16年7月豪雨ボランティア懇談会

平成16年9月18日(土)

【第二部】

○小川(福井県水害ボランティア本部)

ありがとうございます。福井県でのボランティア活動の概要と意見交換の部につきまして、福井県側の方から進行という形で進めさせていただきたいと思いますので、ご了承をお願いしたいと思います。
まず進行に当りましては、福井県水害ボランティア本部の小川または田中の方で務めさせていただきますので、どうぞよろしくお願いを致します。また、お手元の資料にございます16年7月豪雨災害ボランティア懇談会、福井県資料というのをご参照いただきまして、また前方の方にございますパワーポイントのスライドも合せながら各発表を進めさせていただきたいと思いますので、ご参考までよろしくお願い致します。また、福井県の方としましては、9名がそれぞれの立場によっての活動の概要、また意見の部分の方で発表をさせていただきます。発表に当りましては、福井県水害ボランティア本部の本部長を務めておられます多田本部長の方から一言ご挨拶をお願いしたいと思います。
本部長、よろしくお願いします。

○多田(福井県水害ボランティア本部・本部長)

福井県社会福祉協議会の多田でございます。7月18日の福井豪雨災害におきましては、全国各地からあたたかい義援金や救援物資をいただきましてありがとうございました。また、6万人ものボランティアの方々が県内外から駆けつけていただき、被災者の生活復旧支援にご尽力をいただきましたことをあらためて皆様方に厚く御礼申し上げます。
福井豪雨による住宅への被害は全壊から床下浸水を合せますと1万4,141世帯となっております。7月19日、豪雨の翌日に福井県水害ボランティア本部を設置し、逐次災害救助法の適用となった市町村において行政と社会福祉協議会、日本青年会議所福井ブロック協議会、そして特定非営利法人福井災害ボランティアネットなどが共同しまして水害ボランティアセンターを設置し、ボランティアの受入れを開始しました。
各市町村の水害ボランティアセンターは、もともと災害対策本部の設置に伴いまして、行政がボランティアの受入れを開始しておりました。そこへ水害ボランティア本部の設置とともに官と民間との協働の水害ボランティアセンターの設置を呼びかけ実現したものでございます。被災者支援としまして高齢者や障害者世帯を重点的にニーズをとりまして、主に家屋や床下の泥出し、清掃などでボランティアによる人海作戦が行われました。このように猛暑の中、連日懸命に取り組んでいただいたおかげをもちまして、当初1カ月はかかるかと思っておりましたが、19日間で現地のボランティアセンターを閉鎖することができました。
福井県ボランティアセンター本部並びに市町村水害ボランティアセンターが早期に設置できましたのは、平成9年の重油流出事故を教訓としまして設置された福井県災害ボランティア連絡会が機能していた成果でございます。この連絡会は15の民間団体を構成メンバーとしており、年2回の会議開催と県の防災訓練への参加を実施しております。そして災害が起きましたときには、そのまま災害ボランティア本部に切り換えるシステムをとっております。福井県水害ボランティア本部並びに市町村水害ボランティアセンターの活動状況につきまして、これからそれぞれ関係者がご説明致します。よろしくお願い致します。

○池上

ありがとうございました。主催者の……。

○小川

おそれ入ります。こちらの方で進行させてもらって、先生すみません。ありがとうございます。

○池上

はい、どうぞよろしくお願い致します。

○田中(福井県水害ボランティア本部)

それでは早速、発表の方に入ります。

1番目、「被災者の声」と題しまして吉田さんの発表です。吉田さんは被災集落にお住まいで、当時被災された方々へのボランティアコーディネーターとしても活躍されました。お願いします。

(スライド)

○吉田(福井県・被災者)

まず、スライドをご覧ください。これが我が地区の豪雨時の状態です。またその後の被害状況です。集落35件のうち半壊1件、一部損壊4件、床上浸水5件、床下浸水12件という最悪の被害となりました。幸いにも私の家は被害が少なかったので、自分に何ができるのだろうと考えたのですが、正直私一人の力では何もできず、一刻も早く、ボランティアセンターが設立されないものかと祈っていました。
翌日、朝一番にセンターが立ち上がった連絡を受け、まず被害の大きな家を先にボランティアの要請ができることを伝えに行きました。その日の午後からたくさんのボランティアが駆けつけてくれ、12日間に500人余りの人たちが我が集落の復興に力を貸してくださいました。
後日、何人かの被災者に話を聞くと、いろんな感動があったそうです。特に印象に残った話ですが、二人の若い女性ボランティアが、トイレの汚物が溢れ出た所を一生懸命掃除していたので、家の人が驚いて、そこは自分たちがするからといったら、「私たちは半日の作業だからいいのですが、皆さんはこれから毎日もっと大変ですから、当たり前です」といって、逆に気づかってくれたそうです。まったく見ず知らずの人たちが何かしてあげようという損得勘定なしの純粋な気持ちで被災地に飛んできてくれたひたむきな心に胸をうたれました。
また、ある家では山からの土砂と鉄砲水で山際の池が土砂で埋まり、家にも被害を受けました。最初の3日間ぐらいは大勢の親戚が手伝いに来てくれていたいみたいですが、だんだん人数も減り復旧もはかどらず、からだも心も疲れ切った状態でした。私がお手伝いに行ったときは家族間でけんかが絶えないくらいでした。その後、ボランティアをお願いしてからやっと笑顔が見られるようになったのです。
まず最初に、夏休みということもあって、女子高校生が十数名来てくれたそうです。若さ溢れる笑顔とパワーで家族中が元気をもらったみたいです。今でもその話になると、その家のおばさんは涙ながらに、「もう一生忘れん」と言います。この豪雨で失ったものはたくさんあるかと思いますが、ボランティアからいただいた元気と勇気は一生忘れることのできない宝として、心に残るでしょう。

以上です。

○田中

ありがとうございました。それでは2番目の発表です。「ボランティアを体験して」と題しまして、黒田さんお願いします。

(スライド)

○黒田(福井県・一般ボランティア)

福井大学大学院工学研究科に所属しております黒田雅之です。このたびの福井豪雨災害ボランティアでは、福井市水害ボランティアセンターの物資セクションにおいて主にボランティアの方々への道具の貸し出しや物資の提供のお手伝いをさせていただいておりました。今回、初めてボランティアとして災害復旧活動のお手伝いをさせていただいたのですが、情報をいかにうまく扱えるかということが、ボランティアセンターがいかにスムーズに運営されるか。つまりはいかにボランティアの方々が、効率よく復旧作業を行っていただけるかのカギになるのではないかということを強く感じました。
特にこういった災害時には多くの情報が飛び交うにもかかわらず自分が必要としている情報がなかなか得られなかったり、自分が伝えたいことがなかなか相手に伝わらないという経験を多少なりともされたことがあると思います。また、そういった乏しい情報をもとに決断を下さなければならない場面に遭遇されたことがある方もおられるかと思います。ですから、飛び交う情報を、もちろんこの中には誤った情報ですとか不確かな情報が数多く含まれているのですが、これらをうまく交通整理してやる必要があります。もちろん、情報が溢れかえってしまってはいけませんし、逆に必要な情報が伝わらなくてもいけません。また、いかに情報の質を高めるかが大きな課題となってきます。
例としてボランティアセンター内でのことをいえば、まず各セクション間での連携をうまくとること。そして各セクション内で必要な情報を共有することが大切になります。特に各セクションで必要な人手のほとんどは1日だけですとか、半日だけ一般ボランティアの方にお手伝いをお願いするといった状況でしたし、場合によってはセクション全員が翌日にはそっくり入れ替わるといったような状況でしたので、日をまたいでいかに情報を伝えるかが大きな課題でした。こういったボランティアセンター内での情報のやりとりはもちろん、ボランティアと行政、そして何より被害に遭われた住民の方々との間で情報をいかにうまく扱えるかが復旧活動の効率を大きく左右することになると思いました。また、災害時だけでなくて平常時から高齢者や身体障害者といったいわゆる災害弱者とのネットワークを持っておくことが非常に重要であるという風に感じました。

以上です。

○田中

ありがとうございました。それでは3番目の発表です。「現地ボランティアセンターの取組み」と題しまして、児玉さんお願いします。

(スライド)

○児玉(福井県今立町社会福祉協議会)

今立町社会福祉協議会の児玉勝と申します。私はボランティアセンター内の組織的な流れと取組みを報告させていただきます。
今立町のボランティアセンターは大きく3つ。事務的なセクションとボランティアを誘導するコーディネートセクション、あと資材や車両の管理、ボランティアの衛生を管理するセクションで構成されておりました。
まず、センターの立ち上げと同時に広報活動を行い、被災者へセンター開設の周知を図りまして、被災者からの依頼の受付を開始致しました。事務局的セクションでは被災者からのボランティアの依頼を受け付ける業務と、その依頼をもとにボランティアの活動内容を紹介する紹介状やまた現地までの地図や活動内容を記した指示書を作成するマッチングという業務を行いました。紹介状と指示書はコーディネートセクションの方で活用されますので、次にボランティアの流れの中で説明致します。
コーディネートセクションは受付、名札づくり、紹介状、送り出しの4カ所で構成されておりまして、ボランティアはこの4カ所を順に経由して活動先となります被災現場へと向かいます。個人と団体で区別した受付場所でそれぞれ名前を登録していただきまして、その後、ガムテープを利用した名札を作成していただきます。団体の場合は事前に名簿を提出いただいて、これらの作業がなるべく円滑に進み、また時間の無駄が省けるように努力を致しました。
次にボランティアの方は紹介状で掲示されております紹介状を見て、希望する活動場所を選択致します。希望者同士がグループをつくり、次の送り出しへというセクションに向かうわけですけれども、基本的にはボランティア本人が自らの活動先を選択するというスタイルですけれども、今回は被災地の状況を把握しているセンターのスタッフの方が、独居の高齢者ですとか障害者を優先といったように、優先順位に基づきまして活動先を提案させていただくような形をとらせていただきました。
最後に送り出しを経由致しまして、活動先へと向かいます。この送り出しというところが一番重要になりまして、指示書による具体的な活動内容の説明や現地での注意事項の説明を受けていただきます。特に連日真夏日が続いておりましたので、熱中症の予防を徹底致しまして十分な飲料水を渡したり、被災者に対して、現地の方にですね、ボランティアの方を通じて十分に休息をとっていただくように情報を発信したりも致しました。
また、それからセンターの外では夏の日差しが照りつける中で資材と車両の管理班が汗を流しながら必要な資材の手配やボランティアの貸出の管理、また活動先までの送迎バスの段取りですとか、トラック、ダンプの手配などを行いまして、また衛生班の方では活動を終えて戻ってきたボランティアに対しまして、今立町に来ていただいたボランティアの方に病気になって帰ってもらうわけにはいかないという心構えで、靴の洗浄から手洗いの消毒、またセンターの入口では靴底の消毒、うがい、目洗いというふうに衛生面の徹底を行いました。
あと、そのほか被災者からの依頼、ニーズを受け身的に待っているだけではなくて、団体のボランティアを集落単位で送り込みまして、一件一件ニーズがないかを調査して回り、ニーズを掘り起こしていきまして、出てきたニーズのその一つひとつをクリアしていくというローラー作戦を実施致しまして、チェックマップに被災規模や進捗状況を書き込んでいきながらスムーズ、かつ効率よく復旧活動が進むことに努力致しました。

以上でございます。

○田中

ありがとうございました。では、4番目の発表です。「災害時医療ボランティア活動への提言」と題しまして、野口さんお願いします。

(スライド)

○野口(福井県水害ボランティア本部医療チーム)

福井大学医学部看護学科、野口と申します。学生ながら看護師免許を持っているもので、医療ボランティアのお声をかけていただきまして参加させていただきました。
お配りしている資料の6ページなんですけれども、まずはじめに、漢字の変換間違いが2点ほどありましたのでお詫び申し上げます。不勉強で申しわけありません。6ページの上から3つ目からですね、医療ボランティアの活動の必要性というところなんですけれども、「災害時のボランティア活動は、公的な救護活動では実現しにくい、極めて人間的な側面があり、結果的には公的な救護とは違う柔軟な救護活動を実現することができる」ということで、必要性として挙げさせていただきました。その人間的な側面という言い方なんですけれども、私たち医療従事者というのは、医療機関に勤めることが多いものですから、やはり患者様と私たち医療従事者という間で壁ができることが多いんですね。支援をする側とされる側ということで壁ができることが多いんですけれども、今回、医療ボランティアと被災者という1対1の人間としての一体感を持つことができたのではないかということで、「人間的な側面」という言葉を使わせていただきました。
その下の表なんですけれども、表の phase-0の右側の「防災担当者の方への期待」というところで矢印の上から2つ目ですね。救出部隊に同行する医療者が必要と。医療者の確保が必要というとろなんですけれども、この点は医療班と救出部隊がともに行動することで、より早期な処置が可能になるのではないかということで書かせていただきました。
次に、phase-1の四角のところの上から3つ目の一番下の「薬剤への対応ニーズが高い」というところなんですけれども、私が訪問させていただいた方々は新たに疾病を発生させるということよりも、もともとの疾患が復旧活動の疲労または薬の不足で悪化したり、コントロール不良になったりすることが多いので、そういう早い時期に把握できるのが医療ボランティアの利点ではないかと思います。
被災地の他の医療関係者との連携というところなんですけれども、こちらは私ども医療ボランティア、そして県外の医療ボランティア、日本赤十字社の方、そして行政からは保健師の方が情報のずれがないように、私どもの持っている情報をみんなで共有するという形で連携をとりまして、なるべく情報のずれがないようにという形で努めさせていただきました。
最後にphase-1の「防災担当者への期待」というところの上から3つ目ですね、「災害時に対応できる医療者育成のため」云々と書いてあるのですが、なかなか災害時に対応できる医療者というのがなかなかいないのが現状で、病院に勤めている関係上、やはり患者様が向こうからやって来てもらえるということがありまして、待っている状態ではだめなんですよね。こちらから一軒一軒訪問することで医療的なニーズ、また生活のニーズをとれることができるということなので……そういったことです。時間がきましたのでこれくらいで。

○田中

ありがとうございました。では、5番目です。現地ボランティアセンターの報告で「都市部(住宅密集地)における活動」と題しまして、小柏さんお願いします。

(スライド)

○小柏(福井県社会福祉協議会)

福井市社会福祉協議会の小柏と申します。資料8ページと9ページです。
私の方からは県内唯一の都市型、都市部での水害ということで、これほかのセンターと全然違うのは、ほかのところは自治会単位、集落単位でボランティアの依頼をされることが多いんですが、私どものところは個人が単位での依頼ということでいろいろデータを分析してみました。泥のしみついた書類をふり返ってみましていろいろ依頼者の傾向などを探ってみました。その結果なんですけれども、まず依頼者の6割は高齢者や障害者が含まれている世帯でした。それと高齢者や障害者の世帯ほど一般の世帯と比べて約1.5倍ほどリピーター、2回以上ボランティアを依頼される方というのが非常に多かったという結果になっております。
また、高齢者、障害者が含まれている世帯は、代理人からの依頼、一番初回のときなんですけれども、代理人からの依頼というのが約3割ございまして、その代理人というのは在宅介護支援センターあるいは民生委員、福祉委員、そういった方々、日頃から関わりのある方々が代理人として活躍してくださったという結果になっております。それと先ほどのリピーターにちょっと絡みますが、一回頼みだすともう何回でも頼まれる方が多くて最高20回、5回以上頼まれた方も高齢者の世帯からの約1割ぐらいありまして、慣れるとすごく頼まれるんだなということがよくわかりました。
あと、受付日の傾向なんですけれども、一般世帯は開設して2日目にすごく伸びが急激だったんですけれども、高齢者や障害者の世帯は2日目、そして3日目と連続して急激でした。つまり、少し遅れて高齢者や障害者にそのボランティアセンターが設けられたという情報が伝わっている、あるいは依頼するかどうかというその辺のやり方がなかなか伝わっていないというそういう問題点が表れているんじゃないかなというふうに思います。
あと、9ページの上の方に表をちょっと載せていますが、地元の在宅介護支援センターの調べでごらんのような形で水害がきっかけで人生が変わってしまったというふうな結果になっておられます。これ本当はもっと多いんじゃないかなというふうに思います。
最後に課題なんですけれども、ちょっとあえて3つ言わせていただきます。
まず1つは、ボランティアセンターの場所です。幸い今回は県とかの協力もいただきまして、いい場所にボランティアセンターを設けられたんですけれども、やっぱり高齢者や障害者はそのボランティアセンターの存在を知るのが遅い可能性があると。で、とりこぼしのないように工夫はしてきましたが、ひょっとしたら最後までボランティアセンターがあるのを知らなかったという方もいらっしゃるのではないかなという可能性があります。
それと安否確認と情報開示とのあり方ということなんですけれども、ひとり暮らしは日頃からの行政の制度などで情報をちゃんとチェックされていますが、高齢者世帯、高齢者二世代あるいは障害者が含まれている世帯というのは、なかなかデータの必要性というのは普段から感じられておられません。でも実際には今回、水害の方で大変だったのはそういった方々だったんじゃないかなというふうに思いますので、そういうデータを普段から意識するような行政の取組みあるいはそのデータの扱いをボランティアセンターにも広げてほしいなというふうに思いました。
あと、最後に行政のあり方なんですけれども、おかげさまで担当の方は協働できたかもしれませんが、残念ながら行政全体とは協働はできなかったんじゃないかなというふうに思っております。つまり最初からの話し合いが十分にしきれなかったということで、水害ボランティアセンターもろもろ行き違いとかが生じたということで、その位置づけについてもっと行政の方にわかってもらえるような働きかけというのが、これはもう国レベルでも必要なのではないかなというふうに思いました。

以上です。

○田中

ありがとうございました。では、次の発表です。「山間部(土石流被害)における活動」と題しまして、中桐さんお願いします。

○中桐(福井県勝山市青年会議所)

美山町水害ボランティアセンターの中桐でございます。美山町は福井市に隣接する山の町でございます。今回氾濫した足羽川の福井市から見て上流の町に当ります。山間部ということで福井市内とは大分状況も異なっております。1,300世帯ぐらいあるうちの400世帯が床下浸水以上の被害を受け、また役場も被災したと。ほとんど公用車も流れてしまったといった状況でスタート致しました。
蔵作地区というところでは、蔵作川を中心に土石流が発生し、また人工造林でスギが植えてあるのですが、そちらの林道が逆に川になって水と流木を運んできたと。そういった形で甚大な被害を受けました。ひどいところでは1メートル20センチほどの土砂が屋内に堆積したり、家の中が川になってしまったといった家もございました。屋内では当然重機が使えませんので、人により手作業で土砂のかき出し作業を行いました。これはボランティアの方に行っていただきまして、1件のお宅で100人を超えるボランティアを導入して作業を行ったというところもございます。重機が使えないということで本当にこれはもう人手による、このボランティアにしかできない作業だなというふうに感じました。
運営面では、まず土石流、それから道路がアクセスで非常に悪くなっていますので、ボランティアの方を迎えるにあたって非常に問題がございました。まず福井市から美山町までの国道をどうするかといったところですね。それからボランティアセンターから被災地に向けてどうボランティアの方を運んで行くかといったことが、私どものボランティアセンターでは問題となりました。
まず、美山町までのアクセスは工事関係者とボランティアの方以外の車を通行止めにしていただいて運ぶと。ある程度道が復旧してきましたらシャトルバスを出して福井市からボランティアの方を受け入れると。ボランティアセンターから被災地までは、地元の消防団はライフラインの復旧を優先ということで、一般車両を締め出してボランティアセンターの方で管理したバスを被災地まで運ぶといった形で対応させていただきました。
センターの立ち上げの当初はダンプだとか軽トラ、ユニック、もう人が乗れそうなものは何でもかき集めてきて人を運んでいたんですが、週末を迎えるにあたり安全面からマイクロバス、ジャンボタクシー等をセンターで用意をさせていただきました。それでも3,000人を超えるボランティアを受け入れた時には足りなくて、団体で来られたバスですね、そちらの運転手の方に「このバスを一日貸してください」とお願いして、そちらを搬送用に使わさせていただくようなことも致しました。
ライフラインの復旧を優先して、まずやったものですから一番奥の折立地区というところがあるのですが、そこにはバスで1時間ほどかけて行く。そこから30分ボランティアの方が歩いて行って作業すると。そういったことになっておりました。ですから、被災地までの移動に時間がかかるものですから、いったんボランティアを送り込むとなかなか帰って来れないということでございます。本来、手弁当で来ていただくボランティアだと思うんですが、近くにコンビニだとか自販機があるわけでもないですので、送り込んで倒れられると困るので、食料は昼食から飲料水は若干だけ用意をさせていただいてお持ちにならないボランティアにはオリエンテーションをした上でお渡しするということも、私どもの方ではさせていただきました。
また、長時間の作業ということで多い日にはお恥ずかしいんですが、日射病、熱中症などで30名ほどの方がそういう症状を、3,000人も来ておりますので、訴えられました。しかし幸いに日赤の方が常駐していただきましたし、それからボランティアで看護婦の方にも来ていただきましたので、そういう対応が何とかできたといったところでございます。こういう山間部ではセンターが責任を持ってボランティアを送り出せるかどうかというのも大切だと思います。いろんなことに注意をはらって運営していくことができたなというふうに思いました。

以上でございます。

○田中

ありがとうございました。福井の方の少しずつ発表の時間が長くなっておりますので、お気をつけください。
それでは続きまして、「行政とボランティアの連携は」ということで、西野さんお願いします。

○西野(福井県鯖江青年会議所理事長)

ありがとうございます。福井県は鯖江市、皆様も95年世界体操選手権でご記憶にあられる方も多いかと思いますが、そちらの方でボランティアセンターの、鯖江市では災害が4地区にありました。その中の河和田地区の方のボランティアセンター長を務めさせていただきました社団法人鯖江青年会議所、理事長の西野と申します。よろしくお願いします。
私の場合、行政とボランティアの連携ということで先ほどからずっと新潟の方々のお話、問題点とか今後のご協議していただく点とかというのをおうかがいさせていただいて、ほとんど我々も同じような疑問でありますとか問題点をかかえながら作業を進めてまいりましたので、取り立てて私がいうこともないかなというふうには思うんですが、ただ今回、この7月18日から本日9月18日、2カ月後にこんなに早々に「7月豪雨ボランティア懇談会」というのを、内閣府の方で主催していただいて開催していただけるということは、我々まさにボランティアの存在、またそういう意義というふうな部分を先ほどの方々の意見も含めてですが、お国の方も理解をしていただいている成果が、本日ここに表れているのではないかなというふうに思いますので、私が気づいた点というのは2点だけ申させていただきたいというふうに思います。
やはり絶対的に必要な行政と我々ボランティアスタッフ、お世話する側との連携が必要だなというふうに感じましたのは、先ほど室崎氏がおっしゃったことなんですが、ボランティアを受け入れる方々のお気持ちを一番に理解しているのは、やっぱりその地区に住む住民の、決してボランティアではなく行政の方々がその人のケアをしていただくわけですから。
我々、福井県には6万人近いボランティアの方々が日替わり弁当のように来ます。そういう方々をやはり田舎の地区で、この2週間、3週間の間、もう毎日違う顔を見るというのはまさに本当に恐怖心、いろんなやはり悪徳業者という方も、やはり今回は都会からも来られたみたいですし、そういうふうな人たちのことを考えると、我々本当にボランティア、名札を付けて行ってもなかなか受け入れてもらえないというのが実情やっぱりありました。
そういうことで鯖江市の場合は、区長会を取り込むような努力をまずセンター長としてさせていただきましたし、そこら辺の連携はやっぱり行政の方々が社協を通じて、また独居の方でありますとか、からだの不自由な方々のケア、心のケアというふうな部分をしていただいて、我々をうまく利用というとおかしいですけれども、協働しながら作業を進めていくというのが一番大切ではなかったかなというふうに思います。
また、先ほど福井のメンバーで言われたんですが、正確な情報の共有化ということで、我々鯖江地区の奥地の方、山奥、山間部になりますと、ボランティアに出ている最中に避難勧告が出まして、あわてて我々が車を飛ばして残された20名のボランティアを回収するという作業がありました。こちらの方も自衛隊はいち早く逃げてて、我々が若干残されていた部分があったんですが、そういうふうな部分も情報をしっかりと共有化するためにも連携といいますか、そういうようなことをしっかりととっていただけたらなというふうに思います。

以上です。ありがとうございました。

○小川

ありがとうございました。今の部分につきまして各被災を受けた方、また各センターの部分でございます。これからの部分につきましては、福井県のボランティア本部としての取組みというような部分でお話をさせていただければと思います。

では、6番目につきまして「現地ボランティアセンターの立上げ」ということで、細川さんよろしくお願いします。

○細川(福井県NPO法人ふくい災害ボランティアネット副理事長)

よろしくお願いします。今立町のセンターと福井市の一乗谷朝倉氏遺跡の復興プロジェクト、その両方の立ち上げ、運営を行っておりました細川と申します。
今立でのセンターの立ち上げ初動のお話をさせていただきます。私が今立町の被災を聞いたのは新潟の三条にいたときです。今立町の何カ所かの集落で避難勧告が出たという情報を聞きました。それで新潟からとんぼ帰りの車の中で避難所にいる同僚に電話をかけ、そして避難の状況あるいは町内のほかのいくつもの集落で床上浸水があったこと、小学校などがすべて被災をし、一時児童が学校で孤立したなどという町内の情報を聞きました。「被災は町内の広範囲に及ぶ。今立町にもボランティアセンターがいる」と判断を致しました。発災日の18日の午後のことです。
さらに、すでに水がひき始めているとの情報も得ましたので、「今立はもうボランティアセンターを立てることができる。今立は速攻、短期決戦でいこう」という方針も自分の中では決めていました。でも、大きな判断だったので内心は本当に不安でした。
県のボランティア本部の立ち上げのために、災害ボランティアセンター連絡会を県庁で7時に招集・開催することとなり、私の方は地元の今立町へ帰り着き、本部が立ち上がるのに合せまして今立町長にボランティアセンター開設の許可を得ようと走り回りました。町長の方は、ボランティアの力が必要だということはすぐ理解してくださったんですけれども、町が脆弱な財政ですので、予算がなく「できない」とはじめは拒んだということです。でも、うちにはボランティア活動基金という財源があるので、お金の心配はしなくていいという説明を聞きまして、それならばと許可をしてくれました。
県本部の設置を決定したのが午後7時10分、今立で町長のオーケーを取れたというのがそのすぐ直後です。ですからその発災日の夜のうちに組織づくり・場所の確保・電話開設を行いまして、翌朝の9時にはセンターをオープンするということができました。
次、運営に関してです。センターオープン当日の朝、明るくなりますのと同時に、私は町内を巡りました。道路には被災のショックと生活の不安で眠れなかった人たちが、何していいかわからないという様子でぼぉーっと道を歩いていました。話をしますと、精神状態、健康状態ともすでに非常に悪いのが手に取るようにわかりました。被災者が参ってしまわないうちに、できる限りの支援を一刻も早くやらなくてはと、そのとき痛烈に感じました。
現地でのセンター運営に当りましては、毎日毎日いろいろな課題やトラブルがありましたが、結果的に非常に効率よくセオリーどおりに事が運び、当初の方針どおり短期集中で収拾することができました。それといいますのも本部から必要な物資は購入してよいと許可をしていただいたこと、直接必要物資を配送してもらうなどして物資・金銭面の心配をしなくてよかったこと、あと何かあるたびにセンター長や統括コーディネーターのアドバイスや支えというのを随時受けることができたことなどの、本部の支えがあったからです。
また、ボランティアセンターがスタッフの知恵の結集で、各セクション部門を担当していますスタッフが交代をしても、次の人が困らないようにというように部署部署で本当に知恵を出し合ってマニュアルを作ったり、申し送りをしたりしてうまく運営をすることができたのも大きな原因の一つです。
また、被災地の様子から、ぜひこれはボランティアじゃなくて行政で対応してほしいと思った、無理難題を統括コーディネーターにお願いすることもしばしばありました。おかげで救われたことが数々ありました。

以上です。

○小川

ありがとうございます。続きまして7番「現地ボランティアセンターのバックアップ」ということでボランティア本部の北風さん、よろしくお願いします。

○北風(福井県青年会議所福井ブロック協議会副会長)

社団法人日本青年会議所北陸信越地区福井ブロック協議会に所属している北風といいます。よろしくお願いします。
我々福井ブロック協議会は、災害発生時より福井県災害ボランティアセンター連絡会の所属団体として災害からの早期復旧のために民と行政が一体になり、福井県水害ボランティア本部の立ち上げと運営、各ボランティアセンターの支援に関わらせていただきました。
今回は、福井県水害ボランティア本部と福井市水害ボランティアセンターが同じ場所に設置することとなり、私は現地センターの立ち上げと設営から参加させていただきました。水害を受けた被災者を、そして福井を復興させたいという気持ちを持つ人たちの熱い思い、そして行政のボランティアに対する理解がボランティアセンターの一番大切な原動力だったと強く感じました。
地元福井をはじめ全国から集まって来られたボランティアの思いと活力を被災者にどのように各センターがつないであげられるのか。日々変わるボランティアのボランティアによるボランティアセンター、そのセンターの支援には何が必要か。被災の大きさから自分には何ができるのであろうか。本部として何をするべきか。本当の支援とは何か。私の中にはマニュアルなどありませんでした。しかし災害復興への思いを持った県本部の方々と連日行われた夜の会議までともに行動することで、ボランティアの支援活動を行うことができました。
それは被災者、ボランティアの情報、適切な道具の提供、ボランティアを適切な場所に送れる車両、ボランティアの健康への配慮等々、ボランティアセンターの流れがボランティアによる災害復興に向けた循環などです。幸いにも福井県では平成9年のロシアタンカー重油流出事故によりつくられた福井県災害ボランティア活動基金が初期活動へ大きなカギとなりました。
私は各センターへの道具、車両、飲料等の物資支援といえども、物資だけを手配するのではなく、各センターへ送り込む物資を常に頭の中に置き、できること、関われることは自分から率先して行動し、ボランティア本部で情報を収集するだけではなく各センターへ出向き、支援のニーズや情報を引き出すことが大切だと感じました。このことをすることにより、円滑な物資入手、物資配送、車両、人の手配が行えたと考えます。その中にも常に同じ目的を持った方々との助け合い、また常に自分の中で自己判断し、行動する。そしてその答えの中から常に一番の手法を現場に合せて改善していくことが大切でした。
今回の福井豪雨災害を通して、民と行政、それぞれ日頃の立場は違いますが、人と人、同じ目的を持ち、それぞれの持っている立場を活かし、自己責任のもと決断力と行動力を持って助け合うこと。そのことをいち早く物事に取り組み行動することがボランティアセンターへの後方支援活動につながったと考えます。

○小川

ありがとうございました。続きまして、「議会との連携について」ということで、先ほどの統括コーディネーターということで出ておりましたが、東角さんの方からよろしくお願い致します。

○東角(福井県議会議員)

皆さん、こんにちは。福井県議会議員をしております東角と申します。
実は今回の災害、今聞いていただいたとおり福井の取組みは非常に基金があってよかったと、行政のサポートもあったというようなお話がありましたけれども。実はその資料にも載せておりますけれども7年前の重油災害のときに、実は私、当時その災害のときの災害ボランティアセンター長をしておりまして、非常にそのセンターを立ち上げるときに苦慮致しました。なかなか行政側から受け入れてもらえないと、ストップがかかったというような問題ですとか立ち上げ当初のお金がなかったとかというようなことで、非常に苦労致しまして、その後、それを契機に何とか県でボランティア活動のための基金をつくれないだろうかとか、支援体制をもう少しできないだろうかということで、長年かかりまして仕組みをつくってまいりました。
おかげさまで行政側の方も理解していただきまして、当時義援金でいただいたお金の一部を、1億3,000万というボランティア基金という形に積み立てておいていただいたものでございます。そしてまた、常にそれだけではなくて担当所管課とは顔の見える関係をつくってきたということで、今回このようなことがあってもいち早い立ち上がりができたものではないかなというふうに思います。
先ほど申しておりましたけれども、実は私も前日は新潟におりまして、当日7時ごろでしたか福井の方から電話がございまして、福井が大変なことになっているということで、私どももホームページで雨量情報を見まして、確かにデータ的にすごいものが出ているということで、これは大変やということで行ったみんなで新潟から引き返しておりました。で、私どもはもう引き返す途中から、先ほどの細川さんの話にもありましたけれども、電話で現地のいろんな情報を聞いたりして、もう引き返す途中に資機材なんかの発注もしておりました。それだけ逆にいえば、どうこの災害に対してボランティア活動をしていこうかという計画を、もうその段階でやっていたわけでございまして、目標を持って、短期決戦という目標を持って今回は当らせていただきました。
非常にそういった特徴がある今回の活動だったわけでございますけれども、非常に広域的にも、資料の17ページぐらいを見ますとその資料がありますけれども、県本部が全体の各センターの現地センターをきっちりとサポートできたのではないかなという風に思っております。
そしてもう1つ、これはなかなかこういったことはできないんですけれども、特徴があることなんですけれども、実は今回6万人を超えるボランティアの方々いらっしゃいましたけれども、我々が本部を立ち上げるときに県の教育委員会に話をもちかけまして、ちょうど夏休みに入るということもございまして、ぜひ県の教育長の方から県内全域の中・高校生に対してボランティア活動を働きかけてくれと、これはいい機会になるから強制じゃなくて、ぜひこういった活動を強力に働きかけてくれということで、非常に我が県の教育長も理解がございまして、非常に上手に、半強制的に高校生にその活動を促していったようでございます。おかげさまで2万人に近い高校生のボランティアがありまして、非常に高校生にとってはいい成果が出たのではないかなというふうに思います。また、引率に当った先生方がボランティア活動というものがどういうものかというものを理解したのではないかなというふうに思っております。
議会と致しましては、非常にうまくいったといってもなかなか行政システムの中では担当所管課はわかっているんですけれども、県庁全体と致しましては資機材の共有化ですとかあるいは資金、基金がありますけれども、それの取崩しとなりますと非常に議会、行政の仕組みの中では硬直化されている部分がございまして、すぐにはなかなか基金も取り崩せないというような部分もございまして、その辺を強く議会側から申し出させて早々に基金なども取り崩せるような、そして資機材の共有化も図れるようなことをさせていただきました。
そしてもう1つ、情報ですね。どうしても県ですと市町村の情報を待つというようなことがございます。やっぱりそれでは対策が遅れるというようなこともありますので、実際に被災に遭われた市町村では情報を出せる状態にはないんですよね。そういったものを理解していただいて情報を迎えに行くように、かなり強く議会としては述べさせていただいたというふうに思っております。
課題でございますけれども、実際、新潟県と違いまして福井の場合、もう少し県外のボランティアの団体の方、サポートしていただける団体の方をコーディネーター等の方を受け入れた方がよかったのかなというふうな気もいたしております。それと発信が少し足りなかったというようなところもございます。そして今後こういった田舎の方の災害において大事なのは、地区・集落単位ぐらいに、ぜひ各中学校単位でできたボランティアセンターと連携をとれる仕組みづくりをまちづくりの中で日頃からつくっておくのが大事なのかなというふうにも思います。そうすればサテライト基地みたいなのができまして、非常にスムーズにいくのではないかなという風に思っております。
最後になりますけれども、福井県と致しましては今回も多くの全国からのご支援をいただきました。たくさんの義援金もいただきまして、今議会そして県も中心になって、さらに基金を上積みする予定でございます。今までは県内だけの災害に限っておりましたけれども、県外で起こった災害におきましても、ぜひともその基金を活用して今度は福井の心を肉づけして全国にお届けしてまいりたいと思いますので、よろしくお願い致します。

○小川

ありがとうございました。9番、最後に「全体をとおして」ということで福井県水害ボランティア本部センター長を務められました松森センター長、よろしくお願い致します。

○松森(福井県水害ボランティア本部・センター長)

最後ですので立たせていただきます。東角さんがほとんどいうこと言っちゃったので、私言うことはないんですけれども、もう一度おさらいなんですけれども、福井は発災の日に今立町はもう設置しました。稼働が翌日です。福井水害が朝刊で伝えられると同時にボランティアセンターは動き出したということなんですね。それから現地に入れるところからすべて、入れるようになったらとにかくボランティアセンター動かすということができました。
この荒技ができたというのがある意味、福井県災害ボランティアセンター連絡会という存在です。これはもう平常時から「災害が起きたら我々みんな一致団結してやっていこう」という取り決めが一応ありました。一応ありましたとだけ、今ここで言っておきます。で、福井県災害ボランティア活動基金、これ1億3,000万なんです。これは強かったです。どこの市町村、被害を受けた市町村と話をしても一番最初に心配するのはお金の心配です。気持ちいいですね、金の心配はしないでください。ボランティア側からこんな強気の発言やる、こんな気持ちいい話はない。で、それを言った瞬間に市町村の担当者の目つきは変わります。そんなええ話に乗らん話はないやろという形でみんな乗っかってきます。
しかも我々の方でセンター連絡会の方でセンターの設置から運営に関するノウハウの提供も全部合せてやらせていただきますということで、活動を展開しました。これが非常に強かったです。ちなみに1億3,000万いくら使ったかということなんですけれども、8,600万使いました。しかし梅干しとか飲料水というのはなかなか出ないので、それはまた別口のボランティア活動基金を設けさせまして、基金で使えない部分、いわゆる二重の資金繰りをしましてそれでやっていくという形です。お金の心配はするなと言ったんですが、1億3,000万、いまだかつて基金の活用やっていただけないんですよ。本当に県が認めてくれるかどうかというのはわからないのです。その中ではもうめくら判です。「するな」と言いながら大丈夫かなとか思いながらやっていたんですが、まあ何とかそれがこの前の議会でうまくいきました。
ただし、そのセンター連絡会とかいうのは人の器です。人が入り込む器です。そして活動基金といったものはそれを動かす原動力です。しかし、でもそれを動かしていく本当に必要なものは何だろうと考えたときに、我々福井県では昨年来、いろんな研修とか訓練プログラム、非常に充実した内容でやらせていただきました。
それには必ずボランティア側とともに行政の方にも入っていただく。今回ここでいう行政というのは福井県の担当者の方です。入っていただき、県は災害が起きたときボランティアとともに何をしなければいけないのかとか、ボランティアは行政とともに何をしなければいけないのかといったことを平常時から積み上げて、信頼関係が生まれていたんです。「あっ、松森がスコップ2,000本いるんや」といったら、「あっ、そうなんやな」というところがあったんです。
でも、見ず知らずの人間が県の職員に向かって金あるんだからスコップ2,000本買ってくれといっても、何で2,000本いるんだといったところで話がそこで途切れてしまうんですね。しかしそれを柔軟につないでくれたのが、日頃積み重ねてきた信頼関係、あとそれが一体となって共に責任を共有する。一緒に責任を背負って一丸となってこの災害に立ち向かっていこう。何とか一刻早く復興していこうという思いが一つになって、一緒にボランティアセンターを設置して、一緒にボランティアセンターを運営していきましょう。通常いわれているのは公設民営というボランティアセンターの運営方式というのが大体一般的にいわれているやり方がそれなんですが、今回我々がめざしたのは共同で設置をして共同で運営をする。そういうような新たなパターンでのボランティアセンターの取組みをめざしました。
 これが幸いにもそういったような関係があってうまくいったわけなんですが、それでもまだ、なおかついろいろな問題点はあります。情報の問題でありますとか人材の問題、あと、それとお金を取り崩すための基準値といったものもないわけなんですね。そういったものがより安心して活用できる、運用できる。そういったような仕組みをさらに進めていくことによって、もっと安心できるボランティア活動につながっていくのではないかということで、先ほど東角さんの方からもありましたとおり、今後基金の問題、あとそれとボランティア活動に関する条例的な問題も視野に入れた取組みといったものを、今後やっていこうと思います。
 最後ですので、本当に福井というのは昭和23年に福井大震災、昭和38年、昭和56年、豪雪災害、それからナホトカの重油災害、そしてまた今回の豪雨災害と、本当に災害が多い県なんだというのを今実感しております。そのたびに本当に全国からご支援をいただきまして、本当に誠にどうもありがとうございました。
 以上で終わらせていただきます。(拍手)
○小川
 どうもありがとうございました。以上をもちまして福井県のボランティア活動概要、それから活動発表を終わらさせていただきます。

以上で48分になりましたが、申しわけございません。池上先生よろしくお願いします。

○池上

ありがとうございました。正直申しまして30分延びております。これからもなお一層の皆様のご協力をいただきたいということと、今福井県側のご発言に対してほかの参加者の方々からご意見をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
それでは、私が勝手に東京災害ボランティアネットワークの上原さんいかがでしょうか。今三宅島の方でいろいろと支援をしていらっしゃる方なんですが。

○上原(県外・東京災害ボランティアネットワーク)

私も新潟にはほんの少しお手伝いに行ったのですが、新潟と福井の相違というものについて少し遠くの方から見ていてね、ああ、福井というのは97年のナホトカ事件をしっかりと引き受けて1億3,000万円の基金がしっかりとあって、これはいつも僕たちが災害という問題について長く備えるというものを本当によくなされている地域だなということを感心をしておりました。
新潟の皆さんも本当にさっき100本のスコップと100本のデッキブラシであんなに困るということを、大臣よく考えていただいた方がいいというふうに思いますね。あんなことで困らしたら、僕たちの国はもう大変だ、というふうに思います。小さなお金ですよ、たった数千万円のお金で地域が支えられるというふうに思います。多分100本のスコップを買うのに大変な苦労をなされていたというのは、僕たちはもうそろそろ、そういう時代から脱却をしなければいけないなというふうに思います。
それから一言、先ほど最後にということでご報告をなされましたけれども、コーディネーターというもののレベルがさまざまあるというふうに思います。私は最近スーパーコーディネーターなんていうわけのわからないことをいっていますけれども、例えば行政の皆さんと本気で差しで、これはもうスコップが2000本いるんだと。もう金はあとの話でこれはもう決断をする。そういうような環境の中に、今松森さんでしたか言われたようにそういうお役を持つやつが、そろそろ出ていかないといけないのではないかというふうには思っております。長くなりますからもうこの辺で。

○池上

ありがとうございます。ほかにいらっしゃいませんか。それではもう一方、村井さん。震つなで、先ほど報告の中にお名前が何名か出ていらっしゃいましたが、よろしくお願い致します。

○村井(県外・震災がつなぐ全国ネットワーク)

震災がつなぐ全国ネットワークの村井と申します。神戸から来ました。今回は福井・福島・新潟の災害に関連して皆様大変ご活躍されまして、本当にご苦労さまでした。私は震災がつなぐ全国ネットワークとして後方支援の事務局ということで現場の方には一度も入っておりませんが、今日来ている仲間の何人かの方に現場に入って汗をかいていただきました。その方たちから時間があれば発言を個別にいただいた方がいいとは思うのですけれども、私の方に先に発言が回ってきました。前半の話を聞いておりまして、皆さんが言っていないことで1つだけ気がついたので言いたいと思います。
今回は、大臣のご配慮によってこういう形で、災害ボランティアに対する労をねぎらうという場が持たれました。災害後のボランティア活動の重要性というのも、もちろんありますが、普段の日常的な防災といいますか、事前の防災の中で行政との協働とか地域との支え合いとかということを、もう一度あらためて考えなければいけないのかなということを強く感じました。その中で財源の問題とか、具体的な助け合いの仕組みとかということもかなり模索できるのではないかなというふうに思っています。
手前味噌で申しわけないですが、名古屋のレスキューストックヤードの栗田さんが来ていますから、あとで発言をもらえたらいいのですが、彼のところでは今徹底して普段地域でどのように事前の防災をやるのかということを、取り組んでいます。そういうことを徹底してやらないと、結局新潟のような、15人のうちほとんど全員が高齢者であって、非常に悲劇的な事故を生み出すということを繰り返すのではないかなというふうに思っています。ぜひ日常的な事前の防災というものに、この機会をもって取り組んでいただけたらなというふうに思います。

○池上

ありがとうございました。今、レスキューストックヤードの栗田さんという……はい、よろしくどうぞ。手短にお願い致します。

○栗田(県外・NPO法人レスキューストックヤード代表理事)

じゃあ、手短にすみません。ご指名ですから一言だけ。災害時に駆けつけるボランティアが130万人の阪神大震災がボランティア元年といわれて10年という重みを非常に感じております。この10年の間に私たちが当初、神戸に駆けつけたということが非常にまだ特異な時代であったと思います。10年前にこんなことが実現するとは思っていませんでした。ところが、やっぱり災害が起こるたびに災害ボランティアの活動をし続けた結果として今日があると思っています。非常に今日は意義深い日だと私は思っています。
その中で、ただ災害が起こったら災害ボランティアが活動するということも一つ大事な側面ではありますが、もう一方でやっぱり災害が起こっても、もともと災害に強いまちをつくっておくということの方が大事じゃないかということもありますから、せっかく災害ボランティアこうして福井や新潟で10万5,000人ですか数えると、で、10万5,000人の方々に現地で少しガイダンスの時間みたいなのがあって、自分たちはこういう災害が起こった現場を見たので、自分の地域がこうならないように、じゃあ、今何すればいいのかということを少し考えていくような仕組みができるといいな。そのためには貴重な人材とか有能なスタッフが当然それなりに養成されないといけないと思っていますが、そういった条件整備が今大事だと思っていますけれども、ただボランティアに来なくても、もともとうちは大丈夫だということが本当に言えていくような地域を一つずつつくっていくことも一方で大事だというふうに思っていますので、そのような活動が不十分ながら名古屋で展開しているということであります。

以上であります。

○池上

手短にありがとうございました。続きは第三部をお楽しみにというところでですね、室崎先生にコメントをお願い致します。

○室崎

それでは私も手短にしたいと思います。一番目に申し上げたいのはやっぱり日頃の取組みということだと思うんですよね。それも2つございまして、1つは日常的なやっぱりそういう信頼関係だとか協働関係というものがしっかりできていないと多分いけないということだろうと思います。それから2つ目はやっぱり体験の共有化というか、この福井の場合を聞いていますと先ほどからナホトカ号の重油流出事故等々の経験が生きております。で、それが今回のある種すばらしい成果につながっているように思うんですけれども、この体験がやっぱり全国に広められたいのかどうかというところは、やはり我々は考えるべきところがある。となると、今回の新潟や福島や福井の体験をどうやってしっかり教訓を交わして全国に伝えていく。で、基金の問題も福井だけじゃなくてやっぱり全国津々浦々にこういう基金がしっかりできるような体制をどうつくるかというところに、やっぱり日頃つなげていかないと多分いけないだろうというふうに思っています。
それから2つ目は、こういう活動の基盤、わりあい協働関係必要だというふうに言いましたけれども、じゃあ、具体的に何が要るのかということだと思うんですね。僕はそれはひと・モノ・仕組みというかヒューマンウエア・ハードウエア・ソフトウエアといいますか。ハードウエアというのは、やはりそのボランティアセンターの場所と装備、施設、そういうものをどういうふうにしっかり作り上げていくのかということと、この場所の問題は僕はすごく大きいと思います。
それから2つ目のヒューマンウエアというのは、僕は心の問題だと思うのです。先ほどの話で高校生が参加をしたというのがありました。これはすごく大切なことだと思うんです。これは将来の担い手をつくる上でもそうだし、それからそういう防災とか人の安全ということを子どもたちにわかってもらう。だからボランティアは教育ではないといわれたらそうなんですけれども、でも教育が前提にあって次のボランティアが育ちますので、やはり若いエネルギーをどうやってこういうボランティア活動の中に組み上げていくか。その中で心というのを育てていくかというのはすごく大切だという風に思います。
それからソフトウエアとか仕組みの問題、これはたくさんあります。もう基金の問題から始まって条例を条例化していこうだとか、そういう一つの社会的な仕組みをきちっと制度として残していかないといけないので、その制度をどうつくるかということもこれからの課題になっていくのではないかという風に思います。
最後に、福井のこの「協設協営業方式」というのは、いろんな角度からぜひ研究をして、そのいいところはできるだけ広げていきたいというふうに思っております。

以上でございます。

○池上

ありがとうございました。予定ですとここで10分間の休憩ということでございましたが、取りますとなおさら遅れてしまいますので、これも私たちの一つの災害だと思ってお許しいただきたいと思います。もちろん、トイレ休憩は取りませんが、いらっしゃりたい方はお静かにお立ちになってということでよろしくお願い致します。

それでは、懇談会を再開したいと思います。

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