参加者からの報告

header_sympo
石井  ご紹介いただきました石井です。よろしくお願いいたします。
今日は、いまから約15分間で、おふたりがそれぞれ昨日の体験を通して何を感じ取ったかということと、後半はビデオで参加者の何人かの方がいろいろな感想を言ってくださっていますので、そのあたりを皆さんに見ていただくというふうにして時間を過ごさせていただきたいと思います。さっそくおふたりにそれぞれ、昨日何が一番印象的だったか、体験を通して皆さんに一番聞いていただきたいことは何なのかを話していただきたいと思います。
まず、永島君ですね、お願いします。
永島  僕は昨日ボランティアスクールに行って、北海道から沖縄まで、本当に全国の人たちが、一つの地域じゃなくて全国の人たちが一つのイベントのために集まって、一つの目的のために何かやるというために、お互いのことを分かり合おうとしたというのが一番印象的でした。また、自分にとってもそういう経験が一番うれしかったことです。
石井  全国の人だったからすごかったというようなこと、いま言っていましたけれど、特に「ああ全国の人なんだ」と思った時があったのかなあ?
永島  普通に分かり合おうとして、普通にお互いに喋り始めたときに、いろいろな方言が混ざってるというのが。本当に何か「言葉が違う」じゃないけど、方言がそれぞれ違うんで、すごいそこが面白かったところです。
石井  ああ、だから喋ってみて、「ええ、これどこの人や」みたいな感じが、まず、「ああ全国から来てるんだな」っていう感じがしたんだ。
あとまだあるのかな、全国って?
永島  北海道の人は冬は雪が降るというイメージがあるから、昨日は雨が降ってて、オリエンテーションの後、移動のために外に出た瞬間に「わあ雨が降ってる」ってすごい珍しそうな感じで言ったり、南の九州とか沖縄の人は、暑い所から来てるから、昨日はちょっと寒かったんですけれども、「めっちゃくちゃ寒い」ってずっと言ってたから、「うわあ、やっぱり地域が違うからこんだけ違うんかなあ」っていうのを実感しました。
石井  なるほど。だから、一つひとつに感じることとか、表現が違うから余計に分かり合おうとしているというのを、実感したということなのかなあ。
で、それが一番印象的だった?
永島  一つの活動をしているときに、お互いがボランティアという目的があっても、たぶんそれぞれ持ってる自分の考えというのは違うと思うけれど、炊き出しとかで、一つの目的のためにみんな一緒に協力してやっていて、そのことで自分たちの意見を話し合ったり、相手のことを本当に知ろうとしていると感じて、「本当に何か相手のことをわかろうとしているねんなあ」と思ったし、自分も分かり合おうと思ったから、すごい何か本当のコミュニケーションがとれたような気がして、すごく楽しかったです。
石井  普段と違うのかなあ。普段はそんなに分かり合おうとしていないの?
永島  普段は、初めて会う人に対して、いくら緊張せんといこうと思っても、やっぱりある程度緊張して、最初の1日目とかは何かすごい自分を閉じ込めているような感じがして、心の底から接することができないけど、何か昨日はただ1日のことやのに、ここまで相手のことをわかろうとしていた。すごくコミュニケーションがとれたんだとか思って。
石井  ああ、もうスーッと、こうみんなが一緒になろうとしたというのが、ものすごく印象的だったということなのかなあ。そういう体験はなかなか少ないの。福祉をめざしていまの高校に行ったんでしょう。どうなのかなあ。
永島  ボランティアやってるときって、やっぱりお互いが同じ共通の目的を持っているから、話しやすいといったら話しやすいけど。今回、僕がいままでやってたボランティアは一つの地域だけやったから、本当に全国の人が集まってここまで話したりするのは初めてやったから、すごい感動しました。
石井  はい、わかりました。どうもありがとうございます。
それでは川崎さんもお願いできますか。「全然また違うところが印象に残った」と言ってたねえ。
川崎  はい。私の一番印象に残ったことは、復興住宅での交流の時間の中で、涙ながらにお話しされていた方がいて、その人は震災時に関わったボランティアの人に、すごい暴言を吐かれたという話をしてたんです。
石井  どんな暴言?
川崎  「早くお前ら、ちゃんと並べ」とか、命令口調で。
石井  救援物資か何かの列を待ってるときに。
川崎  何か「まだじゃあ」っていうことを言われて、すごい暴言を吐かれて悲しかったというのを、涙ながらに語られてたんですけど。
私の場合は、昨日参加した中でも、ただ一人、震災を経験したということがあって、とらえ方がみんなとちょっと違ったんですけど、全国の皆さんはそれを聞いて「ああボランティアをする人にもそういう人がいるんだ」というのを思ってたらしいんですけど、私の場合は、現地でやっぱり「何しに来てるん」という人とか、あと過度の同情とか「かわいそう、かわいそう」って言う人とかがいて、「ああ、そういえばそういうボランティアがいたなあ」っていうことを思い出しました。
石井  その一言が印象的。その一言を聞いたときに、川崎さん自身が体験したことなどをワーッと思い出したのが印象的だったのかなあ?
川崎  はい、そうです。
石井  1時間ぐらいいろいろな方のお話を聞いた最後に、その方が話して涙ぐまれたんだよね、確かね。
川崎  はい。私が震災当時に接したボランティアの中にもひどい人がいるなあと感じていました。それと、私が通っていた中学校にも、グラウンドに仮設住宅が建っていて、クラブ活動が全然できなくて、「なんで仮設なんかあるのよ」とか、そういうことを言葉で言ったり、何か思ってたりしたんですね。
それをいま考えてみると、なんてひどいことをしていたんだろう。なんでそんなことを思っちゃったりしたんだろうとか思って、すごくそのときの自分が悲しくなって、情けなくて涙が出ました。
石井  そうなんだ。そうか、そうね。きっとたぶん、かなり何か状況を詳しくお話しされた方もいたから、いろいろ思い出したこともあるんだろうねえ。
川崎  はい、いろいろ思い出して。
石井  そういう意味じゃあ、川崎さんだけが被災を体験しているから、ちょっとみんなとズレてるって言ってたけど、そういうのはいくつかあったのかなあ?
川崎  他には、炊き出しの準備をしているときに、水仕事で、野菜を切るとき水で洗ってたりして、そのときにみんなが、「水が冷たい」とか、「テントが小さいから雨に濡れる」とか。仮設の作業台もすごい揺れて…。
石井  特設の、こういう机の上に大きい台を置いて、並んで丸くなってみんなで切ったのよね。
川崎  そのときに、すごいみんなが不平をこぼしてたんで、私は「本当の震災はこんなんじゃないよ」って。「水があるからいいじゃないの」って。「食べ物があって、食べる場所があって、それで火もあっていいじゃないの」っていうことを、みんなにもこれが震災だって誤解してほしくなかったので、いろいろと話をしました。
石井  昨日のボランティア体験より実際はもっと大変だみたいなことを、野菜切りながら話してたの?
川崎  ごぼうのささがきしながら話しました。
石井  そうなんだ。それで、そういうのは伝えた方がいいかなあって思ったのかなあ?
川崎  はい、そうですね。「被災地はもっと大変なんだよ」と言って、「もし自分ですることがあれば、そういうことをちゃんと考えてね」っていうことも言いたかったんで、グループディスカッションのときもその話をしたら、みんなが一生懸命聞いてくれて、すごくうれしかった。
石井  そうですか。わかりました。
あと、じゃあ一言ずつぐらい、もう一つ、何かこのことを自分の体験を通して皆さんに伝えたいんだっていうのがあったらお願いしたいんだけど、永島君はどうかな。
永島  昨日、スクールを体験させてもらって、こういう感じで話させてもらってるから、自分が思ったことをすべて話したわけじゃないけど、こういう防災とか震災のことについて、何か思うきっかけになればいいなあと、いまそういう感じで思っています。
石井  はい、どうもありがとう。川崎さん、お願いします。今日は学校で発表したんでしょう。
川崎  はい、学校で追悼集会があったので、私がそのときに壇上に立って昨日のボランティアのこととか話したんですけど。芦屋の子に向かっても、「自分たちは見たり聞いたり実際に経験をしてるけれど、全国の子にとってはテレビの中で起こった昔のことでしかないんです。自分たちで見たり聞いたりして、身体で覚えたことをずっとずっと忘れないでください」っていうことを言いました。せめて1年に1回、1月17日だけでも全国の人たちが、「ああこの日は震災があったんだなあ」と、「たくさんの人たちが亡くなったんだなあ」ってことを、ちょっとでも思い出してくれるようになればいいなあと思ってます。
石井  はい。それでいいかな? 打ち合わせのときは、すごくたくさん喋ってくれたよね。緊張してるね。まだ、もうちょっとだけ喋れるけど。「このことが私たちの体験から伝えたいことです」っていうことがあればいいけど。もう十分ですか?
永島  はい、緊張してます。
川崎  緊張してます(笑)。
石井  はい。では、私から少し報告します。本当にたくさんの方の感想の中から、方言の違いとかは、もうそばにいてもよくわかる状況で、違いの中でやっているという実感が伝わってきました。また、たくさんの人が、これだけの人が全国から集まってきて、これだけのことがやれたというのがうれしいと。そこで、たくさんお話ができて、友だちにあっと言う間になれたことが、今回の体験ですごくうれしかったんだっていうことは、何人もの方がおっしゃっていました。
で、1時間程度、直接、復興住宅にお住まいの方のお話を聞く時間もあったのですけれど、震災当時の状況などをかなり克明に話された方もいらっしゃったためか、非常に印象的だったようです。その生の体験を自分の耳で聞いて、自分で感じたということも、すごく今回の体験の中で得たものだというふうに話している子が多かったように思います。
で、今、映ってるスライドがその光景で(ビデオ上映の映像を見ながら)、集合して受付をして、いま皆さんに(炊き出しを)食べていただいてるところなんです。これが、住民からお話を聞いたときです。川崎さんは、このとき何の役割してたの。
川崎  私は豚汁を作る係でした。
石井  ああ、じゃあ住民の方の話は建物の外で聞いていたのかな。
川崎  途中から建物の中に入って聞いていました。
石井  ああ、そうか。隅の方で聞いてたんだ。
永島君は炊き込みご飯だっけ。
永島  はい。米洗いとご飯の配膳とかをしてました。
石井  感想の中には、「料理ができないから、せめて自分のご飯ぐらいは作れるようになりたい」っていうコメントもたくさん残ってました。で、そういういろいろな人がいろいろ感じたことのコメントもビデオにして、皆さんに見ていただけるようにしていますので引き続きご覧ください。
[ビデオ上映]引き続き、当日の参加者の活動の様子、感想が上映される
石井  以上で高校生防災ボランティアスクールの報告とさせていただきます。おふたりとも、どうもありがとうございました。
永島川崎  ありがとうございました。
石井  ありがとうございました(拍手)。

所在地 〒100-8914 東京都千代田区永田町1-6-1 電話番号 03-5253-2111(大代表)
内閣府政策統括官(防災担当)

Copyright 2017 Disaster Management, Cabinet Office.