活動内容

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活動内容

 災害時のボランティア活動は災害発生直後から時間の経過とともに被災者の生活支援、復興支援へと推移する。具体例として、阪神・淡路大震災では次ページのようなニーズの変遷が見られた。
 これらを踏まえ、活動内容を検討するにあたって留意した事項は以下の通りである。

1.災害時のボランティア活動として、時系列的にどのような活動が想定されるかを踏まえ、参加者がそれらの変化や多様性を実感できること。
2.行事実施時間や参加人数を勘案しつつ、初対面の高校生が時間内で円滑に運営
できること。
3.参加高校生が、今後、ボランティア活動を行っていくために役に立つ活動内容を提供できることが望ましい。
4.高校生が日常の学校生活では経験しがたいと思われる活動内容を提供できることが
望ましい。
5.参加者の活動中の安全が確保できるとともに、ボランティア活動の経験が少ない参加者、又は経験のない参加者でも可能な活動であること。

 さらに、活動プログラムを決める際の視点として、

1.災害時のボランティア活動を、知識として理解することに加 えて体験として習得できる活動メニューにすること。
2.報道などでは、ボランティア活動の華々しい側面が強調されがちであるが、「縁の下の力持ち」としての側面も重要であることから、それを体感できること。
3.災害時のボランティア活動の多様性が実感できるように、複数の活動メニューを確保できることが望ましい。
4.行事参加者が行事終了後も引き続き何らかの関係を保つことが望ましいこと。このため、参加者相互の理解を深めるプログラムにしたいこと。
5.災害当時の様子や災害時のボランティア活動を理解するために、阪神・淡路大震災の被災体験者等から、震災当時の状況やボランティア活動に対する感想、意見、提言を聞くなどのふれあい体験の機会を有することが望ましい。

阪神・淡路大震災におけるボランティアニーズの変遷
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この表は、時期によって、どのニーズの割合が高かったかを示したものである。
 第1週は圧倒的に「緊急生活支援」すなわち水汲みや救援物資の提供が占める割合が高い。2週目になると、一転してニーズは分散化傾向を示す。4週目になると、「屋外片付け」が首位に立ち、以後ずっと3〜4割を占める。それ以外のニーズも全体的にほぼ同じような割合傾向を示す。
 いずれも「屋外片付け」の割合がもっとも高く、次いで「荷物出し入れ」あるいは「引越手伝い」などが続く。
『震災ボランティア「阪神・淡路大震災 被災地の人々を応援する市民の会」全記録』(同会発行)より引用

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 これらの留意事項等を踏まえ、当初は、炊き出し、キッズプラザの運営、行事実施会場周辺の清掃の3つの作業を体験活動として実施することにして準備を進めるとともに、より多くの作業が実施できるか検討した。
 その結果、会場となる高須町住宅を担当するLSA(ライフサポートアドバイザー)の協力が得られることになり、LSAの協力のもとに高齢者等の住宅訪問活動を行うことにした。また、敷地内の清掃がほとんど不要であることが分かったため、作業終了後の使用資器材の後片付けと同時に実施することにした。
 なお、この変更は、参加者への通知文書発送後に決定したため、参加者に対しては、行事当日の往路バス車内で通知した。あわせて、体験活動の班構成についても変更することにした。

●体験活動一覧
活動メニュー 活動内容 活動のねらい 具体的な活動方法 備 考
炊き出し(昼食会場の設営や看板づくりなども含む) 豚汁、炊き込みご飯の調理を行う(250食程度) 住民に簡単な昼食を提供するとともに、一緒に食事をとり、阪神・淡路大震災当時の様子等を聞くことで、防災ボランティアに関する理解を深める 豚汁2班、炊き込みご飯1班とに分かれて活動する。作業の合間に会場設営や看板づくり、受付の設置等を行う。昼食会場内で住民に配膳する 活動の初期に相当の作業量が見込まれるため、最初は他班からの応援を受ける
高齢者等の住宅訪問 LSAの協力のもとに高齢者等の住宅を訪問する 災害時の周囲の環境の変化に対応しにくく孤立しがちな高齢者等の住宅訪問を行うことで、心の交流を図る活動のあり方について考える 2〜3人が一組になって、LSAと一緒に高齢者等の住宅を訪問し、行事への参加を呼びかけ、昼食の配膳等を行う LSAの活動時間帯との関係もあり、最初は炊き出しの手伝いを行う
キッズプラザの運営(会場設営や看板づくりも含む) 子どもたちと一緒にお絵かきなどを行う 心のダメージを受けやすい子どもたちに安心感を与える活動は重要であることから、子どもたちの心をつかみ安心感を与える活動とは何かを考える お絵かきや輪投げなどをして、子どもたちとふれあう。そのための会場設営や看板づくりを行う 参加する子どもたちの年齢や興味によって活動内容を変更する必要がある
敷地内の清掃 住宅敷地内の清掃を行う 体力や忍耐力が必要で単調な仕事もあるなど、防災ボランティアに求められる仕事の多様性について理解する 活動会場となる集会所内外の清掃や敷地内の共有スペース等のごみ拾いを行う 活動に使用した資器材の後片づけと同時に実施

●体験活動以外の活動一覧
活動メニュー 実施時間帯 活動のねらい 備 考
講義
体験活動前 防災ボランティアに関する基本的な知識や当日行う各種活動の意義について理解を深める 指導者による講義(開講時のオリエンテーション又は往路バス車内で実施)
住民との交流
昼食後 住民の代表から震災体験、ボランティアとの出会いなどについて話を聞く 参加住民の講話。自治会が発表者を事前に指定し依頼しておく
救急救命法講義
バス車内 災害発生直後の応急対策活動を習得する ビデオ視聴(帰路バス車内で実施)
ロープワーク (結索法)
バス車内 「いざ」という時、必要になるロープの結び方などの知識を習得する 実習(帰路バス車内で実施)
活動の感想発表と班別ディスカッション
体験活動後 防災ボランティアに関してこれまで考えてきたこと、当日の講義、体験、住民との交流等を通して考えたことについて、一人ひとりが発表するとともに、指導者を交えてディスカッションを行い、参加者一同の意見としてまとめる ディスカッションについては体験活動の班ごとに実施しとりまとめる
(救急救命法講義及びロープワークについては、日本赤十字社大阪府支部職員が指導を行う)
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