防災とボランティアのつどい 分科会D

防災とボランティアのつどい(午前の部)

分科会D 「地域のネットワークづくりと防災ボランティア活動」

コーディネーター 栗田 暢之 氏(NPO法人レスキューストックヤード代表理事)

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分科会の趣旨説明

栗田 暢之 氏(NPO法人レスキューストックヤード代表理事)

・地域と防災ボランティアというネットワークづくりの分科会。皆さんもそれぞれご自分の活動範囲の中で、いろいろなレベルのネットワークを構築されていることと思う。まず地域でつくっているネットワークのことをあわせて自己紹介をしていただき、グループの希望をとりながら進めていく。
・この分科会の趣旨は、「どうやったらネットワークづくりがうまくいくのか」あるいは「今どういうネットワークの中で皆さんが動いていらっしゃるのか」について深めていくことになる。
・地域といっても、それぞれがイメージされている地域の範囲は異なると思う。地域と連携していかなければいけない、あるいはネットワークをもっと強化していかなければいけないとお考えになっているレベルを四つ提示する。一つ目は町内会・小中学校区レベル、二つ目はさらに大きくなって市町村レベル、三つ目は複数の市町村が地域間連携を行っているような「○○地方」といわれるレベル、四つ目が県域の範囲。
※自己紹介の内容は割愛

グループワークの発表

1班

・9個のキーワードにまとめた。一つは行政、県・市町村・教育委員会との連携の必要性、各担当セクションの連携が防災の第一歩だと思う。
・消防署との連携、学校との連携も必要。連携をより充実させるには、教育委員会に情報提供するなり連携を図っていくのがよいとの意見が出た。
・住民組織といっても、町内会やコミュニティセンター、公民館、民生委員などがある。その連携方法は、自治会長をうまくくどくところにある。
・社会福祉協議会との連携では、現場の担当者とふだんから仲良くしておいて、災害のあったときには、その担当者とコミュニケーションを取りながら対応していく。
・ボランティア団体のリーダーと接点を持つこと、特に災害ボランティアとのコミュニケーションは重要。
・メディアとの連携を欠かせない。ふだんから現場担当者の記者さんとのコミュニケーションが必要
・地元の商店街、生協、企業などとの連携も図る。トップや役員とふだんからコミュニケーションを取り、いざというときに応援を依頼するのが望ましい。
・攻めどころは一つ、「キーパーソンを探せ」

2班

・町内会範囲でのつながりに興味を持ったグループで、必然的に地元意識、地域意識のところで多くの意見が出た
・つながりたい、つながっているというところは、まず行政、そして物・人・お金を期待しての企業。
・NPOや財団法人等の各団体、トラック業界やバイク隊など個別のところに強いところも含めての各種団体との連携。
・福祉施設や医療施設とつながりたい。
・地域自治会、民生委員、児童委員など要支援者の情報を持っているキーパーソンとの連携に対する意見が一番多く、つながっておく必要がある。
・災害が起こったときに、共助、互いに助け合うことが必要になる。そのため、つながっているために例えば地域でのイベントなどで顔見知りになる、仲良くなるというところに防災意識の味付けをしていく工夫ができるだろうという結論が出た。
・防災に関しての意識の温度差が住民の中にもあるが、自分たちも発信に加えて、大きなところからの発信も欲しいという意見もあった。防災意識を高めるために、イニシアチブを取るところ、気持ちを盛り上げるところがあるといいが、それはどこなのだろうかという発言もあった。
・キーワードは、地域イベントの防災の風味づけ。

3班

・出てきた意見をまとめていくと、全部で大小16に整理した。社協関係、防災ボランティア、行政、消防署、マスコミ、労働組合、共同募金、企業、日赤関係、地域団体(郵便局や農協など)、自治会、町会、警察、学校、女性団体、専門家、障害者団体。
・行政とのかかわりが大事との意見がある一方、行政のトップが代わった場合、地域の事情が分からないため、前任者と比べて防災に対する温度差があるという意見もあった
・防災ボランティア、NPOの中には、主張が強いために、連携がとりにくいところもあるとの意見があった。
・最近地域で出ているケーブルテレビ、地元紙などのマスコミとの関係も、情報収集・発信のためには必要。
・地域によって工場を持つ企業もあるため、連携は欠かせない。例えば企業が持っているグラウンドを一時的な防災拠点として借りることなども考えられる。
・最近の自治会、町会では、あまり若い人が入らなくて、お年寄りばかりの集まりなってしまって、いざというときに戦力が弱くなっているかもしれない。しかし連携は必要。
・郵便局、農協との連携。これも地域によって違いはあるけれど、工夫できるはず。
・キーワードは、「日ごろから顔の見える関係づくり」「行政と仲良く」「ボランティアやNPOは協調性を持つ」

4班

・ほかの班と同じような意見があるが、国交省と連絡を取りたいという要望も出た
・連携するのに難しいと思われたのは県警。災害時の高速道路等の通行免除切符などは県警から発行されるため、連携が重要。
・自主防災組織は地縁型となるが、もっと広い広域の自主防災組織、特殊職能集団を地域で作っているケースがあるらしい。そういう団体とつながることで、自分たちの市町村だけでなく、近隣の市町村の顔も見えるようになってくる。
・民間企業との接点をなかなか取れない。NTTや電気関係、各種防災業界団体などとも、復興のために連携が望ましい。食料品店・地元企業・薬剤協会などとのつながりは大切にしておきたいという意見が出た。
・青年会議所、ライオンズクラブ、ロータリークラブなどは、資金面でも支援をいただけるため、つながっておくことは大事。
・PTAは全国組織でもあるため、PTA役員等の活用も考えたいという意見があった。
・複数の市町村との連携も検討したいが、まずは各市町村で連携なしには広がらない。足元を見つめる必要がある。
・キーワードは「民間活力の有効活用」
・青年経営者の団体との人的なつながりがあると、ほかのところとのつないでもらえるということもあるだろう。自主防災組織と民間企業が災害時の支援について協定を結んでいる例もある。

5班

・県域のチーム。メンバーはそれぞれNPO、日赤、社協、企業、行政、地域とのつながりがすでにあった。また、NPOなどは県域を越えたつながりもあるとの話題もあった。
・キーワードはやはり地域。地域それぞれの企業や社協などいろいろな形でのつながりがあるが、まだ十分とはいえない。そのため、行政がそれぞれを仲人になれば、もっと地域の安心づくりを高められるということでまとめた。
・地域には必ず企業があって、働いている人がいる。企業との関係で地域の安全性を高めていくためには、企業側でできることをもっとPRすべき。そういうことが地域で認識できれば、地域の安全づくりは高まっていくと思う。
・キーワードは「地元と地域が主役」「企業の持ち味を出していく」

6班

・グループのみなさん、得意分野が似通っていて、苦手な分野も似通っていて、あまりノウハウの共有ができなかったところがあるが、その中でも幾つかキーワードが出た。
・行政から情報共有、つながりづくりをしっかりやってほしい。どうしても広域での議論の場合、横のつながりが重要になってくる。市町村の場合、隣と仲が悪かったりすることがあり、情報共有がうまくいかないことがある。
・広域では、日本財団、日赤、YMCAなど、それなりに地域にも下部組織があるけれども、全国にも組織がある組織とのネットワークが重要。本部からノウハウも含めてある程度の資金や人材があるため、しっかりつながる必要がある。
・福井の水害時は、とび職が非常に活躍したそうだ。職業的な得意分野、ノウハウやパワーのある人と、地域レベルでつながる必要があると思う。
・地域レベルで考えると、自治会同士が防災訓練を持ち回りでやるなど、最終的に一つ挟んでいる町とも、つながっているという関係づくりをしていく必要がある。
・社協などは全国組織があり、隣り合わせの県や市との関係が重要になってくる。日ごろから横にもつながれるような組織の広域活動は重要
・キーワードは、「全国組織の役割に期待」。また、広域での連携のためにも、まず地元で人と人がつながることが大事。「つながるためにつながりを大事にする」というまとめとなった。

【内閣府よりコメント】

・防災は本当にいろいろな分野の人が関わらないと始まらない。イベントなどを通じて日ごろ接点がどれだけあるかが勝負となる。地域の中には大抵ムードメーカーのような人を中心につながっていくことが大事だと思う。
・首長、市町村長、社長、いわゆる「長」とつく人が防災に関心を示したら、ぜひ一緒にやっていただきたい。
・例えば防災イベントのときに炊き出しに協力しますという企業がいたら、大いにおだてて、一緒にやってほしい。防災は、いざというときにどれだけパワーを発揮できるかが鍵を握ると思う。そのために日ごろのネットワークづくり、あるいは日ごろの雰囲気づくりは大事。
・防災は人が死ぬか生きるかという深刻な話もあるが、最初から深刻な話だと言うとだれも耳を貸さなくなるので、「明るい防災」はキーワードなのではないか。
・内閣府のホームページの中に「みんなで防災」というコーナーがありますので、一度見てみてほしい。

内閣府(災害予防担当)

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内閣府政策統括官(防災担当)

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