばボランティアに対しての支援を強く打ち出されているかたもおられれば、ボランティアはそもそも自発的な活動でやられているわけだから、ボランタリー精神を損なわない形での支援にすべきだと。これにつきましては、参加者の皆さん、また一般のかたがたにおかれても、いろいろなご意見があって、恐らくまとまるものではないとは思いますが、公的な支援についての声は常に私どもも、国会のほうからも含めていただいているところです。  2ページめは、全国の今年度設置されたボランティアセンターについてのアンケートです。設置運営に使われた総合の資金の額というところで、先ほど企画官の丸谷から説明させていただいたように、ちょっと階級が広すぎて、ここから何を読み取るかというのは難しいですが、一つありえるのは、今、各県共同募金が基準とされているメルクマールとしては、ボランティア団体ですと100万円、市町村のボランティアセンターですと300万円、各県のボランティアセンターですと応相談という形で金額の切れ目がありますが、少なくも100万以下というセンターも相当程度おられます。逆に、1000万を超える需要がある、いわば期間が長いということで、需要があるところも4センターほどあります。この間の幅のもので、ある程度階層化して、制度が一つだけではなくて、いろいろな制度を用意していく必要があるのではないかというグラフになろうかと思います。  おめくりいただきまして、3ページですが、これは設置と運営に分かれたものです。やはり運営段階になりますと、民間の基金とか、さまざまな県や国の支援みたいなところが出てきますが、設置時につきましては、どうしてもセンターの中、もしくは参加されたボランティアのかたの持ち出し、もしくは社会福祉協議会の持ち出しの部分に頼っていて、それがいわばすみやかな設置の足かせになっているのではないかというご指摘も受けております。  その初期段階で使われた資金としての客観的なところでは、ここの段階ですとゼロもしくは100万円以下というところが相当程度あって、やはり最初の10万円、20万円がなかなか出ないがゆえにというところで苦衷をお話しされたかたもおられました。ここの部分について、金額の多寡よりも、あるかないかという議論については、少し気をつけて見なければいけないところだと思っております。  運営につきましては、規模や期間によりますので、このグラフのとおりというところです。あと、飛ばしていただきまして、5ページめですが、都道府県レベルでは既存の基金があるかという問いを、都道府県の防災部局にしてみましたところ、防災のための「専用の基金がある」というところが7府県、「活用できる基金がある」ところが15府県ということで、先ほどの説明のとおり、約半数のところでは何らかの形で基金の設置があるということで、私どもの予想以上にはやられているのではないかと、なかなか驚きがあったわけです。  ただ、専用のものでないところは、表の6−2を見ていただきますとおり、一般的な地域活性化基金みたいなところ、それから一般のボランティアの基金みたいなところが多いので、恐らく応急時にその責任者のかたに連絡を取って使えるかどうかという手間がかかるようなお話になってこようかと思います。その意味で、活用できる基金があるという中でも、災害についての特段の定めとか、できる限り災害についての専用の基金について、設置していったほうが円滑ではないかというご意見をいろいろいただいています。  また、基金の使途についても、同一都道府県内なのか、域外の活動もできるのか、例えばボランティアバスみたいな、今年、非常に特徴的な活動については、あたるのかあたらないのかというものについて、運用の具体策を定めておくことが重要ではないかというご意見もいただいているところです。  最後に活用事例ですが、最近といいつつ、やはり昨年は災害が多くて、相当の額の基金が活用されています。これで十分かどうかというのは、本日のご意見をお伺いしなければいけないと思うところです。1−5は、実際にどこから支弁されたかというお話ですが、これにつきましても、使いやすかったか使いにくかったか、また、ここのところを伸ばすべきではないかというご意見をいただければと思います。資料の説明は以上です。 干川(大妻女子大学助教授)  資料の説明、ありがとうございました。今の資料の説明等を踏まえたうえで、これは全体のアンケート結果に基づく状況の説明ということですが、個々の災害ごと、あるいは災害に応じて立ち上がったボランティアセンターによって、立ち上げ時や運営時に必要な運営資金等の実態もだいぶ違っていると思います。そこから出てくる課題等も違うと思いますので、これからはそういった個別の事例について、いろいろご報告をいただいて、そのうえで全体の課題等を検討していきたいと思っています。  その前に、今日の会のスケジュールについてご説明いただきたいと思います。一応午後3時40分までということにこの部会はなっておりますので、その20分前の3時20分ごろにまとめに入りたいと考えています。  この検討会は、この部会も含めて、マスコミさんに公開していますし、議事録を取らせていただいています。これは後日、議事録を発言者の皆様にご確認いただいたうえで、ホームページに掲載するということになっていますので、その確認の作業を後で発言されたかたにお願いすることになると思います。そこをご承知おきいただきたいということと、議事録等を取っていますので、ご発言の際には、必ずお名前と所属を発言していただけるようにお願いいたします。  それと、座席表は先ほどお書きいただいたので、手元にありますが、すでにご記入いただきましてありがとうございます。  ということで、ボランティアセンターの立ち上げ、運営を活動資金の中心に、これから意見交換、あるいは討議をしていきたいと思います。どなたからでもご発言いただいてけっこうですので、資金繰りとか、それにまつわる苦労話等も含めて、いろいろとご発言いただければと思います。どなたでもけっこうですので、ご発言のあるかた。はい、どうぞ。 五辻(東京災害ボランティアネットワーク)  東京災害ボランティアネットワークの五辻と申します。進行上の問題ですが、五つか六つくらい設問がありまして、事前に意見を取り寄せたかたがたも、それぞれについて意見を言われています。今のご説明ですと、運営と立ち上げというのは、それだけで一つの議論がいろいろあると思いますが、それも含めて、要するに活動の資金の問題を中心に議論してほしいということですか。 干川(大妻女子大学助教授)  そのように事務局も私も考えております。 五辻(東京災害ボランティアネットワーク) 初の案内とちょっと違います。最初は大きく六つを二つに分けていたように思います。 渡部(政策統括官付参事官)  時間が限られているという話でして、六つを全体で討議するのはなかなか難しいだろうということで、分科会方式をとらせていただきました。また、その中で運営というのはいろいろな側面ですし、また、普及啓発というのも一般的にかかるものですので、まずは私ども喫緊の課題で、伺っていて緊急性が高く、かつ皆さんの要望が強いのが、やはり資金について制度的に共通認識を作っておくべきではないかということです。  私どもの思いとしては、まずは基金のお話をやっていただいて、当然、何の基金かというと、ボランティアセンター立ち上げの基金になると思いますので、まずは基金というところから始めていただいて、設置時にこういうところでお金が足りなかったと。さらに基金のお話が一応片づきましたら、基金以外の物資の話とか、いろいろなお話になればとは考えていますが、まずは基金のお話からお始めいただきたいというのが、事務局の思いです。 上原(東京災害ボランティアネットワーク事務局長)  上原と申します。分からないのですが、基金という認識と活動資金というものの認識が、多分あなたと私が随分違うかもしれないのです。  あなたが言うところの基金というものは、どういうふうにご認識されているのか、僕たち共同のものにしておかないと、私は基金というと、どこにあるのかなと思うのです。必要な財という問題でいくと、私たちは多分活動資金というふうになるのですが、基金というのは特別に何か別なものとしてご認識されているのか、そこだけ整理していただければけっこうです。 渡部(政策統括官付参事官)  失礼いたしました。正確に申せば、すぐにボランティアセンターが自発的に使える資金のお話です。ただ、自発的に使える資金というお話になってきた場合、やはり私どもとしては、基金というもの以外のスキームがなかなかないものですから、どうも通例で基金という言い方をしますが、今、上原さんがおっしゃったように、正確にはボランティア、もしくはボランティアセンターが即決で、自己決定で使える活動資金のお話で正確です。 干川(大妻女子大学助教授)  今回は、事務局や政府のほうにいろいろ意見や質問をしてもいいという場でもあるということですので、がんがんこのような質問をいただければと思います。 吉田(ハートネットふくしま代表)  ハートネットふくしまの吉田と申します。もしかすると、確認されているのだとしたらごめんなさい。ボランティアセンターをどういうふうに定義されているのかをちょっと教えていただきたいのです。  先ほどからボランティアセンターの資金の話をしているのだと思いますが、いわゆる市町村に1か所できるボランティアの受付事務所のことをボランティアセンターと呼ぶのか。災害規模が大きくなると、不特定多数のボランティアを受け付けて、コーディネートをする団体がたくさんできてくると思いますが、そういうのをすべてボランティアセンターと指して、今、議論しているのか。そこのことをちょっと、最初にボランティアセンターの定義についてお願いします。 渡部(政策統括官付参事官)  私どもも実は定義のお問い合わせは極めて多く受けているのですが、法的には当然、地域防災計画の中に明確に位置づけられているものという団体もありますし、今回のように、非常に多くの災害が突発的に起きますと、ましてや応急段階ではなかなか地元ではできないということで、テンポラリーに、外部的にボランティアセンターと称して先行的に設置されているところもあります。  本日、テーマにしているボランティアセンター、それからアンケートで取りましたボランティアセンターは、各県や、全国社会福祉協議会とご相談しまして、継続的に活動していて、地元の自治体や地元のさまざまな団体、域外の各団体と協働されて、承知したものについてピックアップさせていただいています。何について特段排除しているわけではなくて、災害救援活動に参加されたかたがボランティアと目されているもののリストになっています。ですから、当然この中に抜け落ちがあろうかと思いますし、また、実はテンポラリーなものもあろうかと思います。必ずしも地域防災計画に記述された法的なボランティアセンターだけには絞ってはおりません。お答えになればと思いますが。 吉田(ハートネットふくしま代表)  例えばここにリストアップされているのを見ると、各市町村に1か所ですね。ボランティアセンターは、それぞれ1か所だけだったのですか。 渡部(政策統括官付参事官)  実はそういうお話もいただきたいと思いますが、例えば本日の事務局のダイナックス都市環境研究所とか、全国社会福祉協議会、各省、それから各県災対本部等に照会して、私どもが承知しているものとしてはこういう形で、結果として一町村一つになっているということで、あくまで一市町村一つに絞るという言い方はしておりません。例えばボランティアセンターによっては、広域的にやられているものもあれば、それも対象になろうかと思います。その点で、私どもとして何か法的な根拠があるものに絞ってという話ではありませんで、各ボランティア関係の機関にヒアリングして出たものの範囲です。  もし吉田さんのご発言の趣旨が、ボランティアセンターの定義を今後はっきりすべきではないかというご提言であれば、ご意見として私どもがまた考えていかなければいけない部分だとは思っています。 吉田(ハートネットふくしま代表)  分かりました。とりあえずここに挙がっているのは、行政や県社会福祉協議会が知っているボランティアセンターを尋ねたところ、こういうのがありましたが、今回のボランティアセンターはこれを定義とするわけではないということですね。 渡部(政策統括官付参事官)  はい。 干川(大妻女子大学助教授)  事務局のほうと吉田さんでいろいろとやりとりがありましたが、ボランティアセンターは民間で立ち上げるものとか、新潟県中越地震の場合でも、やはりいろいろな地域で、いろいろな団体が立ち上げていますから、本当はそういったものも全部含めてということでご議論いただければと思います。当然、ボランティアセンターを立ち上げれば、これは民間が主のものであれ、あるいは社会福祉協議会とか行政が主体となるものであれ、やはりお金がかかりますので、そういったことで包括的な議論をいただきたいということでお願いしたいと思います。  実際に、この災害ではこんなふうに運営したけれども、こんな形で活動資金を得た、それでこういった苦労があったという話でけっこうですので、どなたか何か、そういった具体的な事例をお出しください。どうぞ。 田中(特定非営利活動法人日本災害救援ボランティアネットワーク)  日本災害救援ボランティアネットワークの田中です。今日は活動資金の問題ということで大変楽しみにしてまいったのですが、今までの説明の中でちょっと私が予想していたこととは違うような印象を受けました。  これから議論されようとしているのは、"災害が起こってからボランティアセンターの運営資金をどうするか"というお話かなと思いますが、災害が起こる前のいろいろなボランティア活動をしているグループがあるわけです。阪神・淡路大震災以降10年、ここにいらっしゃる方々で、災害が起こったら現地にすぐ飛んでいって、センターの立ち上げをやっているかたがたくさんおられるわけです。その方々はどういう資金で活動しているか、ご存じでしょうか。  災害をテーマに活動してきた災害NPOが、実はもう酸欠状態でアップアップしているわけです。しかし、そういう団体が今日まで、災害が起これば災害ボランティアセンターがすぐ立ち上がるという環境を作ってきたと思います。そういうグループがなくなったらどうなるか。私はそこが大変重要な問題だと思います。日ごろから災害に備える活動をやっているNPOがある。そういう団体の活動資金をどうするのか。実は、今日はそこに少し答えがもらえるのかなと思って楽しみにしていました。  国民の生命、財産を守るのは国家ではないですか。今は、「行政がそこまでできないから、ボランティアにやってくれ」と。それはいいと思いますが、資金の手当てもなく「やってくれ」では、我々NPOはできないだろうと思います。  昔は、そういう支え合う、助け合うものがあったと思いますが、戦後、行政サービスという名目のもとに、"災害のことは政府がやります、自治体がやります"といって、そういうものを取り上げてきたのではないか。「その分、税金は高くなります」と。そうなったのではなかろうか。今になって、「行政ではできません、お金は渡しませんけれども、皆さんでやってほしい」いうふうになっているように私は思います。その辺のところを国がどう考えているかというのは、今日は答えが出るわけではないと思いますが、実は知りたいところです。  それから、活動資金ですが、アンケートは行政や社会福祉協議会に聞いておられますが、我々のようなNPOのところに、どうしているかということを調査されているのでしょうか。あるいは、吉田さんが質問されたボランティアセンターですが、97年でしたか、ロシアタンカーの災害のとき、私のところは、西宮から福井県、石川県、京都府、そういうところの後方支援をやったわけです。西宮から無料バスを仕立ててボランティアを送り込んでいた。それもボランティアセンターなのです。そういう活動資金はどう考えていただけるのだろうか。  これから大きな災害になりますと、東海地震が起こった場合、(これは吉田さんも言われているところだと思いますが)静岡県のどこどこという一つの市町ではとても動かないと思います。後方支援が必要になってきます。その後方支援はどうするのか。そんなことをどのようにお考えになっているか、聞きたいところです。 干川(大妻女子大学助教授)  ありがとうございました。今、重要な論点は2点あると思います。一つは、平常時からの、特にNPOの活動、また、全国展開している災害ボランティアのネットワークというのは、実際に阪神・淡路大震災からいろいろ皆さんご苦労されてそれを作り上げられて、98年の水害あたりから力を発揮して来られました。そういった経緯は私も存じておりますから、そういうことを考えると、今回の調査はそういったところが視野に入っていなかったので物足りないところがあったということです。  また、後方支援ですね。実際の被災地の中で立ち上がるボランティアセンターに焦点を絞ってしまったけれども、実際はそうではない。実際に動いてみると、やはり後方支援のボランティアセンターがすごく重要であるということです。これはやはり、これからさらに、いろいろとボランティアセンターを対象としたアンケートとか、実態把握もするうえで、多分内閣府の事務局のほうでは欠落していた視点ですから、それについてまたご意見を事務局のほうに伺いたいということで振っていきたいと思います。 金子(特定非営利活動法人新潟NPO協会事務局長)  新潟NPO協会の金子と申します。ここにいらっしゃるかたにたくさんお世話になっておりまして、本当にありがとうございます。  今、平時からのNPOの活動、ボランティアの防災の部分にあたるかと思いますが、防災を意図した活動の資金はどういうふうに、そういう活動をだれが支えるのかということが一つの大きな問題としてあろうかと思います。  それと同時に、私どもが昨年の水害、地震を通して活動を始めたときから非常に気になっていましたのは、災害救援ボランティアといいますが、どこまでが救援ボランティアなのか。いわゆる内閣府のほうで考えておられるボランティアセンターというのは、どこまでがその活動にあたるのかなというところなのです。  今、私どものほうでも、緊急の救援活動というのは、この雪が解けてくれれば、ほぼ一段落するわけですが、主に活動の主眼になっているのは、これからどう復興を進めていくかということです。復興のボランティアというのは、災害のボランティアに含まれていないのか。  今までずっと社会福祉協議会とか県、あるいは地元自治体と協働して進めてきましたが、大体このぐらいの時期になると息切れがしてきてしまうのです。だいぶ前から息がもれているのですが、それではいけないと思っているのはむしろNPOとか市民団体のほうです。せっかく救援のボランティア活動を通じて地元に入り込んでいって、これから何か事を始めたいというときに、公的なものからは金も人も場所も出るめどはないと言われて、「じゃ、勝手にやろうかな」というところの段階に来ていて、実はそこから先というのが、もっと長い目で見ると非常に重要なのかなと思っています。災害救援ボランティアセンターという名前にはならないかもしれませんが、これは確実に災害に絡んだ、いってみれば災害弱者を意識しながらの地域づくりの活動になるかと思います。  それと、先ほど中間支援組織という後方支援の組織ということでご発言いただきましたが、私どもはまさしくそういう立場です。今まで県なり社会福祉協議会なりと一緒にやってきたボランティア本部というのを、さて3月でたたもうかどうかという節目に来ていて、「じゃ、これから先、我々は一体どういうふうに活動を展開していくんだ」と思い悩んでいるところです。その辺のところの資金も議論に、これは含めていいのかというよりは、含めるべきではないかと考えております。 干川(大妻女子大学助教授)  新潟県中越地震の場合、被災者に対する支援活動は、これから長期にわたると思います。仮設住宅に入ったら、それで終わりというわけではありません。仮設住宅も一応2年間いられますが、力のある避難者のかたはすぐ出られますが、そうでないかたもいらっしゃいますから、当然、2年どころか、それより先までの、ずっとそういった地域を基盤にした活動になるということです。そういったことを含めての資金をどうするかというご発言だったと思います。それに絡めて、関連して、どうぞ。 宇田川(神奈川県災害救援ボランティア支援センターサポートチーム)  神奈川県災害救援ボランティア支援センターサポートチームの宇田川と申します。資料として出していただいた7の中の、各都道府県の防災担当局に聞いた基金の問題ですが、僕はこうやってみると、一つ、例えば具体的に災害があったために、その結果として基金が充実してきたというところもあれば、はっきり言えば、青森とか秋田とか、災害に関して充実した形で専用の基金というのが、これだけあるというのはどうしてなのだろうと思います。  設置されたいきさつであるとか、集まった経緯、どのような形で集まったのか、どのような形で使うことを想定して集めているのか、運用方法はという形が見えてくると、ボランティア活動の基金の意味、もしくは誤解、もしくは間違いが見えてくるのではないかと思います。どのくらい額があるかというデータの集め方だけでは、あまり意味がないのではないかと思うので、その辺の分析結果があれば、ぜひ教えていただきたいのですが。 干川(大妻女子大学助教授)  では、事務局のほうで、今の質問のほうが簡単に答えやすいと思いますので、詳細の分析等があったらお知らせいただきたいと思います。 渡部(政策統括官付参事官)  設置のいきさつについてはまだ聞いていません。ただ、私ども内閣府の仕事というのは常に100%以上のワークでやっているつもりですので、逆にいえば、できるできないというよりも、そういうところを調べるべきだというご提案があれば、今後できるものから調べていきたいと思います。設置のいきさつについては調べておりませんが、数については調べ得る範囲にあると思います。私どもとしても興味がありますので、聞いていきたいと思っております。 栗田(特定非営利活動法人レスキューストックヤード)  レスキューストックヤードの栗田と申します。震災でつなぐ全国ネットワークの事務局長もやっています。大体皆さんがたと面識がありますから、こうやってあらたまって集まるというのは、10年前にはこんなことが実現できただろうかということを考えると、今日はだいぶ進歩したというか、我々は今日はいい日を設定していただいたということで、まずは内閣府に感謝申し上げたいと思います。ぜひいい日にしていきたいと思います。  先ほど五辻さんのご指摘とか、渡部さんのご発言も非常に骨身にしみて分かって、私たちがこれからどう災害救援でかかわっていけばいいかというNPOの問題は深刻ですから、その問題はその問題として、私たちはきちっと情報交換しながらやっていかなければいけない問題だと思います。  ただ、今日は多分ボランティアセンターを立ち上げるということが、災害救援に対する目的の一つとなっています。これに関しても、本当はそれの中身が大事で、立ち上げたらいいという話ではないので、本当はそこの議論にはいきたいのですが、今日、渡部さんからいただいたお題は、ボラセンが立ち上がって、災害救援の要となるセンターがどこの市町村においても立ち上がるような環境を整えていこうということだと思っています。  それからもう一つは、それをやろうと思ったときに、今まではそっぽを向いていた自治体であったとしても、去年、あれだけ災害が起これば、自分のところで起こったらどうしようと不安を感じていらっしゃるところもたくさんあると思います。そういうようなご質問に対して、私たちが経験値として申し上げて、こんなふうに取り組んだということを記録していただくというのは非常に大事な話です。  私自身も東海豪雨水害のときに、愛知の名古屋水害ボランティア本部の本部長を務めさせていただきましたが、そのときの事例だとか、私はむしろ、今日は国に対していろいろお伺いしたいということよりは、これだけたくさんのかたがお集まりですから、例えば松森さんが福井で活動された実績に対して、お金はどうだったのかという、ふだん聞けないような話をぜひ聞きたいと思っています。  あるいは、上原さんが三宅島の支援でかなり精力的にやっていらっしゃって、ここは東京ですから、うらやましい面もあるのですが、かなり頑張っていらっしゃって、賛同者を広く集められて、お金を集めていらっしゃる事例とか、あるいは小野田さんは静岡で東海地震が来ると何十年といわれていますから、もうだいぶ基金を集めていらっしゃるとか。あるいは、宮本さんのところが島原の復興基金を使って、復興に対しても、そういった島原ボランティア協議会が成り立っていく過程というのもずっと経験されています。そういう事例は、新潟県の復興基金に大きく影響していく話だと思います。  ですから、参加者のかたがたがそれぞれ持っている資金という問題に対して話を出し合って、まずはこの問題から片づけてから、次の中身とか、平常時の活動をどうしましょうかということをやっていったらいいと思いますが、いかがでしょうか。 干川(大妻女子大学助教授)  どうもありがとうございました。司会がいたらなくて、そういった方向でということで整理いただき、大変ありがとうございます。いわゆる阪神・淡路大震災以来、ここ10年間のいろいろな事例ですね。皆さんがご苦労された中で、いろいろなことの情報の共有、交換、これを全体の支援に高めていくような場というか、そういったことで考えていきたいということですので、いろいろな苦労話とか裏話とか、そういったものをご披露いただければと思います。そういった観点からご発言いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。 小野田(特定非営利活動法人静岡県ボランティア協会)  静岡の小野田です。静岡の事例を報告しながら、松森さんのところの取り組み、アンケート結果のことについても少し伺いたいと思っています。  静岡については、広域信託の災害ボランティア活動ファンド、これは阪神・淡路大震災以降、特に我々がかかわりを持った被災地の人々を応援する市民の会、福井の三国ボランティアセンター等々の活動報告を見てきた限りでは、それぞれ7000万円くらいの資金を使ってきたというような報告がありました。  やはり静岡県においても大きな災害が心配されているところから、とりあえず静岡の場合は、県域のボランティアセンター本部と、静岡県は横に長い県ですので、この4月から少し機構が変わってきますが、県内に4か所、地域防災局が作られることになります。その4か所の地域防災局に、県の災害ボランティアセンターの支所というか、支援センターが開設されます。この部分についてのみ災害ボランティア活動ファンドの基金が使われます。各市町村の社会福祉協議会等々に立ち上がっていくであろうボランティアセンターの必要経費については、市町村でそれなりの準備をしてくださいというようなお願いを静岡の場合はしています。  それとは別に、NPO静岡県ボランティア協会独自の災害時のボランティア活動資金を持っています。このNPO静岡県ボランティア協会の災害時のボランティア活動資金で、今回の中越地震への取り組み、新潟・福井の集中豪雨への取り組みが、NPO静岡県ボランティア協会の独自の動きとしてやれるような形を持っています。  公益信託静岡県災害ボランティア活動ファンドについては、いわゆる心配されている東海地震、またそれ以外に水害もあると思いますが、本県が大きな被害を被ったときにその公益信託の活動基金を8割がた取り崩して使っていこうと、これもあくまで県域のボランティアセンター、支援センターの設置運営にかかる経費というふうに取り組んでいます。そういうような状況があるということが、まず一つの報告です。  それから、松森さんのところの今回の資料を見せていただきますと、活動資金の使われ方の中で、新潟県中越地震に210万使っています。それから、兵庫の台風23号に44万ですが、集中豪雨は7200万と、この辺が福井のこの基金の性格から、福井県災害ボランティア活動基金の、いわゆる使われる幅を持たせて、広めているのかどうなのか、その辺をちょっとお伺いできればと思いました。ありがとうございます。 松森(福井県災害ボランティア本部センター長 ふくい災害ボランティアネット理事長)  福井の場合はナホトカ号海難・流出油災害で頂いたいろいろなお見舞金、県に来たお見舞金等で1億3000万の基金を積んだのです。ナホトカのときに、我々ボランティアセンターをやっていた側は非常に資金に苦労しまして、全国にいろいろな救援物資の応援の依頼といったことをやっていました。それが逆に今度は、救援物資でボランティアセンターがパニックになって、混乱を来すだけなので、やはりお金で買うのがいちばんいいといったところに行き着きました。  その辺のところで県と話をしまして、たまたま1億くらい残っていたものですから、そこにプラスアルファで3000万乗せて、1億3000万という形になって、それの取り崩しを今回、豪雨のときはやったのですが、多分極端に福井の額が7200万と大きいです。  これは根拠がありまして、福井のボランティア本部が救援物資をお願いしたのは、タオルとマスクだけなのです。ほかは全部購入です。支援をお願いするといったことは一切やっていません。全く純粋にボランティアセンターがすべて物を購入してやっていくと、大体あれくらいの金額がマックスかかってくるということです。  救援物資で頂いている物は必要な経費の中にカウントされてこないので、分からないのです。表に金額が実際上がってこないのですが、福井の場合が多分初めて、すべてを購入してやったボランティアセンターの運営の経費だろうと思います。ですから、群を抜いて上がってしまうのです。  一昨日、京都のボランティアセンターの検証があったので、呼ばれて行ってきたのですが、電卓でたたいたら、福井の場合は6万208名来ていますので、ボランティア一人頭の単価でいくと、かかった経費が1350円くらいなのです。京都の場合、ボランティアで来た人間がトータルで1万2000人くらいですが、1700万くらいかかっています。計算しましたら、1600円くらいになっていました。単価ベースは京都の台風23号のほうが高かったのです。これを見ても、やはりいろいろな矛盾点が出てくるので、どれが本当の数字なのか。福井の場合、全部買ったのですが、6万人でそれなのでということがあります。  お尋ねの件ですが、いちばん最初に基金を作ったときは、福井県の災害にしか使ってはいけませんとなっていました。しかし、豪雨災害で本当に多くの県外のかたからのご支援をいただいたという経緯から、知事の判断で、福井県からやはりお返しをしなければいけないということで、急きょ条例が改正されました。改正されたときが、ちょうど新潟県中越地震が起きた直後です。起きた翌の月曜日で、たしか条例の改正を知事から表明されて、時間をさかのぼって、台風23号の兵庫・京都への支援も取り崩しの対象にするという形になりました。  福井の場合は人口が少ないですから、福井だけで救済・復興ができるということはまずないのです。そうすると、やはりお願いしなければいけない、それにはやはりお返しもできるようにしなければいけないということで、そういうふうになりました。  もう一点だけ、今回、我々福井県本部が、ボランティアセンターの資金は一括して、全額を持ちました。各センターが払ったお金は多分10万、20万単位で、電話の設置料とか電気代とかそういったものだけです。ですから、我々本部が一切やりました。  いちばんのメリットは、どんと余っている物があったら、よその市町村へ楽に動かせるのです。通常ですと、市町村単位で購入してしまうと、市町村単位で持っている物はそこで買った購入物ですから、それをよそに持っていくということはできにくいのです。しかし、これは県本部で一括で買っていますから、足りないところへ順次回すという、横の動きができるようにしました。  豪雨災害後、市町村単位で災害ボランティア用の基金を積もうか、準備金を持とうかという動きが今、福井県内の市町村で起きていますが、あまり大きな金額は持たないでくださいという形で、こちらのほうはアナウンスしています。逆にいうと、200万程度にしてくださいと。初動でかかる、事務所の設置とか仮設電話の引きとか、借りてくるテントとか、プレハブのボックスとか、そういったもので当面必要になる現金として200万くらい用意してください。それに関しては、後で精算しましょう。本部のほうからお金を渡しますから、領収証だけ取っておいてください。運営の、いわゆる運転資金として、手元現金でそれくらいを準備していただくのがいちばんいいのではなでしょうか。  あまり大きな金額を持たれてしまうと、我々は面で動きたいという思いがあったものですから、そのほうがまた効果が大きいのです。ロスが少ないものですから、それに支障にならないためにも、なるべく大きな金額は市町村単位では持たないでくださいというようなやり方をやっています。 干川(大妻女子大学助教授)  どうもありがとうございました。これも全県単位で、それでかかったお金が7200万円ということですね。はい、貴重なご意見でした。 川上(特定非営利活動法人ぎふVネット)  NPO法人、Vネットぎふの川上です。今まで、2年半前の岐阜県大垣の水害と、昨年は新潟での水害は見附市、そのあと21号では伊勢市、高山市の23号、中越の地震では自分のところの水害と重なったものですから、見附のボランティアセンターのサポートという形でやらせていただきましたが、今までは実はお金という面で、ものすごく困ったという経験がないのが現実です。  どうしてかというと、全部行政と協働というか、力合わせをしたセンター設置という形になっているものですから、たまたまそうなのだと言われるかたもあるかもしれませんが、行政と協働で立ち上げることになったら、やはり信頼性も高くなるものですから、当然、募金も集まりやすくなりますし、総額的な支出も減らしていけると思います。  ただ、そこで感じているのは、協働型で設置できたセンターを、県なり国なりがどうやって今度はサポートしていくか。今、福井のお話も出ましたが、やはり他県ではそういうお金がないところもあるのが現状で、ましてや初めて災害が起きたところに対して、どうやってそういうお金の支援をしていくかということで、協働ができたところに県なり国がお金を出すということだったら、これは問題ないと思います。  今、話がボランティアセンターのボランティアのふだんの活動からいろんなところへ広がっていっていますが、まず第一歩としてできることは何なのか。せっかく内閣府の、国主導でこういった会議をやっていただいたので、その一歩として出せるところは何なのかというと、やはり行政とつながったボランティアセンターをどうサポートしていくか、その自治体のボランティアセンターをどうサポートしていくかという部分だったら、すごく国のほうも動きやすいのではないか。  当然、それは国会での審議内容になるかもしれませんが、そういったこともお願いもしながら、あとはやはりボランティアセンターの活動というと、本当にお金もかかります。高山の場合ですと、ボランティアの機材を買ったのに200万、ボランティア保険料等々合わせて300ちょっとかかりました。募金活動で340万集めました。全部市役所のほうへ、特定寄付でボランティアセンターから入れました。  やはりボランティアセンターとしても市を通したほうが、第三者から見てもきちっとした支出といわれると思いますので、全部市議会を通して支出という形にしました。それは初めてやったことだと思いますが、そういったことで、行政と協働型をどう支援していくかということを、ぜひやっていただきたいということも考えております。以上です。 干川  今、行政との連携というケースですが、ほかの例で何かご発言を、栗田さん。 栗田(特定非営利活動法人レスキューストックヤード)  愛知の水害の場合、松森さんのお話を聞きながら、かなり似通ったケースだったと感じています。私どもは2000年ですから、時代的にはもう少し前ということになりますが、愛知の中に防災のための愛知県ボランティア連絡会という組織が、県知事と協定を結ぶ形で、そういった災害時には県がボランティア本部を作るので、コーディネーターとして参集しなさいという協定を結んでいた関係上、最初から県の会議室が開放されて、私たちがそこで活動を開始したというスムーズなスタートでした。裏側にはいろいろありますが、一応スムーズなスタートだったと申し上げたいと思います。  ただ、松森さんのところと同じなのは、本部機能のある取り組みと、各市町村で完結するボランティアセンターと2種類あると思っています。本部がどんな役割をするかというと、やはり松森さんが言われるように、お金と物の管理、こういうことを中心に本部では機能したということがあります。  先ほどの話で、愛知の場合も実は協定書には、ボランティアが必要な資機材は県が準備すると書いてあったのですが、デッキブラシやスコップをお願いしたら、それは想定しませんでしたということで、お金がありませんとなりました。私の発言上、問題があった議事はカットしていただきたいと思いますが、こういう場ですから、話をさせていただきます。  そういうことで、民間のほうに支援先を求めたら、名古屋JCが答えてくださって、912万円分のデッキブラシとかスコップを買っていただきました。それを合わせると2500万くらいで、実際に募金として集まったのが1400万円です。この1400万円の内訳は、アイシン精機というところから最初に500万円頂きました。  ただ、最初の現金がありませんでしたから、私が本部長ですから立て替えました。私の現金では、持ち合わせがなくて足りなかったので、ある企業のかたに貸していただいて、500万円が銀行に入ってくるまで急場をしのいだということがあります。  何に使ったかというと、パソコンとかプリンタとか、とにかく周知をするための機材が、当時、愛知県の県庁の中にもパソコンがなかなか復旧しないといいますか、デスクに自分のものしかなかったのです。お借りすることができないということが分かってきましたから、そういうものは買ったほうが早いということで準備したということです。  アイシン精機が代表的に入れていただいたわけですが、それは東海豪雨といった地元の被害に対して、地元の企業は何か応援したいという力が働くはずです。それを上手に、ここにもいるのだということをアナウンスできるボランティアセンターかどうかということが、もう一つ問われるのではないかと思います。  私たちが素晴らしかったのではなくて、たまたまアイシン精機が、ふだんからトヨタグループの中でもかなり力を入れて、ボランティア活動に社を挙げてやっておられました。ですから、ボランティアにはお金が要るという理解が企業にもともとあったと私は理解しています。  これも裏話ですが、500万円を、愛知名古屋水害ボランティア本部という、そのときにできた団体に寄付するということに対しては税金がかかるわけです。そうならないように、これも申し上げていいかどうか分かりませんが、愛知県の社会福祉協議会の知恵ですが、阿部さんはよくご存じだと思いますが、いったん共同募金会のほうへ指定募金にしていただいて、そのお金を愛知名古屋水害ボランティア本部にスルーしていただいたという方法をとりました。  NPO法人がやると、今は認定NPOとかいろいろ議論がありますが、そういうような枠組みだけではありません。ボランティアセンターというのはもっと大きなネットワークですから、お金の受け方ということもちょっと研究しないといけないというのが、そのときの感想です。  私たちのこういった1400万円は、アイシン精機であったり、あるいは先ほどの松森さんの話による恩返しだということで、兵庫県社会福祉協議会とか、コープこうべとか、いろいろなところからまとまったお金をいただきました。そして、個人の寄付が大変たくさんありました。私たちは、特定の大口の寄付者があったということがもちろんあったわけですが、お金でみんなで支えていこうという雰囲気を作っていくというのも大事だなと思いました。ですから、国が面倒をみてドンとくれるという温かい環境の中でやるよりは、みんなで苦労して金を集めたとか、みんなが出し合ったというような感想が非常によかったなと思っています。  我々の取り組みよりは、もっともっと上原さんという金を集めてくるプロがいますから、ちょっと上原さんのお話も聞きたいと思っています。 干川(大妻女子大学助教授)  私もちょうど聞きたいと思っていたのですが、現在進行中ですからなかなか言えない部分もあると思いますが、上原さん、差し支えない範囲で、今の活動でのお金集めについていろいろお話しください。 上原(東京災害ボランティアネットワーク事務局長)  金集めを教えるとややこしいのです。冗談ですが、僕はこの資金の問題は二つあると思います。今日の災害が、例えばどこで起こるか分からない、どこでも起こりうるといわれている時代の中に入ったわけです。そうすると、その種の環境があらかじめあるところと、環境が決して十分に整っていないところにバンと起こる可能性というのは予想しておかなければいけないと思います。となると、中央政府は面として考えなければならないという側面が、そちら側の責任としてありますから、そちらにお願いするということだと思います。  そして、今、栗田さんが言われたように、7月13日から新潟のあの現場で起こった、例えば刈谷田川が壊れていったり、猿橋川が壊れていったりすると、そこに恐らくスコップが数百本必要だとか、デッキブラシが必要だとか、長靴が幾つ必要だとか、これは当たり前の話ですが、瞬間的にお金がうまく動くかどうかというのを制度として作らなければいけないことは明らかだと思います。  それが個人のレベルで、善意のレベルで、スコップを20本買うのに、一生懸命逆さになって頑張っているというのは、私たちの国には似合いません。そのときには瞬間的に、ある種のものを・・・。先ほど領収書問題というのが出ていましたが、領収書問題を活用して、現場である種の人たちが責任を持って処理できたものについては、中央政府でもいいですが、渡して、そんなものは500万や1000万の話ですから、けりをつけてもらうという制度をどうしても作っていただきたいと思います。  もう一つは、私たちの側が、個人が持っている善意というものをどうやって起こしていくのかという問題と、財政との問題を常に深く考えなければならないと思います。金をくれと言ってもくれないのです。私はその金がどうやって使われるのかという構想が、しっかりと多くの人たちに伝わるようなプログラムでなければ、世の中はどんなに豊かになっても、私に金をくれといってもだれもくれません。ですから、やはり私はお金というものがその事業にどう結びついているのか、結びついていくのかということを、多くの人たちに知らしめすという仕組みそのものがなければ、必要だからといって、なかなかお金が集まらないと思います。  お金の話はややこしいのです。先ほど復興という問題と少し絡んでご発言がありましたが、三宅島の問題は、2000年6月26日からずっと起こっている災害です。これは実はなかなかステージが見えにくい災害になっているのです。2000年8月28日に大噴火が起こって、これで行政は決意をして全島避難をさせるわけですが、9月2日から全国に別れて暮らしをされているわけです。この人たちを支えるということで、これは際限なくいろいろな知恵が必要になってくるわけですが、実はそこで東京災害ボランティアネットワークが集めて活用させていただいた金額は9000万円でした。  そして、2005年2月1日午後3時に島は開放したわけですから、ここで今、島民が帰っているわけですが、とりあえずこれは5000万円のプログラムです。それで今、5000万円のお金集めは大体勝負はついたと思っています。これは、九州の山の小学生が5800円という小さなお金を私たちに送ってくれることも含めて、企業が300万円くれることも含めて、もう一つ、お隣りに生活協同組合の五辻さんがいますが、実は今日の夕方、生活協同組合から1000万円というお金を預かります。これは実は僕たちの国の中で、社会に先立ってさまざまなことをしてきた集団があるのです。この集団をしっかり、私たちは次の時代に活用しなければならないと思います。  実は私は、一方において労働組合の幹部でもあります。労働組合は神戸の事件のときにカンパを30億円集めました。職場カンパです。実はそういうような、私たちに先立って社会のことについてとても関心を持ってくれる団体と、私たちは市民として連携をするということは、私は大いに考えていく必要があると思います。  もちろん、だからといって、市民レベルで連携をして公的な機関や何かをないがしろにするということでは決してありません。これは10年間、コラボレートしようということを言っているわけですから。でも、財政というのはお上に頼るだけではなくて。ただ、中央政府の責任がありますし、地方政府の責任がありますから、これは行政責任として厳しく申し上げたいと思いますが、同時に、私たち市民が持っている本来的な協働の力というものに対して、かぎりなく希望して語りかけていって、環境を作っていくということは、私たちにとって避けられないことで、そのことに努力したところに、お金というものは集まってくるのではないかと思います。  お金は単体で集まるのではなくて、多分そこには、先ほど言った小学生の本当に素朴な善意の気持ちも含めて、お金には心がやはり寄せられて集まってくる、そういう運動というか、そういう活動を私たちがすがすがしくやっていけば、私は1兆円というのはちょっと難しいと思いますが、2〜3億円だったらすぐ集まると思います。  これから僕たちの国の中で、あちらこちらで本格的な災害が起こる時期の中で、そのぐらいのことを、こういう人たちと一緒に次のプログラムを作っておかないと、長靴を100足買うのに本当にご苦労されている皆さんを私はよく知っているものですから、それは何とかして環境を改善していかなければならないと思っております。ノウハウは、後からそっと教えますよ(笑)。 永易(新居浜市社会福祉協議会)  お世話になっております。新居浜の社会福祉協議会の永易と申します。新居浜の災害時には、福井から4トントラック2台分の資材、ありがとうございました。新居浜は台風15号と21号も含めまして、大体5回台風が来まして、8月19日から最終の10月27日まで、70日間、活動させていただきました。  新居浜というのは瀬戸内海側にありまして、あまり台風というか、災害がない地域だったのですが、県内でも大がかりなボランティアセンターを立ち上げるというのは初めての経験という形でさせていただきました。  もちろん基金とか、災害時の備蓄等もありませんでしたが、愛媛県内で他市もいろいろなところが災害を受けて、どうして新居浜が立ち上がったかというのは、もちろん資金とか物資等で立ち上げようという決断ができたのですが、まずセンターを立ち上げるときに、すごく活動されているNPOの前で言うのも恥ずかしいのですが、全国的に各市町村にとっては、NPOがすごく進んでいるところとか、NPOではない民間の団体がすごく活動されているところとか、さまざまな活動団体があります。各市町村で活発にされているところは違うと思いますが、違うといっても、この団体があるからこの町はできたとか、こういった団体が素晴らしいから、こういった活動ができているのではなく、各市町村によってはそういった団体が全くないところとか、町ではないところもあります。  社会福祉協議会自身も十分ではないと思いますが、全国的なネットワーク、例えば日常時と緊急時を支える点でいうと、社会福祉協議会は日ごろから、地域福祉を推進する団体という形で、社会福祉法の中に位置づけられています。日常時、緊急時も地域福祉を推進するということで、地域づくり、まちづくりを日ごろからどう考えようかということで、各市町村の中にはボランティアセンターというのが大体のところにはあると思います。  そういったところを拠点として、例えば行政と協働したり、NPOと協働したりというところで、どこにでもある社会福祉協議会を一つその中にはめていただいて、社会福祉協議会とどこかが協働するという形で、まずセンターを、お金を使うとか活動するときに、どこが受け皿になるのかというのが明確でないと。愛媛県内もすごく台風が起きて、まずどこがしっかりしようかといったときに、愛媛も都会と比べるとNPOが少ないですので、どこが受け皿になるかがはっきりしないと、市町村によっては行政と社会福祉協議会が見合わせてみたり、NPOだけでは踏み切れなかったりという形があります。そういったところで、まずどこが受け皿かを作るという体制づくりをするのが大事だと私は思っています。以上です。 干川(大妻女子大学助教授) 社会福祉協議会の役割ということでしたが、そろそろ時間的にまとめに入っていなければいけないのですが、ここでちょっと有識者のかたからご意見を伺いたいと思います。今までの議論を聞いて、論点整理等もいただければと思いますが、渥美先生、よろしくお願いします。 渥美(大阪大学大学院人間科学研究科助教授)  整理するというのはなかなか難しいですが、時間がないようですので簡単に申し上げたいと思います。お金ということで話をすれば、災害の直後というのは善意で動く時期がありますから、何とかなるというのが実感だというのは、そんな気もします。しかし、何とかならない地域もあって、今、この会でやるべきことは、恐らく全国全部を見回したときに、うまくいった話ばかりを積み重ねてもしょうがなくて、決してうまくはいきそうにないと思われる地域がたくさんあるわけです。  そういうところが、まさに面的にやられそうな災害が予想されているのですから、最低限の保証を政府のレベルでできるようなシステムがいるのではないかと思うわけです。どんな市町村、そういう単位で区切っていいのかどうかは大いに問題ですが、どこで何があっても、この救急箱を開ければ100万円入っているということができれば。調べると100万円ですよ。100万円がだれでもすぐ使えるようになっていれば何とかなるという、その何とかなるのところをまずしないと、次に進まないのではないかという印象を持ちました。  復興後は、変な言い方ですが、だらだらと支援しなければいけないのと違いますか。この地域は弱者のことを考えているし、この団体はまちづくりのことを考えているし、そこは議論して、これは支援して、これは難しいとか、いろいろやっていかないといけない面が出てくると思います。これも災害にまつわるということで、多様に支援すべきだろうと思いました。  それから、平常時に防災というのは、今日の議論とは別かもしれませんが、それはぜひともあったほうがいいと思っています。議論が、今日はお金ということでしたが、ボランティアセンターを何とかしなければというところまでいったとしても、その何とかが非常にあいまいだというのも現状で、ボランティアセンターができたけれども、何をしますかということが問題だったので、次はそこの中身を議論できる場になればいいなと思います。  そういうことは、災害NPOの皆さんのほうですでにたくさん議論もされていますから、どうかその場をご支援いただくというのも国として・・・。矛盾したようなことを言っていますが、全部の市町村を支援するのもそうだけれども、災害NPOの有志たちが集まって、例えば智恵のひろばというのを開催しています。そういう市民がやっている集まりを支援していただくというのもいいのではないかと思っています。その際に、最初のほうでご発言がありました、行政の区分けとは別のところで立ち上げるセンターだって、被災者から見れば一緒ですから、被災者から見た目で支援ができるかということが大事かなと思いました。  最後のほうにありましたが、企業とか民間の支援というのは大変ありがたいものでして、それが使える地域で起こったときには、ぜひお願いしたいと思っています。それも、ひょっとしたら国のほうから声をかけていただくと動きやすいのかなという気もします。  そして、最後の最後にありましたように、国から出るにしても、これも税金ですし、企業のほうから出していただくとしても、これは仕事があってのお金ですから、やはり一般市民から来るお金も含めて、こういう活動をするときのお金というのは、気持ちがこもっていないと意味がないという、結局はそういうところにいくのかなという気がしました。まとまりがないですが、以上です。 干川(大妻女子大学助教授)  今までの議論の中でお気づきの点というか、渥美先生なりにまとめていただいたのですが、やはり行政がやるべき最低限のことはあるだろうと、これは今までのいろいろな中から出てきたと思います。いわゆるナショナルミニマムみたいな、あるいはセーフティーネット的なものだと思いますが、100万円あれば、それで何とかなるのではないか。これは渥美先生からのご意見ですが、こういった調査結果を見ると、これは多分支援物資のところを除いたことですから、そういうふうに見えると思います。支援物資等を入れれば、もっと大きな金額にはなっていくと思います。  ですから、実際にボランティアセンターを立ち上げるときに、最低限どれくらいのお金が必要なのか。これはもちろん緻密な調査に基づいて、データを踏まえたうえで、国としては最低限これだけのことはやらなければいけない、こういう手順を踏んでいれば、こういう状況であれば、そういう支援をするというのはやはり制度として作らなければいけないだろうというのは、多分皆さん共通のお考えだと思います。  あと、ボランティアセンターの運営ですね。本当は事務局とすれば、運営のマニュアルというか、資金の獲得というところまで含めて、多分ここで議論してほしかったと思いますが、そこまで時間がなかったと思います。そこまではちょっとペンディングというか、立ち上げて何をするか、どういうふうに動かすかというのは、なかなかそこまではいかない。本当はマニュアル化できればいいというのは行政のところだと思いますけれども。  今まで皆さんのご意見を伺って、これはやはりそれぞれ災害によって、地域によって、ボランティアセンターの運営といっても、資金の獲得のしかた、調達のしかたというのはやはり違うというのはよく分かってきたと思います。それでもやはりボランティアセンターを立ち上げれば、行政から支援を受けなければいけない部分もあれば、いろいろな団体、例えば労働組合とか、生協とか、民間の企業とか、個々人から資金提供をいただくとか、そういったことも当然含んでくると思います。  そんなことで、これもまた控除というか、行政がやるべきことと、例えば上原さんのところが今までずっと築き上げてきた団体の間の協働のネットワークというか、そこのところからいろいろと資金なども得られるルートも当然あるわけです。あとは、不特定多数の一般の人に呼びかけて、募金という形で資金が得られる部分というのはあると思いますし、その辺のところをうまく組み合わせていけばと。これは総花的な話になりますが、やはり活動資金を提供する主体というのがそれぞれあるわけですから、ここからだけでいいというわけでは多分ないと思います。  それで、やはり行政がやるべきこと、これは国がやるべきこと、あるいは自治体がやるべきところというのは、最低限のところは保証する、そんな方向が見えてきたのかなと思います。  もう一つは、資金を含めて支援者を募るうえでは、やはり情報発信がすごく重要です。これは先ほど栗田さんの議論のところでもかなり出てきましたし、東海豪雨のところでも真っ先にパソコンを確保して、インターネットで情報発信をし、そこで大きな力を発揮したということになりますから、やはり情報を出さなければいけません。  ただ情報を出すだけではなくて、これは先ほどの上原さんからのご発言ですが、やはりこの金がどう使われるのかとか、そういったビジョンを示して、その構想をバンと世に打ち出して支援者を募る。そういったプロセスがないと、お金、お金といっても集まらないというようなお話だったと思います。  あとは、実際に先ほどの福井県の例でしたが、大体7200万円ですか。そのくらいの金額があれば、福井の豪雨災害の場合は、何とかそれで全県域の災害ボランティアセンターをカバーできたという話です。また、一つの市町村レベルのボランティアセンターを立ち上げるお金がいくらかかるか。あるいは県域で、福井県というのはそんなに大きな県ではないと思いますが、そういった県であればどうだろうかとか、あるいはもっと大きな規模の都道府県だったら、どのくらいお金がかかるか。これはもうちょっと実証的なデータというか、そういった資金と支援物資も含めて、ちゃんと正確に換算して、そこで行政がやるべき最低限の支援も資金面のところでは考えていく必要があるのかなと思います。  そんなことで、私なりにちょっと論点をまとめてしまいましたが、まだいろいろと抜け落ちている、あるいは私の言っていることが違うだろうというようなところがありましたら、ご発言いただきたいと思います。 高橋(練馬区危機管理室防災課)  今日はボランティア団体で来ていますが、nerima-saigai.netの事務局をやっている高橋といいます。練馬区の防災担当の職員です。  今、いろいろ皆さんから出ました。私たちもふだんから区民の皆さんのボランティア活動と一緒に同じようなことをやっているのですが、一つは、ここで行政と協働して共にという話があったと思いますが、皆さんがたがタッグマッチを組まれた行政は、多分かなり質の高い行政だったのではないかと思います。半分皮肉で、半分本気で言っています。  というのは、地域防災計画に、例えば災害ボランティアセンターをどうやって立ち上げて、どうやって行政が支えていくかということは書いてありますね。そして、そういう防災訓練をやるわけです。担当の職員にその話をすると、かなり誤解が多いわけです。ボランティアなどやったことのない者が担当したりするとか、あるいは端的にいうと、行政自らがボランティアを募集して登録して、コーディネートしようとし始めるのです。多分そういう行政はまだいっぱいあると思います。私たちは幸いそういうことはないのですが、訓練で知らない職員にやらせるとそうなってしまうのです。  実際には社会福祉協議会があって、社会福祉協議会のボランティアセンターがあって、そのボランティアセンターの人たちは、いろいろ災害があるとコーディネーターで出張っていく人たちですから、私は頼りにしています。あるいは、災害ボランティアという意味では、ボーイスカウトの指導者の皆さんは同じようなことをやっていますから、そういうかたがたと一緒にやっているので、まず本番で間違うことはないと思いますが、訓練をやってみると、ものすごく変なことを平気で始めてしまうのです。そういう水準の行政をどうやって理解させて底上げしていくかというのは、やはり国の責任だと思いますし、都の責任だろうと思います。少なくともボランティアの皆さんの責任ではないですね。  その辺も含めて、資金の話でも同じです。ボランティアセンターを立ち上げるのは金がかかる、このくらいというと、例えば福祉部局の担当者とか、要するに財政の担当者は、「ふだんから社会福祉協議会には交付金をがっぽり出しているから、金なんかこれ以上出せない」と言い始めるわけです。そこから先は、うちは防災部局と財政との撃ち合いになっていくわけですが、そういうのは日ごろからやっていないと、本番のときに必ずずっこけるのです。  我々は少なくとも日ごろからやっていますが、一応その辺も含めて、行政とのコラボレーションという場合、行政側のマイナスファクターをいかに減らしておくかというのが、かなり大きな要素ではないかと思います。 吉田(ハートネットふくしま代表)  吉田です。今まで議論の中に一度も出てこないのですが、全国どこへ行っても必ず活用できる資金が、共同募金の資金としてありますね。我々NPOだけでも最高額300万、たしか資金としてはあるはずなのです。その議論が全然されていません。  今回の新潟県中越地震を見ていますと、あそこにボランティア活動をすると最高額100万円までの枠があるとか、その団体が活動拠点を設置すると300万までの枠があると書かれていますが、実際はそういう形ではなかなか運用されていません。  新潟県中越地震の場合には、我々が拠点を設置して今でも活動していますが、条項をそのまま読んでいくと、300万で申請していいのかなと思うと、残念ながらどこか文章でないルールがあるらしくて、各市町村に一つのボランティアセンター以外は300万を認めないとか、そういう話が実際に起こってきます。申請しますというと、「すみませんが、その申請はやめてください」みたいな話が実際起こってきます。全国の一人一人の善意で集まった公的なお金ですので、我々としてもきちっとルールが実際にどういうふうに運用されているかということについては、チェックをしていくべきではないかと思います。 干川(大妻女子大学助教授)  この部会のオブザーバーで、中央共同募金会のかたがいらっしゃいますので、その辺のところで何かお教えいただければと思いますが、いかがでしょうか。阿部さん。 阿部(中央共同募金会企画広報部副部長・企画課長)  お時間のない中、すみません。中央募金会の阿部と申します。よろしくお願いします。  吉田さんのお話ですが、確かに拠点となるボランティアセンターについては300万、これも上限ではなくて、実は300万を超えて、今回の新潟県中越地震ではご支援も、全国の共同募金会の資金を新潟に集約して使わせていただいています。  現状としては、やはりどう拠点を定義づけるかという、冒頭に吉田さんがおっしゃったようなボランティアセンターの定義というものは、実際、私ども共同募金会のほうでも、今回の新潟のケースが初めてぶちあたっているケースなのです。ですから、実際の新潟県中越地震での、あるいは今年度の各地の水害でのセンターの運営の在り方も含めた運営状況を、ちょうど年明けから検証作業に入っているところですので、もう少しお時間をいただきながら、よりよい方向にもっていけないかと現状では思っています。 吉田(ハートネットふくしま代表)  ルールには、ボランティアセンターとはうたっていないです。ボランティアセンター・NPOボランティアの活動拠点とうたっています。ですから、ボランティアセンターの定義そのものだけでは多分ないはずです。  それから、今、初めての経験だとおっしゃいましたが、この制度ができる前の資金で、実は98年の栃木県と福島県にまたがる豪雨水害のときにも、一つ前の制度があって、ボランティア活動には50万出す、拠点には100万円出すという制度があって、私たちの団体はNPO単独の団体として申請して、その100万の制度を利用させていただいています。以前の制度において最初の例と聞きましたが、現実的にはそうやって運用されている場面もありますが、今の制度ではどうもまだそれができていないみたいです。その辺のことは、我々自身が300万で申請して、はねられたら、なぜはねられたのかをきちっと聞いていくくらいのことはしなければならないのかなという気はしています。 干川(大妻女子大学助教授)  分かりました。これも興味深い話というか、今後の災害のところで、大きな資金源として中央共同募金等もございますが、これはまた28日の部会等もありますので。ちょっと時間が押してきていますが、最後に有識者のかたにもう一人、高梨さん、ちょっと手短に、今までの議論を踏まえたうえで何かご発言ください。 高梨(防災&情報研究所所長)  かなりボランティアの活動が全国的に、災害経験を糧にしながら展開されてきている段階に入っており、非常に心強いと思っています。ただ、受け入れ側の問題が非常に大きいネックになっているところがあって、地元の反対にあってボランティアがなかなか受け入れられない事例もあります。  その場合、現場のほうで聞いてみると、やはり過去に災害の経験をしたところですと、そのときに集まった募金などをもとに基金にしておいて、次の災害のときに活動資金にして、すぐに立ち上げられたというケースがあります。そのケースが幾つか出てきているのかなという感じがしますが、やはり市町村の行政の側と、ボランティアの協働で展開していくということが非常にポイントになってきている段階ではないかと思います。  活動資金はもちろんそうなのですが、福井の例では、スコップをトラック2台分、何千本も新居浜のほうに送り込んだというような話を聞いて、福井からわざわざ持って行くのか、その保管のための倉庫も必要ではないかということを確認したのですが、実は各市町村とか都道府県の応援協定の中に、ボランティアという項目を入れているところもあります。  物資については、食糧とか何かについては応援協定で提携するというようなことが出てきていますが、実は資機材のほうについても、ふだんから使っていないとさびついてしまうということもあるので、できたら市町村や都道府県にある資機材なども、そういう活動に活用できないだろうかといったようなことが一つ考えられました。  それは市町村や都県だけでなくて、国交省の工事事務所などにも設置されているようなものもあります。ですから、その辺の連携といったことも今後の課題なのかなという感じがしました。 干川(大妻女子大学助教授)  どうもありがとうございました。司会のほうがいたらずに、時間が押してしまいましたが、一応出だしの議論とかその辺のことを聞いてみて、行政のかたがた、特に内閣府とか国のかたがたとか、今日は自治体のかたがたは高橋さんがいらっしゃいますが、そういったかたも含めて、ボランティアセンターとか、その資金の獲得とか、その辺のところの実態とか、行政のかたのほうが、むしろ勉強する場だったのかなと思います。  あまりまとまらない議論になってしまいましたが、一応いろいろなボランティアセンターの立ち上げのところ、運営のところでの活動資金の事例の意見交換ができた、情報共有ができたというところで、今日のところは、この場は済まさせていただきたいと思います。全体会のほうで、またそれぞれ報告やまとめがありますので、そこで深めたい議論がございましたら、ご発言ください。  それでは皆さん、どうもありがとうございました。事務局のほうにマイクをお渡しますが、何かございますか。 渡部(政策統括官付参事官)  どうもありがとうございました。上のほうがあと6分か7分くらいで終わるという形ですので、ちょうど向こうのほうも定時ぐらいになっていると思います。恐らく50分過ぎあたりに机が整い次第、全体会を始めさせていただきたいと思います。全体会のほうは、また同じような座席のところにお戻りいただければと思います。  また、分科会で特にご発言いただけなかったかたで、発言したい部分があったとか、また、こちらのほうは資金中心でしたが、例えばボランティアの活動範囲についてもご発言したいというところについては、特にテーマの制限があるものではございませんので、全体会のほうで活発なご発言をいただければと思っています。  それではまた全体会でよろしくお願いいたします。ありがとうございました。